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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2009年11月  】 更新履歴 

  11.02.  【 第11章 】  第191回   さわりを読む▼
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  11.21.  【 第12章 】  第208回   さわりを読む▼
  11.23.  【 第12章 】  第209回   さわりを読む▼
  11.24.  【 第12章 】  第210回   さわりを読む▼
  11.25.  【 第12章 】  第211回   さわりを読む▼
  11.26.  【 第12章 】  第212回   さわりを読む▼
  11.27.  【 第12章 】  第213回   さわりを読む▼
  11.28.  【 第12章 】  第214回   さわりを読む▼
  11.30.  【 第12章 】  第215回   さわりを読む▼


第191回

第11章

  クラリスはほほえんだ。「違うわ、エマニュエル。あなたは、何か誤解しているわ」 エマニュエルは首をかしげた。「わたしは、今日は、あなたに大事な話があってここに来てもらったの。彼の話をするためじゃないわ」クラリスが言った。「中に入ってちょうだい・・・」 エマニュエルは、中に入った。 テーブルの上に、父親の形見の懐中時計がのっているのに気づくと、彼はほほえんだ。「わたし、お願いがあるの。あなたのご両親...全文を読む


第192回

第11章

  クラリスとエマニュエルは、エマニュエルの故郷へ向かっていた。 彼の養父母は、シェルブールに住んでいた。彼の養父ジャン=サンフルーリィは、リセで数学の教師をしていた。養母ジャクリーヌは、その学校で物理を教えていた。エマニュエルは、そんな彼らに育てられたのにもかかわらず、音楽の道に進んだ。彼らは、一見音楽とは関係なさそうな職業についてはいたが、二人とも楽器の演奏ができた。一家は、音楽に囲まれている家...全文を読む


第193回

第11章

  それを聞いて、サンフルーリィ夫人が涙ぐんだ。「・・・ああ、ソフィーが生きていたら・・・」かの女は思わずそうつぶやいた。 エマニュエルは、サンフルーリィ夫人の足下にひざまずいた。「お願いです、母のことを教えて下さい。父のことを話して下さい。彼らは、どこにいるんですか?」 サンフルーリィ夫妻は顔を見合わせた。 ややあって、サンフルーリィ氏は妻に向かって小さくうなずいた。 サンフルーリィ夫人は、少しの...全文を読む


第194回

第11章

  そのとき、サンフルーリィ氏が初めて口を開いた。「きみは、もう気づいていると思うが、きみは、もうお兄さんに会っているんだよ・・・1894年の夏にね」 エマニュエルは首を横に振った。「そう、気づいていなかったの・・・」サンフルーリィ氏が小さなため息をついた。「ステファーヌ=ド=ティエは、マドレーヌ=ド=ゴーロワという女性と結婚した。彼の子どもたちは、それ以来ド=ティエ=ゴーロワを名乗っている。ステフ...全文を読む


第195回

第11章

  クラリスとエマニュエルは、シャンベリーに行くにあたって、ゴーティエ=ド=ティエ=ゴーロワに前もって真実を告げないことにした。ただ、クラリスは、あらかじめ手紙で訪問の許可を取っていた。 その日、シャンベリーの屋敷にいたのは、ゴーティエとマルグリート兄妹だけだった。マルグリートは、クラリスの訪問と聞いて、部屋から出てこようとしなかったので、ゴーティエ一人が応対することにしていた。 ゴーティエは、エマ...全文を読む


第196回

第11章

  クラリスは、ゴーティエとエマニュエルをかわるがわる見つめた。 似ている。本当によく似ている。目の色と髪の色が違うからわかりにくいが、こうしてみると、二人が兄弟だとよくわかった。今まで気づかなかったのが不思議なくらいだった。「あなたは、フィルとリネットと、どちらに対しても愛情を持っている。二人を許している、というよりは、二人とも愛している。どうして、そんな嘘をつくんです?」エマニュエルが再度言った...全文を読む


第197回

第11章

  クラリスは、二人の兄弟を黙ったまま見つめていた。 しかし、クラリスは、まったく別のことを考えていた。 それは、クラリスがゴーティエ・アレクサンドリーヌ兄妹と初めて会った日のことであった。 ヴィルフォール音楽院の入学試験のときの、ピアノのテスト会場の控え室でのことであった。 クラリスは、会場に一人きりできていた。知っている人もほかにいなかったので、自分が持ってきた楽譜に目を通すことに決めた。『・・...全文を読む


第198回

第11章

  クラリスは、そのとき、ゴーティエをアレクサンドリーヌの父親だと思っていた。 かの女には、両親がいなかった。フランソワーズ=ド=ラヴェルダンを母親と思って育ったが、父親代わりになる男性はいなかった。かの女は、ゴーティエの姿を見ていて、生まれて初めて、フランソワーズが誰かと結婚していればよかったのに・・・と思った。入学試験に、こうやって心配そうについてきてくれる存在が欲しいと思った。 二人は、クラリ...全文を読む


第199回

第11章

 「あれは、ヴィルフォール音楽院の入試の時で、ちょうどゴートの誕生日でした」クラリスが言った。 エマニュエルはうなずいた。日付を覚えていたのは、そういうわけだったのか。「わたし、ゴートとリネットが親子だと思ったのよ・・・」クラリスはそう言ってほほえんだ。「本当に仲がいい兄妹だったわ。まるで親子みたいに・・・。あなたとリネットは、ずっとそういう関係だった。あなたが、リネットを許せないなんて、ないはずだ...全文を読む


第200回

第11章

  ゴーティエは続けた。「かの女は、思い切った手段に出た。かの女は、自分から相手の男性を誘惑することにしたのだ。父も、少女が必死で自分を見つめている姿を見ているうちに、その少女の願いを叶えてもいいと思うようになった。言い換えれば、かの女を愛し始めたというわけだ。とうとう、父は、その・・・紳士的じゃないやりかたで、事実を先行させてしまったんだ・・・」 クラリスとエマニュエルは思わず顔を見合わせた。「・...全文を読む


第201回

第11章

  クラリスは、みなにお茶を準備するために部屋を出た。かの女は、兄弟二人きりにしてあげたいと思い、口実を探していた。この日、たまたま使用人が留守だったため、かの女は自分でお茶を入れようと思ったのである。クラリスは、14の時からこの屋敷に出入りしている。この家の中は、自分の家の次くらいよく知っていた。そして、ゴーティエの好みのお茶の入れ方まで知っていたのである。 二人きりになると、ゴーティエは真面目な...全文を読む


第202回

第11章

  クラリスとエマニュエルは、墓参りを終え、シャンベリーを後にした。彼らが向かった先は、フランソワーズ=ド=ラヴェルダンが住むブーローニュ=シュル=メールであった。 クラリスがフランソワーズと最後に会ったのは、約2年前、クラリスの父親であり、フランソワーズの初恋の男性だったルイ=フィリップ=ド=ルージュヴィルの葬式の時であった。それから2年経たないうちに、フランソワーズはもう一人の恋人も永遠に失った...全文を読む


第203回

第11章

  結婚式に参列するために集まったのは、エマニュエルの兄弟では、ゴーティエ=ド=ティエ=ゴーロワ、そして双子の妹たちとその配偶者たち。クラリスの兄弟は、アレクサンドルとルイ=フィリップの二人である。ルイ=フィリップの妻アレクサンドリーヌは、エマニュエルの妹でもある。 そして、二人にとっての育ての親たちである。 アレクサンドル=ド=ルージュヴィル=ド=サックスと名乗っているクラリスの兄アレックスも、す...全文を読む


第204回

第11章

  それから少しして、フランソワーズはクラリスの部屋に行った。 クラリスは、窓辺に立っていた。フランソワーズが入ってきたので、かの女は窓際から離れた。「・・・後悔しているの?」フランソワーズは単刀直入に訊ねた。 クラリスは首をかしげた。「・・・わかりません」かの女は正直に答えた。 フランソワーズは思わず苦笑した。そんなかの女が、自分が初めて愛した男の姿に重なって見えたのである。「・・・あなたって、や...全文を読む


第205回

第11章

  クラリスとエマニュエルは、結婚式の冒頭、祭壇に進む際に<花嫁の父>代わりのゴーティエに手を引かれて登場し、途中で新郎のエマニュエルと入れ替わり、新郎新婦がそろって祭壇に向かう・・・というシナリオを考えていた。 ゴーティエは、その話を聞かされたとき、ちょっとの間ためらった。 クラリスと一緒に祭壇に向かう・・・そんな日が来ることが、彼の夢だった。だが、今回自分が求められている役割は、新郎としてのもの...全文を読む


第206回

第12章

  クラリスとエマニュエルの結婚式が終わって、アレクサンドリーヌとジュヌヴィエーヴ、そしてその配偶者たちは同じ列車でスイスに向かっていた。行くときには別々にパリに向かった彼らだったが、帰りの列車は同じコンパルティマンを取った。ジュヌヴィエーヴは、妹のアレクサンドリーヌと話がしたいからといったが、実のところ、長い時間夫と二人きりになる勇気がなかったからであった。 クラリスたちは知らなかったが、ジュヌヴ...全文を読む


第207回

第12章

  その夏休みに、ルイ=フィリップは、屋敷で病気の女の子に出会った。彼と同じ年で、小さい頃から車椅子での生活をしていたその少女を見て、彼は同じように病弱だった母親のことを思い出した。彼は、同情から少女に近づいた。少女は、医者志望の彼の目から見ると、もう少し外に連れ出して体力をつけるべきだ・・・と思われた。しかし、かんじんのかの女が、外に出たがらなかった。彼はかの女の気分転換のために、かの女の部屋を何...全文を読む


第208回

第12章

  ルイ=フィリップは、青ざめたまま廊下を歩いていた。 向こうから、ジュヌヴィエーヴが歩いてきた。 彼は、思い詰めた表情のままふるえる声で言った。『・・・ヴィーヴ、ぼくは、見てしまったんだ・・・アルがほかの女性と抱き合っているのを・・・』 それは、ジュヌヴィエーヴではなく、妹のアレクサンドリーヌだった。かの女は、知らない男性が出し抜けに変なことを口走ったのを聞き、思わず一歩下がった。『ペグは、<かの...全文を読む


第209回

第12章

  通常、ジュヌヴィエーヴとアレクサンドリーヌを見分けることは難しかった。ゴーティエとマルグリート兄妹だけはかの女たちを見間違えることはなかったが、他人が判別するのは困難だった。しかし、ルイ=フィリップだけは、初めて会ったとき一度だけ間違えただけで、その後二人を間違えたことはない。うり二つのかの女たちだったが、二人の性格はほとんど正反対に近かった。ほほえみ方一つさえ、二人は違っていた。そのわずかな違...全文を読む


第210回

第12章

  ルイ=フィリップは、ジュヌヴィエーヴの表情を見ているうちに、気づいたのである。 ジュヌヴィエーヴは、アルトゥールとエミリーのことを知っている。少なくても、何かありそうだと思っているはずだ。かの女は、知らないふりをしているだけだ。アルトゥールはそれに気づいていない。 では、なぜ、知らないふりをしているのだろう・・・? アルトゥールを問いつめるには、プライドが許さないからなのだろうか? それとも、別...全文を読む


第211回

第12章

 『優越感・・・?』ルイ=フィリップは、意外な言葉に戸惑った。『そうよ。エミリーとアルトゥールさんは、いくら愛し合っても、決して結婚することはできない。かの女に夫がいるからよ。でも、ヴィーヴは、いつでも、好きな人と結婚することができる。だから、ヴィーヴは焦っていないのよ。ことわざにも言うでしょ。<熟れた実は、かならず落ちてくるものだ>って』 ルイ=フィリップは、その言葉に驚いた。『エミリーには勝ち目...全文を読む


第212回

第12章

  5人の不思議な関係は、1894年の夏、突然変化した。 その夏も、ジュヌヴィエーヴは、友人たちとシャンベリーにいた。 その夏がそれまでと違っていたのは、兄のゴーティエがアレクサンドリーヌの親友のクラリス=ド=ヴェルモンの卒業祝いと称して、臨時のオーケストラを結成したことだった。日中は、屋敷中がオーケストラに振り回されていたこともあり、ジュヌヴィエーヴとアルトゥールは、比較的邪魔されずに二人きりでい...全文を読む


第213回

第12章

  そのとき、ルイ=フィリップはやけになっていたといえた。自分が何を考えているのか、よくわからなくなっていたのである。自分が失恋した苦しみ、そのかの女と結婚することになったアルトゥールの態度が今ひとつはっきりしないことへの怒り、そして、今目の前から去っていった少女のこと・・・。 アルトゥールは、暗に『かの女を追いかけろ』と言った。そうすれば、少なくても一人の少女だけは幸せになれる。しかし、ルイ=フィ...全文を読む


第214回

第12章

  ルイ=フィリップも、小さなため息をついた。『女性って、単純な恋ができない人種なの?』 ジュヌヴィエーヴはほほえんだ。『あら、問題を複雑にしたのは、殿方たちじゃないの・・・?』 彼はまだ硬い表情をくずしていなかった。『あなたが、キーパーソンだったのよ』かの女が言った。『あなたさえ、態度をはっきりしていれば、物事はこんなに複雑にならなかったのかも知れない』 ルイ=フィリップは悲しそうだった。彼は首を...全文を読む


第215回

第12章

  結局、ルイ=フィリップはアレクサンドリーヌを選んだ。 彼は、クラリスの結婚式でゴーティエ=ド=ティエ=ゴーロワと再会したが、ゴーティエは彼らと決して目を合わせようとさえしなかった。挨拶どころか、一言も口をきかなかった。ゴーティエとルイ=フィリップはそうすることをあらかじめ決めていたのであるが、ゴーティエはその事実を、ついにクラリスにさえ打ち明けなかったのである。そこまでして、ゴーティエはルイ=フ...全文を読む

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