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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2012年01月  】 更新履歴 

  01.01.  【 第52章 】  第919回   さわりを読む▼
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  01.12.  【 第52章 】  第930回   さわりを読む▼
  01.13.  【 第52章 】  第931回   さわりを読む▼
  01.13.  【 備忘記録的なもの 】  ゆっくりと前進   さわりを読む▼
  01.14.  【 第52章 】  第932回   さわりを読む▼
  01.15.  【 第52章 】  第933回   さわりを読む▼
  01.16.  【 第52章 】  第934回   さわりを読む▼
  01.17.  【 第53章 】  第935回   さわりを読む▼
  01.18.  【 第53章 】  第936回   さわりを読む▼
  01.19.  【 第53章 】  第937回   さわりを読む▼
  01.20.  【 第53章 】  第938回   さわりを読む▼
  01.21.  【 第53章 】  第939回   さわりを読む▼
  01.22.  【 第53章 】  第940回   さわりを読む▼
  01.23.  【 第53章 】  第941回   さわりを読む▼
  01.24.  【 第53章 】  第942回   さわりを読む▼
  01.25.  【 第53章 】  第943回   さわりを読む▼
  01.26.  【 第53章 】  第944回   さわりを読む▼
  01.27.  【 第53章 】  第945回   さわりを読む▼
  01.27.  【 備忘記録的なもの 】  口は災いの元・・・だとは思いますが。   さわりを読む▼
  01.28.  【 第53章 】  第946回   さわりを読む▼
  01.28.  【 備忘記録的なもの 】  久々に手を加えてみました   さわりを読む▼
  01.29.  【 第53章 】  第947回   さわりを読む▼
  01.30.  【 第53章 】  第948回   さわりを読む▼
  01.31.  【 第53章 】  第949回   さわりを読む▼


第919回

第52章

 「全責任は、わたしにあります」ドクトゥールが口を開いた。「ご自分をお責めになりませんように」エリヴァンが言った。「薬品の担当だったドクトゥール=マクドナルドも、このすりかえには気づいていませんでした。ですから、あなたには責任はない」「しかし、わたしは、気づいていなければならなかった・・・」そこまで話したとき、彼は思わず体を縮め、残りの言葉はうめき声に変わった。「ドクトゥール=マクドナルドが、グリセ...全文を読む


第920回

第52章

  ドクトゥールは青年の顔をじっと見つめた。そして、一つの結論を出した。「・・・薬品を買ったのは、きみだね?」 青年---ステファーヌ=ジョベールはさらに青くなった。「少なくても、きみはその場に居合わせた、そうだね?」「・・・はい」ジョベールは小さな声でそれを認めた。「どうしてだ?」 ジョベールは黙って下を向いた。「グリセリンを買ったのは、いつだ?」「・・・一週間前です」ジョベールは口ごもりながら答え...全文を読む


第921回

第52章

  ジルベール=ロシュフォールがドクトゥールの部屋にやってきたのは、昼過ぎのことだった。彼は、イーリス=ド=メディシスと一緒に部屋を訪れた。 ドクトゥールはベッドに上半身起きあがった状態で二人を迎えた。「もう、起きあがっても大丈夫なんですか?」イーリスは目を丸くしてそう訊ねた。そうしながら、かの女はベッドに近づき、挨拶をした。そして、こう言った。「わたしたち、教会で会ったんです。それで、一緒にここま...全文を読む


第922回

第52章

  ドクトゥールはもう一度目を閉じた。彼は、この話を詳しく聞くべきかどうか迷っていた。そして、ロシュフォールが話すまま耳を傾けることにした。「その人物の名前を聞くと、ドクトゥール=シャルニーは、前よりも動揺した顔になりました。そして、その患者を直接診察しようと言いました。ぼくは、その件はそれ以上詳しくはわかりません。ですが、薬品抜き取りはその後も行われ、ぼくはそれに加担し続けました」「どうして?」ド...全文を読む


第923回

第52章

  6月1日は、ミュラーユリュードのバラ祭りの日である。 その日の朝、アレクサンドル=シャルパンティエの病室に、彼の母親が来ていた。シャルパンティエ夫人は、息子を自分の病院に搬送する許可を求めて研究所にやってきたのである。かの女は、事故当日から、彼を自宅に引き取ろうと考えていた。しかし、研究所内の医師たちは、彼を動かすことに反対しつづけた。いくら話し合いをしてもらちがあかないと考えたかの女は、いった...全文を読む


第924回

第52章

 「死者は、ベルンハルトだけだ」ドクトゥールは正直に答えた。「ただし、ほかの人も重体だ」 アレクサンドルの顔がくもった。彼は目を閉じた。祈っているようだった。「こんなことになるなんて!」シャルパンティエ夫人がいらいらしたように言った。「わたしは、あなたを連れ戻しに来たんです」 アレクサンドルは、びっくりしたように母親を見つめた。「どうして、ぼくが帰らなくてはいけないの? だいたい、家に戻ってくるなと...全文を読む


第925回

第52章

  その口調を聞き慣れている研究所員たちは、一様にほほえみを浮かべた。ドクトゥールが本気で言っていないことがわかっているからであった。アレクサンドルは、ドクトゥールにほほえみかけ、ドクトゥールも彼に向かってにやりとした。『どう、名演説だった?』ドクトゥールは彼に問いかけていた。彼はにっこりとうなずいた。 逆に、シャルパンティエ夫人一人だけは真っ青になっていた。かの女はうわずった声で言い返した。「裁判...全文を読む


第926回

第52章

  ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーは、自分の部屋の窓からシャルパンティエ母子が出て行くのを見送った。「・・・いいんですか、ドクトゥール?」リオネル=デルカッセが、彼の後ろ姿に向かって声をかけた。 リオネル=デルカッセは、代々続いた医者の家系に生まれた。デルカッセ一族の中でも、彼の祖父にあたるギヨーム=デルカッセは、スイスで名医と呼ばれる内科医で、ドクトゥールの父親や祖父は彼の患者であった。さ...全文を読む


第927回

第52章

 「父親の方のアレクサンドル=シャルパンティエは、おっちょこちょいの愛らしい人物だったと聞いています。決して野心家というタイプではなく、純粋に患者のことだけを考える優秀な医者だったそうですね。彼が医者を続ける原動力になっているのは、病気を治してもらった患者さんの笑顔なのだと、彼はそう周囲の人に話していたとか」 ドクトゥールはうなずいた。「だからこそ、彼は、患者からも研究員からも愛されていたのだとドク...全文を読む


第928回

第52章

 「でも、ドクトゥール=ダルベールは、シャルロットの小説を全部読んでいるのだとか」リオネルが言った。「それこそ、かの女のデビュー前の作品も全部知っているそうですね」「アンブロワーズは、かの女の初めての小説の最初の読者だったそうだ」ドクトゥールが言った。「少なくても、彼はそう自慢している」「ロジェもそう言っていますから、本当のことなんでしょうね」リオネルが言った。「話を元に戻します。この<毒殺説>は根...全文を読む


第929回

第52章

  ドクトゥールは、あの実験の最中、スティーヴンを見ているうち妻のアレクサンドリーヌのことをふと考えたことを思い出した。スティーヴンがかの女に似ているというわけではない。彼のしぐさのひとつが、かの女のしぐさを思わせただけだ。スティーヴンは彼の母親ローズメアリー=ビショップに似ている。アレクサンドリーヌに似ているところがあるとすれば、その目の色くらいのものだ。それでも、ドクトゥールはリオネルの指摘に驚...全文を読む


第930回

第52章

  リオネルは、彼の言葉を聞きながら、自分は医者であることをやめることは決してないだろうと思った。たとえ小説を書くのをやめることができても、医者であり続けるだろう。自分の心の中の声が聞こえたのは、これが初めてのことだった。彼は内心驚いていた。 ドクトゥールもリオネルの内心の葛藤に気づいていた。今の言葉が、一つの方向性を示したことも彼にはわかっていた。リオネルは、必ず内科医になるはずだ。そして、いずれ...全文を読む


第931回

第52章

  ドクトゥールは、リオネルの目をまっすぐに見た。「わたしは、シャルロットにこの研究所を託したいと思っている。かの女は、わたしの正当な相続人ではないが、一番近い親戚であるのは間違いない---これ以上詳しいことは話させないで欲しい、リオネル。これは、シャルロット当人を含め、誰にも話したことがない秘密なんだ」 リオネルは黙ってうなずいた。「わたしは、かの女を娘以上の存在だと思っている。かの女は、わたしのせ...全文を読む


ゆっくりと前進

備忘記録的なもの

 1月1日から一日いちどは地震がある毎日ですが、現在の関心事はむしろ例年よりもやっかいな寒さの方です。きたぐにの方には笑われてしまいそうですが、雪道は苦手です。どっかのCMじゃないのですが、「乾いた氷は滑らない」。今シーズンの雪道は、そのボーダーラインの気温上というのが面白くありません。たぶん、もっと寒いところだったらこれほど雪道も恐くないのでしょうが、恐ろしいアイスバーンを朝晩体験し、体力・気力と...全文を読む


第932回

第52章

  ドクトゥールとリオネルが一階に下りてきたとき、階段のところにダルベールがいた。「今、食事の案内をしようと思っていたところです」ダルベールが二人に言った。「食堂の準備ができているそうです」 ダルベールは、二人が彼の後ろの何か---あるいは誰か---を見ていることに気づき、振り返った。 そこに立っていたのは、不安そうな顔をしてバラの花束を抱えて立っていたイーリス=ド=メディシスだった。「おはよう、マドモワ...全文を読む


第933回

第52章

  ドクトゥールの体力は、葬儀の采配をするほど回復はしていなかった。リオネルをその場に残し、彼はいったん研究所に戻っていった。 しかし、彼は休息を取ることができなかった。昼過ぎに、スイスからショット夫妻が到着するという連絡が入ったからであった。 ベルンハルト=ショットの遺体は、かつての彼の部屋に安置されていた。遺体の防腐処理はすでにすんでおり、遺族の到着を待つだけの状態になっていた。 ドクトゥール自...全文を読む


第934回

第52章

  ベルンハルトの母親は、ハンカチを目に当てたまま静かに泣いているだけだった。「ここは、本当に一つの家庭だったんですね。ここには、本当の家族がいたんですね」ショット氏が言った。「あなたに会って、あなたがわたしの息子の死を---いいえ、あなた自身の息子の死を悼んでいることがよくわかりました。わたしは、あなたにたいして、恨む気持ちはもうありません、ドクトゥール」 ドクトゥールは頭を下げた。「・・・しかし、...全文を読む


第935回

第53章

  6月7日日曜日の朝、シャルロットはグルノーブルから駆けつけてきたサヴェルネ夫人と一緒に公園を散歩していた。外出を許されたシャルロットは、サヴェルネ夫人と一緒に教会に行き、その帰り道、ヴァイオリンの音を出しても良さそうな場所を探していた。サヴェルネ夫人は、シャルロットが倒れたという知らせを受け取ったあと、夫を一人残してマルセイユにやってきた。かの女はこの日の夕方、グルノーブルに帰る予定になっていた...全文を読む


第936回

第53章

 「今度のチャリティ=コンサートの目的は、貧しい子どもたちの治療費を集めることです」リー氏が言った。「病院に行くことができないような子どもたちを一人でも助けるために、わたしたちはコンサートをすることにしたのです。そして、わたしたちの今回の趣旨を理解して下さったボルドー音楽院のリュミエール教授が、ボランティアで参加して下さることになっていたんです」「ガストンが・・・?」サヴェルネ夫人はつぶやいた。 ガ...全文を読む


第937回

第53章

  シャルロットのヴァイオリンの音色を初めて聞いたときから、少年たちはかの女の演奏に夢中になった。そして、観客の方はそれ以上にかの女の演奏に熱狂した。演奏しているときのかの女は、ヴァイオリンと一体になっているように見えた。そのヴァイオリンは呪われたヴァイオリンか何かで、演奏者の体にくっつき、体の一部となり、心まで乗っ取ってしまうかのような不思議なヴァイオリンのように思われ、観客の目は、演奏している車...全文を読む


第938回

第53章

  その翌日の午後、二人の少年が聖ヨゼフ病院の受付にいた。彼らは、突然姿を消した「シンデレラ=ボーイ」を探していたオーケストラの団員だった。前日のコンサートは、彼らが予想していたよりも多額の寄付を集めることができた。彼らは、謎の少年にお礼を言いたかったのである。「ブローネク=スタニスワフスキー」受付の人はその名を聞くと首を振った。「そういう患者さんは、入院されておりません」「やはり、本名ではなかった...全文を読む


第939回

第53章

 「まあ、あなたもあの小説を読んでいるの?」シャルロットが訊ねた。 アレクサンドルが顔をしかめたので、シャルロットは真面目に言った。「ごめんなさい。ライトの光に驚くなんて、わたしもどうかしていたわ。ステージから落ちて骨折しただけよ。心配かけてごめんなさい」シャルロットは目を伏せた。「骨折? それじゃ、しばらくピアノは弾けないんですね?」 シャルロットはうなだれた。「今は、まだよくわからないわ」「もし...全文を読む


第940回

第53章

  シャルロットは、虚しい思いを抱いて彼の後ろ姿を見ていた。あの事件のことは、どこかで割り切って考えなければ前進できないことはよくわかっていた。しかし、あそこまで言う必要があったのだろうか?「・・・シャルロット」アレクサンドルの優しい声で、かの女は振り向いた。「それでいいんです。あなたを予選通過させたのはあのときの審査員たちです。あなたには、何の責任もない」「でも、落ち度はあったわ」シャルロットが言...全文を読む


第941回

第53章

  シャルロットが診察室から出てきたとき、リュミエール教授はさっきの姿勢のままそこに立ちつくしていた。 シャルロットは驚いて声をかけた。「・・・リュミエール教授・・・?」 彼ははっとしてシャルロットの方を見た。「まだそこにいらしたんですね?」シャルロットは優しく声をかけた。「・・・信じられない」彼は一言そう言った。 シャルロットはほほえんだ。「そうでしょうね。わたしも、最初に聞いたときはそうでしたか...全文を読む


第942回

第53章

 「《その場に居合わせたある音楽評論家はこう語った。『あの車椅子の少年は、教授の不在という緊急事態を最高の方法で収拾した。子供用の楽器を使っていたところを見ると、年齢は10歳くらいなのだろう。ブローネク=スタニスワフスキーという名前を名乗ったそうだが、恐らく仮名であると思われる。これだけの腕を持つ少年が、ポーランドで話題にならないはずはない。そして、ポーランドにはそういう名前のヴァイオリニストはいな...全文を読む


第943回

第53章

 「しかし、わたしには、何だかわかるような気がする」リュミエール教授が言った。「・・・フランク先生という人は、自分のキャリアを犠牲にしてでも弟子たちの援助をすることに喜びを見いだしているような人だった」 シャルロットはうなずいた。フランク氏の弟子は、彼に対してそういう評価をする。これに類する言葉を、これまで何人の口から聞いたことだろう。「わたしたち---ウワディスワフ=スタニスワフスキー、ジョゼフ=サ...全文を読む


第944回

第53章

  イングリット=バウマン=ド=メディシスの葬儀は、6月8日に行われた。 その日、かの女の葬儀に集まった人の数は非常に少なかった。かの女には、フランスにやってきて以来、友人と呼べる人は誰もいなかった。さらに、親戚も少なかった。フランス人であるアレクサンドル=ド=メディシスとの結婚を反対されて以来、かの女のドイツの親戚とのつきあいは一切なかった。かの女にとってそのアレクサンドルの親戚にあたる人たちだけ...全文を読む


第945回

第53章

  ドクトゥールは、イーリスの肩をぽんとたたいた。「あなたは、この町にとって、なくてはならないひとなんです。ラ=メーゾン=ブランシュを頼みます、イーリスさん」 イーリスはうなずき、サンディ=シャルパンティエのほうに向かって去っていった。 その後ろ姿を見送っていると、リオネル=デルカッセが声をかけてきた。「もう、お戻りになりますか、ドクトゥール?」 ドクトゥールはリオネルの方を見た。「仕事は、もう終わ...全文を読む


口は災いの元・・・だとは思いますが。

備忘記録的なもの

 いつもだと、これではないもう一つのブログで書いている(恒例の?)記事があるのですが、今年はこちらのブログでそのネタの記事を書くことにしました。今年の年賀状についての総括です。なぜ、今年はこちらで行うことにしたか。まあ、一種の後始末的な意味合いです。#176の記事「自粛」(12/6)は、この辺境ブログ始まって以来、おそらく空前絶後(?)の読者を集めた記事ですが、いったん始めたからには、自分なりの結論を書い...全文を読む


第946回

第53章

  シュミットは、首をかしげた。自分は何かおかしなことでも言ったのだろうか? 彼の表情はそう語りかけていた。「ただいま、シュミットさん」リオネルが挨拶し、通り抜けようとした。「ドクトゥール=デルカッセ・・・?」シュミットは声を潜めてリオネルを呼び止めた。「あの・・・わたくしが、何か、おかしなことでも・・・?」 リオネルは立ち止まった。彼は、真剣な顔をしてこう言った。「ドクトゥールは、あなたに聞きたい...全文を読む


久々に手を加えてみました

備忘記録的なもの

 ここ2週間くらい、ずっと風邪の症状が続いておりました。・・・というか、風邪だと思っていました。でも、風邪薬を飲んでもちっともよくならないんですよね。あまり鼻をかみすぎたため、別の意味でマスクなしで外出することができなくなり(季節外れのサンタさん?)ついに病院に行きました。去年の春、ぜんそくがひどかったときにもらった薬を再び処方されたのですが、飲んだとたんにあれだけひどかった症状がぴたりと治まりまし...全文を読む


第947回

第53章

 「ジョベールとロシュフォールは、自分がしたことを弁解しようとしなかったからだ」ドクトゥールが答えた。「彼らは、それ以上のことを話さなかった」 シャルニーは目を閉じた。「しかし、きみには話す義務がある。なぜならば、きみは、彼らより立場が上の人間だからだ」ドクトゥールが言った。「わたしは、事実が知りたいのだ」 シャルニーはしばらくそうやっていた。やがて、彼は目を開けた。「・・・わかりました。事実を話し...全文を読む


第948回

第53章

  ドクトゥールは一瞬、反論の言葉を失った。 アレクシス=シャルニーは、研究所に病院が併設されたときからの古株だ。シャルニーとロジェとは、かれこれ12年前からの知り合いである。ドクトゥール自身は、それよりはるか前から---ロジェが子どもの頃から彼を知っている。養母であったジュヌヴィエーヴ亡き後は、自分の息子同様にかわいがり、シャルロットと兄妹同様にめんどうを見てきた。彼が病気になったら、自分の子ども同...全文を読む


第949回

第53章

  6月13日の朝になって、スティーヴン=ビショップ=テニスンの意識がようやく戻った。そのとき、彼の枕元にいたのはドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーただ一人だけだった。「・・・おはようございます、ドクトゥール」スティーヴンはぼんやりとした表情で声をかけた。目が半分しか覚めていないような感じでドクトゥールを見つめて、首をかしげた。「・・・何かあったんですか?」 ドクトゥールは、そのしぐさを見ている...全文を読む

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