FC2ブログ

年代記 ~ブログ小説~ 

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので
久しぶりのご訪問の方は、こちらで未読・既読のご確認ができます

【  2012年02月  】 更新履歴 

  02.01.  【 第53章 】  第950回   さわりを読む▼
  02.02.  【 第53章 】  第951回   さわりを読む▼
  02.03.  【 第53章 】  第952回   さわりを読む▼
  02.04.  【 第53章 】  第953回   さわりを読む▼
  02.05.  【 第53章 】  第954回   さわりを読む▼
  02.06.  【 第54章 】  第955回   さわりを読む▼
  02.07.  【 第54章 】  第956回   さわりを読む▼
  02.08.  【 第54章 】  第957回   さわりを読む▼
  02.09.  【 第54章 】  第958回   さわりを読む▼
  02.10.  【 第54章 】  第959回   さわりを読む▼
  02.11.  【 第54章 】  第960回   さわりを読む▼
  02.12.  【 第54章 】  第961回   さわりを読む▼
  02.12.  【 備忘記録的なもの 】  ・・・と思った。   さわりを読む▼
  02.13.  【 第54章 】  第962回   さわりを読む▼
  02.14.  【 第54章 】  第963回   さわりを読む▼
  02.15.  【 第54章 】  第964回   さわりを読む▼
  02.16.  【 第54章 】  第965回   さわりを読む▼
  02.17.  【 第54章 】  第966回   さわりを読む▼
  02.18.  【 第54章 】  第967回   さわりを読む▼
  02.19.  【 第54章 】  第968回   さわりを読む▼
  02.20.  【 第54章 】  第969回   さわりを読む▼
  02.21.  【 第54章 】  第970回   さわりを読む▼
  02.22.  【 第54章 】  第971回   さわりを読む▼
  02.23.  【 第54章 】  第972回   さわりを読む▼
  02.24.  【 第54章 】  第973回   さわりを読む▼
  02.25.  【 第55章 】  第974回   さわりを読む▼
  02.26.  【 第55章 】  第975回   さわりを読む▼
  02.27.  【 第55章 】  第976回   さわりを読む▼
  02.28.  【 第55章 】  第977回   さわりを読む▼
  02.29.  【 第55章 】  第978回   さわりを読む▼


第950回

第53章

 「・・・やはり、そうだったんですね?」スティーヴンは、返事を察してつぶやいた。「ああ・・・。部屋は爆風で壊れ、中にいた人たちは怪我をした。だが、亡くなったのはベルンハルト一人だけだ」ドクトゥールが言った。 スティーヴンは目を閉じ、祈っているようだった。「事件は、2年前から始まっていた。きみたちがあの薬品を、グリセリンだとは気づかないまま部屋に持ち込むはるか以前から事件は始まっていたのだ」ドクトゥー...全文を読む


第951回

第53章

  スティーヴンは真面目な顔をしてこう言った。「ところで、お願いがあるのですが、いいですか?」「ああ、どうぞ」 スティーヴンは真剣なまなざしで言った。「ドクトゥール=シャルニーを許してあげて下さい」「シャルニーを?」ドクトゥールはびっくりした。「きみは、シャルニーを憎んでいないの?」「どうして、ぼくが?」スティーヴンも驚いたように言った。「きみは、被害者だ」「彼だって、被害者です」スティーヴンが言っ...全文を読む


第952回

第53章

  スティーヴンは何も言わなかった。「きみは、クリスティーの息子だ。いつの日か、きみは彼のように偉大な人物になるだろう。たぶん、ドクトゥール=ダルベールと並ぶ実力者になり、研究所にとって欠かせない人物といわれるようになる」シャルニーが言った。「リーダーになる人間にとっては、優しさは必ずしも美点とは言えない。場合によっては、致命的な欠点になりうる」 スティーヴンはシャルニーを黙って見つめていた。「ドク...全文を読む


第953回

第53章

  ドクトゥールは肩をすくめた。「きみたちの言うことは、大げさすぎる」「そんなことはありません」リオネルが言った。「ここを出ることは、死を意味します。少なくても、精神的には死者同様です。研究所にいることそのものが、ぼくたちにとって生きる支えなのです。ぼくが彼なら、ここを出て行くくらいなら、ここで死にます」「二人とも、冷静になりなさい」ドクトゥールが言った。「まず、そこにある白衣を着なさい、スティーヴ...全文を読む


第954回

第53章

  ドクトゥールは、それを見ながらスティーヴンに言った。「スティーヴ、きみはまだ若い。命を狙われることはないにしても、いろいろなことに出会うだろう。だけど、何があってもその優しさだけは、決して失ってはいけないよ」 それから、彼はジョベールに言った。「ステファーヌ、わたしたちは、シャルニーを助けることができなかった。わたしたちは、間に合わなかった・・・」 ジョベールは振り返り、彼の言葉を遮った。「ドク...全文を読む


第955回

第54章

  6月13日の午後、サント=ヴェロニック校の1年生を中心とする生徒たちは、特別外出許可をもらい、ラ=メーゾン=ブランシュの庭に来ていた。翌日のリハーサルをかねた練習のためである。 ところで、オーギュスト=ド=マルティーヌとヴィルフレード=フェリシアーニの二人は、オーケストラのリハーサルを抜け出し、ジャン=ジャック=ルーヴェ大通りに立っていた。より正確に言うと、二人が立っていたのは、ジャン=ジャック...全文を読む


第956回

第54章

  オーギュストとヴィルフレードがラ=メーゾン=ブランシュに戻ったとき、ステージの上では<ドニ=フェリー=カルテット>の4人が練習しているところだった。そのほかの人たちは、練習風景を見ている人あり、チューニングをしている人あり、散歩している人あり・・・各自が好きなことをしていた。二人が抜け出したことに気づいている人はほとんどいないように見えた。 ステージの上には、椅子が4つしか出ていなかった。つまり...全文を読む


第957回

第54章

 「つまり、ぼくの転調が幼稚だと言いたいのか?」クラウディウスはむきになって言った。 アンソニーはゆっくりと首を振った。「フーガとは、そんなものさ」 彼の淡々とした口調を聞き、その場の全員が再度笑った。思わず、クラウディウスまで笑い出した。「・・・そうだね、フーガってそんなものだね」クラウディウスが言った。「降参だ、アンソニー」 そして、全員は笑い続けた。「・・・さて、もう一曲、練習しなきゃならない...全文を読む


第958回

第54章

  シャルロットは自分のリハーサルを終え、フランソワ=ジュメールが演奏するのを聞いた後、その場から離れた。イーリス=ド=メディシスがその場にいるのに気がついたからである。 シャルロットは、イーリスにお悔やみを言った。それをきっかけに、二人は---付き添いのドクトゥール=ダルベールを加えて3人は---その場から離れた。 3人がこちらに向かってくるのを見たアルフレッド=ド=グーロワールとリュシアン=ワッセルマ...全文を読む


第959回

第54章

 「本当に?」ワッセルマンは意外そうな顔をした。「あいつは、シャルロットの言うことなら、何でも聞いたさ。あいつなら、かの女に『わたしを殺して下さい』と頼まれる以外のことなら何でもするはずだ。たとえ、『この場で、いますぐ死んで下さい』と言われたとしても、あいつなら必ずそうするだろう」「・・・どういうこと?」ド=グーロワールは怪訝そうに友人を見つめた。「知らなかったの? あいつは、シャルロットを愛してい...全文を読む


第960回

第54章

  ド=グーロワールはため息をついた。「残念ながら、恋は理屈じゃない。だからこそ、アンブロワーズは、実現の可能性がないかもしれない道を突っ走っているんじゃないのか? もし、きみの言葉が正しければ、だがね」 ワッセルマンはふっと笑った。「・・・きみの口からそんな言葉を聞こうとはね。恋をしているのか、フレディ?」「きみこそ、どうなんだ? その幼なじみの女性だろう、お相手は?」ド=グーロワールは反論した。...全文を読む


第961回

第54章

  フランソワは一息つくと、話を続けた。「それで、そのときの同級生は、イグナーツ=バルトといって・・・」「聖マリア教会の?」ギュンターは目を丸くして叫んだ。「あのバルト神父が、メールのあこがれの男性?」「知ってるの?」「知ってるよ。ぼくは、彼に洗礼を授けられた」ギュンターが言った。「今は、確か、姉妹校のザンクト=パウル校の校長をしているはずだ。しかし、驚いたなあ。同級生って言ったら、メールは今年で6...全文を読む


・・・と思った。

備忘記録的なもの

 第65章をあらためて読みながら、やや古典的なジョークではありますが、「石橋をたたいて壊す」というものを連想してしまいました。あるところに、とても心配性なAさんという人間がいました。ある日、AさんとBさんが歩いていて川にさしかかりました。その川には石でできた橋が架かっていました。『丈夫そうな橋に見えるけど、もし渡っている途中で壊れてしまったらどうしよう?』AさんはBさんにたずねました。Bさんは『あの...全文を読む


第962回

第54章

  その夜、研究所では、アレクシス=シャルニーとステファーヌ=ジョベールの棺を前にして、全員が祈っていた。 ドクトゥール=シャルニーの肉親はトゥールーズに住んでいた。ステファーヌ=ジョベールには、ミューズという名の妹がいるだけだった。 ミューズ=ジョベールは、<ル=ヴァンティエーム=シエクル>のメンバーの一人で、ロジェ=ド=ヴェルクルーズやリオネル=デルカッセがミュラーユリュードにやってきたのとほと...全文を読む


第963回

第54章

  リオネルは、ロジェの姿を見て、これ以上詳しい説明はしない方がいいと判断した。ロジェ自身が気づいたとき、病気の話をしよう。たぶん、その頃には、彼の病状はかなり悪化しているとは思うが・・・。 しかし、今の話で、ミューズの方は何かを感じ取ったに違いない。元はといえば、かの女が兄にロジェの病気を相談したことからすべては始まった。兄がロジェに妙な薬を手渡すようになって2年になるが、ロジェがそれでよくなった...全文を読む


第964回

第54章

  シャルロットは、カーテンの隙間から入ってくる日差しで目を覚まし、自分がいつの間にか眠っていたことに気づいた。かの女がかすかに身動きしたのを感じ、ドクトゥール=ダルベールはほとんど音声にならないようにかすかにささやいた。「・・・お疲れになっていたんでしょう?」 シャルロットはドクトゥール=ダルベールにもたれるようにして眠っていたのに気づき、車椅子の上で体をまっすぐにした。かの女の顔は真っ赤になって...全文を読む


第965回

第54章

  リオネルは、ロジェの方に目を移した。ロジェは当惑したようにリオネルを見た。「・・・彼らって誰のことだ?」ロジェはもう一度訊ねた。 リオネルはふっとため息をついた。「昨日、この場にいた女性は全部で3人だ。そのうち一人は、ミューズ=ジョベールその人だから、残りは二人となる」 ロジェは黙ってうなずいた。「看護師のエリーズ=ルブランは、ドクトゥール=ルブランの妻だから、きみと恋愛関係にあるとは思えない」...全文を読む


第966回

第54章

  ラ=メーゾン=ブランシュでの式典は、午前10時から始められた。 式典は、三部で構成されていた。第一部は、サン=クロード街をパトリック=ド=メディシス街と名称を変更することを町長自らが宣言する式典。第二部は、午前11時から始められるパトリック=ド=メディシスの命日のための追悼ミサ。そして、第三部は午後1時からの記念コンサートである。 式典の第一部は、この日のためにリシャール=マティスが作曲した<3...全文を読む


第967回

第54章

  ド=グーロワールは口をはさんだ。「死ぬ間際に何を思ったのか、本当のところはパトリック自身にしかわからないよ。だけど、一つだけ間違いないことがある。彼は、死ぬ間際に、自分の人生が不幸だったと嘆く気持ちだけはなかった」「わたしもそう思うわ」フロランスが言った。「むしろ、彼くらい幸せな人はいなかったんじゃないかしら。少なくても、彼は、死ぬ間際にすてきな夢を見ていたわ・・・」「プティタンジュの証言だね?...全文を読む


第968回

第54章

  午後1時ちょうどにコンサートは始まった。 最初に演奏することになっていたフロランス=クールゾンは、落ち着き払った様子でステージに現われた。かの女は、黒いドレスを身にまとっていた。黒い髪をしているかの女が黒のドレスを着るのは珍しいことだったが、パトリックのために黒を着たのだろうと皆は思っていた。あとになって、何か思いつめたような表情だったと振り返った人もいたが、そのときには単に緊張しているのだろう...全文を読む


第969回

第54章

  少年はシャルロットが大嫌いだったあのほほえみを浮かべて二人を見た。「幽霊が昼間から出るものか」 その声を聞き、シャルロットは思わず車椅子から立ちあがろうとしかけた。「ドンニィ!」シャルロットの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。 ドクトゥール=ダルベールは、かの女が立ちあがらないようにとっさに後ろからその肩を押さえつけた。「コルネリウス!」ドクトゥール=ダルベールもほとんど同時に叫んだ。「いつ、ここへ...全文を読む


第970回

第54章

  ドクトゥール=ダルベールは、無理にほほえんだ。「さあ、準備をしなくては。あなたは、とびっきりすてきな笑顔でステージに出なくちゃならないんです。あたたかいタオルを準備させましょうか?」 シャルロットは彼をにらみつけた。「話題を変えようなんて、ずるいわ」「さあ、前を向いて」ドクトゥール=ダルベールが言った。「本番前に車椅子から落として怪我をさせたくありませんからね」 シャルロットは仕方なく前を向いた...全文を読む


第971回

第54章

  シャルロットは自分の出番を終えたあと、フランソワ=ジュメールの独奏を聴かずに控え室に戻った。着替えをして会場に戻り、アルフレッド=ド=グーロワールの演奏を聞くためであった。「・・・雨が降りそうですね」ドクトゥール=ダルベールは空を見上げながら言った。「楽器は部屋に置いてきた方が良さそうですよ」 シャルロットは自分の楽器をおいたまま部屋を出るのを渋った。それで、ドクトゥール=ダルベールは、部屋の鍵...全文を読む


第972回

第54章

  曲が終わったとき、ド=グーロワールは、座ったまま振り返り、シャルロットにささやいた。「・・・ありがとう、ぼくのわがままにつきあってくれて」「わたしがあなただったとしても、同じことをしたはずです」シャルロットは、疲れた表情に無理にほほえみを浮かべた。「あなたは、本当に・・・」 その言葉は、そこで途切れた。シャルロットの手から傘が落ち、次いでかの女の体がぐらっと大きく揺れた。 ド=グーロワールはとっ...全文を読む


第973回

第54章

  この混乱の中で、一人だけ冷静な人物がいた。フロランス=クールゾンである。  かの女は、しばらく前からこの光景を建物の中から眺めていた。いや、視線は遠くのステージの上にあったが、実のところかの女の目には何も映ってはいなかった。しばらく前から、かの女は広い世の中にたった一人きりでいるような感覚を味わっていた。  やがて、かの女は窓際から離れた。まっすぐ机に向かい、紙とペンを引き出しから取り出して、机の...全文を読む


第974回

第55章

  シャルロットは、約三週間ぶりにグルノーブルに戻った。 かの女がサヴェルネ家についたとき、サヴェルネ夫妻のほかにノルベール=ジラールまでそこにいた。ノルベールはかの女が車から降りて車椅子に移るのを手伝い、サヴェルネ教授は自らかの女の荷物を中に入れた。「ありがとうございます。あなたたちに、そこまでしていただいて感謝します」シャルロットが言った。そして、ノルベールを見上げた。「・・・でも、どうして、あ...全文を読む


第975回

第55章

  演奏が終わると、サヴェルネ夫人はみなにお茶を出すためにその場を離れた。 サヴェルネは何も言わずに、いつもの位置に置かれた新聞に手を出した。それを見て、ノルベールはシャルロットの方を見た。「あさってのコンサートは、予定通り行われるのかな?」ノルベールが単刀直入に訊ねた。「ええ」シャルロットが言った。「車椅子ではなく、松葉杖でステージに出るつもりよ。左足でペダルを使うことができないから、慎重に演奏す...全文を読む


第976回

第55章

  シャルロットは黙ってうなずいた。 ノルベールの目が輝いた。「驚いた。きみは、ユージェーヌ=ブーランジェのことを調べているの?」 シャルロットはそれを聞くと驚いた。作家カミーユ=ブールドンの本名を知っているということは、この人もこの作家に興味を持っているということだ。「まあ、詳しいのね」「ぼくも、彼が好きだ」ノルベールが言った。「彼は、たった二つしか作品を残さなかったけど、その二つで、ほかの人なら...全文を読む


第977回

第55章

 「・・・あら、マエストロがどうかしたの?」話を全く聞いていなかったサヴェルネ夫人が口をはさんだ。「・・・さあ、みなさん、お茶をどうぞ。わたしも、話を聞いてもいいかしら?」 サヴェルネ夫人がテーブルに紅茶を用意している間、話は中断された。ノルベールは、かの女が焼いたクッキーに視線を移していた。彼の大好物だ。彼の気がそれたので、シャルロットも黙ってしまったからだ。 サヴェルネ夫人が自分の席に着き、サヴ...全文を読む


第978回

第55章

 「ねえ、もしミシェルさんが生きているとしたら、マエストロもかの女のことを何か知っているんじゃないかしら?」サヴェルネ夫人が言った。「彼にも何か聞いてみれば?」 サヴェルネは紅茶のカップをテーブルに戻した。「ミシェルさんが実在の人物ならば、だな」「実在の人物だと思いますよ」ノルベールが言った。「しかも、ブールドンが簡単に告白できないような相手だ」 サヴェルネ夫人は首をかしげた。「簡単に告白できないよ...全文を読む

 更新履歴カレンダー