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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年01月  】 更新履歴 

  01.01.  【 第31章 】  第554回   さわりを読む▼
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  01.21.  【 第32章 】  第574回   さわりを読む▼
  01.22.  【 第32章 】  第575回   さわりを読む▼
  01.23.  【 第32章 】  第576回   さわりを読む▼
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  01.27.  【 第32章 】  第580回   さわりを読む▼
  01.28.  【 第32章 】  第581回   さわりを読む▼
  01.29.  【 第32章 】  第582回   さわりを読む▼
  01.30.  【 第32章 】  第583回   さわりを読む▼
  01.31.  【 第32章 】  第584回   さわりを読む▼


第554回

第31章

  ドクトゥール=アースは、研究室に戻るなり不機嫌な顔になった。彼は、シャルロットにぶっきらぼうな口調で言った。「どうして、あんなになるまで、放っておいたのですか?」 シャルロットは涙を拭いて答えた。「・・・わたしには、よくわかりません。初めて彼に会ったとき、ああ、これは重い心臓病だと思って、ここに来るように勧めたんです」 その返事を聞くと、彼は驚いた。「あなたは、彼の友達?」「ええ、そうです」シャ...全文を読む


第555回

第31章

 「さて、お友達の方だが・・・」そう言うと、彼は急に事務的な口調に戻った。「彼の心臓は、ひどく弱っている。はっきり言うが、今のままの暮らしをしていたら、つまり、ミュラーユリュードに戻ったら、ということだけど、半年後に生きていることをわたしには保証できない。長くて半年だ。あと4ヶ月の命だと言っておこう。彼は、やりたいことがいっぱいあると言っていたが、3~4ヶ月では、何もできないだろう・・・。シャルロッ...全文を読む


第556回

第31章

  途中で、シャルロットは一人の修道女とすれ違った。そのとき、シャルロットの松葉杖が、かの女の持っていた小さなバッグに引っかかった。バッグは床に落ち、落ちたはずみでふたが開き、中味が飛び出してあたりに散らばった。「・・・ごめんなさい、マ=スール」シャルロットは謝り、中味を拾うのを手伝おうとした。「大丈夫、わたしが拾うわ」修道女がシャルロットを止めようとした。 しかし、シャルロットはゆっくりと床に手を...全文を読む


第557回

第31章

 「わたしは、スール=サント=ジュヌヴィエーヴ・・・。あなたの母親じゃありません」修道女が答えた。「ね、お願い、話して下さい」シャルロットは、修道女のすみれ色の目をじっと見つめながら言った。「ペール=トニィは、『わたしの妻はとても美しいすみれ色の目をしていた』と言っていたことがあります・・・」 かの女はうなだれた。しばらくの間黙ってシャルロットを見つめたあと、かの女は優しく言った。「・・・大きくなっ...全文を読む


第558回

第31章

  シャルロットは目に涙をためたまま、スール=サント=ジュヌヴィエーヴを見つめていた。そのちょっとすねた表情を見ているうちに、かの女は少女時代のクラリス=ド=ヴェルモンのことを思い出していた。『大人たちって、本当に何もわかっていないのよね』クラリスは、五線紙に向かってよくそうつぶやいていた。『みんなで、わたしたちを子どもだと思っているんだわ。わたしたちだって、ちゃんと自分の意思で行動してるのにね』 ...全文を読む


第559回

第31章

 「ええ、約束します」シャルロットが答えた。「たとえ、乳母のフェリシアーヌ=ブーレーズにであっても」かの女は念を押した。「はい」シャルロットはうなずいた。そして首をかしげた。「・・・どうしてかの女を信頼しちゃいけないの?」「かの女は、信頼できる女性です。マドレーヌ=フェランさん---いいえ、ディラン夫人でしたね---が亡くなった後では、この世で一番信頼できる女性です。でも、わたしは、念のため、例外を作って...全文を読む


第560回

第31章

  翌日、スール=コラリィと再開して以来、シャルロットはスール=コラリィの新しい患者に夢中になった。 スール=コラリィの担当の患者は、アンリ=ファルローという名の4歳の男の子だった。まだほんの子どもなのに、交通事故で失明していた。たぶん、一生目が見えないままだろう、とスール=コラリィは話した。彼は、両親と叔母と車で出かけ、パリに戻る途中で事故に巻き込まれたのだった。運転していた父親は軽症だったが、母...全文を読む


第561回

第31章

  土曜日。サント=ヴェロニック校のブリュメール18日である。 その日、パトリックは外出を許された。サン=ジェルマン校のオーケストラ顧問ジルベール=シャルニーが、パトリックと付き添いの生徒たちを釣りに誘ったのである。ジルベール=シャルニーがいるのなら、とイアサント=クチュリエが口添えをしたこともあり、ドクトゥール=アースは渋々外出を許可した。しかし、医師は、彼らが出かける前にシャルロットを呼び、パト...全文を読む


第562回

第31章

  そのとき、かの女が見ているまえで小さなボートが転覆した。かの女が叫んだので、5人も船が転覆したことに気がついた。 少年が一人溺れていた。そして、彼は何か叫んでいた。「大変だ、助けを呼んでる!」フランソワ=ジュメールがそう叫び、川に入っていこうとした。「やめなさい。危ない。何か投げた方がいい」シャルニーは落ち着いてフランソワを止めようとした。 シャルロットはふるえていた。前にこんなことが起こったこ...全文を読む


第563回

第31章

  同じ頃、ソサイエティ=ホールには、ほとんど全校生が集まっていた。知らない人が見ると、コンサート前の雰囲気だった。ソサイエティの生徒たちは、ステージの上で自分たちの座席に着いていた。そして、客席にいた生徒たちは、指揮者が台に乗り、演奏が始まるのを待っているかのようにステージを見つめていた。ただ、この日は、コンサートが始まるのを皆が待っていたのではなかった。 ラザール=ドランドは、指揮台の方へと歩い...全文を読む


第564回

第31章

  ドクトゥール=ワッセルマンは、駆けつけるなり、言った。「誰か、ドクトゥール=シャルパンティエを呼んできてくれないか、急いで!」 ドクトゥール=ワッセルマンとアルフレッド=ド=グーロワールの二人で、アグレスールをホールの外に連れ出した。プレザンスとアーデルハイトが後に従った。そして、ド=グーロワールが一人でホールに戻ってきた。「・・・さて、落ち着いたかね?」ド=グーロワールが指揮台に立って言った。...全文を読む


第565回

第31章

  1912年11月10日日曜日、パトリック=ド=メディシスのもとに行った3人は、一足先にミュラーユリュードに帰ってきた。パトリック自身は、木曜日に戻る予定であった。 その日は、学校の外出許可日ではないので、あらかじめ到着予定時刻を知らされていたクラスメートたちは、門の前で彼らを待ち受けていた。 馬車が校門の前に止まり、最初に松葉杖を持ったジュール=ド=メディシスが降りた。そして、フランソワ=ジュメ...全文を読む


第566回

第31章

  翌朝、シャルロットはいつものように皆よりやや早めに教室に向かっていた。 途中、噴水前の掲示板の前を横切ろうとしたとき、見覚えがないポスターを発見し、足を止めた。 一つは、校長の名前で出された布告だった。それは、今後一ヶ月ソサイエティの活動を停止するという内容の通知だった。日付は、前日のものだった。クーデターが終了してすぐに、校長は活動停止を決定したのだろう。 もう一つは、やや色あせた緑色のポスタ...全文を読む


第567回

第31章

  シャルロットがほほえんでいるのを見ているうちに、ギュンターの表情も明るくなってきた。「・・・記憶が、戻ったの?」ギュンターが訊ねた。 シャルロットはうなずいた。「よかったね、と言ってもいいかな?」「ありがとう」シャルロットが言った。「あなたに会えてよかったわ。謝りたかったのよ、ずっと。だって・・・」「あのとき、自分の正体を隠していたから?」ギュンターが訊ねた。「隠してはいなかったわ。わたしたち、...全文を読む


第568回

第31章

  二人は、教室に向かって歩き出していた。 シャルロットは、ギュンターにパトリック=ド=メディシスの話を始めた。彼の病状の説明を終えたあと、かの女は彼の父親を捜したいという意向を告げたのである。「・・・それで、わたしが考えた方法は、雑誌に広告を載せたらどうかというものなの」シャルロットが言った。「彼の父親が読みそうな雑誌に、連絡が欲しいと載せてもらうのよ」「なぜ、新聞じゃないの?」ギュンターが訊ねた...全文を読む


第569回

第31章

  そのとき、ノックの音がした。 4人ははっとして、一斉にドアの方を見た。 開いたままになっていたドアのところに、五線紙をひとまとめにした手書きの楽譜を手に抱えた少年が立っていた。リシャール=マティスだった。「この時間なら、あなたがここにいると思いました、マドモワゼル=チャルトルィスカ」リシャール=マティスは真面目な顔で言った。「今朝は、お願いがあって来ました」 シャルロットは首をかしげた。「ブリュ...全文を読む


第570回

第31章

  シャルロットは楽譜を開いた。かの女は、彼がその曲を<交響詩>と言ったのを覚えていた。かの女は、てっきりスコアを渡されたのだと思った。ところが、その楽譜は、パート譜だった。一見、ピアノ連弾の楽譜風のパート譜は、自分のパートと、ピアノ譜にアレンジされたオーケストラ部分が載っているもので、シャルロットは一目でその曲が<交響詩>というよりは<ピアノ=コンチェルト>に近いことを読みとった。「これを、わたし...全文を読む


第571回

第31章

  少しして、アルフレッド=ド=グーロワールが教室に現われた。その頃には、教室にはほとんど全員がそろっていた。「・・・欠席者は二名・・・」彼はメモを取りながら言った。欠席者というのは、アグレスール=ベルリオーズとパトリック=ド=メディシスである。それから、彼はメモを見ながら朝の連絡事項を読み上げた。「今朝は、連絡事項は少ない。一つは、掲示板をみた人は知っていると思うが、ソサイエティの活動が停止されて...全文を読む


第572回

第31章

 「アルマン=リヴィエール先生の弟子の一人が、先生に直談判したんだそうだ」ド=グーロワールが説明した。「彼が先生に何を言ったのかはわからないけど、先生は、『彼から銀貨30枚もらったんだ』と言っていた」 シャルロットは目をぱちくりさせた。かの女は、彼が何を言いたいのかわかると、真っ青になった。「・・・ミュー・・・オーギュスト=ド=マルティーヌなんですね、モマン=ミュジコー?」 ド=グーロワールはうなず...全文を読む


第573回

第31章

  シャルロットは大きく息を吸った。「いつか、あなたは、わたしを好きだと言ってくれたわよね。わたし、まだ子どもだけど、人を好きになるってどんなことか知っているつもりだったわ。好きになるって、その人を一番大切に考えることだと思っていたわ。でも、あなたは違うのね。それとも、あなたは、わたしに嘘をついていたのかも知れないわね」「ぼくが嘘をついたって!」オーギュストは、早足でかの女のそばまでやってきた。そし...全文を読む


第574回

第32章

  翌日の午後、シャルロットはソサイエティ=ホールにいた。 スゴンのクリスマス=コンサートに向けて初の顔合わせだった。 コンサートで演奏される曲目は全部で2曲だった。一つはピアノを含む管弦楽曲、もう一つはオルガンを含む交響曲・・・という組み合わせだったので、一方をこのソサイエティ=ホールで、もう一方をサン=ステファーヌ聖堂で演奏することになっていた。ただ、どちらの曲が先に演奏されるかは今のところ未定...全文を読む


第575回

第32章

 「余計なことを言わなくていい」リシャール=マティスが小声で抗議した。「第一部が3という数字にこだわるのは、シャルロットという言葉が3音節からなるからなんだ」オーギュストがかまわずに続けた。「たとえば、第一部は3つの部分からできているでしょう?・・・だから、このドシラミファシソソミ、というテーマも、ドシラミ、ファシソ、ソミじゃなきゃならないんだよ。そもそも、このテーマは・・・」「・・・かわりに説明し...全文を読む


第576回

第32章

 「彼は、6年生のときから、アルマン=リヴィエールに習ったんですって」ヴィルフレードの自慢話は続いた。「この学校で一番の作曲家に最初から習えるなんて、彼は運がいいですよね」 ヴィルフレードは、リヴィエールのクラスに入ることはできなかった。それは、全くの偶然だった。というのは、リヴィエールは、この年の新入生からは弟子を取らなかったからである。そう決めてから、ヴィルフレードの存在を知って残念がったのは言...全文を読む


第577回

第32章

  作曲準備コースの生徒数は多くないので、6P~4Pまでの生徒は同じ教室で授業を受ける。シャルロットの6Pの同級生は二人だった。二人とも6年生の生徒で、3度目の6P受講だった。シャルロットは彼らと一緒に初歩的なカデンツを書き写していた。後ろの方では、4Pクラスのヴィルフレード=フェリシアーニが対位法の課題に取り組んでいた。ヴィルフレードの担当教師は、彼がソプラノ記号で書かれた旋律を間違えて読んでいる...全文を読む


第578回

第32章

  翌日の午後、シャルロットはほかの3人の生徒と一緒にピアノのレッスン室にいた。 かの女のピアノの先生は、リディア=ロランといった。もともとマルセイユ音楽院でピアノ初級クラスを受け持っていたのだが、第1回クラリス=ド=ヴェルモン=コンクールのときに審査員をして以来ミュラーユリュードという土地が気に入り、翌1908年から5年間の契約でサント=ヴェロニック校のピアノ教師の職に就いた。今年がその5年目にあ...全文を読む


第579回

第32章

  それを聞いたシャルロットは、ほんのわずか不愉快そうな表情を浮かべた。 その表情を見て、ロラン女史ははっとした。かの女は、何かを思い出しかけたのである。「・・・マドモワゼル=ロラン、その曲が難しいということは度外視なんですか?」シャルロットは不満そうに訊ねた。「あら、コンクールで簡単な曲を弾くわけにはいかないわ。でも、あなたがみんなを驚かせるのは、ベートーヴェンでではないわ。次のショパンよ」ロラン...全文を読む


第580回

第32章

  シャルロットが次に右手の痛みを感じたのは、金曜日の午前の授業中のことだった。 英語教師のチャールズ=マクドウェルは、いつものように授業の始めに書取をさせた。彼は、歩きながら問題を読み上げた。彼は、授業中、教壇にずっと立っていない。教室中を歩き回るのが彼のスタイルである。そして、決してフランス語を話さない。 最初の問題を読み上げた後、彼は一番前の席に座っていた少年たちの答案をのぞき込んだ。そして、...全文を読む


第581回

第32章

 「わたしとドリー?」エリザベートが訊ねた。「あなた、ひょっとして、わたしとドリーの関係を知っているの?」「関係・・・?」シャルロットはびっくりして首を横に振った。「いいえ」「わたしたち、似ていると思わない?」「いいえ」シャルロットはもう一度首を横に振った。「本当に? わたしたちの目は、父親譲りなのよ」「わたしたち・・・?」シャルロットは、目の前にいるエリザベートのグリーンの目を見つめた。そういえば...全文を読む


第582回

第32章

  三人のクラスメートたちはあぜんとしたまま話に聞き入っていた。「わたしたちは、仲がいい姉妹だったわ。でも、この学校に入って以来、姉妹だということを隠していたのよ。別に、わざとじゃないんだけどね。でも、わたしたち、目の色以外はそれぞれ母親似だから、誰も気づかなかったのよ。わたしたちも、わざわざ公表しようと思わなかったし。この学校ではずっと同じクラスだったけど、同じ年だから、不思議はないわよね」エリザ...全文を読む


第583回

第32章

  次の木曜日、シャルロットは<きづたの家>を訪ねた。 かの女は、二人の<所長代理>たちに手のことを相談した。 ブリューノ=マルローは、手を診察したあと、こう言った。「・・・どうしてこんなに悪くなるまで、ほうっておいたのですか?」「もう、治らないの?」シャルロットは訊ねかえした。「ほかの医者の意見も聞いてみないと何とも言えないけど」マルローは顔をしかめた。「今なら、たぶん、よくなると思います。まず、...全文を読む


第584回

第32章

  シャルロットははっとした。「フランショーム一族は、そんなにかたき役が似合うのでしょうか?」ダルベールは悲しそうに続けた。 そのときになって、シャルロットは、アンブロワーズ=ダルベールがフランショーム一族なのではないかと初めて思った。そういえば、彼も赤毛だった。ほかのフランショーム一族の誰とも似ていないので、今まで気がつかなかったのであるが・・・?「・・・違うのよ、ドクトゥール=ダルベール。わたし...全文を読む

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