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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年02月  】 更新履歴 

  02.01.  【 第32章 】  第585回   さわりを読む▼
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第585回

第32章

  学校に戻ったのは、まだ昼前だった。かの女は、寮に戻らず、大好きな場所の一つであるあの大きな木の所に行った。 しかし、木の下に先客がいた。美しい黒い髪をした少年が、木の下に座って本を読んでいた。彼は、人の気配を感じて、本からゆっくりと目をあげた。ハンサムな少年だった。「こんにちは」少年が先に声をかけた。「こんにちは」シャルロットも同じように挨拶した。 その声を聞くと、少年ははっとしたようにシャルロ...全文を読む


第586回

第32章

  シャルロットの右手の故障はよくならなかった。初めは効いていた痛み止めは、しだいに効いている時間が短くなってきた。マルローをはじめ<ドクター=チーム>の医者たちは、シャルロットにコンクール出場を辞退するように勧めたが、シャルロットは頑として聞き入れなかった。 シャルロットは、ドクトゥール=ダルベールに付き添われてアランソンに向かった。 今年度の<全フランス>で地区代表に選ばれるだろうと言われていた...全文を読む


第587回

第32章

 「・・・7番。最後だね。フィリップ=デュシャン。一位で予選を通過したとかいう・・・。しかし、わたしなら、彼を一番にはしなかったけどね」「じゃ、誰を選んだんですか?」「23番目に弾いた赤毛の男の子だ。名前は何だったかな・・・?」 コルネリウスは赤くなった。23番はコルネリウスの受験番号だった。 そのとき、ステージに出た少年がお辞儀をし、拍手が起こった。二人の会話はそこで打ち切られた。「おや、同じ曲・...全文を読む


第588回

第32章

 「あの人は、<ジュネス>の審査員長のアレクサンドル=ピサンだよ」コルネリウスは、驚いているシャルロットを、例の冷たいほほえみを浮かべながら見ていた。「あの彼が、グルノーブルにおいで、って言うとはね」 シャルロットは、コルネリウスのその笑い方が嫌いだったが、彼が笑っていたのにも気づかずにぼんやりしていた。 コルネリウスはシャルロットの肩を叩いた。「一緒に帰ろう、プティタンジュ」 シャルロットは驚いて...全文を読む


第589回

第32章

  コルネリウスは真っ赤になった。「かの女がぼくを? それは本当かどうかわからないけど、それが反対なら本当だよ。ぼくは、かの女を愛していた。10歳の男の子が、5歳の女の子を愛しているというのは、奇妙なことに聞こえるかも知れないけど」「そんなことないわ。わたしは10歳だけど、好きな人がいるわ」シャルロットも赤くなった。「ひとを愛するのに、年齢が関係あるとは思えないわ」 コルネリウスはうなずいた。「そう...全文を読む


第590回

第32章

 「どうして、そんなことが理由になるの?」「さっき、ぼくは、きみが怖かったと言ったよね」コルネリウスが言った。「初めてきみにあった日、つまり、きみがぼくのところに駆け寄ってくれたときのことだけど---目を開けたとき、きみはとってもきれいな目でぼくを見つめていた。そのとき、ぼくは、きみが天使に見えた。そして、ぼくは、そのとき、ザレスキー一族の目が恐ろしいということに初めて気がついたんだ・・・」「どういう...全文を読む


第591回

第32章

  第二次予選のすべての演奏が終了したあと結果が発表されるまで、出場者たちはかなり長い時間、そのままホールで待たされていた。コルネリウスとシャルロットは、並んで座っていた。二人は、和解したわけではなかったが、何となく一緒にいた。それは、昔、二人が良くとった仲直りの方法だった。 昔から、コルネリウスは謝るのが嫌いだった。いくら自分が悪くても、コルネリウスは決して自分からは謝らなかった。そういうわけで、...全文を読む


第592回

第32章

  シャルロットは、ピサン氏がほかのコンクールの審査員長をつとめていることを知っていた。審査員の立場からコンクールを見る、という視点にかの女は初めて立った。かの女の演奏は、客観的に見るとそういうことなのか・・・。審査員たちは、そこまでかの女の将来性を考えていてくれているのだろうか? かの女は、考え込んでいるピサン氏を見つめた。コルネリウスに目を移すと、彼も考え込んでいるように見えた。 そのとき、会場...全文を読む


第593回

第32章

  本選は、予選通過順で行われた。本選は、これまでの予選で弾いた曲を2曲とも演奏するのである。最初にコルネリウスがステージに上がり、次にシャルロットが弾いた。この二人が終わった時点で、会場の人々にも、地区代表はこの二人のうちどちらかだろう、とはっきりわかった。あとの5人はどうでも良かった。会場の人たちは、早く結果を知りたがった。 全員の演奏が終わり、審査員室に集まった14人は、集計された点数を見てあ...全文を読む


第594回

第32章

  アンブロワーズはシャルロットのあとを追った。しかし、かの女はかまわずに楽屋のほうに向かって歩き続けていた。 コルネリウスの演奏は続いていた。シャルロットは控え室には入らず、まっすぐ舞台の袖に歩いて行った。そこには誰もいなかった。 アンブロワーズは、暗闇の中でもう一度シャルロットに言った。「お願いです。今ならまだ間に合います。やめて下さい、シュリーさま」 シャルロットはアンブロワーズに向かってもう...全文を読む


第595回

第33章

  アランソンから帰ってきた晩、シャルロットは2通の手紙を受け取った。差出人の名前はA.ド=メディシス、そしてI.ド=メディシスであった。かの女は封筒を見つめ、どちらから開封すべきか迷った。そして、男性的な筆跡のほうを先に開封した。 それは、きわめて短い手紙だった。《親愛なるフロイライン=チャルトルィスカ <フラウ=カール=ドルシュキー>誌の編集部からの手紙で、パトリックの病気について知らされました...全文を読む


第596回

第33章

  シャルロットは、その晩、とうとう眠ることができなかった。 翌朝、かの女は、学校に一緒に行く相手をエリザベート=ド=ノールマンにした。 エリザベートは、かの女と一緒に歩きながら、イングリット=ド=メディシスからの手紙の話を聞いた。「・・・かわいそうなディール・・・。彼は、また一人になってしまったのね」「一人じゃないわ。パトリックがいるでしょう? それに、新しい母親が来るのよ」「彼にとって、3人目の...全文を読む


第597回

第33章

 「ところで、予告通り、今日は古代史のテストを行う」ド=グーロワールが言った。「本当は、定期テストはあさってからなのだが、出張が入って、どうしても期間前にテストを行わなければならなくなった」 シャルロットの顔は次第に青ざめていった。その話は初耳だった。「おととい、正式に校長先生の許可が出たので、各クラスにはすでに予告が行っているはずだ・・・ところで、プティタンジュ、まさか、誰からも聞いていないとか・...全文を読む


第598回

第33章

  シャルロットは、黒板を絶望的なまなざしで見つめていた。ドクトゥール=ダルベールは、かの女に、絶対に右手を使ってはいけないと言った。しかし、その忠告はもはや無駄なものだった。かの女の右手は、痛みのために、もはや動かすことができない状態になっていたのである。手を使わなければ答案に答えを書くことはできない。かの女は、そのときには、左手で答案を書こうとまでは思いつかなかった。書くためには右手を使わなけれ...全文を読む


第599回

第33章

 「実は、コルネリウスは、手のことを全く知らないわけじゃないんです」シャルロットが言った。「予選のとき、手のことでドクトゥール=ダルベールと言い争っていたのを見られてしまって、とっさに嘘をついたんです。最終選考の直前に転んでねんざしたんだと。だから、彼は、予選の前から手がおかしかったことには気がついていません」「最終選考の直前に転んでねんざした」ド=グーロワールが繰り返した。「なるほど。ドクトゥール...全文を読む


第600回

第33章

  シャルロットは、二人の少年に手紙のことを話す勇気がなかった。そうしている間に、午前の授業が終わり、全員教室を出て行ってしまった。 かの女は、ひとりきりで歩いていた。足は、勝手に、サン=ステファーヌ聖堂の方に向かっていた。 かの女が聖堂に行くと、かの女の指導教官でもあるペール=ボニファースがオルガンを弾いていた。彼が弾いていたのは、メランベルジェの小品だった。かの女は、思わずその場にひざまずいた。...全文を読む


第601回

第33章

  シャルロットには、彼が幸せそうには見えなかった。彼は、司祭よりもオルガニストに向いているし、現在でも、ミサ中に生徒たちに説教をしているときよりも、オルガンを教えているときの方が生き生きして見えた。シャルロットは、彼を見ているうちに、つい、質問してしまったのである。ただ、彼が本当のこと---詳しいことを話してくれるとは思わなかったのだが・・・。 かの女は、当惑したように彼の後ろ姿を見送った。かわりに...全文を読む


第602回

第33章

  翌日、シャルロットの右手の<負傷>のことは、学校中に知れ渡った。アンブロワーズ=ダルベールの診断書が提出され、シャルロットは、手が完治するまで右手を使うことを禁じられたとして、一月の終わりまでのすべての実技授業を免除されたのである。ただし、次週からの期末テストの残りの教科は口頭試問で行うことに決まった。 昼休みになると、その時間を待ちかねていたように二人の少年が2年7組に現われた。「・・・ねえ、...全文を読む


第603回

第33章

  休み明けの金曜日の朝、掲示板に3つの案内が出た。 シャルロットは、まだ誰もいない掲示板の前で、案内を3つとも読んだ。 一つは、スゴンのクリスマスコンサートの無期限延期についてであった。演奏者体調不良により、開催日未定、とあった。シャルロットは、それを見て、二人の作曲家のために心を痛めた。 のこりの二つは、<サント=ヴェロニック賞コンクール 演劇部門>と<サント=ヴェロニック賞コンクール 弦楽器・...全文を読む


第604回

第33章

  シャルロットは、ギュンターに訊ねた。「もう一つの弦楽器・作曲部門、って?」「サント=ヴェロニック賞コンクールの音楽部門は、3年周期で行われているんだ」ギュンターが言った。「このコンクールのユニークなところは、弦楽器部門も管楽器部門もそうだけど、楽器ごとの優勝者を決めるんじゃないんだよ。だから、優勝するのはヴァイオリニストかもしれないし、チェリストかもしれない。とにかく、一番弦楽器が上手な人を表彰...全文を読む


第605回

第33章

 「わたしも、お世辞を言うのは嫌いよ」シャルロットはほほえんだ。「あなたは、本当に上手だわ。それに、わたし、ショパンのチェロソナタが大好きなの」 フランソワーズは、少しだけ眉をひそめた。「亡くなった友達が得意な曲だったの」シャルロットが続けた。「わたし、彼のようには、未だに演奏できないのよ。あなたの演奏を聴いていたら、彼を思い出して・・・」「そうなの・・・」フランソワーズが相づちをうった。「中に入っ...全文を読む


第606回

第33章

  シャルロットはチェロを見つめていた。「あなた、今の話、誰かに聞いたことがある?」フランソワーズが訊ねた。「いいえ」シャルロットが答えた。「そう・・・意外だったわね」フランソワーズが言った。「この話、あなたとは無関係じゃないのよ。今の話の公爵とその恋人というのが、わたしの祖父母なのよ」 シャルロットは黙ったままだった。「そして、公爵夫妻というのが、あなたのおじいさまとおばあさまなのよ」 シャルロッ...全文を読む


第607回

第33章

  シャルロットはうなずいた。フェリシアーヌ=ブーレーズは、あの事故のあともきづたの家に残っていた。シャルロットは、フェリシアーヌがわざとかの女を避けていることを知っていた。シャルロットがユーフラジーにそっくりだったため、ユーフラジーを愛していた人たちのほとんどは、シャルロットを見るとユーフラジーを思い出すという理由から、かの女を避けるようにしていたのである。所長代理たちは、本当のことを知っているの...全文を読む


第608回

第33章

  12月21日に冬休み前のすべての授業が終了した。 その日、テストの結果が掲示板に張り出された。シャルロットが掲示板を眺めていたとき、一人の少年がかの女に声をかけた。ドニ=フェリーだった。「317点はすごいね」 シャルロットは振り返った。そして、ドニの姿を認めると、あまりうれしそうな顔を見せないようにしながら答えた。「古代史だけ17点だったのよ」「残りがすべて満点だった、ってこと?」ドニはびっくり...全文を読む


第609回

第33章

  二人は黙って見つめ合っていた。フェリシアーヌの目に涙がたまった。「・・・ロッティさま・・・」フェリシアーヌが思わずつぶやいた。「生きていらっしゃったんですね・・・」 シャルロットはかの女から目をそらした。「・・・わたしは、シャルロット=チャルトルィスカです」「いいえ、あなたは、シャルロット=ド=ルージュヴィルさまです」フェリシアーヌが言った。 シャルロットは首を横に振った。「あなたは、ユーフラジ...全文を読む


第610回

第33章

  その翌日、シャルロットはド=ルージュヴィル家のリールの別荘の前に立っていた。 ここに来たのは約10年ぶりである。当然、かの女は当時のことは覚えていない。まるで初めて見るようにかの女は屋敷を見た。 門のところに、パスカル=ブーレーズが立っていた。シャルロットは、彼に気づかれないようにこっそり観察した。あれでは、正攻法では正面から入ることは不可能だ。かの女は、裏口へと歩き出した。しかし、通用口は外か...全文を読む


第611回

第33章

  男性は、シャルロットを見ると、びっくりしたような顔をして、一歩後退した。「・・・ロッティ・・・?」男はかすれたような声で、やっと口を開いた。「・・・シュリー、生きていたんだね?」「・・・ペール=トニィ?」シャルロットもやっとのことで声が出た。「ああ。幽霊じゃないよ」ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、シャルロットのところに駆け寄って抱きしめた。「・・・すてきなクリスマス=プレゼントだわ」シ...全文を読む


第612回

第33章

  シャルロットとドクトゥールは、二人だけで先にミュラーユリュードに戻った。 ドクトゥールは、シャルロットが<事故>のあとどんな生活をしてきたかを聞いた。海岸で助けられた相手が、いとこのナターリア=スタニスワフスカの義理の母親だったという偶然から、ナターリアの子どものかわりにポーランドに送られ、そこで暮らした5年間の生活は、ドクトゥールにとってもあまりにも突拍子もない話だった。ナターリアが、まるでシ...全文を読む

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