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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2010年10月  】 更新履歴 

  10.01.  【 第26章 】  第475回   さわりを読む▼
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  10.18.  【 第27章 】  第489回   さわりを読む▼
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  10.20.  【 第27章 】  第491回   さわりを読む▼
  10.21.  【 第27章 】  第492回   さわりを読む▼
  10.22.  【 第27章 】  第493回   さわりを読む▼
  10.23.  【 第27章 】  第494回   さわりを読む▼
  10.25.  【 第27章 】  第495回   さわりを読む▼
  10.26.  【 第27章 】  第496回   さわりを読む▼
  10.27.  【 第28章 】  第497回   さわりを読む▼
  10.28.  【 第28章 】  第498回   さわりを読む▼
  10.29.  【 第28章 】  第499回   さわりを読む▼
  10.30.  【 第28章 】  第500回   さわりを読む▼


第475回

第26章

  次の日から、スール=コラリィは、シャルロットの頭にヴァイオリンの音を詰め込み始めた。スール=コラリィは、いやがるシャルロットの手からヴァイオリンを取り上げ、無理矢理調弦し、かの女にそっと手渡した。スール=コラリィは、自分がかの女からヴァイオリンを奪ったわけではないし、取り上げたのは意地悪からではないのだということを全身で表現した。シャルロットは戻ってきたヴァイオリンを抱きしめた。もう二度と渡さな...全文を読む


第476回

第26章

 「・・・お許し下さい、メール=ポーリーヌ」スール=サント=ジュヌヴィエーヴはその場でひざまずいた。「わたくしは、沈黙の掟を破りました・・・」 メール=ポーリーヌと呼ばれた修道女は、スール=サント=ジュヌヴィエーヴにこう言った。「許します。ただし、罰として、残りの包帯を一人で全部片づけなさい」 スール=サント=ジュヌヴィエーヴは、メール=ポーリーヌの足元にキスし、その罰を受けることを表明した。そこで...全文を読む


第477回

第26章

  二人きりになると、スール=サント=ジュヌヴィエーヴが言った。「・・・ごめんなさいね。あなたの助けになりたかったんだけど・・・」 スール=コラリィはかの女の足元にひざまずいた。「悪いのはわたしなのに・・・」 スール=サント=ジュヌヴィエーヴは首を横に振った。「あなたは、ただ一つだけ間違えたのよ。話すタイミングが違っただけよ。みんな、あなたのことを応援しているわ。でも、あの場では、マ=メールは誰かを...全文を読む


第478回

第26章

  スール=コラリィはカードを作った。そして、シャルロットが興味を持とうが持つまいが、26種類のカードをかの女に渡した。そして、カードを組み合わせることを教えた。スール=コラリィは、最初に<le violon(ヴァイオリン)>とカードを並べた。木のあるところに行けば<木>、時計があれば<時計>、噴水のところでは<噴水>とカードを並べ、繰り返し発音して見せた。 一方、ヴァイオリンは急激な進歩を遂げていた。きっか...全文を読む


第479回

第26章

  シャルロットは、さっきの落ちた葉を拾った。「これは、死んでいるのね」「・・・葉が木から落ちるとき、<葉が死んだ>という言い方をするのよ。人間は、昔から、人の一生を四季にたとえたわ。葉が枯れるように、人間もいつかは死ぬのよ」スール=コラリィはしみじみとした口調で言ったが、シャルロットには全部はわからなかった。 病室に戻る途中で、一人の女性が運ばれるのを二人は見た。ゆっくり運ばれているので、二人には...全文を読む


第480回

第27章

  ジルベール=シャルニーは、自分が指揮しているところをシャルロットに見せる約束をしていた。彼は、正式にかの女とスール=コラリィをサン=ジェルマン校に招待した。 スール=コラリィは、シャルロットの車椅子を押しながら学校に向かった。シャルロットは、どうしても自分のヴァイオリンを持って行きたがったので、スール=コラリィが車椅子を押すことにしたのだった。 途中から、オーケストラが演奏している曲がかの女たち...全文を読む


第481回

第27章

 「音は、聞くだけではなく、見えるものなんです。感じることも、味わうこともできます」シャルロットがゆっくりと、言葉を選びながら言った。「今の曲は、とても光った色をしています。赤、青、紫、黄色・・・あとの色の名前はわかりません・・・」「・・・きみにはわかるかね、ティボーデ?」シャルニーはオーケストラの方を向いて訊ねた。「ぼくには、想像力が不足していますから」コンサートマスターが答えた。 シャルニーは肩...全文を読む


第482回

第27章

 「かの女は、シャルロット=コリエじゃなかったのですか?」 シャルニーは驚いていた。「初めから話す必要がありそうだね。かの女の名前は、シャルロット=チャルトルィスカ。ポーランドの大貴族で、有名な政治家だったアントーニ=チャルトルィスキー公爵の一人娘だった」「だった、ということは、彼は死んだの?」「ああ。公爵は、馬車で田舎の別荘に行く途中、暗殺された。乗っていた馬車を、ダイナマイトで吹き飛ばされたそう...全文を読む


第483回

第27章

  二人が練習場に戻ってみると、シャルロットはさっきのコンサートマスター相手にヴァイオリンソナタを弾いていた。スール=コラリィが教えた、ヘルムート=シャインの第3番のソナタだった。シャルニーは、それを聞いて、かの女を手放す悔しさに心の中で歯ぎしりする思いだった。 スール=コラリィも、悲しみと寂しさを隠しきれずにかの女を見つめていた。「・・・とてもすてきな伴奏者だろう?」シャルニーには、冗談にするしか...全文を読む


第484回

第27章

  その日から、スール=コラリィの戦いは始まった。 自分を頼り、信じ切っているシャルロットを、少しずつ突き放していかなければならない。そう、突き放すのも愛情なのだ。シャルロットは、これからは、一人で---かの女なしで---生きていかなければならないのだ。 シャルロットにも、スール=コラリィの態度の変化が感じられた。しかし、かの女には、スール=コラリィの急変の理由が飲み込めなかった。かの女は、一人で黙って苦...全文を読む


第485回

第27章

  サント=ヴェロニック校にオーケストラができたのは、1803年のことだった。このオーケストラは<ソサイエティ>という英語の愛称を持っていたが、これは、オーケストラ創立時には、このオーケストラの正式名称だった。今は、正式にはフランス語で<オルケストル=サンフォニーク>という名前を持っている。しかし、校内では<ソサイエティ>を用いる生徒の方が多かった。 オーケストラは、今では3つ存在した。原則として最...全文を読む


第486回

第27章

  スール=コラリィは、シャルロットを連れてミュラーユリュードにやってきたが、二人は<ソサイエティ>の練習風景を見るため、まっすぐサント=ヴェロニック校に向かった。もちろん、見たいと思っているのは、本当はスール=コラリィ自身だった。しかし、かの女は、病気のシャルロットのためにオーケストラを聴かせてあげたいと無理にいいわけを考え、学校に行ったのである。 もともと教会の聖歌隊から始まった歴史を持つこの学...全文を読む


第487回

第27章

 『車は、崖から真っ逆さまに落ちてしまったんです・・・』 シャルロットは目を閉じた。額に汗をびっしょりかいていた。『・・・お聞き、シュリー。わたしたちは、殺されようとしている。ごらん、ブレーキがきかなくなっているってルネが言っているだろう? わたしたちは死ぬんだよ』誰かがそう言った。ひどく懐かしい声だった。『ハンドルもききません!』隣で悲劇的な声がした。 シャルロットは夢中になって誰かにしがみついた...全文を読む


第488回

第27章

  そのとき、出し抜けにオーケストラの音が聞こえた。ただし、今までとは違う方角からだった。「・・・あれが、<スゴン>---つまり、<ソサイエティ>の補欠オーケストラです」ドクトゥール=ワッセルマンは、スール=コラリィに説明した。 シャルロットは、聞こえてくるメロディーに聞き覚えがあることに気づいた。以前、ミュー(オーギュスティーヌ=ド=マルティーヌ)がかの女の誕生祝いに作ってくれた曲に似ていた。「あの...全文を読む


第489回

第27章

  コルネリウスは、シャルロットの『こんにちは、みなさん』という一言が気になっていた。彼は、死んだいとこの声をよく覚えていた。話し方の特徴も・・・。この少女は、彼のいとこそっくりな話し方をした。かの女の《こんにちは》というときの<n>の発音は、かの女独特のものだった。シャルロットの挨拶だけで、彼は死んだいとこのことを思い出してしまったのである。『ねえ、ドンニィ、あなたは、どんなときにも泣かないの?』...全文を読む


第490回

第27章

 「いらっしゃい、マ=スール。そして、お帰りなさい、シャルロットお嬢さま」研究所では、二人の<所長代理>たちがかの女たちの到着を待っていた。特に、若いドクトゥール=ダルベールは好奇心を隠せない様子だった。「シャルロットお嬢さま、思ったより元気そうで、うれしく思います」「・・・ドクトゥール=ダルベール、そんな他人行儀な挨拶をなさらないで下さいな」シャルロットは困惑したような表情で言った。 アンブロワー...全文を読む


第491回

第27章

  スール=コラリィは心配そうに訊ねた。「まさか、シャルロットを実験に使うようなことはないでしょうね?」「そんなことをするものですか!」ダルベールは、思わず人を安心させてしまうような調子で言った。「わたしは、いえ、わたしたちは、シャルロットお嬢さまを、亡くなったユーフラジーお嬢さまのように大切な方だと思っています」「わたしも、アンブロワーズと同意見です」マルローも答えた。 スール=コラリィは、この二...全文を読む


第492回

第27章

  二人は顔を見合わせた。「・・・ロビン=カレヴィは、死んだんです」ダルベールが小さな声で言った。 シャルロットは真っ青になった。「彼は、重い病気にかかっていました。でも、あの人には、治ろうという強い意志がなかった・・・。彼は、好きだったただ一人の女性に先立たれ、自分の希望を託した女の子にも先に逝かれ・・・この世には未練がなかったんですね」ダルベールは言葉を選びながら話した。「彼の気持ちは、二人がい...全文を読む


第493回

第27章

  ダルベールは、そこまで話すと、シャルロットの目をのぞき込むようにじっと見つめた。「ところが、ポーランドからやってきたあなたは、亡くなったユーフラジーお嬢さまにそっくりでした。名前も同じシャルロット・・・。マディさんは、あなたを見て、ユーフラジーお嬢さまだと確信したようです」「でも、わたしは、あのとき、ちいさい頃のことは何も覚えていなかった・・・」「かの女は、あなたの反応を見て、がっかりしました。...全文を読む


第494回

第27章

 「ええ。もし、お望みなら、開けて差し上げましょうか?」シャルロットはそう言いながら、車椅子を金庫の方へ向けた。 マルローはうなずいた。「そして、例の、67番書類をお目にかけましょう」シャルロットは前進しながらいった。「それは、ペール=トニィのお気に入りの書類で、みどりの封筒に入っていましたね。中味は、メンデルの論文のコピーです」 ダルベールはうなずいた。彼は、ドクトゥールが生きていた頃、いつもドク...全文を読む


第495回

第27章

  次の日、シャルロットが起きたとき、スール=コラリィの姿は消えていた。 シャルロットは、枕元にノートがあるのを見つけ、中を開いた。そのノートは、スール=コラリィが綴りを教えてくれた懐かしいノートだった。それには、シャルロットが一生懸命に正しく綴ろうとした跡と、スール=コラリィの生真面目な字が並んでいた。その一番後ろのページに、スール=コラリィはこんな文章を書いていた。《さようなら、シャル。また会い...全文を読む


第496回

第27章

  シャルロットは、二人の所長代理たちから今後のことを聞かれたとき、こう答えた。「わたしは、グルノーブルでヴァイオリンの勉強をするためにフランスに来ました。でも、もう少しここにいたいと思います。できれば、サント=ヴェロニック校に行きたいと思うんですが・・・」「でも、足のことは・・・?」ドクトゥール=マルローが訊ねた。「わたしは、あなた以外の医者にかかるつもりはありません、ドクトゥール=マルロー」シャ...全文を読む


第497回

第28章

  サント=ヴェロニック校第四代校長フランソワ=アドルフ=ド=ラグランジュは、約25年前に、第三代校長だった父親から、遺産の一つとしてこの学校を引き継いだ。彼自身、サント=ヴェロニック校の出身だった。 彼には、娘が一人いた。テオドリーヌという名のその娘は、ピアニストになれるかも知れないほどの才能を持ちながら、階段から落ちて骨折して以来その夢を断念した。かの女がピアニストになるのをやめたことで落胆した...全文を読む


第498回

第28章

  校長は、ワッセルマンを通じて彼と連絡を取り、彼がまだ仕事を得ていないことを知ると、面接に来るように手紙を書いた。こうして、2年7組の担任が約2ヶ月ぶりに決まったのである。 そのニュースをクラスに運んできたのは、もちろん、セシール=ド=ベルジュラークであった。「みんな、ニュースよ。アヴィの後任が決まったの!」 教室にいた人たちは、一斉にかの女を取り囲んだ。「ねえ、どんな人?」ロジェ=ガリュベールが...全文を読む


第499回

第28章

  1912年10月25日の朝、一人の長髪の若い男が女子寮に向かう門の前に立って、建物を眺めていた。門は閉め切られていて、門番がいるような気配もなかった。彼は、栗色の髪をかき上げながら、そこで何やらためらっているようだった。それから、門が開かないかどうか、押したり引いたり叩いたりして調べ始めた。門にはしっかりと鍵がさしてあったし、その鍵は、泥棒でもなければ開けられそうには見えなかった。彼は、誰も門を...全文を読む


第500回

第28章

 「あとで、誰かに、出入り口をきちんと教えてもらった方がいいわね。あの門に限らず、閉まっている門を飛び越えようなんて考えない方がいいわ。閉まっているのには、ちゃんと理由があるんですからね。サント=ヴェロニック校には、いくつか門がありますが、門番が立っている門は二つしかありません」マダム=ベルマンが言った。「・・・それは、もしかすると、入口と出口でしょうか?」ド=グーロワールは、真面目さを装って訊ねた...全文を読む

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