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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2010年01月  】 更新履歴 

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  01.26.  【 第14章 】  第262回   さわりを読む▼
  01.27.  【 第14章 】  第263回   さわりを読む▼
  01.28.  【 第14章 】  第264回   さわりを読む▼
  01.29.  【 第14章 】  第265回   さわりを読む▼
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第243回

第13章

  1902年7月8日の朝、事件は起きた。 アレクサンドリーヌは、ゆりかごの赤ん坊を見て、異変に気づいた。 うつぶせになって寝ている子どもが身動き一つしない。 アレクサンドリーヌは、おそるおそるゆりかごをのぞき込み、真っ青になった。かの女は、力任せに呼び鈴を鳴らし、子どもに人工呼吸処置を行った。 あわててかけてきたルイ=フィリップは、動揺している妻と交代し、人工呼吸を続けた。 手遅れだった。子どもは...全文を読む


第244回

第13章

  ルイ=フィリップが口をはさんだ。「リネット、やめるんだ」 アレクサンドリーヌは下を向いた。「・・・リネットの気持ちはわかるわ・・・」クラリスが言った。自分の子どもを亡くしたばかりで、動揺しているのだ、とクラリスは思った。「いいえ、あなたにはわからない・・・」アレクサンドリーヌは泣き崩れた。 クラリスは驚いてアレクサンドリーヌを見つめた。「きみにだけは話しておこうと思うんだけど・・・実は、リネット...全文を読む


第245回

第13章

  ユーフラジー=ド=サン=メランは、ローザンヌのド=ルージュヴィル家の墓地に埋葬された。 事情を知らない人たちは、クラリスのこの決定を意外に思ったのであるが、クラリスは<ド=ルージュヴィル家のメダイ>を持つ娘だから・・・という一言で周囲を納得させたのである。 本当は、ルイ=フィリップの娘として、ここで眠ってもらいたい・・・というのが理由だったのであるが。 しばらくして、クラリスは、一人で旅に出たい...全文を読む


第246回

第14章

  クラリスが最初に選んだ訪問先は、ヴィルフォール音楽院であった。しかし、かの女は、音楽院と寮を遠くから眺めるだけにした。そして、あの湖を見に行ったのである。 ここで、クラウス=レヴィンと会った。エマニュエル=サンフルーリィと散歩した。あの頃から、まだ10年になっていないのである。 卒業以来約8年。 クラウス=レヴィンは、パリで作曲の勉強を続けているという噂を聞いたことがある。そういえば、ローマ大賞...全文を読む


第247回

第14章

  クラリスは思わず苦笑した。「悪いのはマーニュだし、彼もそれをよく知っている。でもね、人間にはプライドというものがあってね---それが、人類最大の欠点だと思うんだけどね---なかなか人に謝るのが難しいのさ」ゴーティエが言った。「本当に仲直りがしたいなら、どちらかが先にプライドを捨てるべきなんだ。それは、どのくらい仲直りがしたいかという意思表示にもなる。謝ってもらいたい方も、本当に謝って欲しいと思うなら、...全文を読む


第248回

第14章

  クラリスは、次にテオドール=フランクを訪ねてグルノーブルへ向かった。かの女は、フランク夫妻に会いたかったが、同居人ヴェルネ夫妻に会うことも楽しみにしていた。彼らに会うのは、6年ぶりのことであった。 クラリスは、結局グルノーブルに三ヶ月滞在した。フランク夫妻の家にではなく、ホテルに滞在していたのであるが、フランク氏のところに通い、話をしたりアンサンブルをしたりして日々を過ごした。 12月になり、ク...全文を読む


第249回

第14章

  スタニスワフスカ夫人は、さびしそうにこう言った。「ウワデクには、この子しかいなかったんでしょうね。やっと生まれた子だったから、とてもかわいがっていたの。この子をフランク先生にみせるんだ、ってはりきってワルシャワから出てきたのよ。ナターリアは反対したそうですけど、今となっては、かの女の方が正しかったのかも知れませんわね」「かの女には、悪いことが起こる前に、何か悪い予感を感じたのだそうです」クラリス...全文を読む


第250回

第14章

  クラリスとエマニュエルは、ローザンヌに向かった。本来なら、二人はオート=サン=ミシェルに戻るべきだったのだが、12月16日のアレクサンドリーヌの誕生日を一緒に迎える約束をしていたからである。アレクサンドリーヌは、エマニュエルにとっても母親が違う妹であった。 ルイ=フィリップとアレクサンドリーヌは、エマニュエルの姿を見て驚いた。彼らが仲直りしたという話を聞かされていなかったからである。「お久しぶり...全文を読む


第251回

第14章

  アレクサンドリーヌは、クラリスを窓際のゆりかごのところまで連れて行った。 シャルロットはおとなしく本を眺めていた。かの女は、人が近づいたことにも興味を示さず、本を<読んで>いた。クラリスは、6ヶ月にならない子どもが<本を読む>はずがないと思ったが、子どもの動作は、本を読んでいるようにしか見えなかったのである。 ルイ=フィリップがそばに寄ってきた。「この子、プティ=ラルース百科事典を見ていれば機嫌...全文を読む


第252回

第14章

  1902年12月16日、アレクサンドリーヌとジュヌヴィエーヴはそろって24回目の誕生日を迎えた。 夕方から少人数でのパーティが開かれた。参加者のほとんどが、かの女たちの友人だったので、医者や研究者の卵たちが中心のパーティとなった。この中の何人かは、来年、ミュラーユリュードの研究所に一緒に行くことになっていた。クラリスとエマニュエルは、彼らとつきあいがなかったため、共通の話題がないと思い、バックで...全文を読む


第253回

第14章

  エマニュエルとクラリスは演奏を一時中断して、グラスの置かれたテーブルに近づいていた。 彼は、真っ青になって立っていたジュヌヴィエーヴを見て驚いた。「リネット、顔色が悪いですね」エマニュエルが言った。「あら、わたし、ぐあいなんて、ちっとも・・・」そう言いながら、ジュヌヴィエーヴはよろめいた。 エマニュエルは、かの女が倒れ込んだのを抱き起こしながら、一番近くにいたルイ=フィリップを呼び止めた。「フィ...全文を読む


第254回

第14章

  彼らは、テーブルの下から一枚の紙を拾って、ルイ=フィリップにみせた。「<アレクサンドルを誘拐したのも、今日のパーティをねらったのも、わたしです。次は、シャルロットの番です。M.T.G.>」ルイ=フィリップは読み上げた。そして、真っ青になってその紙を警官に返した。「・・・心当たりがあるんですね?」「いいえ」ルイ=フィリップが答えた。そのイニシアルには、心当たりは一つしかない。しかし、かの女は、今、この場...全文を読む


第255回

第14章

  アレクサンドリーヌの葬儀は、彼らが結婚式を行ったその教会で行われた。 それは、さびしい葬式であった。 かの女にとって救いだったのは、その葬式にゴーティエ=ド=ティエ=ゴーロワの姿があったことである。 ゴーティエには事情は知らされていなかった。 彼は、ルイ=フィリップに深々と頭を下げた。「許して欲しい。こんなことになる前に、一度話がしたかった・・・」ゴーティエは泣いていた。アレクサンドリーヌは、彼...全文を読む


第256回

第14章

  その街は、ルイ=フィリップにとっては大きな意味がある地であった。 彼の母親は、最初の子どもを不幸な火災で亡くした(実際は、そう思いこんでいただけだったが)後、父親に連れられてこの地にやってきた。彼らの二番目の子どもであるルイ=フィリップはここで誕生し、母親が死ぬまでの間ここで暮らした。 彼は、自分の妻を失ったとき、この地を思い出したのである。 ミュラーユリュードに新居ができるまで、ここで暮らした...全文を読む


第257回

第14章

  やがて、アンブロワーズは顔を上げた。彼は、真剣な顔をしていた。そして、『お願いです、取り次いで下さい』と言おうとしてルイ=フィリップの方を向いた。彼は、ルイ=フィリップの優しい目を見て、言葉を失った。その目は、すべてを受け入れる覚悟ができている強い人間だけが持つ本当の優しさに満ちていた。彼は、黙ったままその目を見つめていた。なぜか、彼は幸せな気分に満たされていた。「・・・困った子だね、きみは・・...全文を読む


第258回

第14章

  1903年6月、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーと名乗っているルイ=フィリップは、家族を連れてミュラーユリュードの新居にうつった。 彼は、ローザンヌ時代からの使用人を厳選していた。特に口が堅い人物だけに絞ったのである。 彼の本名を知っているのは、シャルロットの乳母フェリシアーヌ=ブーレーズ、長年執事を務めていたシュミット家の人たちだけであった。その他で言えば、いとこのマドレーヌ=フェランと...全文を読む


第259回

第14章

  その一方で、ドクトゥールは、オーギュスティーヌには破格の扱いをしていた。 彼は、かの女に作曲の教師をつけた。その教師は、サント=ヴェロニック校で作曲を教えているアルマン=リヴィエールであった。リヴィエールは、サント=ヴェロニック教会の正オルガニストでもあり、なかなか気むずかしい人物として有名だったが、もともとメランベルジェの弟子であり、クラリスのたっての頼みということもあり、少女を受け入れたので...全文を読む


第260回

第14章

  1903年のクリスマスが近づいてきた。 オーギュスティーヌは、ミュラーユリュードでの最初のクリスマスの企画として、子どもたちだけでクリスマスの劇を上演する計画を立てていた。もちろん、6歳のオーギュスティーヌだけではその計画は実現しない。かの女は、ロジェを頼ったのである。文章を書くのが好きなロジェが台本を書き、オーギュスティーヌが音楽を作った。 オーギュスティーヌは、小さな子どもたちを集め、楽譜の...全文を読む


第261回

第14章

  1904年のバラのシーズンがやってきた。 ミュラーユリュードの人たちは、昔からバラを愛してきた。 ミュラーユリュード生まれの庭師は、ドクトゥールに雇われ、好きなようにしていいといわれたとたん、広い庭中バラでいっぱいにしてしまった。そして、家を蔦で飾った。 あれから一年経って、屋敷は蔦で覆われ、庭はバラ園のようになった。町の人たちは、いつの間にかこの家を<きづたの家>と呼ぶようになっていた。 庭師...全文を読む


第262回

第14章

  トマは、9人を立たせると、例のバラのところに案内した。「これがそうです。この花だけが、庭中でただ一つ、つぼみを持っているのです」 シャルロットは、トマにほほえみかけた。「本当に、きれいな花なのね、ムッシュー=ルヴォー・・・」 トマも嬉しそうにほほえみかえした。 そこへ、研究所からドクトゥールがこちらに向かってやってきた。 トマの注意がそちらにそれたので、子どもたちはその場から離れた。彼らは、話が...全文を読む


第263回

第14章

  シャルロットは、黄色のバラを手に入れたのがうれしかった。 かの女は、バラを見せるために、コルネリウスのピアノ練習室にまっすぐ駆け込んだ。ところが、かの女は、彼の弾いている曲を聞くと、部屋に来た用事を忘れてしまった。「やあ、元気?」コルネリウスが訊ねた。「まあ、さっき会ったばかりじゃない、ドンニィ?」シャルロットは笑いながら言った。バラは、かの女の足下に落ちた。 コルネリウスは、自分が練習している...全文を読む


第264回

第14章

  トマは、バラの前で何か怒鳴り散らしているところであった。コルネリウスは、その声を聞き、彼を避けて通ろうとしたのだが、運悪く見つかってしまった。「コルネリウスぼっちゃま、聞いて下さい! だれかが、このバラをむしり取ったんです!」トマは興奮していた。「いえ、あなたが犯人だとは申しておりません。あなたは、ずっとピアノを練習しておいででしたからね。でも、ひどいと思いませんか? 犯人は、バラをもぎ取ったん...全文を読む


第265回

第14章

  コルネリウスは、シャルロットに言った。「あさって---6月28日---隣町のクラリスおばさまを訪ねることになっている。ロベールおじさまが、<コリーヌ=コンソナンス>のクラリス=ド=ヴェルモンの家に行くんだけど、きみもついておいで、って言ったの」 シャルロットは、はっきりしない反応を示した。「一緒に行かない?」「・・・ペール=トニィが行くなって。あそこは、<恐い家>なんですって」「なぜだろう。それに、ど...全文を読む


第266回

第14章

  シャルロットは、一人になると、コンソナンス通りを北西に向かう計画を立て直そうとした。しかし、一人ではどうしようもないという結論を出さざるを得なかった。自分の不在を誰にも気づかれてはいけないし、第一、どうやってあんな遠いところに行けるというのだ? 翌日は、シャルロットの2歳の誕生日であった。朝から快晴のいいお天気であった。 シャルロットは、食事の後でオーギュスティーヌに誘われてかの女の部屋に行った...全文を読む

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