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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2010年08月  】 更新履歴 

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第423回

第23章

  7月の終わりに近いある日、シャルロットの病室を一人の老人が訊ねてきた。 彼は、シャルロットを懐かしそうに見つめ、ポーランド語でこう言った。「わたしの名は、アファナーシイ=ザレスキー。きみがザレスキー一族なら、名前くらいは知っているだろう?」「ええ。第10代当主の弟さんで、現在の第12代当主のおじいさまにあたるかただそうですね」シャルロットは静かな口調で言った。「はじめまして。でも、わたしは、あな...全文を読む


第424回

第23章

  シャルロットの表情が少しだけくもった。「ナターリア夫人は、あの事件の直前に、自分の親友たちの話をしました。とても美しいブルーの目をした人たちの話を・・・」 アファナーシイはほほえんだ。「そう、ナターリアとクラリスは、偶然に親友だった。いとこ同士だということを知らずに親友になったそうだ。そして、クラリスの弟と結婚したアレクサンドリーヌも、かの女たちの親友だった。ナターリアとアレクサンドリーヌの夫が...全文を読む


第425回

第23章

 「フリーツェック!」シャルロットは思わず叫んだ。「・・・やあ、ブローニャ」 フリーデリック=ラージヴィルがにっこりほほえんでそこに立っていた。彼はまた背が伸びたようだった。 かの女は、見上げるようにして彼を見た。「あなたなの、お客さんって?」「たぶん、そうだろうね。追い出されたふりをして、戻ってきたのさ」 シャルロットは、フリーデリックを見ているうちに、自分がひとりぼっちだったということに気がつい...全文を読む


第426回

第23章

 「そうよ。ピアノの勉強は、まだ途中じゃないの?」 フリーデリックは、自信たっぷりにほほえんだ。「ぼくは、作曲を勉強することに決めたんだ。ウィーンには、作曲家になるためにピアノを勉強に出かけた。今度は、同じ理由で作曲法を勉強しに戻ってきたというわけさ」「でも、あれから、まだ3ヶ月しか経っていないのに・・・」 フリーデリックは、照れくさそうに笑った。「それに、ベック氏とクルピンスキー教授と、どう違うっ...全文を読む


第427回

第23章

 「きみって人はほんとに・・・。ブローニャは疲れているって言ったじゃないか」「ごめんなさい。でも、どうしても会いたかったんです」フリーデリックは弁解した。「どうしようもない人だな。でも、面会時間はおしまいだ」 フリーデリックは陽気に手を振りながら出て行った。 彼が出て行き、ドアが閉まると、クルピンスキーは急に真面目な顔になった。「ブローニャ、その足のことなんだがね。われわれは、いろいろ検査を繰り返し...全文を読む


第428回

第23章

  アファナーシイ=ザレスキーは、再度病院を訊ねてきた。彼は、クルピンスキー医師から、シャルロットの足のことを聞いてきたようだった。クルピンスキーの親友という医者がミュラーユリュードにいて、しかも、その医者という人物は、なんとシャルロット=ド=ルージュヴィル、いや、シャルロット=ド=ラ=ブリュショルリーが昔住んでいたその家にいるのだという! それを聞かされ、彼はいても立ってもいられなくなったようだっ...全文を読む


第429回

第23章

  アファナーシイは、苦しそうに息をついた。「・・・きみには、まだわからないかもしれない。本当は好きなのに、そう言えないことってあるんだ。本当は大好きなのに、そう言うかわりに、相手を怒らせることしか言えないことってあるんだよ・・・。きみがもっと大きくなれば、わたしの気持ちも、きっとわかってもらえると思うんだ。そう・・・いつか、きみが誰かの母親になったときにね・・・。だが、彼は、わたしを誤解した。彼は...全文を読む


第430回

第23章

 「ブリューノ=マルローに宛てた紹介状は入っているね?」タデウシ=クルピンスキーが訊ねた。「入っています。これで5度目ですよ、そう聞かれたのは」シャルロットはほほえんでいた。「まず、足を治してもらうんだよ」クルピンスキーは抑えたような声で言った。 ヴィエジェイスキー教授は、シャルロットの目が見えるようにかがみ込んでいた。「いいかい、ブローニャ、生徒はその先生を超えて初めて一人前になるんだよ。サヴェル...全文を読む


第431回

第24章

  シャルロットは3本のテープをしっかり握っていたが、いつか、テープは3本とも切れてしまっていた。その時かの女は、かつてフリーデリックが『ぼくたちとポーランドを結ぶものは何もないんだよ』と言ったことを思いだした。 ラ=ヴィクトワール号は、岸から遠く離れていた。かの女は、四方が海しか見えなくなるまで岸のあったあたりを眺めていた。あたりが暗くなってきて初めて、かの女は船室に入る決心をした。 このとき、か...全文を読む


第432回

第24章

  ボーイがシャルロットの部屋にやってきた。シャルロットとだいたい同じくらいの年の少年だった。「こんばんは。お食事はどういたしますか?」彼はドイツ語で訊ねた。シャルロットは、彼のドイツ語にかすかなフランス語のなまりがあるのに気がついた。「・・・あの、フランス語で話してもいいですか?」かの女は、フランス語で訊ねてみた。 彼はにっこりしてフランス語で言った。「ええ。お食事はどういたしますか?」「お部屋に...全文を読む


第433回

第24章

  30分くらいしてガストンが戻ってきた。「休憩?」シャルロットが訊ねた。「はい」「何分くらい?」「あと20分です」ガストンは時計を見ながら言った。「20分ですって! じゃ、すぐ食べなくちゃ。あなたの席はそこよ」シャルロットは、彼のために用意した椅子を指さした。 ガストンは椅子に座った。「あなたのお食事は?」シャルロットが訊ねた。 彼はポケットからパンを2個出した。シャルロットが驚いて彼を見ると、彼...全文を読む


第434回

第24章

  それから3日経った。 バルバラは、隣の部屋から聞こえてくるチェロの悲しげな音色に心を奪われていた。曲は、たいていショパンのチェロソナタだった。かの女にとって不思議なことは、隣の部屋の住人は決して部屋から出てこないということだった。かの女は、どうしても謎のチェリストと会いたいと思うようになっていた。 ガストン=エルスタンが食事を運んできたとき、バルバラは思い切って訊ねてみた。「ねえ、隣のチェリスト...全文を読む


第435回

第24章

 「どなたですか?」シャルロットはフランス語で訊ねた。もしかして、ガストンのいたずらかも?と思ったからだった。「わたしは、隣の部屋のバルバラ=ヴィエニャフスカと申します」フランス語で返事が返ってきた。名前からするとポーランド人だが、かなりなれたフランス語だった。 シャルロットは、ついドアを開けてしまった。 バルバラと名乗った少女は、車椅子に乗っているシャルロットを見て、はっとして2歩ほど下がった。そ...全文を読む


第436回

第24章

  その日以来、シャルロットは船室から出るようになった。かの女はヴェールをつけていた。念のために、例のマスクもつけた。かの女は、ガストンからピアノのある小部屋の話を聞いた。そして、たまらなくピアノが弾きたくなったのである。 ところが、かの女がそこに行くと、部屋にはすでに先客がいた。ドア越しに、かすかにピアノの音がした。かの女が部屋に入ると、演奏していた青年は弾くのをやめてかの女を見つめた。かの女は、...全文を読む


第437回

第24章

  やがて、車椅子のチェリストの噂が船内の人々の口に上るようになった。しかし、実際にその姿を見たひとは、ごく少数だった。かの女が自分の部屋から出ることは、あいかわらずまれなことだった。そして、付き添うのは、たいていボーイのガストン=エルスタンか、バルバラ=ヴィエニャフスカだった。 二人の役目は、ピアノのある部屋までチェロを運ぶことだった。バルバラはピアノが弾けた。しかし、シャルロットはバルバラに伴奏...全文を読む


第438回

第24章

  ギュンター=ブレンデルとミエチスワフ=レショフスキー。一見無関係な二人がつながった。ギュンターが<クラコヴィアク>を知っていたのは、ミエチスワフ=レショフスキーがいたからだったのだ。『ヴァイオリニストは本物の芸術家で、ピアニストには作曲の才能がある。それなのに3人で・・・時間を浪費している』とギュンターに言った<ポーランド人の友人>というのは、ミエチスワフ=レショフスキーだったのだ!「彼---レシ...全文を読む


第439回

第24章

  ウワディスワフ=レヴァンドフスキーは、ピアノを練習しようとして部屋に入ったが、すでにシャルロットがピアノを占領していた。彼は、かの女がピアノを弾くのを初めて見た。 ドアが大きな音を立てて開いたので、シャルロットはレヴァンドフスキーに気がついた。「このドア、ちょっと音が大きすぎますね」シャルロットは、いつかと反対の事態になったのに気がついて、ほほえんで言った。「まったくだ」レヴァンドフスキーが答え...全文を読む


第440回

第24章

  シャルロットは自分の車椅子に目を落とした。「わたしは、足が動かないんです。つまり、ペダルが使えません。それなのに、どうしてピアノができるというのです?」 彼も車椅子を見た。「あなたの演奏は、ペダルを使わなくても見事なものだった。わたしも、ペダルなしで<ブリュメール=クーデター>を弾いているとは気がつかなかった。立派なものです。一度、船内でピアノ=リサイタルを開いてもらえないかしら?」「わたし、見...全文を読む


第441回

第24章

 「あなたは、ブローニャだ。<クラコヴィアク>ファンのぼくを騙すことはできません」ミエチスワフが言った。「あなたは、自分の正体を隠すために、そうやってヴェールをつけているんでしょう?」「違います」シャルロットが言った。「違うなら、ヴェールが取れるはずです」 シャルロットは、ヴェールをちょっとあげた。やけどの跡がちらっと見えるくらいに。 彼はうろたえたように一歩下がった。「・・・そのやけどは、あのとき...全文を読む


第442回

第24章

  シャルロットは船のデッキに出てきていた。それは、キールを出発してコペンハーゲンに向かった日の夕方のことだった。 かの女は、ガストン=エルスタンが一人で夕日を眺めているのに気がついた。かの女は彼に声をかけようとして思いとどまった。彼の目に涙があふれていることに気づいたからである。美しい夕日だった。波が輝いていた。遠くで鳥たちの泣き声がした。シャルロットは、彼が以前こう言ったことを思いだした。『わた...全文を読む


第443回

第24章

  シャルロットは、差し出されたスープを目の前に持っていった。そして、いつものように食べている彼を見ようとした。 彼の方もシャルロットを見つめていた。「・・・食べないんですか?」 シャルロットはほほえんだ。「あなたこそ」 かの女は、スプーンを手にとって、一さじすくった。それを見てから、彼はやっと食べ始めた。「わたしの家族は、今、ばらばらになっています」ガストンは話し出した。「父も、昔は船に乗っていま...全文を読む


第444回

第24章

 「イスカリオテのユダね?」シャルロットは冗談半分に言った。「まあ、そう言っておきましょうか」ガストンの方は真面目な顔をしていた。「結局、裏切り者の存在のために、あの研究者たちの集団は、イエズス=キリストと12人の弟子たちと比較されることになったんですからね」「ねえ、そろそろ、その<イエズス=キリスト>の正体を話して下さらない?」シャルロットが言った。「彼は、なんという名前なの、ガストン?」 彼は驚...全文を読む


第445回

第24章

  ワンダ=レヴァンドフスカは、船でチェロ=コンサートを開いた。伴奏者は、いつものように弟のウワディスワフ=レヴァンドフスキーであった。シャルロットは、このコンサートを聴くために、車椅子でホールにやってきたのだが、一人きりだったのでホールの椅子に座ることができず、仕方なく一番後ろで聞くことにした。 レヴァンドフスカは、ヤン=クルピンスキーがスタニスワフ=レシチンスキーのために作曲した「小組曲」から演...全文を読む


第446回

第24章

 「・・・それで、わたしはステーキになってしまったのね?」シャルロットは、バルバラから口喧嘩の顛末を聞き、あきれて言った。「・・・味の付いていないステーキ、ですって? 言いたいことを言うのね、あのドクトゥール。でも、二度とそんなことは言わせないわ」「どうするの?」バルバラが訊ねた。「ポーランドのピアニストをばかにするのは許せないわ。わたし、ピアノを弾きます。土曜日に、ワンダ=レヴァンドフスカと一緒に...全文を読む


第447回

第25章

  レヴァンドフスカとシャルロットは、オッフェンバックのデュオを演奏することに決めていた。二人は練習を開始したが、このコンビはどうも息が合わないようだった。レヴァンドフスキーは滅多に口出しをしない人だったが、あまりにあわない二人にいらだって言った。「お互いに、もっと歩み寄らなければ」 シャルロットはうなだれた。レヴァンドフスカの方は弟に突っかかった。「じゃ、どうすればいいの?」「ワンダ、きみがメロデ...全文を読む


第448回

第25章

  演奏が終わって戻ってきたシャルロットに、男はフランス語で言った。「わたしは、イアサント=クチュリエといいます。フランスで医者をしています」「わたしは・・・」シャルロットが言いかけた。「あなたは、今、とても具合が悪そうです。診察してもいいでしょうか?」 シャルロットはうなずいた。自分が具合が悪いことを遠くから見てわかるのなら、きっと優れた医者だろうと思ったからだった。 シャルロットと医者は、二人き...全文を読む

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