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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2011年12月  】 更新履歴 

  12.01.  【 第50章 】  第888回   さわりを読む▼
  12.02.  【 第50章 】  第889回   さわりを読む▼
  12.02.  【 備忘記録的なもの 】  うっとり・・・。   さわりを読む▼
  12.03.  【 第50章 】  第890回   さわりを読む▼
  12.04.  【 第50章 】  第891回   さわりを読む▼
  12.04.  【 備忘記録的なもの 】  ご挨拶。   さわりを読む▼
  12.05.  【 第50章 】  第892回   さわりを読む▼
  12.06.  【 第50章 】  第893回   さわりを読む▼
  12.06.  【 備忘記録的なもの 】  自粛   さわりを読む▼
  12.07.  【 第50章 】  第894回   さわりを読む▼
  12.08.  【 第50章 】  第895回   さわりを読む▼
  12.09.  【 第50章 】  第896回   さわりを読む▼
  12.10.  【 第50章 】  第897回   さわりを読む▼
  12.11.  【 第50章 】  第898回   さわりを読む▼
  12.12.  【 第50章 】  第899回   さわりを読む▼
  12.13.  【 第51章 】  第900回   さわりを読む▼
  12.14.  【 第51章 】  第901回   さわりを読む▼
  12.15.  【 第51章 】  第902回   さわりを読む▼
  12.16.  【 第51章 】  第903回   さわりを読む▼
  12.16.  【 備忘記録的なもの 】  空回り。   さわりを読む▼
  12.17.  【 第51章 】  第904回   さわりを読む▼
  12.18.  【 第51章 】  第905回   さわりを読む▼
  12.19.  【 第51章 】  第906回   さわりを読む▼
  12.20.  【 第51章 】  第907回   さわりを読む▼
  12.21.  【 第51章 】  第908回   さわりを読む▼
  12.22.  【 第51章 】  第909回   さわりを読む▼
  12.23.  【 第51章 】  第910回   さわりを読む▼
  12.24.  【 第51章 】  第911回   さわりを読む▼
  12.25.  【 第51章 】  第912回   さわりを読む▼
  12.25.  【 備忘記録的なもの 】  地に平和   さわりを読む▼
  12.26.  【 第51章 】  第913回   さわりを読む▼
  12.27.  【 第51章 】  第914回   さわりを読む▼
  12.28.  【 第51章 】  第915回   さわりを読む▼
  12.29.  【 第51章 】  第916回   さわりを読む▼
  12.30.  【 第51章 】  第917回   さわりを読む▼
  12.31.  【 第52章 】  第918回   さわりを読む▼


第888回

第50章

  そうしている間に、ステージの中央にパトリックが使っていたピアノが運び込まれていた。 オーケストラのメンバーは、それぞれ楽器と自分の椅子を持ってきていた。彼らは、ピアノの位置が決まると、各自準備を開始した。 ドニ=フェリー=カルテットの4人も、今回はオーケストラに参加していた。それで、オーケストラ内に居場所がない4人だけがその場に残った。三人のソリストと、指揮者のアグレスールである。 そこへ、イー...全文を読む


第889回

第50章

  話を聞き終えたド=グーロワールは、「・・・わかった、秘密は守るよ」と答え、その場を離れた。彼は、自分の出番に備えるつもりでステージに向かって歩き出していた。 サルヴァドールはあわてて彼のあとを追った。 突然、サルヴァドールは大声を上げた。 ド=グーロワールははっとして振り返った。 サルヴァドールは青ざめ、まるで幽霊を見ているようなまなざしで一点を見つめていた。その視線の先には、シャルロットとパト...全文を読む


うっとり・・・。

備忘記録的なもの

 昨夜から今朝にかけて、新作テンプレートの衣替えをしていました。これがまた、うっとりするくらいすてきなテンプレートなんですよね。リュートが奏でるミンネゼンガーのセレナーデ(いや、時代的には「バラード」か?)が聞こえてくる、なんだかとってもリアルなもの。ちょっと趣は違うのですが、小説の中に出てくる小説「バラ園」を思い出してしまいました。あのストーリーの前半部を中世に変えると、あんな感じになるんでしょう...全文を読む


第890回

第50章

  アルフレッド=ド=グーロワールが演奏を終えてステージから降りてきた。「・・・どうだろう、長すぎると思う?」彼は、イーリス=ド=メディシスに話しかけた。「本番では、これにヴァイオリンコンチェルトが加わるんでしたよね」イーリスはちょっと考え込む様子をしてから、ゆっくりと頭を上げた。「・・・長さには問題はないと思います。演奏時間の長さには、誰も文句は言わないと思います。今だって、決して長いとは思いませ...全文を読む


第891回

第50章

  青年の名前は、アレクサンドル=シャルパンティエといった。彼は、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの研究所の研究員だった。 二人が出会ったのは、前年の7月のことだった。それは、全くの偶然だった。 パトリック=ド=メディシスは、友人に飛行機を託して亡くなった。友人のフランソワ=ジュメールは、パトリックの遺志を継ぎ、飛行実験を試みた。パトリックの飛行機<ベラミー号>は、立ち会っていたイーリスたちの...全文を読む


ご挨拶。

備忘記録的なもの

 このところ、毎週日曜日に予約作業をしております。(またこの出だし?)今日は、12月31日までの分の予約を終えました。もう、年末なんですね。まだ、12月が始まったばかりではありますが、このまま何事もなく一年を終えることができればいいと思っています。小説も実生活も、しばらく目が離せない状況です。近頃ではテンプレートのことを考えるのが一番心が落ち着く時間です。日記の方はこうして衣替えを楽しんでおりますが...全文を読む


第892回

第50章

  その日以降、アレクサンドルは午後5時になるとベル=ジャルディニエール門にあらわれた。イーリスは、いつの間にか彼がやってくるのを楽しみにするようになっていたのである。 こうして、かの女は、サント=ヴェロニック校に転校するという考えを捨てた。 もし、サント=ヴェロニック校に入れば、寮生活をしなければならない。そうしたら、誰がいったいこの庭を守るのだ? ここにあるたくさんのバラを手入れするのに一番適し...全文を読む


第893回

第50章

  アンブロワーズ=ダルベールを中心にした<ダルベール班>と呼ばれるグループの中で一番将来性を嘱望されていたのは、スイス人のベルンハルト=ショットだった。彼は、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの師でもあるローザンヌ大学のアリスティード=ドーラン教授の門下で、教授の推薦状を持ってミュラーユリュードにやってきた青年だった。彼の研究テーマが、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの現在の得意分野であ...全文を読む


自粛

備忘記録的なもの

 このところ、まわりで自粛・制限・節電・・・と漢字二文字が飛び交っておりまして、どうも窮屈な毎日が続いております。春、お花見のニュースを見たときには、119番通報して、消防車で放水して騒ぎを沈静化してもらいたいと思うくらいかっかとしておりましたが、仙台の光のページェントのニュースを見たときには、いろいろな意味で涙ぐんでしまいました。うーん。長い一年でした。現在も室内温度は10℃。フリース2枚の重ね着...全文を読む


第894回

第50章

  その日の三人の役割分担は、ベルンハルトとサンディが実験を行い、スティーヴンが書記を務めることになっていた。ベルンハルトは準備を終えると、集まってきた全員にこう言った。「この実験は、とても危ないものです。ですから、今回は、ドアを閉めて密室に近い状態で実験します」 それを聞いていたドアの外の研究員たちはため息をつき、ドアから離れた。 ベルンハルトは自らドアを閉めた。 実験が始まってまもなく、ノックの...全文を読む


第895回

第50章

  スティーヴンは、ためらいがちにベルンハルトの方を見た。「実験そのものには、何の手違いもありません。でも、ずっと違和感を感じていました」スティーヴンは英語で話し始めた。言葉を選ぶように、自信なさげに。 その調子に、ベルンハルトは気を悪くしたように口を出した。「どういうこと?」 スティーヴンはつばを飲み込んだ。それから、ゆっくりとドイツ語でこう訊ねた。「ベルント、今そこにある物質が、ぼくたちが予測し...全文を読む


第896回

第50章

  午後7時前、イーリス=ド=メディシスは、まだ庭にいた。 かの女も、銅像の前の白いバラが咲いたことを知っていた。そして、自分の妙な胸騒ぎの原因は、それに違いないと思っていた。いや、そう思おうとしていた。かの女は、なぜか家の中に戻りたくはなかった。それで、気持ちの整理がつくまでと思い、草むしりを続けていたのである。「大変です、イーリスお嬢さま!」ラ=メーゾン=ブランシュの正門であるサン=クロード門の...全文を読む


第897回

第50章

  ほぼ同じ時間、シャルロット=ド=サン=メランはマルセイユのコンサートホールのステージの上にいた。 コンサートは、午後の7時に開始されていた。その日のプログラムは、すべてショパンの曲のみで構成されていた。 前半は、ショパンの第2番のソナタでスタートする。休憩が入り、後半は第3番のソナタ、幻想ポロネーズ、舟歌というショパンの晩年の名作が並ぶものであった。 そのプログラムは、奇しくも、フィールウントゼ...全文を読む


第898回

第50章

  イーリスが<きづたの家>に着いたとき、建物の内外はまだ混乱状態にあった。研究所に被害が出たといっても、破損の規模はそれほどでもなく、幸い大きな火災にならなかったようだった。誰かに話を聞こうと思ったが、皆忙しそうに駆け回っていた。かの女は歩き回っているうち、サンディの友人として紹介されたことがあるジルベール=ロシュフォールの姿を見かけ、呼び止めた。「ロシュフォールさん!」 イーリスが声をかけると、...全文を読む


第899回

第50章

  ドクトゥール=マルローの表情はくもり、またいつものような難しい表情に戻った。「ドクトゥールは、頭を強く打って頭蓋骨を骨折しました。脳に異常があるかどうかは、現時点では何とも言えません。意識が戻らないからです」彼はなるべく専門用語を使わないように説明しようと試みているようだった。「そして、意識が戻るのもいつになるか、今の時点ではわかりません。そのほかには、骨折した個所はありませんが、何箇所か打撲の...全文を読む


第900回

第51章

  1914年5月29日、午後10時。 <きづたの家>の5人のリーダーたちは、ブリューノ=マルローとアンブロワーズ=ダルベールを臨時所長代理に任命した。その直後、臨時所長代理たちは最初の仕事に取りかかった。 研究所入り口のロビーで、記者会見が行われたのである。その記者たちに混じって、警察の人間がいたのは言うまでもない。 ブリューノ=マルローは、そこにいた約10人くらいの人たちに向かって挨拶し、アンブ...全文を読む


第901回

第51章

  ブリューノ=マルローも、その言葉を聞くと動揺した。しかし、彼は冷静さを装うだけの精神的強さを持ち合わせていた。彼は、若い研究員から事情を聞き、しばし考え込んだ。「誰かが、かの女の命を狙っているんだ」アンブロワーズ=ダルベールは、絞り出すような声でつぶやいた。「きっと、毒を盛られて・・・」 マルローはあきれたようにダルベールを見た。「小説の読み過ぎだ」 ダルベールは真っ青になった顔を上げた。「だけ...全文を読む


第902回

第51章

  ダルベールは目を丸くしたままエリヴァン刑事を見つめていた。「まさか!」口を開いたのはマルローの方だった。「ありえません、絶対に!」「絶対に?」エリヴァンは聞き返した。「そんな言葉を使っていいんですか?」 マルローの口元が心なしかゆるんだ。「ええ。彼だけは、間違っても犯人じゃありません。もっとも、これは事故であって、事件ではないはずですけどね」 エリヴァンは用心深い表情を浮かべた。「絶対に、という...全文を読む


第903回

第51章

  シャルロットは、聖ヨゼフ病院という名の大きな病院に搬送されていた。 シャルロットが運び込まれた直後、黒いまっすぐの髪をした女の子が、追いかけるように病院にやってきた。かの女は、救急治療室の前のベンチに座っていて、シャルロットが出てくるのを待っていた。 やがて、救急治療室から、シャルロットの主治医であるスタニスラス=ルフェーブルが出てくると、かの女は立ちあがった。「・・・まだそこにいたのかね?」医...全文を読む


空回り。

備忘記録的なもの

 ここ1週間ばかり、空転状態が続いております。年賀状を印刷しようとしたら、どうやっても印刷画面が開かない・・・。これを毎晩やっているうちに、エネルギー切れを起こしたようでついに集中力が切れました。今日は、年賀状印刷ソフトを立ち上げなかったからか、コンピュータの機嫌がいいみたいです。ですが、今、何をしたいのかわからなくなってしまいました。皮肉なことです。このところ、毎日小説がらみの夢を見ます。ただし、...全文を読む


第904回

第51章

  翌日、ドクトゥール=ルフェーブルは、314号室の前でこっくりこっくりしていたシルヴィーを見て驚いた。「学校は、いいのかい?」医者は、かなり親しみのこもった声で訊ねた。「いいんです。わたし、ここで待つことに決めましたから」「何を?」「返事を」シルヴィーが答えた。「研究所からの電報、または、ユーフラジーの意識が戻るのを待っています」「ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーなら、こんなとき、こう言うん...全文を読む


第905回

第51章

  ミュラーユリュードの警察署には、<魔術師>という評判のアレクサンドル=ルークレールという名の警部がいた。 ミュラーユリュードの警察署、といっても、彼らの管轄は、ミュラーユリュード、オーベール、ルシャンという3つの町村にまたがっていた。その3町村を、それぞれ二人ずつの警察官が担当し、ルークレール警部は彼らを統率する立場だった。彼らが7人集まるのは一日にただ一度だけで、あとはそれぞれが自分の持ち場で...全文を読む


第906回

第51章

  ルークレール警部のカンは、その話を聞いたとき、《これは、単なる偶然だ。両者とも、ただの事故に過ぎない》と告げていた。しかし、彼は、自分の考えを話さなかった。もし、そう言ったら、彼の部下たちはその言葉を素直に鵜呑みにするだろう。そして、この事故から何も学ぶことはできない。彼は、部下たちに経験を積ませたかったのである。「・・・エリヴァン、きみの処置はそれでいいよ」ルークレール警部はそう言った。「この...全文を読む


第907回

第51章

  エリヴァンはコーヒーカップを持ち上げながら言った。「あなたは、こんなときにでもジョークが言えるんですね」「こんなときだからこそ、ジョークを言わなくてはならないんです」ダルベールはすまして答えた。「ぼくは、人生とは、壮大なジョークだと思っています。でなかったら、壮大なブラックユーモアだと」 エリヴァンは、何と答えるべきか考えた。とっさに返す言葉が思いつかなかったので、彼はコーヒーを口にすることに決...全文を読む


第908回

第51章

  しかし、エリヴァンは彼の変化には全く気づかなかった。メモに夢中になっていたからである。「部屋を出てからも、ぼくは、実験のことが気になっていました。でも、ベルントは『たとえ天地が滅びても、二度とこのドアは開けないように』と言ったので、戻ることができませんでした。それで、ぼくはリュシアンにつきあうことにしたんです。しばらくして、実験室から爆音が聞こえました」ダルベールが言った。「少なくても、その音が...全文を読む


第909回

第51章

 「わたしは、博士という人種は、もっと論理的な人たちだと思っていました。あなたの論理のたてかたは、学者らしくありませんね」「そうかもしれませんね。ぼくは、論文を書くよりは、計算をしている方が似合う研究者ですから」ダルベールが答えた。「あなたは、子どもの頃から学者になろうと思っていたのですか?」「いいえ」ダルベールが即座に答えた。「先ほどもお話ししました。フランショーム一族に生まれた人間は、音楽家にな...全文を読む


第910回

第51章

  ダルベールが黙っていたので、エリヴァンは続けた。「別の視点で考えてみましょう。実験者たちは、部屋にグリセリンがあることを知らずに実験したが、犯人の意図は、中にいる誰かに対する殺意だ」エリヴァンが言った。「中にいる誰かが、殺人の対象だ。まず、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーがターゲットだとします。彼が死んで一番得をする人間は、遺族たちですよね。でも、彼には家族はいません。そして、昨日の時点で...全文を読む


第911回

第51章

  ドクトゥール=ノヴァークは、その日の朝も、いつもの打ち合わせがあると思いロビーにやってきた。そして、習慣的にそこに足を運んでいた何人かと顔を合わせ、何となく苦笑した。「・・・そうだ、ドクトゥールは・・・(今日は、来ないんだ)」と彼はつぶやいた。「部屋に戻ろう」 エリヴァンとドクトゥール=ノヴァークが顔を合わせたのは、廊下だった。「おや・・・?」ドクトゥール=ノヴァークは、思わず顔を輝かせた。「ぼ...全文を読む


第912回

第51章

 「ぼくは、あの実験が見たかったんですよ。でも、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、わざと部屋に入る人間を制限した。そうしなかったら、あの部屋は人間でパンクしてしまっていたでしょうからね。で、定員オーバーで閉め出されたぼくとしては、何としてでもあの部屋に入り込めるチャンスが欲しかった。そこへ、アンブロワーズの友人がやってきた」ドクトゥール=ノヴァークが言った。「普段のぼくだったら、実験中だから...全文を読む


地に平和

備忘記録的なもの

 夜中に目が覚めました。外を見ると、きれいな星空です。屋根の上にうっすらと雪が積もっております。とても静かな夜です。1階の様子を見に行きましたら、マッサージチェアのところに、昨日買い求めたユニクロ製のあたたかそうな靴下が置きっぱなしになっていました。いい年をした大人なんだから、きちんとかたづけておけばいいのに。たぶん、片付けられていないだけですが、ここはひとつ、いたずらをしかけてきました。明日の朝、...全文を読む


第913回

第51章

  エリヴァンは、こうしてほぼ1日中研究所内を歩き回った。彼は、研究所内の人間のほとんど全員と話をした。そればかりではなく、イーリス=ド=メディシスとまで話をした。イーリスは、この日もアレクサンドル=シャルパンティエのことを聞きに現われた。そして、彼の枕元にあった花瓶の花を取り換えて帰っていったのである。「かの女も、心配な患者を二人も抱えて、大変ですね」かの女の後ろ姿を見て、執事のマクシミリアン=シ...全文を読む


第914回

第51章

  次の日---5月31日---の昼過ぎ、ブリューノ=マルローはようやくマルセイユに到着した。彼は、病院に到着すると、ドクトゥール=ルフェーブルの診察室に駆け込むように入っていった。ちょうど昼休みが終わり、午後の診察が始まる直前のことだった。 スタニスラス=ルフェーブルは、突然ドアが開いたので、不作法な患者か若い看護師が飛び込んできたと思い、不機嫌な表情でにらみつけた。しかし、部屋に入ってきた人物が誰なの...全文を読む


第915回

第51章

  二人の医者は、はっとしてシャルロットの方を見た。 シャルロットのまぶたがかすかに動いていた。ややあって、シャルロットはかすかに目を開いた。「・・・おめざめですか、リディアお嬢さま?」シルヴィーはかの女の枕元にひざまずき、芝居がかった口調でそう言った。「今朝は、調子はいかがですか?」 シャルロットは、それを聞くと、急に眠気が覚めたようにシルヴィーを見つめた。ややあって、かの女はこう答えた。「・・・...全文を読む


第916回

第51章

  シャルロットはそれを聞き、くすくす笑いながら訊ねた。「わたしが、リディアと同じプログラムを演奏したから?」「バルカロールを弾き終えた後、倒れたからよ」シルヴィーは怒ったように言った。「小説とほとんど同じ状況・・・。お膳立ては整っていたわ」 シャルロットはすまなそうにうなだれた。「そもそも、どうして、フィールと同じプログラムにしたの?」シルヴィーはまだ怒っていた。「時間がなかったのよ」シャルロット...全文を読む


第917回

第51章

  ドクトゥール=マルローは、ゆっくりとうなずいた。そして、研究所で爆発事故があったことを告げた。部屋にいた人たちの中から死者が出たこと。実験の途中で部屋から出たアンブロワーズ=ダルベールが最重要容疑者として疑われていること・・・。 シャルロットは口を開いた。「ドクトゥール=ダルベールが犯人のはずがないわ。もし、彼が犯人なら、部屋を出るときドクトゥールも一緒につれて出たはずだわ。彼がドクトゥールを危...全文を読む


第918回

第52章

  5月31日の朝、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、怪我人たちのうち最初に意識を取り戻した。 知らせを聞いて駆けつけたリシャール=エリヴァンが彼の部屋に通されたとき、そこにはベッドに横たわっている人の他に二人の男性がいた。一人は枕元の椅子に座っていて、もう一人はベッドのそばにひざまずいていた。 ひざまずいていた方の男性は、エリヴァンが部屋に入る気配で、ぱっと立ち上がり、振り向いた。ドクトゥ...全文を読む

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