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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年06月  】 更新履歴 

  06.01.  【 第39章 】  第705回   さわりを読む▼
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  06.14.  【 第40章 】  第718回   さわりを読む▼
  06.15.  【 第40章 】  第719回   さわりを読む▼
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  06.21.  【 第40章 】  第725回   さわりを読む▼
  06.22.  【 第40章 】  第726回   さわりを読む▼
  06.23.  【 第40章 】  第727回   さわりを読む▼
  06.24.  【 第40章 】  第728回   さわりを読む▼
  06.25.  【 第41章 】  第729回   さわりを読む▼
  06.26.  【 第41章 】  第730回   さわりを読む▼
  06.27.  【 第41章 】  第731回   さわりを読む▼
  06.28.  【 第41章 】  第732回   さわりを読む▼
  06.29.  【 第41章 】  第733回   さわりを読む▼
  06.30.  【 第41章 】  第734回   さわりを読む▼


第705回

第39章

 「・・・で、彼らはどうなっているんですか?」イジドールが訊ねた。「ドニは、問いつめられて、木に登ったことは認めたそうだ」ベールが言った。「しかし、木に登った目的など細かいことについては、黙秘を続けているそうだ」「シャルロットは、何も話してはいない」ドクトゥール=ワッセルマンが言った。「もっとも、体が弱っているから、尋問らしいこともできなかったがね」 二人の担任はうなずいた。「・・・どうやら、お互い...全文を読む


第706回

第39章

  シャルロットは咳き込んでいた。 かの女の世話をしていたスール=テレーズは、修道院の夜の祈りのために席を外していた。シャルロットはベッドに横たわって、咳き込みながらその合間に考え事をしていた。「・・・シャルロット・・・?」どこかから、かすかに声が聞こえた。 シャルロットは起きあがった。「・・・シャルロット、ここじゃないの?」 シャルロットは、ゆっくりと起きあがり、窓から顔を出した。 やがて、声の主...全文を読む


第707回

第39章

 「ええ。わたしがここにいるのは、ドニが木に登って、わたしのところに来ようとしたからなんでしょう?」シャルロットが言った。 ヴィトールドは急に真面目な顔をした。「いいかい、よく聞くんだよ。大切な話だからね。きみがここにいるのは、きみにとって不利な状況が重なったからだ」「不利な状況?」「アラン=ドルスタンスは木に登った。そして、きみの部屋のバルコニーに立ち、窓を叩いた」「・・・どうして、そんなことを知...全文を読む


第708回

第39章

  次の日の昼過ぎ、ヴィトールドは、ドニ=フェリーを訪ねた。 ドニが閉じこめられている反省室は、名前と設置場所が違うだけで、地下牢とあまり変わらない部屋だった。反省室は、校舎の屋根裏にあった。彼の方が恵まれていたのは、部屋に窓があり、昼間と夜が区別できることくらいだった。 ヴィトールドは、あたりに誰もいないのを確かめ、小さなのぞき窓から中を見た。 ドニ=フェリーは、ベッドに横になって、退屈そうに天井...全文を読む


第709回

第39章

  ドニは、ヴィトールドがあの場に居合わせたことを知らない。彼は、ヴィトールドが知っている事情を話し続けた。ヴィトールド自身は、ピアノの音が再開してちょっとしてその場を離れている。次の授業があったからである。だから、彼はドニが木から降りるのは見ていない。あの騒ぎになるまで、彼が木から降りなかったことを知らなかったのである。 ドニは、木の上で眠ってしまったこと、そして、門限に間に合わなかったことを話し...全文を読む


第710回

第39章

  その日の夜、ヴィトールドはシャルロットを訪ねた。 シャルロットは、指を虚しく動かしていた。ピアノを弾いているつもりになることが、かの女にとって唯一の慰めだった。「・・・差し入れだよ、シャルロット。チョークと楽譜だ」ヴィトールドはポーランド語でそう言うと、格子の隙間から丸めた楽譜をつっこんだ。 シャルロットは楽譜を受け取った。そして、表紙を見た。「・・・これは、ショパンのピアノコンチェルトね・・・...全文を読む


第711回

第39章

  シャルロットは息をのんだ。「・・・何を希望したの、彼は?」「彼は答えたそうだ。誓願式の日に、かの女にある贈り物をしたいと。その修道院では、修道女は私有物を持つことが禁止されていた。でも、例外を認めて欲しいと頼んだんだ。同席していた修道院長が拒絶しようとしたが、彼は修道院長に頼み込んだ。『かの女に、どうしてもロザリオをプレゼントしたいんです。そして、毎日わたしのためにお祈りして欲しいんです』・・・...全文を読む


第712回

第40章

  翌朝、セシール=ド=ベルジュラークは、祖父であるアドルフ=ド=ラグランジュ校長のところに行った。彼は、出張から帰ったばかりで、朝早い時間だというのに、彼のサインが必要な書類に囲まれて仕事をしていた。彼は、一週間前から出張をしていて、今度の事件について、まだ何も知らされていなかった。しかし、話を聞くと、彼は頭を抱えた。「・・・それに関する報告書が、サン=ティレールくんから出ている」校長は、書類の山...全文を読む


第713回

第40章

  その日の午後、校長は、みずからサン=ティレールの部屋に行った。 サン=ティレールは、校長が予想していたよりはるかに厳しい見方をしていた。彼は、サン=ティレールの口から事情を聞き、渋い顔をした。最初に彼の説明を聞いていたら、手の打ちようがなかったところだった。 校長は、考え込むふりをしながら言った。「シャルロット=チャルトルィスカは、コンクールを控えている。かの女は、我が校の代表として、一番優勝に...全文を読む


第714回

第40章

  そのころ、ヴィトールドは地下牢に忍び込んでいた。 彼がのぞき窓から見たとき、シャルロットは祈っていた。かの女は、人の気配を感じ、顔を上げた。「・・・ヴィトールド!」シャルロットは脅えたように言った。「まだ、昼間じゃないの! 誰か来たらどうするの?」「しっ!」彼は、唇に指を一本あててささやいた。「そのとおり。だから、もっと小さな声で話して」 シャルロットは、のぞき窓のところまで行くと、そこに顔を寄...全文を読む


第715回

第40章

  シャルロットの体が思わず震えだした。「どういう意味?」 ヴィトールドはにやりとした。「ぼくが知らなかったとでも思っているの? ぼくは、ザレスキー一族のことなら何でも知っている」 シャルロットはかすれた声でやっと訊ねた。「・・・何でも・・・?」「そう、何でも」ヴィトールドはうなずいた。「きみの本当の名前は、シャルロット=ド=ルージュヴィルだ、そうだね?」 シャルロットは真っ青になった。「そして、き...全文を読む


第716回

第40章

  アドルフ=ド=ラグランジュ校長は、ジルベール=サン=ティレールとの話し合いを終えた直後、アルフレッド=ド=グーロワールを校長室に呼び出した。 ド=グーロワールは、そのとき、教室でコルネリウス=ド=ヴェルクルーズと話し合っていた。コルネリウスは、呼び出されたド=グーロワールのあとを追った。そして、彼は、校長室の前でド=グーロワールが出てくるのをじっと待った。 校長室から出てきたド=グーロワールは、...全文を読む


第717回

第40章

  ヴィトールドは、コルネリウスがドニと全く同じ考えなのを意外に思った。 ド=グーロワールも、コルネリウスの自信がどこから出たのかわからず、戸惑って彼を見つめていた。しかし、コルネリウスがあまりにも自信たっぷりなのを見ているうちに、何とかなりそうな気分になってきた。「・・・わかったよ」ド=グーロワールが言った。「・・・そうだね。ぼくも、かの女を信じるよ」 そう言っているうちに、3人は、女子修道院の前...全文を読む


第718回

第40章

  翌日の朝、フランソワーズ=ド=サックスは、男子寮の出口でヴィトールド=ザレスキーが出てくるのを待ちかまえていた。ヴィトールドは、親友のローラン=ティルニーと一緒に出てきた。二人は、フランソワーズに軽く会釈したが、かの女に呼び止められるまで、かの女が自分たちに用があるとは思っていなかったようだった。「話があるんだけど、教室に向かうまでつきあってもらえるかしら、トト?」フランソワーズがヴィトールドに...全文を読む


第719回

第40章

 「お願い、かの女を助けたいの。わたしにできることはない? かの女のためなら、何でもするわ」フランソワーズは本気だった。 ヴィトールドはしばらく黙ったまま歩き続けた。そして、急に立ち止まり、真剣な顔で言った。「あなたにしかできないことがある、レイディ=ファンシェット。二つだけ約束してくれないか?」ヴィトールドはフランソワーズをじっと見つめた。「一つは、ぼくがこれから話すことを無条件で信じること」 フ...全文を読む


第720回

第40章

  その日の夕食後、フランソワーズ=ド=サックスは、大人たちがいなくなったあと、そこにいた少女たちに話しかけた。「今日は、みなさんにお願いがあります。シャルロット=チャルトルィスカのことで、です」 その名前を聞くと、その場の少女たちは、おしゃべりをやめてフランソワーズの方を向いた。「かの女は、今、ディジョンにいます」それを聞くと、また食堂がざわざわ騒がしくなった。「サン=ティレールが、かの女に片道分...全文を読む


第721回

第40章

 ---こんなことを好んでやるのは、確かにわたしくらいのものだろう・・・フランソワーズは、木につかまりながらそう思った。ちいさかった頃、かの女には遊び相手になるような少女がまわりにいなかった。それで、かの女は少年たちと遊んだ。同じような環境に育ったのに、木に登ろうとするような男の子がそばにいなかったシャルロットなどは、そんなかの女を珍しがったものだ。木登りが役に立つ日が来るとは思わなかったわ・・・フラ...全文を読む


第722回

第40章

  その日の夕方、ヴィトールドはフランソワーズからその報告を受け取った。「・・・なるほど。第二の可能性は非常に少ないね。彼が9時半に木から降りたというのは、望遠鏡のたぐいでは見えないでしょうね。ぼくも、遠くから見ていた可能性はないと思う」ヴィトールドが言った。「それから、第一の仮説についてだけど・・・」 そう言うと、彼はにやりとした。「ドニ=フェリーのまわりに誰もいなかったのは、ぼくが証人だ。そして...全文を読む


第723回

第40章

  それは、事情聴取と言うよりむしろ裁判だった。 フランソワーズ=ド=サックスが<犯人>とみなした容疑者は、シャルロットのすぐ下の階の住人で、2年4組のマルグリート=ヴァランタンという少女だった。かの女は、ドニ=フェリーの元の恋人だと言われていた。黒い髪に水色の瞳を持ち、美少女と評判の生徒だった。ドニ=フェリーと別れたばかりであり、状況証拠は十分といえた。 裁判長役は、2年3組のイジドール=アルノー...全文を読む


第724回

第40章

  反対尋問が始まった。「あなたは、どうして時間を特定できるのですか?」アンリエット=シモネが訊ねた。「あの時間は、ヴィオラのレッスンが終わったあとで、次のスコア=リーディングの時間との合間でしたから」ヴィトールドが答えた。「なぜ、あなたは、あの日、そこにいたのですか?」 その質問を聞くと、ヴィトールドは真っ赤になった。彼は、答えるのをためらうようにイジドールの方を見た。「どうしてそこにいたか、答え...全文を読む


第725回

第40章

 「ぼくには、ドニに嫉妬する理由がない」ヴィトールドが言った。「さっきも言ったとおり、ぼくは、ザレスキー一族のリーダーだ。シャルロットは、同じ一族の人間で、ぼくの被保護者だ。ぼくは、かの女のことなら何でも知っている。かの女が誰を愛しているかということまでね。プライヴェートな話なので、詳しくは話せないが、それは、ドニ=フェリーではない」 あたりがざわめいた。「そして、残念なことに、ヴィトールド=ザレス...全文を読む


第726回

第40章

  裁判は続いた。 フランソワーズは、マルグリートがドニを憎んでいたことを証明しようとし、マルグリートは、午後4時に自室にいなかったことを証明しようとしていた。 マルグリート側の最初の証人として登場したのは、同級生のバティスティーヌ=バールだった。かの女は、当日の午後4時に、マルグリートが自分と一緒に教室にいたことを証言した。フランソワーズは、ヴィトールドの助言から、午後4時にどこにいようと問題には...全文を読む


第727回

第40章

 「どうして、もっと早く思い出さなかったの?」フランソワーズは、自分の役割を忘れ、ヴィルヘルミーネを責めるような口調で言った。「・・・すっかり忘れていたんですもの」ヴィルヘルミーネはいつもの口調で答えた。「それに、忘れていたのは、わたしだけじゃないわ。マダム=ベルマンだってそうよ」『どういうこと?』とイジドールは目で質問した。「かの女は、日誌をつけているわ。何時に点呼したか、ちゃんとメモしているはず...全文を読む


第728回

第40章

  マダム=ベルマンは考え込んだ。「それは、わたしがかの女に面会を求めたからです」ヴィルヘルミーネが口をはさんだ。 マダム=ベルマンは、ヴィルヘルミーネの方に視線を移した。ややあって、かの女の表情に明るさが浮かんだ。「・・・思い出したわ」マダム=ベルマンはほほえみながら言った。「あの日の7時半過ぎに、マドモワゼル=フォン=シュヴァルツベルクがわたしのところに来たんです。かの女は、確か、マドモワゼル=...全文を読む


第729回

第41章

  シャルロットは、聖霊降臨祭のあとの月曜日(5月12日)から登校した。 それは、ピアノコンクールが終了して以来初めての登校日だった。 シャルロットは、いつものように早めに寮を出た。そして、中庭の前を通りかかり、自分が<いない>間に、新しい掲示物が貼ってあることに気づいた。 それは、期末テストの要項だった。日付からすると、4月下旬には張り出してあったものらしかった。 各楽器の課題曲が、楽器ごとに掲示...全文を読む


第730回

第41章

  シャルロットは、教室に向かって歩き出した。もちろん、ギュンター=ブレンデルを探すのが目的である。彼ならば、どうすれば卒業試験を受けることができるか知っているはずだ、と校長先生に言われたからである。ただ、本音を言うと、かの女は、自分が卒業することにさほどこだわりはなかった。 ギュンターも、早く教室に現われる生徒の一人である。 しかし、その日教室にいたのは、意外な取り合わせだった。フランソワ=ジュメ...全文を読む


第731回

第41章

  しかし、パトリックはその問いには答えなかった。「ぼくは、死に近づいて、やっとそれがわかったんだ。人生の解答をきみに教えるつもりはないよ。それは、きみ自身が考えることだ。自分の人生のすべてをかけてね」「人生の解答?」 パトリックは、窓からサント=ヴェロニック教会の十字架を見ていた。フランソワは、パトリックが窓の方に向き直ったので、自分も外を見た。「人間は、いつかは死ぬんだ。早いか、遅いかの違いでし...全文を読む


第732回

第41章

  その日のお昼休み前、ヴィルフレード=フェリシアーニがシャルロットを訪ねて2年7組の教室を訪れた。彼は、朝、パトリック=ド=メディシスが病院に運ばれたことは知っていたが、2年7組がまるでお通夜のような雰囲気にあることは予想していなかったらしく、教室の中に一歩足を踏み入れたとたん、表情がこわばった。 兄のフェルディナンドが彼にイタリア語で声をかけた。「何の用か知らないが、今日はやめておいた方がいいぞ...全文を読む


第733回

第41章

  彼のそばに立っていたジョヴァンニ=ロッシは、下に落ちた楽譜を拾った。そして、表紙を開き、そこに書かれていた文字を読み始めた。「《昔、ノルマンディーのある村に、たいへん美しい女性が住んでいました。かの女には、許嫁がおりました。そして、二人は大変幸せに暮らしていました》」 クラスの注目は、ロッシに集まった。彼らのほとんどは、その話を知っていた。「《ところが、戦争が始まり、二人の村も戦場になりました。...全文を読む


第734回

第41章

  ロッシは、ヴィルフレードに楽譜を返した。ヴィルフレードはその楽譜を手にすると、シャルロットの方に歩き出した。彼は、シャルロットの肩をそっと叩いた。「・・・さっきは悪かった。ごめんね。でも、これは、きみのために作った曲だったんだよ・・・」ヴィルフレードが言った。「だから、初演して欲しいという気持ちは変わらないよ。絶対に、きみに最初に演奏して欲しい。ホールで演奏するのが無理なら、今すぐ弾いてくれない...全文を読む

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