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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2009年04月  】 更新履歴 

  04.01.  【 第1章 】  第16回   さわりを読む▼
  04.02.  【 第1章 】  第17回   さわりを読む▼
  04.03.  【 第1章 】  第18回   さわりを読む▼
  04.06.  【 第1章 】  第19回   さわりを読む▼
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  04.17.  【 第2章 】  第28回   さわりを読む▼
  04.20.  【 第2章 】  第29回   さわりを読む▼
  04.21.  【 第2章 】  第30回   さわりを読む▼
  04.22.  【 第2章 】  第31回   さわりを読む▼
  04.23.  【 第2章 】  第32回   さわりを読む▼
  04.24.  【 第2章 】  第33回   さわりを読む▼
  04.27.  【 第2章 】  第34回   さわりを読む▼
  04.28.  【 第2章 】  第35回   さわりを読む▼
  04.29.  【 第2章 】  第36回   さわりを読む▼
  04.30.  【 第2章 】  第37回   さわりを読む▼


第16回

第1章

  その頃の作曲家たちは、2年前に死んだドイツのリヒャルト=ワーグナーに心ひかれていた。彼らは、フランス風の和声より、ワーグナーの持つ和音、そして構成に心を奪われていたのだった。そうした作曲家はワグネリアンと呼ばれていたが、ワグネリアンたちはワーグナーの曲をフランスに紹介するだけではなく、ワーグナー風の厚みのある和音を使って交響曲やオペラを書いた。ワーグナーは、バイロイトという所に劇場を建てて、自分...全文を読む


第17回

第1章

  メランベルジェを中心とする「マルタン派」は、彼の死により二つに分裂した。ルブランについた人たちとロジェについた人たちにである。 ルブランとその仲間たちは「マルタン派」を受け継いだが、ロジェとその仲間たちは「地獄のオルフェ」というカフェに集合し、そこを本拠とした。一方、フランソワーズは中立を守った。メランベルジェがどちらの道も望んでいないと思ったからである。 メランベルジェの遺志は、必ずしも弟子た...全文を読む


第18回

第1章

  メランベルジェの死より約1年前の話にさかのぼる。 フランソワーズ=ド=ラヴェルダンの家に、かつての恋人ルイ=フィリップ=ド=ルージュヴィルがやってきたことが、その転機の始まりであった。 二人が最後に会ったのは、それより5年も前の話である。かの女の「弦楽四重奏曲<アレックス>」の初演の日の夜のことだった。かの女は、彼との関係はそれで終わりだと思っていた。彼と再会する日が来るとは思っていなかったので...全文を読む


第19回

第1章

  図星だった。ルイ=フィリップは、言葉を返すことはできなかった。彼がやってきた理由は、フランソワーズともう一度やり直そうと思ったからだったのだが、自発的に・・・というよりは、妻の遺言を果たそうという気持ちの方が強かったのであった。フランソワーズに指摘されて、彼は言葉に詰まってしまったのである。「・・・あなたの奥さまは、きっと、わたしたちが不幸だったと思っていたに違いないわね」フランソワーズが言った...全文を読む


第20回

第1章

  クラリスは、自分の進学先にあえてスイスのヴィルフォール音楽院を選んだ。 フランスから離れたところで、自分を取り巻いていた環境を冷静に見てみたかったのである。 そこは、レマン湖のほとりにある静かな環境の全寮制の学校であった。22歳まで、という年齢制限があり、卒業後はより高等な音楽院に進む生徒が多かった。たとえばフランス人だと、パリ音楽院といった学校に進学するためのステップとしてとらえられる学校の一...全文を読む


第21回

第1章

  子どもたちを手放し、ほとんど父親のように慕っていた師を失ったそのころのフランソワーズは、かなり気弱になっていたといえる。のちになって、「あの頃の自分は自分ではなかった」と知人にもらしたと言われる。そのすきまに入り込んだのが、エドゥワール=ロジェだったのである。かの女は、恋人としての彼より、元医師としての彼を必要としていた。しかし、かの女をずっと愛していた彼には、それがわからなかった。彼は、かの女...全文を読む


第22回

第1章

  フランソワーズとクリスティアン=ベローが計画していた「音楽教室」は、その年(1892年)の11月にスタートした。そこの生徒たちは、のちに教師たちの頭文字からの連想<レ=フォルス>と呼ばれるようになるのだが、スタートしたときには、ただの小さな教室に過ぎなかった。(その教室の正式名称は「音楽教室」だったのだが、のちに、教師6人の名前の頭文字FORCES(フォルス)という愛称で呼ばれた。) その計画は、...全文を読む


第23回

第1章

  クリスティアン=ベローは、いとこのオーギュストと同じ年の生まれだった。彼は、ちいさい頃、ピアノの鍵盤をてきとうにたたいているのを母親に見つけられ、アラスにいるサミュエル=ランブールという若い音楽教師に預けられることになった。ベロー夫人とサミュエルがいとこ同士だったのである。そのとき、クリスティアンは7歳だった。彼が15歳になったとき、サミュエルは彼の両親を説得し、彼をパリに連れて行った。そして引...全文を読む


第24回

第1章

  いわゆる「メランベルジスト」と呼ばれる人たちの中心は、ベルナール=ルブランであった。 彼は<セザール=メランベルジェ校>と名付けた自分の音楽学校で作曲と理論を教えた。彼が優れた教師であることが次第にわかってくると、セザール=メランベルジェ校は有名になった。ベルナール=ルブランは、確かにメランベルジェの後継者の一人だった。メランベルジェを尊敬し、その名前を広め、その評価を高めようとする努力を惜しま...全文を読む


第25回

第1章

  エドゥワール=ロジェが死んだというニュースを新聞で読んだ日、フランソワーズ=ド=ラヴェルダンは一人きりでいたいと思った。かの女は、ひとりきりで泣いていたかった。 しかし、現実には、かの女を訪ねてきたクリスティアン=ベローと二人で、グラスにカルヴァドスをそそぎ、彼の思い出話をする羽目になっていた。 何回めかの献杯のあとで、フランソワーズがふいに切り出した。「わたし、本当はエドを愛していたんです」 ...全文を読む


第26回

第1章

  フランソワーズは、クリスティアンのグラスに酒を注いだ。「でも、わたしは、一人で生きる決意をしています。92年にここに来たときからそのつもりでした。38のマドモワゼルが42のマドモワゼルになっただけの話です。そのうちに、50のマドモワゼルになるでしょう」「わたしがどんなにきみを愛したとしても、50のマドモワゼルになるつもりなの?」「ええ。わたしには、もう恋愛は必要ないわ。わたしはね、一生に一度しか...全文を読む


第27回

第1章

  エドゥワール=ロジェの死後、彼のグループは分裂した。ある者はメランベルジェに戻り、またある者はロジェが最後に歩いていた道をそのまま受け継いでグループを継承した。 どの道をも選ばなかった人たちが、フランソワーズ=ド=ラヴェルダンのもとにかけつけた。かの女のグループ「フォルス」は、当時の流行とは無関係に活動することを選んだ。彼らも、ベルナール=ルブランと同じような道を選択した。ただし、ルブランとメラ...全文を読む


第28回

第2章

  1892年10月。  クラリス=ド=ヴェルモンがヴィルフォール音楽院に入学してから4回目の秋がやってきた。 同期に入学した女子学生は、クラリスを入れて4人しか残っていなかった。残り3人はピアノ上級コースに進学、クラリスだけは作曲コースに進んでいた。クラリスとリディア=ロランが同じ1875年生まれ、ナターリア=スクロヴァチェフスカとアレクサンドリーヌ=ド=ティエ=ゴーロワが1878年生まれであった...全文を読む


第29回

第2章

  クラリスは、ヴィルフォールでの唯一の慰めはレマン湖に行くことだ、とフランソワーズ=ド=ラヴェルダンに手紙で語ったことがある。かの女は疲れたとき、一人きりになって、音楽がない空間に身を置くことによって安らぎと慰めを得ていたのだった。 ところが、1893年の春になると、湖はクラリスにとって一人きりになれる場所ではなくなった。 ある日、かの女がいつものように湖に行くと、一人の青年がつりをしていた。かの...全文を読む


第30回

第2章

  その日、ウィーラントはクラリスに一人の男の話をした。同じ教授の生徒で、入学年度からいうと2年上級であるクラウス=レヴィンというスイス人のことであった。レヴィンは学校一の変わり者で、入学した年にピアノ初級と和声の1位を取って翌88年以来作曲コースに在学しているが、一度もコンクールに出たことがないのだという。しかし、作曲コースに一番長くいるだけあって、コンクールのことには一番詳しいはずだ、というので...全文を読む


第31回

第2章

  クラリスが黙っていると、レヴィンは続けた。「魚なんかほとんど釣れないよ。だいたい、ぼくの趣味はつりじゃない。だけど、クラウス=レヴィンは変わり者で、作曲よりつりが好きだと思われている。・・・これ、何だか知っている?」 クラリスは自信なげに答えた。「・・・スケッチブック・・・?」「クラウス=レヴィンは、魚釣りをする。ベートーヴェンが散歩をしたようにね。このスケッチブックは、いつでも身につけているん...全文を読む


第32回

第2章

  クラリスが驚いていると、ウィーラントは続けた。「今年の課題は、ピアノ五重奏曲だよ」「ピアノ五重奏曲?」クラリスは首をかしげた。「・・・わかったわ、シャルル=ドルブランを卒業させたいワケね」 ウィーラントは笑い出した。 作曲コース最年長のドルブランは、室内楽曲が得意である。あながちうがった見方でもないだろう、とクラリスは思っていた。 笑い終えると、ウィーラントは真面目な顔をした。「だけど、ぼくは室...全文を読む


第33回

第2章

  その日の夕方、クラリスはレマン湖に行った。 クラウス=レヴィンは、すでに釣り竿をセットして、その横に座っていた。ただし、彼はつりをしていなかった。スケッチブックに向かって、何かを書いていたのである。 クラリスははっとした。かの女は彼に見つからないうちに引き返そうとした。しかし、彼はもう気づいていた。「クラリス! こっちにきて座ったら?」 クラリスは引き返してきて、彼のそばに座った。「どうして帰ろ...全文を読む


第34回

第2章

  1893年の夏休みも、4人組はシャンベリーのアレクサンドリーヌの家にいた。 その夏は、アレクサンドリーヌの双子の姉ジュヌヴィエーヴも友人たちを招いていた。ただ、この二組の客は、広い屋敷内で顔を合わせるチャンスはなかった。最初の日に簡単に紹介した後は、完全に別行動だったのである。 クラリスたちは、ピアノを弾いたり、馬に乗って遠出をしたり・・・という日々を過ごしていた。ジュヌヴィエーヴと友人たちは、...全文を読む


第35回

第2章

  ナターリア=スクロヴァチェフスカは、クラリスの話を聞いてびっくりした。「そう言われてみれば、あなたの目も青なのね」ナターリアが言った。「わたしの目の色と一緒。これは、<ザレスキー家のブルー>と呼ばれる色なのよ」 ナターリアは、あらためてザレスキー家の歴史を語り始めた。「もともとは、フランス革命から始まった話なのよ。1789年にフランスで革命が起ったとき、ルイ=シャルル=ド=ルージュヴィルという公...全文を読む


第36回

第2章

 「気になること、ですって?」クラリスが顔をくもらせた。「あなたと同じ年に生まれた女の子が一人、いることはいるのよ。死んでしまったけどね」ナターリアが言った。「祖母の3人の娘のうちの一番下にステラというひとがいるの。わたしにとっては叔母なんだけど。かの女は、フランス人と結婚して、1875年に最初の子供を産んだの。女の子だったんだけど、生まれて何週間か後に、火事で焼け死んだのよ」「火事・・・?」クラリ...全文を読む


第37回

第2章

  その休みの間に、クラリスは、もう一つの出会いをしている。 それは、ある公園での出来事である。 一人のヴァイオリニストが野外で演奏していた。ステージのような空間があり、ピアノが持ち込まれていた。その演奏者には見覚えがあった。フランソワーズ=ド=ラヴェルダンの友人、ソフィー=マリアンヌ=フランク夫人、旧姓ティボーである。ということは、ヴァイオリニストはご主人に違いない、と思った。テオドール=フランク...全文を読む

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