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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2010年06月  】 更新履歴 

  06.01.  【 第20章 】  第370回   さわりを読む▼
  06.02.  【 第20章 】  第371回   さわりを読む▼
  06.03.  【 第20章 】  第372回   さわりを読む▼
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  06.22.  【 第21章 】  第388回   さわりを読む▼
  06.23.  【 第21章 】  第389回   さわりを読む▼
  06.24.  【 第21章 】  第390回   さわりを読む▼
  06.25.  【 第21章 】  第391回   さわりを読む▼
  06.26.  【 第21章 】  第392回   さわりを読む▼
  06.28.  【 第21章 】  第393回   さわりを読む▼
  06.29.  【 第22章 】  第394回   さわりを読む▼
  06.30.  【 第22章 】  第395回   さわりを読む▼


第370回

第20章

  シャルロットはバラ園の奥の方へ歩き出した。ユリアンスキーは、フリーデリックからシャルロットに目を移した。そして、彼はシャルロットの後を追いかけ始めた。 その場はフリーデリックとスタニスワフだけになった。「ピアノトリオができたとき、きみは12歳だったよね。きみは悩まなかったの、音楽の道を選ぶときに?」「スターシ、ぼくには音楽以外なかったんだよ」フリーデリックが言った。「あのときには、もうそれがわか...全文を読む


第371回

第20章

 「おはよう、ヴォイチェホフスキーさん」シャルロットが声をかけた。「いいお天気ね。でも、ずいぶん外が騒がしいんだけど、何かあったの?」 ヴォイチェホフスキーは、白髪をゆっくりなで上げるようにしながら言った。「ポニァトフスキー伯爵さまがおいでになりました。それで、あの・・・実は・・・お話ししていいものかどうか・・・ポニァトフスキー伯爵さまの栗毛が、門のところで撃ち殺されたのです。それで、あのような騒ぎ...全文を読む


第372回

第20章

  さて、部屋に戻ったシャルロットは、さっそくヴァイオリンを出した。かの女は、調弦をすませ、ヴィエジェイスキーから出された課題にとりかった。 クラコヴィアクの練習がない日々が続き、かの女は自分の練習がはかどっていた。今は、スイス人のコラン=ブルームという作曲家が作ったヴァイオリン=コンチェルトの練習を始めたところだった。ブルームという作曲家は、二つのコンチェルトを残している。今練習しているのは、始め...全文を読む


第373回

第21章

  クラコヴィアクのベルリン=コンサート! その知らせを聞いて一番喜んだのは、フリーデリック=ラージヴィルだった。 彼は、自分の境遇を誰にも言ったことはなかった。しかし、彼の境遇もシャルロット並みに複雑なものだった。 フリーデリックの両親は、ボヘミアの保養地で知り合った。彼の父親はドイツ人で、ルードヴィッヒ=フリーデマン=フォン=ブリュンスウィックという名前であった。ルードヴィッヒは、フォン=ブリュ...全文を読む


第374回

第21章

  フェリックス=オルシャンスキーも11歳になっていた。彼も、自分の生い立ちについて考えられるような年になっていた。彼の父親は、母親と彼を捨ててフランスへ留学し、そこで結婚したと聞かされていた。父親の名は、ヴァーツワフ=ロマノフスキー。恐らく指揮者になったであろう。外国に行けば、その指揮者の活躍について、少しは情報が入るのではないだろうか。父親の知り合いに会えるのではないだろうか。あるいは、フェリッ...全文を読む


第375回

第21章

  スタニスワフとフェリックスは棚の楽譜を取りに行った。 フリーデリックはピアノに向かい、いきなりショパンのポロネーズを弾き始めた。 シャルロットははっとして彼の方を見た。気がついてみると、クルピンスキーはシャルロットの隣に立って、やはりフリーデリックを見つめていた。「彼の音を聞いてごらんよ、ブローニャ。彼がどんなに成長したか、きみにはわかるよね」クルピンスキーはシャルロットにだけ聞こえるくらいの小...全文を読む


第376回

第21章

  外国遠征のメンバーは全部で10人だった。演奏者4人、付き添った教授がリシュジンスキーとクルピンスキー。あとはスタッフだった。 彼らはコンサートの一週間前にベルリンに着いた。そして、到着後まもなく練習が始まった。一番緊張していたのは、リシュジンスキー教授だった。彼は、自分のリサイタルよりも緊張すると言って歩き回り、子どもたちを笑わせていた。一番のんびりしていたのは、一番出番が少ないフェリックスだっ...全文を読む


第377回

第21章

 「いったいどうしたの?」フリーデリックはあぜんとしていた。「あなたは、スターシより8小節も先に進んでいたのよ。気がつかなかったの?」シャルロットが説明した。「えっ? まさか!」彼はびっくりした。 スタニスワフは彼の肩をつかんだ。そして、首を左右に振って見せた。 フリーデリックはゆっくりと楽譜を拾い上げた。それから、諦めたように言った。「彼は、一度怒ったら、いくら弁解しても聞いてくれないんだ。だから...全文を読む


第378回

第21章

  ベルリン=コンサートの第一日目が終わった。翌日、彼らは次のプログラムのリハーサルを行った。終了後、自由時間が与えられることになっていたのだが、夕方が近かったので自由時間は取りやめとなった。---はずだったのだが、フェリックスはいつの間にか、ベルリンの地図を買って戻ってきた。3人はあきれて何も言えなかった。「明日は、街を歩くんだったよね。地図がないと困ると思ってね」フェリックスは何でもないことのよう...全文を読む


第379回

第21章

 「ヴォルフィは、ぼくの犬だぞ!」少年はむきになって言った。「ヴォルフィ、行きなさい」シャルロットは犬を少年の方に向けて押し出した。犬は踏ん張ったあげく、シャルロットの足下に戻ってきた。「ヴォルフィ!」少年は絶望的な声を出した。 シャルロットは仕方なく、子犬を抱き上げ、少年に渡した。「ありがとう。ところで、きみたちは外国から来たんじゃない?」少年が訊ねた。「ワルシャワから来たの」シャルロットが答えた...全文を読む


第380回

第21章

 「知ってるの?」ギュンターが驚いたように言った。「いいえ、知らないわ」シャルロットはきっぱりと否定した。「ところで、ハーフェル湖を知ってる? わたしたち、そこに行きたいの」「案内してあげようか?」ギュンターの目が輝いた。 そのとき、やっとフェリックスが真っ青な顔で木から下りてきた。フリーデリックが心配そうについていた。シャルロットは二人の方を見た。「ハーフェル湖に行く? 彼が案内してくれるそうだけ...全文を読む


第381回

第21章

  5人は、二組に分かれたままボートに別々に乗った。そして、ボートがなぜ浮くのか説明しているギュンターから離れるようにフリーデリックはボートをこいだ。「あの二人には、ついていけないよ、全く!」フリーデリックは大げさにため息をつきながらポーランド語で言った。「まったく、彼は<歩く百科事典>だね」フェリックスが同意した。そして、3人は歌い出した。「あれは、ポーランドのクリスマス=キャロルですね?」ギュン...全文を読む


第382回

第21章

 「きみたちのアイドルに対して失礼なことを言ったとしたら、友人にかわって謝るよ。彼は、彼らの悪口を言ったわけじゃない。彼は、正確にはこう言ったんだ。『ヴァイオリニストは、ソリストとして十分やっていけるだけの実力がある。ピアニストは、演奏よりも作曲に力を入れれば、ポーランドには第二のショパンが誕生することになるだろう。それなのに、あの二人はあんなことをして、貴重な時間と才能とをつぶそうとしている。彼ら...全文を読む


第383回

第21章

 <外国遠征>から戻ってきたクラコヴィアクのメンバーを待っていたのは、一通の手紙だった。それは、このようなものだった。 <クラコヴィアクのみなさま  ぼくは、グダィンスクの近くのグディニアという町の14歳の学生です。ぼくも妹も、クラコヴィアクの大ファンです。妹は10歳で、重い心臓病のためにずっとねたきりの生活です。もう、治る見込みもなく、あと1ヶ月の命だと言われています。かの女は、死ぬ前に、もう一度ク...全文を読む


第384回

第21章

  シャルロットが一人きりで部屋に入ると、ヴィエジェイスキーは不機嫌そうにかの女を見た。「あの・・・」シャルロットはこわごわと切り出した。「フリーデリックたちから話は聞いていると思うんですが・・・」 ヴィエジェイスキーは、シャルロットをとがめるような目つきで見たが、何も言わなかった。 シャルロットは、無理に勇気を振り絞ったような調子で言った。「あの、わたしたち、行きたいんです」「コンサートが近いのに...全文を読む


第385回

第21章

  一週間後、ワルシャワでのコンサートを終えた直後、3人はユゼフ=ユリアンスキーに連れられてグディニアに向かった。教授たちが忙しくて付き添えないと知ったとき、3人の子どもたちの保護者のうちチャルトルィスキー公爵だけは最後までこの旅行に反対した。公爵を動かしたのは、今度もシャルロットだった。かの女は、公爵夫人とヴォイチェホフスキーを味方にして、彼らからも公爵を説得するようにさせた。公爵も、ユゼフ=ユリ...全文を読む


第386回

第21章

  フリーデリックは、少女の葬儀のあとで、オルガン席に行った。シャルロットとスタニスワフは、少女の家族や友人たちと話していて、フリーデリックがいなくなったことに気づかずにいた。 教会のオルガニストは、50歳くらいに見えるグレイの髪をした男だった。もともとは、ブロンドだったらしいその髪は、まっすぐだった。いかにも芸術家らしい厳しい表情をした男だったが、その茶色の目は穏やかに見えた。彼は、フリーデリック...全文を読む


第387回

第21章

 「ブローニャって、オルガンが弾けるの?」少年が嬉しそうに口をはさんだ。「コーステック! 静かにしていられないのなら、降りてもらうよ」シュナイダーは、階段を指さし、息子をフランス語でしかった。「メランベルジェを知ってる?」シュナイダーは、今度はドイツ語でフリーデリックに訊ねた。「いいえ、存じません」フリーデリックが答えた。「わたしは、そのメランベルジェの弟子だった」彼は懐かしそうに話し出した。「彼は...全文を読む


第388回

第21章

  クラコヴィアクのメンバーにとって、5回目のクリスマスがやってきた。 フリーデリックは、自分にとってクラコヴィアク最後のクリスマスだ、と考えていた。彼は、グディニア旅行で自分の進路に結論を出していた。自分が本当にやりたいのは、演奏することではなく、作曲することであるということがわかったのがあの旅行だった。そのためにフランスに行くべきだということもわかった。 しかし、その話を彼から最初に打ち明けられ...全文を読む


第389回

第21章

 「クラコヴィアクは・・・?」シャルロットは言いかけて黙った。「・・・ごめんなさい。あなたがいないクラコヴィアクなんてありえないわね。グループは解散ね。でも、わたしは、あなたを止めないわ」 フリーデリックは目をそらした。「あなたには、もうクラコヴィアクは必要ないのよ。もう、クラコヴィアクを卒業して、本格的に勉強を始める年だわ」シャルロットも別の方を向いた。「・・・生きているものが必ず死ぬように、物事...全文を読む


第390回

第21章

  次に予定されていたコンサートは、1912年4月25日だった。 その日のプログラムは、一年前のベルリンでのコンサートの初日のプログラムとほとんど同じだった。ただし、ユリウス=シュトックハウゼンの弦楽四重奏曲のかわりに、同じドイツ人のヘルムート=シャインが作ったヴァイオリンソナタが演奏されることになった。それは、ポーランド初演という記念すべき演奏になる予定だった。ヴァイオリンはシャルロット、ピアノ伴...全文を読む


第391回

第21章

  しかし、シャルロットは自力で川から顔を出した。「フリーツェック、早く、何か投げて! わたしも、沈んでしまう!」 フリーデリックは真っ青になってふるえていたが、その声でわれに返った。彼は、あたりを見た。その間にシャルロットはアウグストのところについて、その左手をつかんだ。そこへ、フリーデリックが太い縄を投げた。シャルロットは、縄をアウグストの体に巻き付けた。そして、倒れているスタニスワフの右手をつ...全文を読む


第392回

第21章

  タデウシ=クルピンスキーの死亡診断書によれば、スタニスワフ=レシチンスキーの死因は急性心不全だった。つまり、彼の心臓は、川の冷たい水に耐えられなかったというわけだ。 しかし、たった一人の息子を失ったスタニスワフの両親は、ほかの医者にもう一度死因を確かめさせた。彼らは、チャルトルィスキー家の家庭医でもあったクルピンスキーを信じてはいなかった。もちろん、クルピンスキーの診断は正しかった。それでも、彼...全文を読む


第393回

第21章

  シャルロットとフリーデリックは、二人ならんでステージに戻ってきた。シャルロットはヴァイオリンを持っていた。「わたしたちは、初めて弾いた曲を最後に弾いて、クラコヴィアクに終わりを告げようと思いました」シャルロットが言った。「ですが、もう1曲だけ、最後に演奏しようと思います。わたしたちは、今日のコンサートに、ポーランド初演という記念すべき曲を演奏しようと用意していました。ヘルムート=シャインというド...全文を読む


第394回

第22章

  コンサートの翌日---4月26日---事件は、突然起こった。 その日は、シャルロットはいつもよりやや早い時間から勉強を始めていた。かの女は、家庭教師のエッフェンベルガーと二人で書斎にいた。いつもはかの女と一緒に勉強しているほかの二人の少年たちは、ドアでつながっている隣の部屋で自習していた。その部屋は、ナターリア夫人の居間で、夫人は編み物をしながら、少年たちが本を読んでいるのを監視していた。エドゥワルド...全文を読む


第395回

第22章

  ヴォイチェホフスキーは、隙を見て男に飛びかかろうとした。男は、それを制するようにシャルロットにピストルを向けた。ヴォイチェホフスキーの動きが止まった。「まさか、あんたもポーランド語がわからないと言うんじゃないだろうな?」 ヴォイチェホフスキーは、ふん、と鼻で笑った。「できたら、わかりたくないものだ。おまえたちと同じ言葉を話すのは、恥ずかしいことだ」「生意気なやつだ」彼にピストルを突きつけていた男...全文を読む

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