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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年04月  】 更新履歴 

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第644回

第35章

  コルネリウスは考え込んだ。次々にいろいろなことが思い浮かんだ。 車椅子に乗っていたシャルロット=チャルトルィスカと初めて会った日、気を失って倒れた彼を助けようとして、かの女は初めて歩いた。これは奇跡だ、と医者たちさえ言っていた。『ありがとう、モン=プティタンジュ』と言ったとき、かの女はなんてうれしそうにほほえんだことだろう! そのかの女を、彼は裏切ってしまった。『ドンニィ、あなた、それを知ってい...全文を読む


第645回

第35章

  シャルロットは困ったようにコルネリウスを見た。「それじゃ、どうしたら信じてくれる?」「信じられないね」コルネリウスは表情を変えずに答えた。「わかったわ」シャルロットが言った。「今すぐここから出て行って。そして、出るときに、忘れずにマダム=ベルマンに会って、この部屋から来たということね。そうすれば、あなたは仕返しができるわ」「じゃ、そうさせてもらおうか」コルネリウスはかの女をじっと見つめながら答え...全文を読む


第646回

第35章

  シャルロットは、自分の服ではコルネリウスが着ることはできないと思った。仕方がないので、彼の服が完全に隠れるような大きなマントを用意した。それは、劇のために作ったものだったが、結局使わなかった衣装の一つだった。かの女は、スタニスワフのチェロケースを開け、長い金髪のかつらを出した。そのかつらを着け、マントを着用すると、彼は女性のように見えた。シャルロットは、そこに立っているのが、スール=サント=ジュ...全文を読む


第647回

第35章

  その翌日、コルネリウスは遅刻すれすれの時間に教室についた。顔に残ったあざのことを誰かに聞かれたくなかったからである。彼は、フランソワと目を合わせないように席に着いた。それでも、彼のあざは目についたらしく、何人かが彼の元にやってきた。「・・・昨日は、午後の授業に出なかったんだね?」シュテファン=フォン=シュタウフェンベルクが訊ねた。「お昼過ぎから、きみをみた人が誰もいないんで、心配していたんだけど...全文を読む


第648回

第35章

  自室謹慎処分が解けた日の朝、シャルロットはいつものようにはやく教室に行った。みんなが来る前に、フランソワ=ジュメールに話があったからである。 教室には、フランソワとウラジーミルがいた。彼らは、その日もはやかった。 シャルロットは、フランソワを見るなり、挨拶もしないでこう言った。「アンシャン、わたしは、たとえどんな理由があろうと、人に対して暴力をふるう人を許すことはできません」 フランソワは驚いて...全文を読む


第649回

第36章

  クリスマスに予定されていたコンサートが復活祭後に行われることが正式に決定された、という知らせを持ってオーギュスト=ド=マルティーヌが2年7組にやってきたとき、教室では別の話題で持ちきりだった。 オーギュストは、教室に入るなりその話題を耳にし、シャルロットを探した。かの女は、フェルディナンド=フェリシアーニと話し込んでいた。「聞いたよ。ミュラーユリュード演劇祭で、主役をやるんだって?」オーギュスト...全文を読む


第650回

第36章

  オーギュストは、思わず監督をにらみつけた。「ぼくの目の前で、かの女に愛をささやいたらどうなるか、思い知らせてやってもいいんだぞ」 監督はほほえんだ。「そんなことは、間違ってもしないつもりだ。思い知らせてやると思っている男性は、きみ一人ではないことをよく知っているからね」 シャルロットは目を丸くした。「ありがとう、プティタンジュ。楽しみにしているよ」そう言うと、監督は二人の前から去った。 シャルロ...全文を読む


第651回

第36章

 「・・・ぼくが好きなのは、メランベルジェじゃない。クラリス=ド=ヴェルモンだ」オーギュストはかの女の言葉を一部否定した。「かの女は、ぼくの最高の教師だった。ぼくのほうは、必ずしもかの女の自慢の弟子だったと言い切れないが・・・」 オーギュストは、遠い目をした。それから、彼は急に話を戻した。「いや、メランベルジェが嫌いなわけじゃない。好きだと言ってもいい。ぼくは、今の時代に対して古いスタイルの復活を宣...全文を読む


第652回

第36章

  シャルロットがジュネス=コンクールに参加するにあたって、情報提供をしたのは、またしてもギュンター=ブレンデルだった。かの女は、主なライヴァルになりそうな人たちのことを尋ねると、ギュンターはコンクールの前評判を教えた。「今回の優勝候補は3人だ。一人は、きみも知っているマルセル=ティボーデだ」ギュンターは、まるで新聞記事でも読むような調子で言った。「マルセル=トーマ=ティボーデ。1896年生まれ。サ...全文を読む


第653回

第36章

  そう言うと、ギュンターは急にほほえんだ。「そういえば、クラコヴィアークのほかのメンバーは? ほら、あのとき、もう一人いたでしょう、たしか犬が嫌いだといっていた人が?」 シャルロットもほほえんだ。「フェリックス?」「そうだったね。彼は、どうしたの? やっぱり、ウィーンに留学しているの?」「いいえ、彼は・・・」シャルロットは首をかしげた。「彼は、父親を捜すと言って、飛び出して行ってしまったの。・・・...全文を読む


第654回

第36章

  ジュネス=コンクールは3月1日土曜日に始まった。登録は全部で116人だった。 第一次予選は、一日に20人ずつ演奏することになっていた。この予選の課題曲の数は過酷だった。実際にステージで演奏するのは、3~4曲だったが・・・。 第一次予選の課題曲は以下の通りである。 (1)ショパン エチュード作品25より5曲選択、当日3曲指定 (2)リスト パガニーニ大練習曲より3曲選択、当日2曲指定 (3)シュー...全文を読む


第655回

第36章

  シャルロットは、ルブラン夫人に近づき、自分の学生証を見せた。ルブラン夫人は、学生証の写真とシャルロットを見比べ、やっと信用した。「・・・10歳の二年生なのね! それにしても、アドルフって、人を驚かせるのが好きなのね、いくつになっても・・・」 シャルロットは、うれしそうにルブラン夫人を見た。「アドルフ、って、校長先生のことですか?」「ええ、アドルフ=ド=ラグランジュよ、もちろん。わたしの、元同級生...全文を読む


第656回

第36章

  そして、マルセルが出場する日がやってきた。 マルセルの受験番号は80番、シャルロットは81番だった。ただ、第一次予選は一日20人ずつ演奏することになっていたので、二人が演奏する日は別々である。シャルロットは、ルブラン夫人と二人で会場に来ていた。 午前中に61番から70番までの演奏が行われた。午後の演奏が始まったが、なかなかこれといった演奏者が出てこないままこの日の予選が終わろうとしていた。しかし...全文を読む


第657回

第36章

  予選はどんどん進んでいった。 第二次予選が終わり、残った12名の中に、シャルロットの名前もあった。78番のフリードリッヒ=ホフマン、79番のエドモン=メーストル、80番のマルセル=ティボーデ、そして、81番のシャルロット。この4人は、注目されていた。この4人の中から1位が出ると噂されるほどだった。 第三次予選は、オーケストラとの共演だった。12人は、持ち時間15分のリハーサルを行った上で、6人ず...全文を読む


第658回

第36章

  ルブラン夫人は封筒を取ろうとして手を出したのだが、その手の中にシャルロットの体が倒れ込んだ。かの女は気を失っていた。「シャルロット!」マルセルは驚いて叫んだ。「医者を呼んでくる!」びっくりしたリシャールは、部屋を飛び出して行った。 マルセルは、シャルロットの手から電報らしい紙を取った。それには、こう書いてあった。《フェリックス キトク スグアイニコイ。 H・クチュリエ》 その紙の裏側に、封筒と同...全文を読む


第659回

第36章

 「どうしたのかね、おじょうさん?」医者は、白いあごひげをなでながら訊ねた。「わたし、行かなくちゃ。フェリックスが死んでしまうわ」 リシャールは、テーブルの上から電報を取って医者に見せた。医者はそれを見て、シャルロットを説得するような静かな口調で言った。「パリ行きの列車は、夕方までは一本もない。だから、ピアノを弾いてから行っても遅くはないよ」「わたし、行かなくっちゃ」シャルロットは、ぼんやりと繰り返...全文を読む


第660回

第36章

  ステージの上では、オーケストラの団員たちが、3番目のピアニストを待っていた。 シャルロットは舞台の袖のところに立ち止まったまま泣きじゃくっていた。拍手の音にびっくりして、シャルロットは顔を上げた。しかし、かの女は歩き出さなかった。かの女は、目に涙をいっぱいためたまま指揮者を見つめていた。そこで、指揮者は指揮台から降り、かの女のところに来て、かなり大きな声で言った。「さあ、ピアノのところまで行こう...全文を読む


第661回

第36章

  シャルロットが選んだ自由曲は、ショパンの<クラコヴィアク>だった。かの女はポーランドで生活し、ポーランドの作品は得意だったが、中でもこのクラコヴィアクは特別好きな曲だった。聴衆にも、オーケストラのメンバーにもそれがわかったようだった。 演奏が終わると、コンクールでは異例なことであったが、かの女はカーテンコールで何度も呼び出された。拍手はいつまでも鳴りやまなかった。13回目に出たとき、指揮者は、も...全文を読む


第662回

第36章

  ジョゼフ=サヴェルネは、予選が終わる頃を見計らってオーケストラ団員の控え室に行った。 ステージでの演奏はまだ続いていたので、彼は控え室でしばらく待っていた。 やがて、団員たちはそれぞれの楽器を持って戻ってきた。彼の姿を見て、コンサートマスターがうれしそうに声をかけた。「やあ、サヴェルネくん、来てくれたの?」「ええ、ちょっと。なかなか面白い子がいるって聞いたんでね」サヴェルネが答えた。 コンサート...全文を読む


第663回

第36章

  フェリックス=オルシャンスキーは、父親を訪ねてフランスにやってきた。彼には、父親の名前も、父親がマルセイユに住んでいるということもわかっていた。詳しい住所まではよくわからなかったが、父親は、マルセイユでもかなりの有名人だと聞かされていた。 フェリックスは、なんとかパリまでやってきたが、そこですりにあい、お金を全部取られてしまったのである。彼は、マルセイユの父親に連絡を取ることもできずにいた。そこ...全文を読む


第664回

第36章

  スール=コラリィは、首を横に振った。「絶対に許しません!」「お願いです・・・」シャルロットは涙ながらに訴えた。「だめです。たとえわたしが許しても、彼が許さないでしょう。帰りなさい、グルノーブルへ」 ドクトゥール=クチュリエは、口をはさんだ。「ねえ、マ=スール、ちょっとだけだったらいいんじゃない・・・?」 彼は、スール=コラリィににらみつけられ、最後には口ごもって黙ってしまった。「帰りなさい」スー...全文を読む


第665回

第37章

  シャルロットはグルノーブルに戻ってきた。 かの女はまっすぐにホールに向かい、入り口の掲示板を見た。予定通りなら、今日は本選の二日目のはずだった。しかし、掲示板には、第三次予選の日程が貼ってあるままであった。「・・・戻ってくると思っていたよ」シャルロットが振り返ると、そこにはマルセル=ティボーデが立っていた。「・・・予選の結果は・・・?」シャルロットが訊ねた。「ごらんの通り、まだ出ていない」彼が答...全文を読む


第666回

第37章

 「ところで、どうして、ブルマイスターにヴァイオリンなんて・・・? あなたには、ピアニストとしての方が適性があると思うんだけど?」フランクが訊ねた。 シャルロットは、困ったように彼を見た。「一言で説明するのは難しいんですが、すりかわったんです、わたしたち・・・」「わたしたち、って・・・?」彼も解せない様子だった。「わたしと、シャルロット=スタニスワフスカという少女が、です。どうしてそんなことになった...全文を読む


第667回

第37章

 「フェリックスくんの父親は、たぶん、ブーランジェ氏だと思うね」フランクが言った。「彼がフランスに来たのは、1899年だ」「あのヴァーク=ブーランジェ氏がそうなんですか・・・? でも、彼がフランス人じゃないなんて知らなかったわ」「そう、彼の名前は、ヴァンセスラス=ロマノフスキー=ブーランジェだ。ポーランドでは、ヴァンセスラスではなくヴァーツワフというのが正式な呼び方だそうだね。でも、彼は、普段はヴァ...全文を読む


第668回

第37章

  サント=ヴェロニック校は学期末試験前で、先生たちも生徒たちも緊張した毎日を送っていたが、その中で2年生の一部だけは、頭の中が4月のミュラーユリュード演劇祭へ向かっていた。キャストたちは、シャルロットが戻ってくるまでにせりふを全部暗記するようにと言われ、前回と同じ役柄のコルネリウスなどごく一部の生徒を除いては、勉強以外のことに集中させられていた。スタッフたちの大部分は、現在のところ暇であったが、衣...全文を読む


第669回

第37章

  パトリックはあぜんとしてフランソワを見つめた。「どうやら、図星だったようだね。きみは、本当は、プティタンジュが恐いんだろう?」フランソワはたたみかけた。「何だと!」パトリックは怒りのために赤くなった。「かの女がいたら、泣いて反対されるってわかっているから、いないうちに飛びたいんじゃないのか?」フランソワは、まるで喧嘩を売るような口調で言った。「そんなことはない!」「じゃ、帰ってくるまで待つべきだ...全文を読む


第670回

第37章

  ジュールは真っ青になった。「もしものこと、って?」「<ベラミー>が飛び上がらないように、ちょっと細工をしたんだよ」フランソワが言った。「細工?」ジュールが訊ねた。「うん、話せば長くなるので、詳しい話は省略するけど、とにかく、飛行機は飛び上がらない」 ジュールは不審そうにフランソワを見つめた。 それは、5年前の初夏に始まった。その日は、町中が悲しみに沈んでいた日だった。パトリックとジュールは、遠い...全文を読む


第671回

第37章

  フランソワは、自分の不安を正直にベリエールに説明した。彼の心臓は、もう普通の生活をするのもやっとの状態で、医者があと半年の命だと言ってからすでに5ヶ月経っていることを説明した。もし、飛行機に乗っている最中に心臓発作を起こしたら、被害は彼自身と飛行機だけでは済まなくなる可能性もある---そこまで長距離を、あの飛行機が飛ぶとは思えない、とベリエールは反論した---、さらに、彼が死んだら悲しむ女性が、今、こ...全文を読む


第672回

第37章

  こうして、ドクトゥールは、パトリックの<飛行実験>につきあわされることになったのである。 さて、広場に先についたジュールは、パトリックが飛行機に乗らないようにするために説得を始めた。「・・・来てくれたの? これから飛ぶつもりだ。今まで、エンジンの調子がよくなくってね・・・」パトリックが言った。「今だって、変じゃない?」ジュールは、飛行機のことはよくわからなかったが、時間稼ぎをするつもりだった。「...全文を読む


第673回

第37章

  3月28日の午後、シャルロット=チャルトルィスカは、コンサートホールの入り口近くのロビーにいた。まわりには、かの女の一位受賞を祝福する人たちがいて、かの女はほほえんでそれに応えていた。授賞式直後のことだった。 かの女が第三次予選で巻き起こしたトラブルのため、コンクールの開催日程が大幅に狂っていた。本来なら16日に終わっているはずのコンクールが、トラブルや、ホールでのほかの日程との調整---17日以...全文を読む

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