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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2010年09月  】 更新履歴 

  09.01.  【 第25章 】  第449回   さわりを読む▼
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  09.16.  【 第26章 】  第462回   さわりを読む▼
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  09.18.  【 第26章 】  第464回   さわりを読む▼
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  09.24.  【 第26章 】  第469回   さわりを読む▼
  09.25.  【 第26章 】  第470回   さわりを読む▼
  09.27.  【 第26章 】  第471回   さわりを読む▼
  09.28.  【 第26章 】  第472回   さわりを読む▼
  09.29.  【 第26章 】  第473回   さわりを読む▼
  09.30.  【 第26章 】  第474回   さわりを読む▼


第449回

第25章

  レヴァンドフスキー姉弟は、不安を隠せない様子で医者を見つめていた。「コンサートは、どうなるんでしょう?」訊ねたのはレヴァンドフスキーの方だった。「心配いらないよ」彼はドイツ語で答え、顔を引っ込めた。 医者がそばに戻ってきたとき、シャルロットはふるえていた。「ドクトゥール・・・わたし、ドクトゥール=デュシャーブルには診てもらいたくありません」 彼はくすくす笑った。「あのステーキのことでかい?」「ま...全文を読む


第450回

第25章

  プログラム後半は、シャルロットが演奏するヘルムート=シャインのヴァイオリンソナタから始まった。 かの女は、フリーデリックが編曲したチェロ版を演奏したのだった。それを演奏したいと言ったとき、伴奏者のレヴァンドフスキーは驚いたものだった。その曲は、彼も以前演奏したことがあった。しかも、そのときには、作曲者のシャイン自身がヴァイオリンを弾いたのだ。だから、レヴァンドフスキーは、その曲にまつわる悲しいエ...全文を読む


第451回

第25章

  曲が終わってステージを降りたシャルロットに、レヴァンドフスキーが言った。「不思議だね。今日のきみは、いつもと違っていたね」「・・・具合が悪かったから、迷惑をかけてしまったわ」シャルロットはすまなそうに言った。「いや、そういうんじゃなくて・・・」レヴァンドフスキーはどう表現していいのかわからなくなって口ごもった。「なんて言うのかな・・・いつもより大人びた弾き方をしていたね?」 シャルロットは驚いて...全文を読む


第452回

第25章

 「・・・わたし、あなたをだまそうと思ったわけじゃなかったのよ。ただ、あなたとお友達になりたかっただけ。もし、わたしが、チャルトルィスカ公爵令嬢だと名乗ったら、あなたはわたしを友達にしてくれたかしら? わたしには、そうは思えなかったのよ」「プランセス=チャルトルィスカ」ガストンが言った。「あなたは、わたしをだましたんじゃありません。せっかくあなたが黙っていようとしていたのに、無理に話させたことはすま...全文を読む


第453回

第25章

 「・・・船は、明日の昼過ぎにル=アーヴルにつく予定です」船長がシャルロットに言った。「最後の晩になってしまいましたね。今晩、もう一度チェロを弾いて下さるんでしょう?」 シャルロットはほほえんだ。かの女は、船長のグレイのひげを見ていた。そして、質問には答えずに、反対に質問した。「もう何度も航海なさったんですってね?」 船長は懐かしそうに答えた。「初めて船に乗ったのは、ちょうどガストン=エルスタンくら...全文を読む


第454回

第25章

  シャルロットはちょっと考えてから続けた。「わたしにとって、演奏する、ということがポーランド人としての証だったわ。ポーランドの大地にしっかりと根を下ろしているあのリズムの中に自分を置くことは、自分の存在がポーランドそのものだということを意味していたのかも知れない。『ぼくたちとポーランドを結ぶものは何もないんだよ』ってフリーデリックが言ったとき、それもまた真実だと思ったけどね・・・。ポーランドとわた...全文を読む


第455回

第25章

  シャルロットは車椅子をバルバラの前に向けた。そして、神妙な顔でこう言った。「わたしね、あなたに謝っておかなくちゃならないの。わたし、あなたをだましていたの」 驚いているバルバラの前で、シャルロットはマスクを取った。「わたしね、<変装>していたの。正体がばれないように・・・」 バルバラはシャルロットの両手を握りしめた。「あなたは、これで、本当にわたしを信用してくれた、って思っていいのね?」 シャル...全文を読む


第456回

第25章

  船から降りたとき、シャルロットは、まず顔のマスクを取り、大きく伸びをした。手続きが完全に終わり、自由になると、かの女は荷物を預けたあと、車椅子で海岸に向かった。 ル=アーヴルには、アンヌ=スタニスワフスカ夫人といとこのマクシミリアンがいるはずだったが、かの女は二人には会いたくなかった。会いたい家族がいるとすれば、むしろガストン=エルスタンの家族に会ってみたかった。しかし、かの女はエルスタン一家が...全文を読む


第457回

第25章

 「ドクトゥール=テニスンは、とてもすばらしいお医者さまだと聞いています」 デルネードの声ははずんだ。「ええ、それは、もう。彼は、ミュラーユリュード時代からすでに、人々のために尽くしていましたからね。現在でも、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの弟子たちの中で、彼ほど貧しい人々のために働いている医者はいないでしょう。その意味では、彼は亡きドクトゥールの最も忠実な弟子でした。もちろん、ドクトゥール...全文を読む


第458回

第25章

  ル=アーヴルからミュラーユリュードまでは汽車の旅をする予定だった。 シャルロットはプラットホームにいた。その頃には、かの女は落ち着きを取り戻していた。汽車が来るまではまだ二時間以上あると聞かされていたが、かの女はもうどこへも出かけたくなかった。かの女は、駅にいることにした。 かの女は、荷物をたくさん持っていた。自分の体が入ってしまうくらいの大きさのスーツケースが一つ、それにチェロとヴァイオリンの...全文を読む


第459回

第25章

  青年には、シャルロットがなぜ気分を害したのかわからなかった。「ぼくには、本当に悪気はなかったのです・・・」 シャルロットは容赦しなかった。「わたしは、お金がほしくて弾いていたんじゃありません!」「でも、ぼくは、どうしてもあなたに感謝したかったんです・・・」 シャルロットは、右手でヴァイオリンの弓をきつく握りしめた。青年は、シャルロットがますます怒りを募らせている様子を見たが、それをなだめるすべを...全文を読む


第460回

第25章

 「そうです。お嬢さん、あなたは、彼から1サンティームを受け取って下さい」シャルロットが拒否反応を示したのを見て、マンソンはあわてて次の言葉を口にした。「そして、そのかわりにあなたは彼に何か渡して下さい。1サンティーム相当のものを」「でも、わたしが1サンティームをこの人から取ることにかわりはないわ」シャルロットが抗議した。 青年は、栗色の髪をかき上げた。「よろしいでしょう」「わたしは、『1サンティー...全文を読む


第461回

第25章

 「彼だ・・・間違いなくグーロワールだ・・・」エミール=ショーソンがつぶやいた。「グーロワール?」シャルロットはショーソンの方を向いた。「そう。1903年に、第24回ジュネス=コンクールで2位になった男です」 シャルロットは首をかしげた。「ジュネス=コンクールって何ですか?」「ピアノ=コンクールですよ。学生を対象に、毎年開かれている・・・」 シャルロットは驚いた。「じゃ、彼は、ピアニストだったのです...全文を読む


第462回

第26章

  1912年9月13日金曜日、ミュラーユリュードのサント=ヴェロニック校では、2年7組の生徒が朝から大騒ぎしていた。このクラスは、ただでさえにぎやかなクラスだったが、この日の騒ぎは特別だった。なぜならば、彼らの担任のルネ=ペルメーテルが、前日事故で亡くなったという知らせが飛び込んできたからであった。 全寮制であるこの学校だが、どういうわけか外部から持ち込まれた新聞を囲んで、生徒たちは大声でそれぞれ...全文を読む


第463回

第26章

  マルフェというのは、コルネリウスのあだ名<悪人(マルフェチュール)>を縮めた彼の呼び名だった。 コルネリウスは赤くなった。「それは、ほめ言葉とは思えないな」 ガリュベールが言った。「・・・死んだ人間の方はともかくとして、生き残った女の子とのこと、気にならないか? この新聞によると、頭を激しく打って、記憶を失ってしまったとある。誰の家族でもなく、ただ車に同乗していただけの女の子。かの女はいったい誰な...全文を読む


第464回

第26章

  コルネリウス=ド=ヴェルクルーズは、特別外出許可をもらった。全寮制のこの学校では、決まった日にしか外出できない。それ以外の日は、きちんとした理由か、誰かの付き添いがなければ校外には出られない。コルネリウスには<きちんとした理由>はなかったが、<魅力ある外出先>を持っていた。彼が付き添いに選んだのは、校医のリュシアン=ワッセルマンだった。ワッセルマン医師は、この学校で最年少の職員だった。医者の資格...全文を読む


第465回

第26章

 「・・・どういうこと?」サルヴァドール=クートンは、本当はあまり興味がなかったのだが、訊ねてみた。「写真を回覧してもいいですか?」コルネリウスがフランソワ=ジュメールに訊ねた。 フランソワはうなずいた。「この写真の女の子が、ポーランドから来たプランセス=チャルトルィスカです」コルネリウスが言った。「ですが、古くから研究所にいる人はみな口をそろえてこう言ったそうです。『シュリーさま、ご無事だったので...全文を読む


第466回

第26章

  バルバラは、その言葉を聞くと真っ青になった。「かの女の顔には、確かにやけどの跡があった!」ミエチスワフが口を開いた。「証言台に立っていない人がしゃべっちゃいけないよ!」誰かがヤジを飛ばした。 ミエチスワフは真っ赤になって黙った。「・・・どういうこと・・・?」サルヴァドールは首をかしげた。 バルバラは真っ青になってふるえていた。「シャルロット=コリエは、シャルロット=チャルトルィスカじゃないの?」...全文を読む


第467回

第26章

 「ちょっと待って下さい」サルヴァドールが遮った。「あなたの話は、要領を得ません。順を追って話してもらえないかしら?」 バルバラが口を出した。「わたしが話します」 ミエチスワフは、婚約者の方を見てうなずいた。 バルバラは、もう一度証言席に戻った。「こういう事態になったのだから、本当の話をしても、シャルロットとの約束を破ることにはならないと思います」バルバラが言った。「だから、順を追って説明します」 ...全文を読む


第468回

第26章

  事故にあったシャルロットは、サン=ジェルマン=アン=レーのサン=バルナベ病院に運び込まれていた。かの女は、事故のただ一人の生き残りであったばかりではなく、同じ車に乗っていたディラン一家とは何の関係もない人物であったこともあり、まわりから好奇心を持ってみられていた。 担当医は、イアサント=クチュリエに決まった。友人のブリューノ=マルローが、特に彼に頼んだのだった。そして、クチュリエ自身がそれを望ん...全文を読む


第469回

第26章

  スール=コラリィがシャルロットの病室に初めて行ったとき、シャルロットは車椅子に座ってどちらともいえないところを見つめていた。かの女は、その無表情な顔をじっと見つめた。かの女は、シャルロットをまるで人形のようだと思った。顔に包帯を巻いていたが、顔色が包帯の色を思わせたので驚いた。---この子、病気でなかったらどんなにかわいらしかったでしょう・・・。でも、この子、誰かに似ているわ・・・。 スール=コラ...全文を読む


第470回

第26章

  スール=コラリィの子ども時代の名前は、シャルロット=ランブールといった。ランブール家には7人の子どもがいた。シャルロットは兄弟の中で一番下で、しかも最初に生まれた女の子だった。そういうわけで、かの女は両親からも兄たちからもかわいがられて育った。その女の子の人生は、偶然隣に引っ越してきたヴァイオリニストの存在で一変した。そのヴァイオリニストは、オーギュスト=デュランという名前だった。彼はソリストと...全文を読む


第471回

第26章

  やがて、シャルロットはヴァイオリンをテーブルの上に戻した。しかし、かの女はその場から動かず、いつものようにぼうっとした表情でヴァイオリンを見ていた。 スール=コラリィは、ついたてのかげから出てきた。かの女はシャルロットが遊ぶのをやめたので、ヴァイオリンを片づけようとした。ところが、スール=コラリィがヴァイオリンに手を触れるや否や、シャルロットはむきになってその手を叩いたのだ。そして、シャルロット...全文を読む


第472回

第26章

  ミエチスワフ=レショフスキーとバルバラ=ヴィエニャフスカがブリューノ=マルローに連れられてサン=バルナベ病院にやってきたのは、ちょうどその頃だった。 イアサント=クチュリエは3人を歓迎した。彼は友人のマルローと話をしたあとで、バルバラに言った。「お嬢さん、あなたは、確か<ラ=ヴィクトワール号>でバーシャと呼ばれていた方ですね?」「ええ、そうでした」「あの子は、本当にシャルロット=コリエなの?」「...全文を読む


第473回

第26章

  シャルロットは相変わらず何の反応も示さなかった。「・・・どう、間違いありませんか?」クチュリエが3人に訊ねた。「残念ですが、かの女はわたしたちの知っているひとのようです」バルバラが言った。「かの女は、もとのように戻れますか?」「時間さえかければ、あるいはね」クチュリエが言った。「ドクトゥール=マルローをお借りしていいかな?」 バルバラとミエチスワフは部屋から出た。スール=コラリィもゆっくりと部屋...全文を読む


第474回

第26章

  シャルニーは気を取り直してスール=コラリィに質問した。「かの女に<グレトリー>を聞かせたことは?」「あります。3度弾きました。でも、これはきっと、かの女が覚えていた曲ですわ。もし聞き覚えなら、正しい音を探って弾くはずでしょう? でも、今のかの女は、自分が弾いている音を聞いていません。たぶん、指が勝手に動いているんでしょうね。かの女は、自分が<グレトリー>を演奏しているなんて知らないかも知れません...全文を読む

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