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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年08月  】 更新履歴 

  08.01.  【 第43章 】  第766回   さわりを読む▼
  08.02.  【 第43章 】  第767回   さわりを読む▼
  08.03.  【 第43章 】  第768回   さわりを読む▼
  08.04.  【 第43章 】  第769回   さわりを読む▼
  08.05.  【 第43章 】  第770回   さわりを読む▼
  08.06.  【 第43章 】  第771回   さわりを読む▼
  08.07.  【 第43章 】  第772回   さわりを読む▼
  08.08.  【 第43章 】  第773回   さわりを読む▼
  08.09.  【 第43章 】  第774回   さわりを読む▼
  08.09.  【 備忘記録的なもの 】  お引っ越ししました!   さわりを読む▼
  08.10.  【 第43章 】  第775回   さわりを読む▼
  08.11.  【 第43章 】  第776回   さわりを読む▼
  08.12.  【 第43章 】  第777回   さわりを読む▼
  08.13.  【 第44章 】  第778回   さわりを読む▼
  08.14.  【 第44章 】  第779回   さわりを読む▼
  08.15.  【 第44章 】  第780回   さわりを読む▼
  08.15.  【 備忘記録的なもの 】  お引っ越しが完了しました。   さわりを読む▼
  08.16.  【 第44章 】  第781回   さわりを読む▼
  08.17.  【 第44章 】  第782回   さわりを読む▼
  08.18.  【 第44章 】  第783回   さわりを読む▼
  08.18.  【 備忘記録的なもの 】  ばらの結婚 第3話更新しました。   さわりを読む▼
  08.19.  【 第44章 】  第784回   さわりを読む▼
  08.20.  【 第44章 】  第785回   さわりを読む▼
  08.20.  【 備忘記録的なもの 】  いろいろと。   さわりを読む▼
  08.21.  【 第44章 】  第786回   さわりを読む▼
  08.22.  【 第44章 】  第787回   さわりを読む▼
  08.23.  【 第44章 】  第788回   さわりを読む▼
  08.24.  【 第44章 】  第789回   さわりを読む▼
  08.24.  【 備忘記録的なもの 】  新しい朝が来た?   さわりを読む▼
  08.25.  【 第44章 】  第790回   さわりを読む▼
  08.25.  【 備忘記録的なもの 】  たぶん、秋   さわりを読む▼
  08.26.  【 第44章 】  第791回   さわりを読む▼
  08.27.  【 第44章 】  第792回   さわりを読む▼
  08.28.  【 第44章 】  第793回   さわりを読む▼
  08.29.  【 第44章 】  第794回   さわりを読む▼
  08.30.  【 第44章 】  第795回   さわりを読む▼
  08.31.  【 第45章 】  第796回   さわりを読む▼
  08.31.  【 備忘記録的なもの 】  あたらしい、というか、さいごのというか   さわりを読む▼


第766回

第43章

 「コンサートには出るな、ってことかしら?」シャルロットは首をかしげた。「出るなと言っても、出るだろう?」ジョヴァンニはウィンクした。「そうね」シャルロットは認めた。「そうなんだ。だから、運命には逆らえないのさ」ジョヴァンニが言った。「1946年6月14日に生きているのは、きみ、ショップ、アンシクロペディー、アンシャン、ラタン、そしてマルフェの6人だ。そして、その日、約束の地に集まるのは、4人だけだ...全文を読む


第767回

第43章

 「裁判が行われたのは、きみがディジョンへ出かけたあとのことだ。きみは、なぜ自分がコンクールに出られたのか、考えてみたこともなかったの?」ドニが言った。「校長先生が、特別の許可を・・・」シャルロットは口ごもった。 ドニが言った。「どうして、サン=ティレールが、それに同意したと思ったの?」 シャルロットは真っ青になった。「ぼくは、あの日の夜のことを、今でもよく覚えている」ドニは苦しそうに歯を食いしばっ...全文を読む


第768回

第43章

  7月12日、シャルロットは、パーシュ広場に向かった。 フランソワ=ジュメールがパトリック=ド=メディシスの形見である<ベラミー号>で飛行実験をすることになっていた。立ち会ったのは、イーリス=ド=メディシスとシャルロットの二人だけだった。 フランソワは、ポケットから白いスカーフを取りだし、シャルロットに差しだした。「持っていてくれない?」 シャルロットはそのスカーフを受け取り、開いた。「これは・・...全文を読む


第769回

第43章

  一方、イーリスは、急いで研究所に飛び込んだ。かの女があまり青い顔で切羽詰まった表情をしていたので、門番は黙ってかの女を中に入れた。 イーリスは、建物に飛び込んだとたん、誰かに激しくぶつかり、はね飛ばされた。 かの女がぶつかった相手の青年もその場に倒れたが、彼は、そのとたん手から落ちた書類をあわててかき集め始めた。イーリスは、あぜんとして青年の栗色の髪を見つめていた。かの女には、かがんでいる彼の頭...全文を読む


第770回

第43章

  ドクトゥールは、フランソワの方を向き直った。「わたしは、きみと初めて会った日のことをよく覚えている」彼は真面目な口調で言った。「きみは、あの友達を心から愛していた。わたしにはそれがよくわかっていた。この飛行機は、あのときのものだろう? 彼はどうしたの? どうして、彼は飛行機に乗らなかったの?」「・・・彼は、死んだんです」フランソワがぼそりとつぶやいた。「死んだ?」アンブロワーズは、聞き間違いかど...全文を読む


第771回

第43章

  シャルロットは、ヌーヴェル=ヴァーグ通りのケーキ屋<メートル=シャントゥール>にやってきた。ここがフランソワ=ジュメールの家だ。町でも評判のケーキ屋だったが、シャルロットはこの店にきたことは一度もなかった。別の理由でここに来たかった、と甘い香りに包まれながらかの女は思った。 かの女はためらわずに中に入り、誰も客がいなかった店内で店員に声をかけた。「あの・・・シェフにお会いしたいのですが・・・」 ...全文を読む


第772回

第43章

  シャルロットは学校に行き、男子寮を訪ねた。そして、誰かに面会を求めるのではなく、寮監のエマニュエル=テリエに会い、寮に残っていた2年7組の生徒にフランソワの怪我のことを知らせるように頼んだ。そして、かの女はクラスメートたちには会わずにそこを去った。続いて、ド=グーロワールの部屋を訪ねることにした。しかし、彼は外出中だった。それで、かの女は彼の部屋のドアの下に置き手紙をし、学校から出た。 かの女は...全文を読む


第773回

第43章

  シャルロットは下を向いた。「少なくても、今のあなたなら、わたしに1サンティームを渡さなかったんじゃないかしら」「どうしてそう思うの?」「今のあなたは、あの頃のあなたじゃないから」シャルロットが答えた。「今のあなただったら、わたしの演奏を聴いて、あのときのように感じたかしら?」「・・・わからない」彼は、かの女の言い分が正しいのを認めた。「そして、今のあなたになら、わたしは、そのスカーフを渡さなかっ...全文を読む


第774回

第43章

  シャルロットは真面目な顔で首を横に振った。「昔、ぼくは、一人のフランショーム家の少年を知っていた。その少年を、ぼくは心の底から憎んでいた。マルフェは、あの少年にあまりにもよく似ていた・・・」「あの少年、って・・・?」 ド=グーロワールは、シャルロットから視線をそらし、車の窓の方を見た。そして、急にシャルロットの方を向き、話し出した。「ぼくがポーランドの生まれだと言うことは、もう知っているよね。ぼ...全文を読む


お引っ越ししました!

備忘記録的なもの

 こちらに引っ越してまいりました。まだ片付いておりませんが、今後ともよろしくお願いします。...全文を読む


第775回

第43章

 「あいつは、ブタじゃない。赤毛の悪魔だ」ド=グーロワールが言った。 シャルロットは、フランショーム一族で、そのあだ名の持ち主のことを聞いたことがある。ロベール=フランショームのいとこで、同じアレクサンドル=クールゾン門下のピアニスト、ジャン=セバスティアン=フランショームだ。現在は、イギリスを中心に活躍しているピアニストである。「赤毛の悪魔?・・・コルネリウスの<バッハおじさま>のことね?」シャル...全文を読む


第776回

第43章

  アンブロワーズ=ダルベールは、友人の到着に驚いた。そして、フランソワの病室に行くまでに事件のことをかいつまんで説明し、彼の病状を話した。 二人が部屋に入ったとき、フランソワはまだ意識を取り戻してはいなかった。 彼に付き添っていたドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、シャルロットを見て意味ありげなまなざしをした。「・・・フランソワのお父さまのところに行って、事情を説明してきました」シャルロット...全文を読む


第777回

第43章

  そのとき、廊下で人の足音が多数聞こえた。そして、ノックもせずに男子生徒たちが心配そうな表情で顔を出した。 「フェネアン、生きてるか?」リシャール=マティスが声をかけた。 「・・・誰だ、そんな不謹慎なことを聞くやつは?」フランソワは侵入者たちを怪訝そうに見つめた。 「・・・よかった。本当によかった・・・」ウラジーミル=ミチューリンは、親友のそばに駆け寄り、その手を取ってさめざめと泣き出した。 「わたし...全文を読む


第778回

第44章

  シャルロットが疲れていることは、誰の目から見ても明らかだった。かの女は、フランソワ=ジュメールにつきっきりだった。フランソワは、かの女を休ませようとしたが、かの女は聞き入れなかった。「なぜ眠らないの?」フランソワが訊ねた。「眠れないからよ」シャルロットはそう言うと、彼の枕元に座った。そして、そこに置いてあった本に手を伸ばした。そして、本を開き、読み始めた。「《セルジュは、フェリシアンの部屋を訪れ...全文を読む


第779回

第44章

 「《フェリシアンは、セルジュが恋したという女性に会ってみたいと思った。いや、会わないまでも、セルジュが感動したという<ムーンライト=ソナタ>の演奏を聞いてみたいものだと思ったのだ。彼は、その窓の下にたち、<ムーンライト=ソナタ>が聞こえてくるのをじっと待っていた。しかし、音楽は聞こえてこなかった。 彼は、諦めて帰ろうと思った。そのとき、その部屋の窓が開き、窓際にブロンドの髪の女性が現われた。彼は、...全文を読む


第780回

第44章

 「もちろん、それでも幸福をつかめないことだってある。運命なんて、そんなものさ」フランソワが言った。「ぼくは、きみがマルフェを愛していることに気がつかなかった。それよりも、彼がきみを愛していることに気づく方が遅かったかな。まるっきりぼくの目はふさがっていたので、彼がきみを愛していることを示す態度を、きみをいじめていると思いこんでしまっていたんだものね。彼は、自分の愛を、まるっきり反対の態度で示してい...全文を読む


お引っ越しが完了しました。

備忘記録的なもの

 旧ブログから、データをすべて移し終わりました。基本的に手を加えてはいませんが、これから過去データの手直しがいくらかはいるかも知れません。もっとも、あきらかに文法的におかしなところとか、誤字脱字に限られるとは思いますが。なんせ、編集画面がテキストデータ(というのでしょうか、日本語以外の文字がたくさん書かれています・・・)になっておりまして、余計なことをすると、画面が乱れそうなので。この際なので、記事...全文を読む


第781回

第44章

  フランソワは、友人を枕元の椅子に座らせた。そして、彼に奇妙とも言える依頼をした。「何だか、きみのことがもっと聞きたくなったんだ」フランソワが言った。「もしよかったら、子どもの頃の話をしてもらえないかな?」 ウラジーミル=ミチューリンは、顔をちょっとだけしかめた。「前に話したと思うけど?」「全部は聞いていないと思うよ」フランソワが言った。「きみは、あまり自分のことを話したがらないじゃないか」「犯罪...全文を読む


第782回

第44章

  ウラジーミルは、そう言うと、ちょっとだけ何かを考える素振りをした。「・・・父は、何かの検問をしていたそうだ。そこへ、大きな馬車がものすごいスピードで現われたそうだ。父は、その馬車が怪しいと思い、呼び止めた。馬車に乗っていた人たちは、急いでどこかに行こうとしていた。彼らがなぜ急いでいたかという点だけは、未だにわからないけどね。乗っていたのは二人だけだったそうだ。一人は老紳士で、もう一人はちいさな女...全文を読む


第783回

第44章

  フランソワの表情は硬くなった。その事実は知っている。しかし、それについて親友が詳しく話をしたことはこれまでになかった。彼は、自分からその話をせがんだのに、先を聞くのが恐くなりかけていた。「兄がワルシャワにやってきて何日かたったある朝のことだった。彼は、真っ青な顔でぼくの部屋にきてこう言った。『母さんを殺してしまった。自首するから、ついてきて欲しいんだ・・・』」ウラジーミルが言った。「そのとき、ア...全文を読む


ばらの結婚 第3話更新しました。

備忘記録的なもの

 過去の日付で書いている話なので、更新情報はこちらに書いております。 のんびりと更新しておりますが、なんせ、1話ごとの分量が「年代記」の約3.5倍になりますので、一気に書き上げることは難しいのです。もともと、「外伝」ページに何ものっていないのが寂しい・・・というのが小説を書き始めた動機ですので、「とにかく何か書かなくちゃ」という意識が先に立ってしまい、小説の体裁を何も考えていなかったのです。もう少し正...全文を読む


第784回

第44章

  フランソワ=ジュメールのために、寮に残っていた人たちが<セレナーデ>と称したコンサートを開こうという話が、男子生徒たちの間で持ち上がった。骨折して歩くことができない彼にベランダまできてもらい、有志による演奏会をきかせようというのである。「セレナーデ、というからには、愛をテーマにした曲を演奏しよう」とサルヴァドール=クートンが言うと、友人たちはそろって反対した。「窓の下で愛をささやくのは、男性と相...全文を読む


第785回

第44章

 「最初のコンチェルトができあがった直後から、彼は、本当に寝たきりの生活になってしまったの」シャルロットが続けた。「彼は、窓際にベッドを移してもらい、そこで外を眺めながら歌を口ずさんでいたの」 そのころ、夕方5時半になると、毎日のようにブルームの部屋の窓の下を通っていく若い女性がいた。彼は、かの女が通るのを眺めていた。もう一年以上も、かの女は、毎日のように同じ時間にそこを通った。彼が見ていることには...全文を読む


いろいろと。

備忘記録的なもの

 なるべくテーマを絞って書くように・・・と決めたものの、しょせんは日記ですから、論理的に書こうとするのは難しかったりします。ですから、少しとりとめのないことを書きます。まず、今日アップした記事(というのは、「年代記」のほう)についてです。コラン=ブルームという作曲家のことを書くのはもしかするとこれが3度目かも知れませんが、これまでで一番詳しい<ブルーム伝>のしめくくりとなる話です。前回(というのは、...全文を読む


第786回

第44章

  指揮者のエマニュエル=サンフルーリィが<きづたの家>を訪れたのは、<セレナーデ>が開催されることになっていた当の夕方のことだった。 彼は、シャルロットを訪ねてやってきた。しかし、シャルロットが庭で演奏会の準備をしていると知らされると、彼は執事に、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーと話がしたいと言った。「・・・お久しぶりですね、ドクトゥール」エマニュエルは、ややぎごちない口調で挨拶した。「<生...全文を読む


第787回

第44章

  シャルロットは、何か異様な物音に気づき、驚いたようにそちらを向いた。それで、舞台の上の演奏者たちは、一斉にドクトゥールたちの方を向いた。 ドクトゥールは、エマニュエルを抱き起こした。エマニュエルは、真っ青になっていたが、意識を取り戻した。それで、ドクトゥールは、彼のために椅子を用意した。エマニュエルが椅子に座るのを見届けて---より正確に言うと、コンサート=マスターのコルネリウスが指揮者に合図し---...全文を読む


第788回

第44章

  コンサート終了後、ジュール=ド=メディシスがコルネリウスのそばに来て、小声で言った。「マルフェ、話がある。つきあってもらえるかい?」「いいとも」コルネリウスは気軽に返事をした。 二人が去っていくのを見て、ギュンター=ブレンデルが残っている人たちに言った。「・・・みんな、今のディールの顔を見たか? あの調子じゃ、マルフェを殺しかねないぞ」「マルフェは気づいていなかったようだけど」サルヴァドール=ク...全文を読む


第789回

第44章

  フロランスは、噴水の前にさしかかったとき、向こう側からシャルロットが歩いてくるのに気がついた。「・・・シュリー!」フロランスは手を振りながら叫んだ。 シャルロットの足が一瞬止まった。かの女は、フロランスの姿を認めると、再び歩き出した。そして、フロランスの前にやってきて、うれしそうに声をかけた。「・・・ありがとう、シュリーと呼んでくれたのね、ドリー?」シャルロットが言った。 フロランスは、シャルロ...全文を読む


新しい朝が来た?

備忘記録的なもの

 家人に「正弦波交流電波的感情起伏」の持ち主といわれる人間でありますが、たしかに、深く落ち込む割に立ち直りは意外と早いほうでして・・・。現在の気分は、今の空模様とは逆にさわやかなものです。(もっとも、「yahoo天気」が正しければ、今日の天気のほうもここ2~3日のどんよりとした天気から回復するらしいですが・・・。長袖の服を着たり半袖になったりと、8月なのにめちゃくちゃな気候です。さて、今日はどちらで...全文を読む


第790回

第44章

  その翌朝、コルネリウスはフランソワの<病室>を一人で訪ねた。フランソワが、前日の夜、二人きりで話がしたいという意思を伝えたからだった。 コルネリウスが部屋に入ったとき、フランソワはシャルロットと一緒にいた。シャルロットが<ムーンライト=ソナタ>の朗読を聞かせているところだった。「・・・まさかきみが、ガルディの本が好きだとは思わなかったな」コルネリウスが挨拶代わりに声をかけた。「ガルディ?」フラン...全文を読む


たぶん、秋

備忘記録的なもの

 ひまわりのテンプレートには未練が残りますが、当地ではだいぶひまわり畑(ひまわり田?)が減ってきました。今年ほどひまわりが多い年はなかった。もしかすると、将来のある日、「2011年夏を象徴するものは何か?」をふりかえったとき、「なでしこ」ではなく「ひまわり」だと思うときが来るんじゃないかしら。あくまでも、当地だけの感想かも知れませんが。かくして、原発事故後、(月一のペースではなく)週に一度発行されるよう...全文を読む


第791回

第44章

  フランソワは、上半身起きあがった。「今、プティタンジュはきみの方を向いている。きみは、かの女の心を強引に奪うだけでいい」「強引に? どういうこと?」「そう、強引に、だ」フランソワは繰り返した。「かの女は、今、迷っている。かの女は、きみに引き寄せてもらいたがっているように見える。『ぼくには、きみしかいない。ぼくを愛して欲しい』・・・こうはっきり言わなくちゃ。『ぼくを愛してくれる?』じゃだめだ。それ...全文を読む


第792回

第44章

  コルネリウスは、そのまま庭に出た。彼は、ぼんやり歩いているうちに黄色いバラを見つけて立ち止まった。古い木の札が下がっていて、<スーヴニール。1903 アレクサンドル=ド=メディシス>という文字が消えかかっていた。今の彼には、そのバラの作者がパトリック=ド=メディシスの父親だと言うことがわかっていた。たぶん、パトリックの父親がミュラーユリュードで作った最後のバラの一つなのだろう。『黄色のバラの花言...全文を読む


第793回

第44章

  コルネリウスは訊ねた。「それはおかしいよ。本当にフリーデリーケを心から愛していても、そうできるの? そんなことできるはずないじゃないか?」「フリーデリーケもセルジュも好きなら、そうするしかないでしょう?」「でもね、フリーデリーケはフェリシアンが好きなんだよ。フェリシアンは、もちろん、それを知っている。それでも、かの女を諦めようとするのは、かの女を裏切っているのと同じことだとは思わないの? そして...全文を読む


第794回

第44章

  シャルロットは、フランソワの朝食をトレーにのせて運んでいく途中、泣きながら歩いてきたフロランス=クールゾンとすれ違った。「・・・どうかしたの、ドリー?」シャルロットは驚いて訊ねた。「バベットが、出て行ってしまったのよ!」フロランスは泣きながら答えた。 シャルロットは、びっくりして、持っていた食事を落としかけた。かの女は、念のため食器を下に置き、顔を上げた。「・・・出て行ったって、どこに?」「わか...全文を読む


第795回

第44章

 「・・・二人は仲直りしたのさ」フランソワが答えた。「じゃ、どうして、ショップが泣かなくちゃならないの?」「・・・女の子は、泣き虫だからね」フランソワは即答を避けた。「かの女が泣いたのは、わたしのせいなの?」「いいや、違う」フランソワはきっぱりと否定した。「じゃ、二人は喧嘩したの?」「仲直りだ、って言っただろう?」フランソワは不機嫌に答えた。「ただ、ちょっと、やり方がまずかったんだと思う。きみには、...全文を読む


第796回

第45章

  1913年8月5日火曜日。 クラリス=ヴェルモン=メモリアル=ホールでの演奏会当日のことであった。 シャルロットは、午後7時開演のリサイタルの準備のため、午後4時に出発する予定を立てていた。フランソワに昼食を持っていったとき、リサイタルを聞きに行けなくて残念だという彼のために、演奏する曲目の話を聞かせた。<ブリュメール=クーデター>というタイトルから、話はサント=ヴェロニック校時代の思い出になり...全文を読む


あたらしい、というか、さいごのというか

備忘記録的なもの

 いよいよ、第二部の最後の章がスタートし、テンプレートも一新しました。何度も書いているとおり、第56章は、1913年8月5日~6日の二日間の出来事です。にもかかわらず、ナビは最小限度の表示としました。(2回しか変えないなんてずるい?)ずっとこの小説の読者だった方には「余計なお世話」的解説ですが、第56章の背景を説明します。隣町にあるサル=ド=コンソナンス(クラリス=ド=ヴェルモン記念ホール)では、作...全文を読む

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