FC2ブログ

年代記 ~ブログ小説~ 

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので
久しぶりのご訪問の方は、こちらで未読・既読のご確認ができます

【  2011年05月  】 更新履歴 

  05.01.  【 第37章 】  第674回   さわりを読む▼
  05.02.  【 第37章 】  第675回   さわりを読む▼
  05.03.  【 第37章 】  第676回   さわりを読む▼
  05.04.  【 第37章 】  第677回   さわりを読む▼
  05.05.  【 第37章 】  第678回   さわりを読む▼
  05.06.  【 第37章 】  第679回   さわりを読む▼
  05.07.  【 第37章 】  第680回   さわりを読む▼
  05.08.  【 第38章 】  第681回   さわりを読む▼
  05.09.  【 第38章 】  第682回   さわりを読む▼
  05.10.  【 第38章 】  第683回   さわりを読む▼
  05.11.  【 第38章 】  第684回   さわりを読む▼
  05.12.  【 第38章 】  第685回   さわりを読む▼
  05.13.  【 第38章 】  第686回   さわりを読む▼
  05.14.  【 第38章 】  第687回   さわりを読む▼
  05.15.  【 第38章 】  第688回   さわりを読む▼
  05.16.  【 第38章 】  第689回   さわりを読む▼
  05.17.  【 第38章 】  第690回   さわりを読む▼
  05.18.  【 第38章 】  第691回   さわりを読む▼
  05.19.  【 第38章 】  第692回   さわりを読む▼
  05.20.  【 第38章 】  第693回   さわりを読む▼
  05.21.  【 第38章 】  第694回   さわりを読む▼
  05.22.  【 第38章 】  第695回   さわりを読む▼
  05.23.  【 第39章 】  第696回   さわりを読む▼
  05.24.  【 第39章 】  第697回   さわりを読む▼
  05.25.  【 第39章 】  第698回   さわりを読む▼
  05.26.  【 第39章 】  第699回   さわりを読む▼
  05.27.  【 第39章 】  第700回   さわりを読む▼
  05.28.  【 第39章 】  第701回   さわりを読む▼
  05.29.  【 第39章 】  第702回   さわりを読む▼
  05.30.  【 第39章 】  第703回   さわりを読む▼
  05.31.  【 第39章 】  第704回   さわりを読む▼


第674回

第37章

 「これから、その絵を描いてもらいます。いいですか?」ロジェ氏が言った。 シャルロットはうなずいた。 ロジェ氏は、今まで宿舎になっていた屋敷にシャルロットと一緒に行った。 案内された部屋には、年老いた画家がいた。机の上の冠には、すでにルビーが5個入ったものが用意されていて、ピサン氏がそれを守るように控えていた。 ピサン氏は、シャルロットが部屋に入るなりうれしそうに歩み寄り、握手を求めた。「おじょうさ...全文を読む


第675回

第37章

 「そんなとき、サロンの中でちょっとした事件が起こったんです」画家は再び手を動かしながら言った。「フランショーム家出身のあるヴァイオリニストが、かの女に愛していると告白してしまったんです。そこへ、公爵が現われて・・・。その日以来、サロンは閉鎖され、公爵夫妻はその地を去っていきました。わたしがかの女を見たのは、それが最後でした・・・」 画家は苦しそうに目を閉じた。その手が再び止まった。「わたしは、思い...全文を読む


第676回

第37章

  彼には、シャルロットが驚いている理由はわからなかった。いや、思い出話に夢中になっていて、シャルロットが驚いていることを不思議がる余裕がなかった。「かの女は、不幸なひとでした。いわゆる政略結婚の道具にされてしまったんです。つまり、愛情なんかより家どうしの釣り合いによって無理矢理結婚させられた女性です。もっとも、かの女自身は夫を愛していると口癖のように言っていましたけどね」彼は、《そんなこと、信じら...全文を読む


第677回

第37章

  そのとき、彼らの後ろで咳払いの音がした。「・・・きみたち、そんなこと、子どもの目の前で話すような話じゃないだろう?」 振り返ると、ロジェ氏がそこに立っていた。 大人たち二人は、ばつが悪そうな顔をした。「あら、わたし、子どもじゃないわ!」シャルロットは、ふてくされたような顔をした。 三人の大人たちは笑い出した。シャルロットも最後には怒っているふりが続けられなくなり、笑い出した。 画家は、本当にうれ...全文を読む


第678回

第37章

 「今日は、お別れに来ました。あした、コンサートが終わったら、まっすぐ帰る予定なんです」シャルロットが言った。「本当にありがとうございました」 ルブラン夫人は、名残惜しそうに言った。「いつか、またグルノーブルに来てくれるかい?」「ええ、必ず。わたしは、もともとグルノーブルに勉強に来たんです」「勉強しに来た?」「ええ、ポーランドから」シャルロットが言った。 ルブラン夫人は、ちょっと驚いたような顔をした...全文を読む


第679回

第37章

  そのとき、会場にいたピサン氏が立ちあがってこう言った。「そうだな、わたしは納得できないね。コンチェルトはオーケストラと一緒に演奏するものだ。今のじゃ、ちょっとね・・・」 会場内で拍手が起こった。 ロジェ氏は本当に困ったような顔をした。「・・・わかりました、わたしがかわりに第一楽章を演奏しましょう」シャルロットが言った。「どうでしょうか?」 会場でもう一度拍手が起こった。「・・・よろしいですか、マ...全文を読む


第680回

第37章

  シャルロット、マルセル=ティボーデ、そしてブーランジェ氏の三人は、サン=ジェルマン=アン=レーにあるサン=バルナベ病院に向かった。 病院に着くと、スール=コラリィはひどく悲しそうな顔で---しかし、目が笑っているのをシャルロットは見逃さなかった---彼らを出迎え、ブーランジェ氏にこう言った。「フェリックスは眠っています。彼に会ってあげて下さい。たった今だったんです・・・」 スール=コラリィを含め、そこ...全文を読む


第681回

第38章

  通称<サント=ヴェロニック=ホール>と呼ばれている第二講堂は、2年生全体の劇<秋のファンタジー>の練習が始まって以来、2年生たちに占領されていた。彼らは、そこを自分たち専用の練習場にしてしまった。ステージは、すぐに劇ができる状態になっていたし、そのまわりは、大道具、小道具置き場のようになっていた。 ステージの上は、最後の場面、つまり、たくさんの椅子が並べられ、そのうちの一つに花嫁の白いヴェールが...全文を読む


第682回

第38章

  シャルロットは、ドニが何を思い出したのかわかっていた。昔、彼とこうやって結婚式ごっこをしたのは、かの女も覚えていた。しかし、そんなに昔のことを彼が覚えているとは思わなかった。「・・・わたし、そんなにユーフラジーに似ているの?」シャルロットが彼に訊ねた。 ドニは黙ってうなずいた。「あなた、かの女が本当に好きだったのね?」「好きだった」彼は素直に認めた。「そして、かの女そっくりだという理由から、ぼく...全文を読む


第683回

第38章

  そのとき、コルネリウス=ド=ヴェルクルーズを先頭に、何人かの生徒が現われた。「もう練習かい、感心なことだ」コルネリウスがいつもの皮肉めいた口調で言った。しかし、その目にはあたたかさが浮かんでいた。「おかえり、プティタンジュ。大変だったね」 シャルロットは真面目な顔で答えた。「ええ、大変だったわ」「・・・ごめん。ぼくが余計なことをしてしまったようで・・・」ギュンター=ブレンデルが言った。 シャルロ...全文を読む


第684回

第38章

 「・・・じゃ、せめて、お礼だけは言わせて」シャルロットが言った。「シューザンのことでは、あなたに助けてもらってありがたいと思っているわ。ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、あなたのようなクラスメートがいて、パトリックはとても幸せだ、と言っていたわ。わたしもそう思うわ」 フランソワは無言だった。「あなたは、誰にでも優しいのに、わたしにだけは違うのね」シャルロットが言った。「どうして、そんなこと...全文を読む


第685回

第38章

  1907年7月13日土曜日。その日、ドニ=フェリーの子ども時代が突然終わった。 彼は、唯一の家族である父親を事故で失い、<きづたの家>を去った。隣町に住んでいた母親の弟が彼を引き取った。彼は、叔父に、金銭的な負担は一切かけないという条件でサント=ヴェロニック校を受験した。そして、彼は奨学生として入学し、入学以来学年トップの成績を続けた。奨学金をもらい続けるためには、学年で一番でなければならなかっ...全文を読む


第686回

第38章

  ドニはため息をついた。「・・・あの結婚式ごっこの結末を覚えているんだね?」 コルネリウスは小さくうなずいた。 コルネリウスは、白いバラの花束を持ってドニの隣に立っていた1歳の花嫁に向かって質問した。『ユーフラジー=シャルロット=ステファニー=ド=ラ=ブリュショルリー、汝は、ドニ=セバスティアン=フェリーを花婿とすることを望むか?』 シャルロットは首を横に振った。『わたしがそうしたいと思っていない...全文を読む


第687回

第38章

  コルネリウスは、《今、太陽が西から昇ってきた》と聞かされた人のような顔をしてドニを見つめた。「・・・まさか、きみが?」コルネリウスはそう言ったが、信じていないような表情だった。 ドニがうなずいた。「ぼくは、これまでどんな女の子にも愛をささやいたことはない。シュリー以上の女の子が現われなかったからだ。でも、かの女は違う・・・」 そのとき、監督が大きな声を上げた。「ドニ! 出番だよ!」「・・・監督、...全文を読む


第688回

第38章

  演劇祭は近づいていた。そして、練習も大詰めに入っていた。ステージは、本物の大道具がセットされ、キャストたちも当日の衣装を身につけての練習に入っていた。 ステージには、マクシム役のコルネリウスと、ガブリエル役のサルヴァドールがいた。 その場面は、マクシムがアニーに対する愛を初めて自覚する場面であった。マクシムは、アランが入院して以来毎日病院に通っていた。彼は、足を失ったアニーを励まし、手を失ったア...全文を読む


第689回

第38章

  しかし、ショックを受けてしゃがみ込んでいたシャルロットは立ちあがることができなかった。それに気づいたサルヴァドールは、かの女の足元にかがみ込み、「大丈夫?」と訊ねた。「・・・ごめんなさい、立てないわ・・・」シャルロットがささやき返した。 かの女が真っ青になっているのを見て、サルヴァドールはかの女を抱き上げた。「監督、ちょっと時間をくれない? 少し休ませたいんだけど?」彼は、ステージの下手に向かっ...全文を読む


第690回

第38章

  ミュラーユリュード演劇祭は、サント=ヴェロニック校の完全な勝利で終了した。作品賞をはじめほとんどの賞を独占した彼らに、エクトール=ル=シャトリエ町長は讃辞を述べた。 授賞式が終わったあと、町長はステージから降りてまっすぐにシャルロットたちの方に歩いてきた。シャルロットは、劇のキャストたちと一緒に座っていた。彼らの劇が一番最後だったので、ステージに出た人たちのほとんどは舞台衣装を着たまま椅子に座っ...全文を読む


第691回

第38章

  コルネリウスは、自分の失言に対して、いいわけはしなかった。彼は、重い気持ちを抱いたままその場から去っていった。 シャルロットが顔を上げたとき、コルネリウスは去ったあとだった。かの女は、彼の発言の意味を聞くのが恐かった。かの女は彼を愛していたが、彼が好きなのは現実のかの女ではなく、思い出の中のかの女なのだということを、彼の口から聞きたくはなかった。だから、彼が去っていってくれてほっとしていたのであ...全文を読む


第692回

第38章

 「病気?」ドニが訊ねた。「風邪でもひいたんじゃないの」フランソワが言った。彼は、ドニをにらみつけた。「・・・きみは、あの土砂降りの中、かの女を連れて帰ったんだってね。あそこからだと、優に30分はかかっただろうね。まさかこんなことになるんだったら引き留めるべきだったと、モマン=ミュジコーが落ち込んでいたよ。そりゃ、きみは男だし、丈夫なようだけど、かの女はまだ10歳の女の子なんだよ。そこを考えてみた?...全文を読む


第693回

第38章

  サント=セシール小聖堂では、リシャール=マティスがオルガンの練習をしていた。彼が弾いていたのは、自作の<交響詩ヴァレンシュタイン>だった。それは、学年末テストの提出曲として、彼がずっと準備していた曲だった。オーケストレーションを考えるため、オルガンで演奏していたのである。 サント=セシール小聖堂は、女子寮の近くにある聖堂で、ふだんは女子寮の生徒たちが平日のミサ(午前5時半からの<パーテル=ノステ...全文を読む


第694回

第38章

  同じ頃、サン=ステファーヌ聖堂の入り口には、コルネリウス=ド=ヴェルクルーズとオーギュスト=ド=マルティーヌ兄弟がいた。彼らは、シャルロットの病気のことを話していた。二人が二人きりで話をするのは、珍しかった。「・・・きみがついていながら、ドニを止めることができなかったなんて」オーギュストが非難するように言った。「ドクトゥール=マルローにも言われたよ。どうして、ぼくがかの女を何とかしなくちゃいけな...全文を読む


第695回

第38章

  二人の兄弟は驚いて振り返り、ヴィトールドを見た。彼は、祈祷書とサファイア色をしたロザリオを持ってそこに立っていた。「ヴィトールド、どういう意味?」オーギュストが聞いた。「かの女の心は、もう決まっている、って言ったんだ。きみには、わかっているはずだ」「まさか・・・?」 ヴィトールドは、オーギュストをにらむように見つめた。「きみには、わかっているはずだよね?」 そのきつい調子に、二人ははっとした。「...全文を読む


第696回

第39章

  ドニ=フェリーは、それからも毎日のように女子寮の大きな木の下に立った。その木の上に、シャルロット=チャルトルィスカの部屋があったからである。彼は、木の下で、はやく病気が治るように祈っていた。彼がそこに立っていることを、何人かの女生徒が目撃していた。校則には、男性は女子寮に近づいてはいけないという規定があるが、かの女たちは彼を黙認していた。かの女たち自身がシャルロットの回復を祈っていたからである。...全文を読む


第697回

第39章

  その翌日の朝食後、ヴィルヘルミーネ=フォン=シュヴァルツベルクは、シャルロットが食事に来なかったことをマダム=ベルマンに報告した。マダム=ベルマンは、連絡を受けるとすぐにシャルロットの部屋に顔を出し、かの女の状態を確認した後、ドクトゥール=ワッセルマンを呼びに行かせた。ドクトゥール=ワッセルマンは、診察後、ドクトゥール=マルローに連絡した。「・・・きのう、ピアノを弾いたんですって? まだ、そんな...全文を読む


第698回

第39章

 「マドモワゼル=シャルロット=チャルトルィスカ」マダム=ベルマンが声をかけた。「サン=ティレール先生の命令で、あなたをここから連れて行かなければなりません。着替えをして、スール=テレーズの指示に従って下さい」 そう言ったマダム=ベルマンの顔は真っ青だった。 シャルロットは、マダム=ベルマンが動揺しているのを見つめた。シャルロット自身も青くなってきた。「どこへ行くのですか?」「地下牢です」スール=テ...全文を読む


第699回

第39章

  バルバラ=ヴィエニャフスカとヴィルヘルミーネ=フォン=シュヴァルツベルクは、シャルロットの部屋に行った。その部屋は、きちんと片づいているようだった。シャルロットは、ベッドをきちんと直し、薬類をテーブルに残したままそこを去ったようだった。しかし、バルバラは、薬袋の下にちいさなメモを発見した。そして、かの女はそれを読み、ヴィルヘルミーネを呼んだ。「サン=スーシィ、ちょっと、これを見て!」 ヴィルヘル...全文を読む


第700回

第39章

  二人の少年たちは、かの女たちと別れたあと、噴水の近くのベンチに座った。「・・・どういうことなんだい、トト? お願いだから、教えてくれないか?」ローランが言った。「あれは、はっきり言って、冤罪に近いものだと思うんだ」ヴィトールドはそう言うと、演劇祭の帰り道に雨に打たれた結果シャルロットが風邪をひいたことから説明を始めた。ドニ=フェリーが責任を感じたこと。彼が心配のあまり、毎日シャルロットの部屋の外...全文を読む


第701回

第39章

  シャルロットは、地下牢に連れて行かれた。 そこは、女子修道院の地下だった。 丈夫そうに見えるドアは鉄でできていて、やっと顔が出せるくらいのちいさな窓がついていた。そしてその窓には、鉄の格子がついていた。しかし、いかにも牢屋という雰囲気なのはそれだけで、そのドアがなかったら、普通の部屋が並んでいるようにしか見えなかった。中はちいさな部屋で、ベッドと机とトイレしかなかった。机の上にはスタンドがあった...全文を読む


第702回

第39章

  二人は振り返り、シャルロットを見つめた。 ドクトゥール=ワッセルマンは肩をすくめ、小さな声で言った。「・・・ぼくは、フレディとは違う」 シャルロットは真剣な顔で彼を見つめた。「きみは、いったいなぜここにいるの? 何をしたの?」彼が訊ねた。「わかりません」シャルロットが答えた。「ぼくを信用してくれないんだね?」彼が言った。 かの女は、以前、彼に同じことを言われたことがあることを思いだした。かの女は...全文を読む


第703回

第39章

 「だいたいのところはわかりました」サン=ティレールが言った。「もう少し詳しく聞きましょうか。あなたは、その日の午後から翌朝にかけての間、本当に一人きりだったんですね?」「いいえ」シャルロットが答えた。「さきほども申し上げました。わたしは、眠ってしまったんです。目が覚めたときに、頭に冷たいタオルがあったということは、誰かが部屋に来てくれたということだと思うのですが、どうですか?」 マダム=ベルマンが...全文を読む


第704回

第39章

  その日の昼過ぎ、2年7組の教室に、2年3組と2年7組のほぼ全員とそれぞれの担任であるエマニュエル=ベール、アルフレッド=ド=グーロワールが集まっていた。担任たちは、この事件のあらましをサン=ティレールに聞かされてきたところであった。「みんな、適当なところに座って話を聞いて欲しい」アルフレッド=ド=グーロワールが教室にいた全員に声をかけた。それから、教室のドアを開けた。「・・・きみたちも、話を聞き...全文を読む

 更新履歴カレンダー