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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2009年05月  】 更新履歴 

  05.01.  【 第2章 】  第38回   さわりを読む▼
  05.04.  【 第2章 】  第39回   さわりを読む▼
  05.05.  【 第2章 】  第40回   さわりを読む▼
  05.06.  【 第2章 】  第41回   さわりを読む▼
  05.07.  【 第2章 】  第42回   さわりを読む▼
  05.08.  【 第2章 】  第43回   さわりを読む▼
  05.11.  【 第2章 】  第44回   さわりを読む▼
  05.12.  【 第3章 】  第45回   さわりを読む▼
  05.13.  【 第3章 】  第46回   さわりを読む▼
  05.14.  【 第3章 】  第47回   さわりを読む▼
  05.15.  【 第3章 】  第48回   さわりを読む▼
  05.18.  【 第3章 】  第49回   さわりを読む▼
  05.19.  【 第3章 】  第50回   さわりを読む▼
  05.20.  【 第3章 】  第51回   さわりを読む▼
  05.21.  【 第3章 】  第52回   さわりを読む▼
  05.22.  【 第3章 】  第53回   さわりを読む▼
  05.25.  【 第3章 】  第54回   さわりを読む▼
  05.26.  【 第3章 】  第55回   さわりを読む▼
  05.27.  【 第3章 】  第56回   さわりを読む▼
  05.28.  【 第3章 】  第57回   さわりを読む▼
  05.29.  【 第3章 】  第58回   さわりを読む▼


第38回

第2章

  クラリスも首をかしげた。「わたしは、才能あるヴァイオリニストじゃありません」フランク氏が言った。「デビューしたのは決して早くはないし、リサイタルの経験もあまりないし・・・。でも、わたしは、一つだけ人より優れているところがあります。それは、ほかの人の才能に気がつく、という才能です。あのリシャールも、才能ある生徒です。わたしは、彼らを指導して、こう思うんです。才能ある子どもたちを伸ばすには、後ろ盾・...全文を読む


第39回

第2章

 「広いパリの街で一人っきり・・・っていうのが、どんなものか、わたしにはわかります。そんなとき、あなたのような人に会うということがどんな意味を持つか、あなたにはおわかりにならないかもしれませんが、わたしは知っています」 フランク氏は怪訝そうにクラリスを見つめた。「10年以上前、わたしも一人っきりでパリの街をさまよっていました。そのとき、ある女性に助けられました。そして、かの女はわたしに、一生を変える...全文を読む


第40回

第2章

  後に、テオドール=フランクは、フランソワーズ=ド=ラヴェルダンにあてた手紙の中で、かの女の養女をどうしてヴィルフォール音楽院に入れたのか訊ねている。 フランソワーズは、それに対してこう返事した。・・・(中略)あなたの問題提起、面白く拝見いたしました。例の、クラリスをヴィルフォール音楽院に入れたのはなぜか、という話です。理由はいろいろあります。あなたは、わたしがかの女をベルナール=ルブランから引き...全文を読む


第41回

第2章

  クラリスがシャンベリーから帰ってきた日も、クラウス=レヴィンはいつものようにつりをしていた。「休みはどうだった?」クラウスが訊ねた。「まあまあね」クラリスが真面目な顔で答えた。「それより、あなたこそ、どうして帰らなかったの?」「つりが大好きだからさ」彼は不真面目に答えた。「ローザンヌにいてもつりはできるでしょう?」「本当はね、ローザンヌには帰りたくなかったのさ。もう何年帰っていないだろうな・・・...全文を読む


第42回

第2章

  次の日、クラリスはいつものようにレマン湖へ行こうとしていた。 しかし、途中で大きな本を何冊か重そうに持っている青年を見て、思わず足を止めた。「・・・こんにちは、ムッシュー=サンフルーリィ。手伝いましょうか?」クラリスが声をかけた。「こんにちは。・・・大丈夫。これは、あなたには重すぎる」青年が答えた。「じゃ、せめて、1冊でも」クラリスは一番上の厚い辞典を取った。 青年---エマニュエル=サンフルーリ...全文を読む


第43回

第2章

  図書館で別れてから、クラリスはエマニュエル=サンフルーリィのことを考えていた。その足でレマン湖に行く気分ではなくなっていた。かの女は、寮に引き返した。 その直後から、クラリスの頭の中は音符でいっぱいになった。かの女は、作曲に気を取られて、部屋に閉じこもったきりになった。同室のリディア=ロランは、クラリスのそんな生活ぶりにはもう慣れっこになっていたので、食事を部屋に運び、折を見て食べるように勧め、...全文を読む


第44回

第2章

 「こんにちは」クラウスは二人に声をかけた。 二人は、びっくりして顔を見合わせた。「ぼくは、クラウス=レヴィン。あなたたちは、クラリスの所から来たんでしょう? かの女の具合はどうですか?」 クラウス=レヴィンの名前を聞くと、二人の少女は動揺し、また顔を見合わせた。「クラリスの言うとおり、ぼくは、相当悪名高いようだ。あなたたちを襲ったりはしませんよ、お嬢さんがた」クラウスは苦笑しながら言った。「ぼくは...全文を読む


第45回

第3章

  クラリスの病気は、ただの過労にしては意外なくらい長引いていた。 約2ヶ月後、かの女はようやく部屋から出ることを許された。すでに冬休みになっていて、クリスマス休暇のために寮はがらんとしていた。それでも、クラリスの親友たちは寮に残った。アレクサンドリーヌは、シャンベリーで休養するように勧めたが、クラリスの体力は旅行をするほど回復していなかったのである。 クラウス=レヴィンは、アレクサンドリーヌを介し...全文を読む


第46回

第3章

  クラリスに散歩の許可が下りたとき、リディアはパートナーにエマニュエルを選んだ。リディアは、彼がクラリスに恋心を抱き始めていることに気づいていた。かの女は、かの女なりに、クラリスにはクラウス=レヴィンよりエマニュエルの方がふさわしい、と思っていたのである。リディアは、クラリスの腕を取って一緒に歩いた。エマニュエルは、いわば二人のガードマンであった。 ある日、三人の足がレマン湖に向いた。「クラウス、...全文を読む


第47回

第3章

  それは、葬式の夢であった。花で飾られた祭壇の上に、クラウス=レヴィンの写真が飾られていた。 クラリスは、黒い服を着てハンカチで顔を覆っていた。音楽が聞こえてくる。Lux aeterna luceat eis,Domine. cum sanctis tuis in aeternum, quia pius es.「お葬式・・・?」クラリスはつぶやいていた。「でも、なぜ、クラウスが・・・?」 隣にメランベルジェが立っていた。「主よ、永遠の光明をかれらの上に輝かせたまえ...全文を読む


第48回

第3章

  月日は流れ、卒業コンクールの季節がやってきた。 作曲コースの課題も発表された。今回は、「レクィエム」が課題であった。 クラリスが驚いたのは、課題に使われたモティーフが、いつか見たお葬式の夢のときに流れていた音楽に酷似していたためであった。「・・・クラウス=レヴィンが予言したとおりだ」掲示板を見ていたアントワーヌ=ドルーがクラリスに言った。「今回は、<レクィエム>になるだろう、って」「ええ、そんな...全文を読む


第49回

第3章

  かわってエマニュエル=サンフルーリィが立っていた。「こんにちは、クラリス。絵でも描くの?」 エマニュエルには、そのスケッチブックに見覚えがあった。 クラリスは、ちょっと暗い表情になった。「クラウス=レヴィンが、出て行ったんですってね」「・・・昨日ね。パリで勉強したいと言っていたそうだよ」エマニュエルが答えた。「・・・そうね・・・そのほうがいいのかもしれないわね・・・」クラリスが考え込みながら言っ...全文を読む


第50回

第3章

 「せめて、噂の真偽くらいは確認すべきだった」彼は追い打ちをかけた。「彼が愛していたのは、ほかならぬあなただ。彼と一緒にいて、そんなことにも気がつかなかったというの?」 クラリスは顔を上げた。エマニュエルを見つめ、スケッチブックを抱きしめた。「・・・あなたは、いじわるだわ」クラリスが言った。「あのとき、わたしは、本当のことを言うつもりだった。でも、その前に、あなたが倒れてしまったんだ」エマニュエルが...全文を読む


第51回

第3章

  クラリスは、課題を提出するとパリ行きの汽車に飛び乗った。かの女は、どうしてもパリに行かなくてはならないと思った。クラウス=レヴィンに会いたい。セザール=メランベルジェの墓参りもしたい。ベルナール=ルブランやエドゥワール=ロジェに会いたい。なによりも、自分がフランソワーズ=ド=ラヴェルダンと初めてあったあの場所に立ちたい・・・。 クラリスがパリに着いたのは、7月8日のことであった。 かの女は、まず...全文を読む


第52回

第3章

  クラリスがエドゥワール=ロジェと再会したのは、「地獄のオルフェ」という名前の、ある小さなカフェだった。そのカフェは「レザンフェール」という愛称で知られていた。そこに集まるのは、おもに若い作曲家だ、とベルナール=ルブランは教えてくれたのである。そして、ロジェは、そのリーダー格の人間であるという話であった。 久しぶりに見る彼は、かつての真面目そうな青年の面影をとどめていなかった。アルコールと不規則な...全文を読む


第53回

第3章

 「愛しているのなら、すべてを捨てるべきだったのは、あなたのほうでしょう、ムッシュー=ロジェ?」 ロジェは、両手で顔を覆った。「そうしたかったよ。・・・でも、そうしてはいけなかったんだ!」 クラリスは、反論を試みようとした。「フランソワーズおばさまが何と言おうと、あなたは自分の意志を貫くべきだったんじゃないでしょうか。女性は、愛する男性が自分を引っ張っていってくれることを望んでいるはずなんです。わた...全文を読む


第54回

第3章

  シモーヌ=アランを見送った後で、クラリスは教会を眺めた。かの女が覚えているほど大きな教会ではなかった。 階段の下の石碑には、歴代オルガニストの名が刻まれていた。教会ができたのは1814年。メランベルジェは21代目のオルガニストであった。そして、オーギュスト=ベロー、ベルナール=ルブラン、エティエンヌ=ヴァランタンと続いていた。クラリスは、その石碑を見つめた。エティエンヌ=ヴァランタンは、ベルナー...全文を読む


第55回

第3章

  クラリスが振り返ると、ロベールは小さな花束を持って後ろを歩いていた。「・・・行ってしまうんですか?」彼が訊ねた。「ええ」「どこへ?」 クラリスは、答えたくないように首を振った。「いつ、パリに戻ってくるんですか?」「パリには、二度と来ないかもしれません」クラリスが答えた。 ロベールの顔がくもった。「じゃ、もう二度と会えないかもしれないんですね!」「あなたって、変わった人ね。わたしたち、ついさっき会...全文を読む


第56回

第3章

  1894年の夏も、アレクサンドリーヌ=ド=ティエ=ゴーロワは、友人たちを自宅に招いた。 同期入学組では、アレクサンドリーヌを除く全員が卒業を決めていた。彼らが一堂に集まる機会は、もしかしたらもう二度とないかもしれない・・・アレクサンドリーヌは、そういって、皆を誘ったのである。 卒業した人たちのほとんどは、パリに行く予定でいた。リディア=ロランとエマニュエル=サンフルーリィは、秋に開校予定のメラン...全文を読む


第57回

第3章

  休憩に入り、クラリスはアレクサンドリーヌにさっきの少年のことを訊ねた。「・・・さあ、ヴィーヴのお友達じゃないのかしら?」アレクサンドリーヌは、その場に居合わせなかったので、即答を避けた。 アレクサンドリーヌの双子の姉ジュヌヴィエーヴの友人たちも、同じ時期にここへやってきていた。クラリスも、去年のメンバーにあの少年がいた記憶はなかった。もし、馬に乗れる少年がいたら、きっと覚えていたはずだ、とかの女...全文を読む


第58回

第3章

  練習が終わった後、クラリスとゴーティエは馬に乗りに出かけた。 ゴーティエは、ロベール=フランショームの話を聞き出すのが目的で乗馬に誘ったのであるが、なかなか聞き出しかねていた。一方、クラリスの方は、単に気分転換がしたかったのであった。思いがけないところでロベールに出会ったことで、かの女はかなり動揺していたのである。 こうして、二人とも黙ったまま馬を走らせていたのであった。 屋敷に戻る途中の生け垣...全文を読む

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