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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2009年06月  】 更新履歴 

  06.01.  【 第3章 】  第59回   さわりを読む▼
  06.02.  【 第4章 】  第60回   さわりを読む▼
  06.03.  【 第4章 】  第61回   さわりを読む▼
  06.04.  【 第4章 】  第62回   さわりを読む▼
  06.05.  【 第4章 】  第63回   さわりを読む▼
  06.06.  【 第4章 】  第64回   さわりを読む▼
  06.08.  【 第4章 】  第65回   さわりを読む▼
  06.09.  【 第4章 】  第66回   さわりを読む▼
  06.10.  【 第4章 】  第67回   さわりを読む▼
  06.11.  【 第4章 】  第68回   さわりを読む▼
  06.12.  【 第4章 】  第69回   さわりを読む▼
  06.13.  【 第4章 】  第70回   さわりを読む▼
  06.15.  【 第4章 】  第71回   さわりを読む▼
  06.16.  【 第4章 】  第72回   さわりを読む▼
  06.17.  【 第4章 】  第73回   さわりを読む▼
  06.18.  【 第4章 】  第74回   さわりを読む▼
  06.19.  【 第4章 】  第75回   さわりを読む▼
  06.20.  【 第4章 】  第76回   さわりを読む▼
  06.22.  【 第4章 】  第77回   さわりを読む▼
  06.23.  【 第5章 】  第78回   さわりを読む▼
  06.24.  【 第5章 】  第79回   さわりを読む▼
  06.25.  【 第5章 】  第80回   さわりを読む▼
  06.26.  【 第5章 】  第81回   さわりを読む▼
  06.27.  【 第5章 】  第82回   さわりを読む▼
  06.29.  【 第5章 】  第83回   さわりを読む▼
  06.30.  【 第5章 】  第84回   さわりを読む▼


第59回

第3章

 「でも、もし、わたしの過去がわかったとしましょう。たとえば・・・そうね、わたしは小さい頃両親を亡くしたザレスキー一族の孤児だったとしましょうか。そうしたら、あなたとの友情はこれでおしまいだわ。そのかわり、わたしは、強力な親類を持って、反対にフランショーム一族からは憎まれるという、ありがたくもない未来を手に入れることになるのね」クラリスが言った。 ロベールは黙ったままだった。「逆に、わたしは、エマニ...全文を読む


第60回

第4章

  翌日、クラリスは馬に乗ろうとして厩舎に向かった。そこには、エマニュエルが来ていた。「一緒にどこか散歩でもしない?」「ええ、よろこんで」クラリスは答えた。 かの女は、馬たちを眺めた。 そのとき、かの女はあの白い馬に気がついた。あの少年が乗っていた馬に間違いない、とかの女は思った。近くでよくよく見たのだが、芦毛と呼ぶにはあまりにも白い馬であった。首に札が下がっていて、<フォンテーヌブロー ローザンヌ...全文を読む


第61回

第4章

  落馬騒ぎのさなか、馬の持ち主である少年がやってきた。 クラリスは、涙を拭いて立ちあがり、少年に事情を説明し、謝罪した。「謝ることなんかありませんよ」少年が優しい口調で言った。「あの馬に殺されなくて、本当によかった」 クラリスは、びっくりしたように少年を見つめた。「ぼくの名前は、ルイ=フィリップ=ド=ルージュヴィルといいます。ヴィーヴ・・・ジュヌヴィエーヴ=ド=ティエ=ゴーロワの友人です」少年は丁...全文を読む


第62回

第4章

 「あなたは、ザレスキー一族ですね?」クラリスが少年に訊ねた。 ルイ=フィリップは、クラリスをじっと見つめ、穏やかな口調で答えた。「ええ、そうです。ぼくは<ザレスキー一族(パィンストフォ=ザレスツィ)>と呼ばれる一族の一人です」 クラリスはびっくりして訊ねた。「あなたは、ポーランド人なんですか?」「どうして、そんなことを?」少年は逆に訊ねかえした。「以前、わたしにザレスキー一族の話をしてくれたポーラン...全文を読む


第63回

第4章

 「かの女が、あなたにザレスキー一族の伝説を話したんですね?」「ええ」クラリスが答えた。「それに、あなたの亡くなったお姉さまのこともうかがいました」 少年は、ちょっと考えこんだ。「・・・ド=ルージュヴィル家では、女の子が誕生したとき、メダイを贈る習慣があります」ルイ=フィリップが言った。「姉も、そのメダイを持っていました。かの女の誕生日は、1875年3月5日でした。・・・母を含めて家族全員、あの火事...全文を読む


第64回

第4章

 「フランショーム一族には、こういう言い伝えがあるんですよ。『ザレスキー家の女性のブルーの目に気をつけろ。その目を見てしまうと、一生かの女を忘れることができなくなるから・・・』・・・フランショーム一族には、ザレスキー一族の女性に一目惚れしてしまって、その目の魔力のために一生独身を通した人が何人もいるんです。きっと、それは、あなたの目のように美しい目なんでしょうね」 クラリスは、ロベールに訊ねた。「あ...全文を読む


第65回

第4章

  その日の午後、クラリスはエマニュエル=サンフルーリィの部屋を訪ねた。朝、クラリスをかばって落馬した後、医師から『2日くらいは寝ていなさい』、と言われて練習を休んだことを聞かされたからである。 エマニュエルは、クラリスが部屋に入ってくるのを見て、ほほえみを浮かべた。「・・・大丈夫、心配いらないのに・・・」彼は、かの女が謝罪の言葉を口にしようとするのを制した。「わたし、あなたにお礼も言いませんでした...全文を読む


第66回

第4章

  しばらく沈黙が続いた後、クラリスが言った。「あなたは、誠実な人ですね。そして、公正な審判だわ」 エマニュエルは首を横に振った。「わたしは、公正な審判じゃありません。決してそうなることはないでしょう。だって、わたしは、あなたとロビーが別れることを望んでいますからね」「別れるべきかしら?」クラリスが訊ねた。「・・・いいえ、別れるべきなんでしょうね」 エマニュエルは静かに言った。「あなたには、それがで...全文を読む


第67回

第4章

  その翌日、クラリスはフランク氏とそのグループと朝食のテーブルを囲んでいた。 話題は、そこにいないある人物についてであった。 その人物とは、フランク氏の元の被保護者、現在この地に来ている即席オーケストラのコンサートマスターである。彼は、ウワディスワフ=スタニスワフスキーという名前であったが、そんなポーランド風の名前なのにもかかわらず国籍はフランス、という青年であった。彼がこの地にやってきたのは、フ...全文を読む


第68回

第4章

  一緒に座っていた女性を見て、クラリスは驚いた。「・・・まあ、ナターシャじゃないの!」 女性は、ナターリア=スクロヴァチェフスカであった。「なかなか、お似合いの二人だろう?」別のチェリストが言った。彼の名前はトマシ=ステファンスキーといった。「本当は、同じポーランド人同士、ぼくが口説いてみたかったんだけどね・・・」 クラリスは、心配そうにステファンスキーに訊ねた。「本当に、お似合いだと思う?」「ウ...全文を読む


第69回

第4章

  ルイ=フィリップ=ド=ルージュヴィルは、クラリスを突然パリに呼び出した。 クラリスは、彼からの電報に記されていた住所を訪ねて歩きながら、奇妙な感覚を味わっていた。 着いた先は、鉄条網で囲まれた空き地であった。かの女は、その荒れ果てた土地に立っていた一本の木を見つめた。その木には、不思議に見覚えがあった。 気がついてみると、かの女はその木の下に立っていた。「・・・何か、思い出したんでしょう?」ルイ...全文を読む


第70回

第4章

  そこまで話すと、ルイ=フィリップは、目に涙をためてクラリスを見つめた。「・・・ぼくは、知りたかったのです。あなたは、どうして自分の過去を知りたがらないのだろうか。どうして、ぼくたちを家族だと認めたくないのだろうか? もしかして、ロベール=フランショームのことが気がかりなのだろうか?・・・って」 クラリスの目にも涙がたまってきた。「違うわ。わたしは、恐かっただけ。思い出すことが・・・そして・・・そ...全文を読む


第71回

第4章

  案内された部屋には、一人の男性がいた。クラリスは、以前どこかで彼に会ったことがあるような気がしたが、どこで会ったのか思い出せなかった。 男性の方は、クラリスを懐かしそうに見つめていた。「・・・なんてステラにそっくりなんだろうか、あなたは!」彼は口を開いた。 ルイ=フィリップは、彼に言った。「ぼくの想像通り、間違いなくこのひとでした」そして、こう言った。「パパ、かの女が、マリー=クリスティアーヌ=...全文を読む


第72回

第4章

 「知り合いかね?」シャロンが訊ねた。 クラリスは、うなずいた。「この女性は、エリザベート・・・エリザベート=リルというお名前です」 女性とシャロンが同時にうなずいた。「わたしは、昔、このひとをリリ=リルと呼んでいました」クラリスが続けた。「・・・クラリスお嬢さま、生きていらっしゃったんですね!」女性は思わず涙ぐんだ。そして、シャロンの方を向いた。「わたしをリリ=リルと呼んだのは、昔お世話したクラリ...全文を読む


第73回

第4章

  フィルは、びっくりして父親を見つめた。「・・・やはり、そうだったんですね・・・」クラリスがつぶやくように言った。「やはり、って?」フィルが訊ねた。「初めてロベール=フランショームを見たとき、養父のポール=ド=ヴェルモンを思い出したの」クラリスが言った。「だから、もしかすると・・・と思ったの」 シャロンはうなずいた。「でも、どうして、そんなことに?」クラリスが訊ねた。「・・・詳しいことは、よくわか...全文を読む


第74回

第4章

  クラリスは、話題を変える必要性を感じた。「・・・1879年5月14日。あの日は、アントワーヌ=ド=ヴェルモンの9歳の誕生日でした」クラリスは話し始めた。「あの日、屋敷にはほとんど人がいませんでした。少し前から、少しずつ人が減っていたような気がしていたのですが・・・今思うと、ド=ヴェルモン氏は、心中する準備を始めていたんですね・・・彼は、できるだけ被害を最小限にしたかったに違いありません・・・。何...全文を読む


第75回

第4章

  クラリスは、ため息をついて、続けた。「・・・やがて、ド=ヴェルモン氏は、絶望的な表情でわたしのほうに向き直り、真剣な口調でこう言いました。『クラリス、おまえだけは逃げてくれ。おまえは、ド=ヴェルモン家の人間じゃない。おまえは、4年前、ソランジュが助けた子だ。わたしには、おまえが本当は誰なのかということはわからないが、おまえは自分が誰なのか証明するものを身につけていた。おまえは、ちいさなメダイを身...全文を読む


第76回

第4章

  クラリスとフィルはパリから馬車で戻ってきた。 二人は、自分たちで馬たちを厩舎に連れて行った。 まだ日中で、ほかの馬たちは放牧されていた。そして、さくごしにロベール=フランショームが馬たちを眺めていた。「・・・帰ってきたんですね、クラリス」ロベールが言った。「もう戻ってこないかもしれないと思っていました」 クラリスは首をかしげた。「・・・まあ、どうして?」 フィルは、白馬を厩舎に繋ぐと、黙ってその...全文を読む


第77回

第4章

 「わたしは、正しい愛なんか信じない。ただ、あなたに憎まれたくないだけ」クラリスが言った。「なぜ、あなたを憎まなくちゃならないの? あなたがとてもきれいなブルーの目をしているから? その目がザレスキー家のブルーの目に似ているから?」ロベールが言った。「わたしは、小さいときから憎しみを教えられて育ちました。ザレスキー一族を愛することは禁じられています。彼らは憎むべき存在だと思いこまされていました。それ...全文を読む


第78回

第5章

  シャンベリーに戻ったクラリスとフィルは、アレクサンドリーヌの家族とオーケストラのメンバーから歓迎を受けた。クラリスの本当の両親がわかったことは祝福されるべき出来事だったのであるが、フランショーム家の男性二人だけは複雑な思いでその報告を聞いたのである。 到着した晩、クラリスとフィルはフランショーム家の兄弟とテーブルを囲んでいた。「・・・わたしたちが姉弟だというのもなんか変な感じだけど、あなたたちが...全文を読む


第79回

第5章

 「音楽家ではないザレスキー一族の少年と、フランショーム家当主の息子は、どうして知り合ったのですか?」クラリスが訊ねた。「まさか、音楽がきっかけじゃないんでしょう?」「わたしたちは、リセの同級生でした」アルトゥールが答えた。「同級生って・・・あなたたちは、たしか3つ違いだったはずだわ」クラリスが言った。「フィルは天才なんですよ。リセでは一緒でしたが、どんどん置いて行かれてしまって・・・」 アレクサン...全文を読む


第80回

第5章

  翌日、オーケストラの全員が久しぶりにそろった。 クラリスは、全員に書き上げたばかりのパート譜を配った。最後に、指揮者のエマニュエルにスコアを渡した。 エマニュエルはスコアをさっと眺めた。そして、不思議そうに訊ねた。「・・・これで、全部ですか?」 クラリスは首を横に振った。「さすがね。あなたには、全部お見通しなのかしら?」 そして、クラリスは全員に向かって言った。「これから、オーケストラを二つに分...全文を読む


第81回

第5章

  ゴーティエは家の中に戻った。妹のジュヌヴィエーヴを探したのだが、かの女とその客人は、もう一人の妹のマルグリートの部屋に集まっていた。そこにアレクサンドリーヌもいた。 マルグリートは、双子の妹たちよりひとつ年上の17歳であった。ルイ=フィリップ=ド=ルージュヴィルと同じ年の生まれである。かの女は、生まれたときから体が弱く、学校に一度も通ったことはない。ずっと家庭教師について勉強していた。ジュヌヴィ...全文を読む


第82回

第5章

  その晩、クラリスは最終楽章のスコアを推敲していた。曲はほとんどできあがっていた。実際に音を出してみて最終チェックをすればいいだけという段階であった。そして、その作業が完成した後は、このオーケストラの編成に合わせた形に作り直せばいいだけだ、と思っていた。 クラリスは、ペンを置いた。外は、ほとんど明るくなりかかっていた。かの女はもう眠りたくなかった。カーテンを開けてわずかに残っている星を見ているとき...全文を読む


第83回

第5章

  アレクサンドリーヌ=ド=ティエ=ゴーロワが失踪してから5日後の朝のことであった。 その朝、クラリスは、できあがった交響曲をここで初演するための編曲とパート譜作成を終えた。親友が行方不明になって以来、何かに没頭していたかったのである。そして、一人きりで閉じこもっている理由がなくなったので、楽譜を抱えて部屋を出ようとしていた。 ドアを開けたところに、ルイ=フィリップがためらいがちな様子で立っていた。...全文を読む


第84回

第5章

  1894年8月25日土曜日。 この日、シャンベリーのド=ティエ=ゴーロワ家の庭で、クラリス=ド=ヴェルモン作曲<交響曲”愛”(サンフォニィ=ダムール)>の初演が行われた。聴衆はゴーティエとマルグリート兄妹のみで、演奏者の方が多いという異例のコンサートであった。 コンサートが終わった後のステージで、クラリスは、たった二人の聴衆に向かって挨拶した。「・・・この曲は、アレクサンドリーヌ=ド=ティエ=ゴーロ...全文を読む

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