FC2ブログ

年代記 ~ブログ小説~ 

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので
久しぶりのご訪問の方は、こちらで未読・既読のご確認ができます

【  2010年03月  】 更新履歴 

  03.01.  【 第16章 】  第291回   さわりを読む▼
  03.02.  【 第16章 】  第292回   さわりを読む▼
  03.03.  【 第16章 】  第293回   さわりを読む▼
  03.04.  【 第16章 】  第294回   さわりを読む▼
  03.05.  【 第16章 】  第295回   さわりを読む▼
  03.06.  【 第16章 】  第296回   さわりを読む▼
  03.08.  【 第16章 】  第297回   さわりを読む▼
  03.09.  【 第16章 】  第298回   さわりを読む▼
  03.10.  【 第16章 】  第299回   さわりを読む▼
  03.11.  【 第16章 】  第300回   さわりを読む▼
  03.12.  【 第16章 】  第301回   さわりを読む▼
  03.13.  【 第17章 】  第302回   さわりを読む▼
  03.15.  【 第17章 】  第303回   さわりを読む▼
  03.16.  【 第17章 】  第304回   さわりを読む▼
  03.17.  【 第17章 】  第305回   さわりを読む▼
  03.18.  【 第17章 】  第306回   さわりを読む▼
  03.19.  【 第17章 】  第307回   さわりを読む▼
  03.20.  【 第17章 】  第308回   さわりを読む▼
  03.22.  【 第17章 】  第309回   さわりを読む▼
  03.23.  【 第17章 】  第310回   さわりを読む▼
  03.24.  【 第17章 】  第311回   さわりを読む▼
  03.25.  【 第17章 】  第312回   さわりを読む▼
  03.26.  【 第17章 】  第313回   さわりを読む▼
  03.27.  【 第17章 】  第314回   さわりを読む▼
  03.29.  【 第17章 】  第315回   さわりを読む▼
  03.30.  【 第17章 】  第316回   さわりを読む▼
  03.31.  【 第17章 】  第317回   さわりを読む▼


第291回

第16章

  1906年の入学試験は、6月14日に始まった。 第一次試験は筆記試験だった。この学校のユニークなところは、筆記試験、演奏試験の上位20名は必ず合格できることだった。そして、こののべ40名以外の受験生は、二度の試験の総合点で合格が決まることになっていた。 筆記試験が終わって一週間後、第一次試験の上位20名が発表になった。その名簿を見て、研究所の人たちが喜んだのは言うまでもないことであった。なぜなら...全文を読む


第292回

第16章

  ドクトゥールは反対の方向を向いた。研究所の人たちは、すでに帰りかけていた。アンブロワーズ=ダルベールがドクトゥールに向かって手を振った。コルネリウスとシャルロットは、すでにアンブロワーズの方に歩き出していた。ドクトゥールも、彼らに追いつこうとして走り出した。そのとき、彼は一人の少年にぶつかった。「・・・ごめんね、急いでいたものだから・・・」ドクトゥールは少年に謝った。 少年はほほえんだ。「いいえ...全文を読む


第293回

第16章

  二人は、声がする方を向いた。人だかりの方からシャルロットとフランソワーズが手をつないでこちらに向かって歩いてくるところだった。 ドクトゥールはかの女たちを見つめ、こう言った。「・・・父に、この風景を見せてあげたかったなあ・・・」 アレクサンドルははっとした。もし、プランス=シャロンが、孫娘たちを見たら、さぞほこりに思ったことだろう。一人は、自分の初恋の人そっくりな子ども、もう一人は、自分の妻に似...全文を読む


第294回

第16章

  1906年12月16日、この日は例によって研究所が休みの日であった。 ドクトゥールはオーギュスティーヌとシャルロットだけを連れて、アレクサンドリーヌの命日のミサに出かけた。彼は、このころにはコルネリウスたちを連れて行くのをやめていた。アルトゥールさえ出かけなくなっていた。ただ、マドレーヌ=フェランは同行した。かの女は、現在はドクトゥールの秘書的役割を果たしていた。ドクトゥールが出かけるところには...全文を読む


第295回

第16章

 「でも、どうして? リネットは死んだんだよ・・・」「本当にそう思っているの? 確か、リネットには、左足と背中に大きな傷があったはずだよね? 死体に傷はあったのかい?」「・・・確認していないけど・・・」言いかけてドクトゥールははっとした。「・・・アル、どうしてリネットの傷の場所を知っているの?」 ドクトゥールはアルトゥールの表情を見た。「・・・きみ・・・まさか・・・?」ドクトゥールは、かすれた声で言...全文を読む


第296回

第16章

  彼らが帰った後で、ロジェ=ド=ヴェルクルーズが訊ねた。「ドクトゥール=マルロー、どうして例の毒物の話をなさらなかったのですか?」「そういうきみこそ、どうして言わなかったのかね?」マルローが逆に訊ねた。「ぼくは・・・」「じゃ訊ねるが、きみはドクトゥールを疑っているのかね、ロジェ?」マルローが重ねて訊ねた。「ドクトゥールは、そんな人じゃない!」叫んだのはコルネリウスだった。「ぼくが二人を見たとき、二...全文を読む


第297回

第16章

  アルトゥールの葬式は、サン=ナゼールで行われることになった。母親のジョルジェットが、彼を父親のシャルルの隣に葬りたいと希望したからだった。 彼の遺族は、母親のジョルジェット=フランショーム、父親が違う兄のエクトールとロベール、そしてエクトールの双子の息子たち、彼自身の3人の息子たちで全部だった。彼の妻の親戚たちは、エミリー=ド=マルティーヌの葬儀のために出席できなかったので、妻の義弟であったドク...全文を読む


第298回

第16章

  ドクトゥールは、ジョルジェットに向かって爆弾発言をする決意をした。「・・・実は、ミューは、男の子なんです」「まさか!」ジョルジェットは、それを聞かされてはいなかった。かの女は、ショックを受けた。「本当なんです。いろいろとわけがあって、女の子として育ててきたのですが・・・」 ジョルジェットは口もきけないほど驚いていた。「彼は、オーギュスト=ド=マルティーヌという名前です。正式に、ド=ヴェルクルーズ...全文を読む


第299回

第16章

  二人は海岸にやってきていた。 やがて、ドクトゥールは重い口を開いた。「ここは、アルが小さいとき暮らしていた場所だ。彼は、海が見えるところがとても好きだった・・・」「彼は、ミュラーユリュードが好きだったんです。ぼくもそうです」コルネリウスが遮った。 ドクトゥールは小さなため息をついた。「プティ=ドンニィ、アルはいつでも強い男にあこがれていた。本当に強い男というのは、自分の感情のままに動く人じゃない...全文を読む


第300回

第16章

  ロベールも悲しそうな目をしてコルネリウスに向き直った。「フランショーム一族には、こんな言い伝えがある。『ザレスキー一族のブルーの瞳に気をつけろ。その目を見てしまうと、一生その人を忘れることができなくなるから・・・』・・・フランショーム家には、その目にひかれて・・・つまり、ザレスキー家の人を愛してしまったばかりに、一生結婚できなかった男たちがいる。わたしも、その一人だ」 コルネリウスははっとしてロ...全文を読む


第301回

第16章

  ロベールはドクトゥールと向き合った。「大変な決心でしたね」「いや、決めるのはユーフラジーだ。かの女がドンニィを好きになるかどうかはわからないからね」「ドクトゥール、あなたは、ユーフラジーがコルネリウスに夢中なのを知らないんですか?」「4歳の女の子の好みなんて、あてになるものですか」ドクトゥールは笑いながら言った。「・・・もし、ですよ、二人が将来結婚したいといっても、わたしは反対しませんよ。死んだ...全文を読む


第302回

第17章

  クラリス=ド=ヴェルモン=ピアノ=コンクールの準備は、ほとんど最終段階に入っていた。 実行委員長は、クラリスの兄のアレクサンドル=ド=ルージュヴィル=ド=サックス。 審査員は、クラリスの肉親と友人たちで占められた。まず夫で指揮者のエマニュエル=サンフルーリィ。作曲家のフランソワーズ=ド=ラヴェルダン。ピアニストのマリア=ピアニーナ=ザレスカ。友人として名を連ねたのは、ピアニストのロベール=フラン...全文を読む


第303回

第17章

  そこに立っていたのは、コルネリウスにそっくりな少年だった。かの女は思わずほほえみそうになったが、その赤毛の少年は、よく見るとコルネリウスより年上に見えた。かの女は怒ったような表情をして少年に言った。「まあ、あなただってまだ子どもじゃないの。音楽の邪魔をする人って、最低ね。今すぐ出て行って」 少年はすまなそうな顔をした。「ごめんね。部屋を間違えたんだ。今すぐに出て行くよ。でも、もしかして・・・きみ...全文を読む


第304回

第17章

  3月4日、結果が発表になった。1位がシャルロット、2位がオスカールという順位だった。人々は、<ザレスキー=フランショーム戦争>の結果、今回はザレスキー家が勝った、というニュアンスで結果を受け取った。 本選の出場メンバーが発表になった日、人々は、今回のコンクールの優勝候補が、ザレスキー家の少女とフランショーム家の少年だということを知った。<ザレスキー=フランショーム戦争>が見られるということで、コ...全文を読む


第305回

第17章

  コンクールが終了した直後、シャルロットにコンサートの依頼が来た。クラリス=ド=ヴェルモン=コンクールの審査員長だったアレクサンドル=クールゾン(ロベール=フランショームのピアノの師)が、娘のドリーのフランスでのデビュー=リサイタルの時、1曲でいいから<友情出演>して欲しい、と言ってきたのである。エマニュエル=サンフルーリィに頭を下げられると、ドクトゥールは断わる理由を探すことはできなかった。シャ...全文を読む


第306回

第17章

  その場にいた全員が、ドクトゥール=テニスンとロベールの会話の内容がわかっていた。というのは、研究所にはフランス人とイギリス人がいたので、彼らはフランス語も英語もどちらも使えるようになっていたのである。彼らは、自分が得意な言葉で話した。いつのまにか、研究所では、クリストファー=テニスンが英語で質問し、アンブロワーズ=ダルベールがフランス語で答える・・・というような情景が当たり前のことのようになって...全文を読む


第307回

第17章

  シャルロットの病状は悪化した。 コンサートで演奏するのは無理と判断したドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、エマニュエル=サンフルーリィとロベール=フランショームに連れられて、パリに向かった。 彼らは、楽屋で、アレクサンドル=クールゾンと娘のドリーに会った。そして、事情を説明し、謝罪したのである。インフルエンザでキャンセルの連絡はすでにしていて、当日代役として演奏する少女もすでに決まっていた...全文を読む


第308回

第17章

  コルネリウスは、翌日の新聞でコンサートでの事件を知った。しかし、彼にはその重大性がわかっていなかった。言い換えれば、ねらわれたのがシャルロットだと気づいていなかったのである。 むしろ、彼を驚かせたのは、後ろの方に乗っていた小さい記事だった。ある文芸コンクールの小説部門で、2位を取った人物の名前に心当たりがあったのである。《ガルディアン=ド=マルティーヌ》・・・。これは、兄のロジェが好んで使ってい...全文を読む


第309回

第17章

 「3年前の夏、あのステージの上で、結婚式ごっこをしたよね。覚えてる? そのときから---かの女がレースのカーテンをかぶってヴェールのかわりにして、手には庭に咲いたばかりの白いバラを持って、ぼくの隣に立ったときから---あのちいさな花嫁をぼくはずっと愛してきた」ドニが言った。「それは・・・。だって、ロッティは、あのときまだ1歳だったじゃないか・・・」「・・・そんなことは、関係ないんじゃないの?」そう言うと...全文を読む


第310回

第17章

  コルネリウスはしばらく黙っていた。やがて、彼は静かな口調でこう言った。「どうしてぼくが泣かないのか教えてあげるよ、ロッティ。パパは、ぼくに強くなれと口癖のように言っていた。強い子は決して泣かない。泣くのは、自分の負けを認めることなんだ、ってね。ぼくはね、泣きたくなっても、いつも、泣くまいとして我慢するんだ。そして、いつも、自分は強いんだって思いこもうとしている。でも、ぼくは・・・ほかのことは我慢...全文を読む


第311回

第17章

  翌日、シャルロットが起きると、枕元にコルネリウスがいた。「ドンニィ、来てくれたのね」「今日は、ドクトゥールに頼まれてここにいる。だから、絶対に追い出されることがないよ。ただし、お昼の間だけという条件だったから、もし、きみが目を覚まさなかったら、話ができなかったはずだった」「今、何時?」「12時45分。あと15分でドクトゥールが戻ってくるよ」「じゃ、あなた、お昼はまだなの?」「まだだよ」「おなか、...全文を読む


第312回

第17章

 「真面目な話だよ、ロッティ」コルネリウスはむっとして言った。「どうしてそんなことを考えたの? わかったわ、ムッシュー=フランショームね?」「ロベールおじさまが嫌いなんだね?」「いいえ、嫌いじゃないわ」「じゃ、ぼくは?」「もちろん、嫌いじゃないわ」「じゃ、好きなの?」「もちろん、大好きよ」「じゃ、いつか結婚してくれない?」 シャルロットの顔がくもった。「約束できないわ、ドンニィ」「どうしてさ?」コル...全文を読む


第313回

第17章

  病気がよくなると、シャルロットはまた勉強を始めた。ドクトゥールは、子どもたちを外に出す目的で、二人に馬をプレゼントした。シャルロットにはミートという名のポニーを、コルネリウスにはクレールヴァルという名のサラブレッドを買ったのである。 これまで、研究所にも、一頭、馬がいることはいた。白馬フォンテーヌブローの孫にあたる、リユーブランという芦毛の6歳馬だった。このリユーブランにも、祖父と同じ欠点があっ...全文を読む


第314回

第17章

  コルネリウスは、シャルロットが泣き出したので、はっとわれに返った。彼は、手綱を取り戻して右手で握りしめ、左手でふるえて泣きじゃくっているシャルロットを抱きしめた。シャルロットは、馬のたてがみではなく、彼にしっかりつかまった。こうして、二人はしばらく馬の言うなりになっていた。リユーブランは、疲れるまで走ると、満足して足を止めた。 そこへアランが駆けつけた。アランは、二人の子どもたちを馬から下ろし、...全文を読む


第315回

第17章

  オート=サン=ミシェルの<クラリス=ド=ヴェルモン=メモリアル=ホール>では、毎月5日に、小規模のコンサートを開いていた。 7月5日は、アレクサンドル=クールゾンの企画で、3人の子どもたちがステージに上がることになっていた。うち一人は、彼自身の娘のドリーであった。そして、彼の友人の画家フェリシアン=ペリゴールとソプラノ歌手プリシラ=リッチャレッリの間の一人娘シルヴィー=ペリゴールが留学先のロンド...全文を読む


第316回

第17章

  コンサートの翌日、シャルロットとコルネリウスは、ドニを部屋に呼んだ。3人が一緒にいれば、誰がピアノを弾いているか、ドアを開けなければわからないだろう・・・とシャルロットが考えたのだった。 ドニがピアノを弾いているとき、コルネリウスが訊ねた。「ねえ、ロッティ、きみはピアニストになるの?」「たぶん、ならないわ。わたしね、小説家になりたいの」 コルネリウスは驚いた。「小説家だって? じゃ、ロジェと一緒...全文を読む


第317回

第17章

 「きみも知っているとおり、わたしたちは、命をねらわれている。わたしには、そんなに時間はないのかも知れないんだ。急いで結論を出す必要なんかないのかも知れない。でも、わたしの考えは、きみに話しておきたかった。わたしの遺言と思ってもらってもいい」 <遺言>という言葉に、アレクサンドルははっとした。 「もしも、わたしとシュリーに何かあったら・・・」ドクトゥールは言葉をつまらせた。「ド=ルージュヴィル家には、...全文を読む

 更新履歴カレンダー