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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2012年04月  】 更新履歴 

  04.01.  【 第57章 】  第1010回   さわりを読む▼
  04.02.  【 第57章 】  第1011回   さわりを読む▼
  04.03.  【 第57章 】  第1012回   さわりを読む▼
  04.04.  【 第57章 】  第1013回   さわりを読む▼
  04.05.  【 第57章 】  第1014回   さわりを読む▼
  04.05.  【 備忘記録的なもの 】  メイストーム   さわりを読む▼
  04.06.  【 第57章 】  第1015回   さわりを読む▼
  04.07.  【 第57章 】  第1016回   さわりを読む▼
  04.08.  【 第57章 】  第1017回   さわりを読む▼
  04.09.  【 第57章 】  第1018回   さわりを読む▼
  04.10.  【 第57章 】  第1019回   さわりを読む▼
  04.11.  【 第57章 】  第1020回   さわりを読む▼
  04.12.  【 第57章 】  第1021回   さわりを読む▼
  04.13.  【 第57章 】  第1022回   さわりを読む▼
  04.14.  【 第57章 】  第1023回   さわりを読む▼
  04.15.  【 第58章 】  第1024回   さわりを読む▼
  04.16.  【 第58章 】  第1025回   さわりを読む▼
  04.17.  【 第58章 】  第1026回   さわりを読む▼
  04.18.  【 第58章 】  第1027回   さわりを読む▼
  04.19.  【 第58章 】  第1028回   さわりを読む▼
  04.20.  【 第58章 】  第1029回   さわりを読む▼
  04.21.  【 第58章 】  第1030回   さわりを読む▼
  04.22.  【 第58章 】  第1031回   さわりを読む▼
  04.23.  【 第58章 】  第1032回   さわりを読む▼
  04.24.  【 第58章 】  第1033回   さわりを読む▼
  04.25.  【 第58章 】  第1034回   さわりを読む▼
  04.26.  【 第58章 】  第1035回   さわりを読む▼
  04.27.  【 第58章 】  第1036回   さわりを読む▼
  04.28.  【 第58章 】  第1037回   さわりを読む▼
  04.29.  【 第58章 】  第1038回   さわりを読む▼
  04.30.  【 第58章 】  第1039回   さわりを読む▼


第1010回

第57章

 「わたしには、実は、婚約者がいるの」シルヴィーは話し出した。「彼とは、9月に結婚する予定なの」 シャルロットは驚いた。「まあ、初耳だわ」「彼は、わたしのいとこで、アントワーヌ=ダルディというの」「ダルディ家と言えば、確か、伯爵家だったわね」シャルロットが言った。「・・・詳しいのね」シルヴィーはため息をついた。「わたしの父は、伯爵家の長男だったの。でも、絵が描きたくて、若い頃家を飛び出してしまったの...全文を読む


第1011回

第57章

  数分後、シャルロットはブリューノの部屋にいた。彼らは練習をしていたのではなかった。一枚の絵の前に立っていたのである。 その油絵のモデルは、30代くらいに見える男性だった。黒い髪にグリーンの目をした、どこか寂しそうな表情の男性。フロランス=クールゾンにそっくりなほほえみを浮かべてはいたが、目は笑っていない。この人は幸せではない。彼が幸せになるには、何かが欠けている。この男性は、女性なら誰もが憧れて...全文を読む


第1012回

第57章

  そして、シルヴィーはブリューノに訊ねた。「この男性は、どなた?」「ぼくの父だ。アレクサンドル=クールゾンだ」ブリューノが答えた。「じゃ、あなたは、ドリーのお兄さん?」「いや、生まれた順から言えば、弟かな?」彼が言った。「ぼく、ドリーに似ている? この前、きみはぼくを見て、ドリーって呼んだよね?」「あれは、あなただったの?」「ときどき、ああやって散歩するんだ」「女装して?」シルヴィーは目を丸くした...全文を読む


第1013回

第57章

  シャルロットが口をはさんだ。「でも、クールゾン氏は、この絵がブリューノのお母さまと関係があると言ったのよね。わたし、思うの。もしかすると、ブリューノのお母さまが、この絵を依頼したんじゃないかしら、って・・・」「ぼくの母が、ペリゴール氏に父の肖像画を描かせた、ということ?」 シャルロットはうなずいた。「何のために?」ブリューノが訊ねた。「父は、あなたのお母さまと知り合いだったの?」シルヴィーが言っ...全文を読む


第1014回

第57章

  シルヴィーが泣きながら部屋を出て行ったのを見て、シャルロットもブリューノの部屋から出た。 シャルロットはそのまま<音楽室>に行った。 机の上には、シャルロットが書きかけておいていった論文が置かれていて、フランソワは興味深そうにそれを読んでいた。「・・・ごめん、読んでしまった」フランソワが言った。「ロジェの小説について書かれたものだと思ったものだから」 シャルロットはほほえんだ。「そうね、このテー...全文を読む


メイストーム

備忘記録的なもの

 おととい、今年初めての梅の花が咲き、うぐいすならぬつばめが、車庫にあった古巣に戻ってきました。この時期になると、しばらく車を外に出すことになるわけですが(でないと、車の被害が・・・)、さすがに昨日の晩(3~4日にかけての夜)には、つばめの被害の方がまだましだと言うことで車庫に車を入れました。朝起きると、案の定、裏山から飛んできた(と思われる)木が散乱しておりました。(まあ、ほとんどは枝でしたが、「...全文を読む


第1015回

第57章

  シャルロットは、思わず言い返さずにはいられなかった。「レオン=フランショームは、いくじなしだわ!」 双子の兄弟は思わず固まった。「アニェースは、自分の意志でポーランドに帰ったんじゃないわ」シャルロットは続けた。「もし、わたしがレオンだったら、たとえどんな嵐の中であれ、馬車を追いかけたはず。たとえ追いつけなかったとしても、何もせずに去らせるなんて、わたしだったら考えられないわ。アニェースを愛してい...全文を読む


第1016回

第57章

 「・・・わたし、マエストロのところに行ってくるわ」シャルロットは立ちあがった。「かの女が彼に無断でいなくなるとは考えられないわ」 少年たちは同意した。 その10分後、彼らはブリューノの部屋にいた。 シャルロットは油絵を指さした。「・・・すべては、ここから始まったのよ」 双子とブリューノは怪訝そうに絵を見た。「まず、座ってちょうだい。長い話になるわ」シャルロットはそう言い、一番近い椅子に座り、松葉杖...全文を読む


第1017回

第57章

  彼らがあ然としていると、シャルロットは続けた。「・・・シルヴィーは、結局、わたしを殺すことはできなかった」シャルロットが言った。「わたしたちは、親友なのよ」 そして、かの女は言った。「今の話のほとんどが本当の話だと思う。少なくても、シルヴィーはそう考えていたわ」 彼らは顔を見合わせた。「登場人物名を、実名にしてみましょうか。B氏夫妻は、もちろんシルヴィーの両親よ。B氏とは、フェリシアン=ペリゴー...全文を読む


第1018回

第57章

  数日後、シャルロットは一通の電報を握りしめながら祈っていた。 かの女は、すでにエクトール=フランショーム氏と話し合いを終えていた。明日の朝一番の列車で、グルノーブルに向かうと告げ、別れの挨拶もすませていた。帰るための荷造りも済んでいた。今着ている寝具を、朝、トランクにしまえば完成である。列車の時刻も確認済みで、駅に行くためにフランショーム氏の運転手とも話をつけてある。 あとは、明日の朝、フランシ...全文を読む


第1019回

第57章

  そう言うと、彼はほほえんだ。「ところで、シャルロット、きみは今でも、<ザレスキー=フランショーム戦争>が終わるために犠牲になってくれる気があるかい?」「犠牲ですって? コルネリウスと結婚することを犠牲だというの?」「だって、そうでしょう? それは、きみと彼との意志とは全く関係ない話だ」オスカールが言った。「きみがシャルロット=ド=ヴェルクルーズと名乗るとき、両家は本当の意味で和解できるんだ。一種...全文を読む


第1020回

第57章

  シャルロットは何も言わず、オスカールから目をそらした。「ぼくがきみにひかれていることに、ロベール叔父さまは気づいていた。彼はぼくを誘惑した。クラリス=ド=ヴェルモン=ピアノコンクールに出なさい。ユーフラジーは必ずコンクールに出る。わたしが約束する。きみは、もう一度かの女に会いたくはないか?」オスカールが言った。「・・・ぼくは、その誘惑には勝てなかった。もう一度きみに会いたかった。きみと話がしたか...全文を読む


第1021回

第57章

  シャルロットはそっと涙をぬぐった。かの女は無理にほほえもうとした。「・・・そうだ」オスカールは励ますように言った。「きみは天使のようだ。彼に、そう言われたことはないかい?」 シャルロットはうなずいた。 彼は、机の上からヴァイオリンを持ってきた。「これは、レオン=フランショームの使ったヴァイオリンだ」オスカールが言った。「このヴァイオリンの音色は、ポーランドからやってきた孤独な少女の心をとらえた」...全文を読む


第1022回

第57章

  ヘルムート=シャインには、3曲のヴァイオリンソナタがある。しかし、普通<シャインのヴァイオリンソナタ>といえば、第一番をさす。ヴァイオリンを演奏する人ならば、それを知っている。ほかの2曲を指定するときは、特定の番号で呼ぶのである。第一番は、ヴァイオリニストたちにとってそれだけの魅力がある音楽である。 それは、死んでしまった二人の女性の思い出に捧げられた音楽として知られていた。しかし、シャルロット...全文を読む


第1023回

第57章

  その晩、シャルロットは眠ることができなかった。 そして、あと二人、眠れない人たちがいた。シャルロットは、どこかで男性たちの言い争う声が聞こえることに気づいていた。しかし、かの女は心を閉ざしていた。自分の悲しみだけで手一杯で、ほかの人のことを考える余裕はなかった。かの女は、ひたすら祈っていた。その対象は、テオドール=フランク氏であり、シルヴィー=ペリゴールであり、ブリューノ=ド=フレデリックスであ...全文を読む


第1024回

第58章

  テオドール=フランクは、その生涯にたくさんの弟子を育ててきた。彼は、弟子たちを心の底から愛し、弟子たちも彼を愛していた。彼らを結ぶ絆は愛であった。弟子たちは、決して彼を自分と同等とはみなさなかった。フランク氏の方は彼らを友人だと思っていたが、彼らの方は彼を一段上の人間として扱っていた。ただ、セザール=ヴェルネだけは違った。彼はチェリストで、厳密な意味でフランク氏の<弟子>ではなかった。もともと、...全文を読む


第1025回

第58章

  7月8日、シャルロットはようやくグルノーブルに帰ってきた。 駅でシャルロットを待っていたサヴェルネ夫人は、急いでフランク家に向かおうとしていたシャルロットに言った。「お待ちなさい、シャル。彼に会う前に、わたしの話を聞いて」 シャルロットはサヴェルネ夫人を見つめ、うなずいた。「あなたは、あの<研究所>で育った人間だから、わたしのこんな忠告は無意味かもしれないけど、言わせてね」サヴェルネ夫人が言った...全文を読む


第1026回

第58章

  シャルロットは目の前の医者を眺めた。短めに刈った茶色の髪に、白いものが少し混じっている。 ルフェーブル三兄弟。彼が一番上だ。 二番目のニコラは外見は彼に似ているが、もっと鋭い目つきをした男だ。彼は三人のうち、未だに研究所に残っている。医者と言っても、彼の場合は患者ではなく病気の研究のほうに興味を持っている。だからこそ、彼だけは研究所から離れないのだ。 一番下のスタニスラスは当時から<名医>と呼ば...全文を読む


第1027回

第58章

 「サン=ナゼール?」フランク氏は驚いたようにシャルロットを見つめた。「なぜ、ザレスキー家のきみが、あんなところに用があるんだ? あそこは、確か、敵の本拠地だろう?」「敵の本拠地?」枕元にいたサヴェルネ夫人が思わず口にした。「あそこは、フランショーム一族の故郷だ」フランク氏が言った。「現在、エクトール=フランショーム氏の屋敷があるところだろう?」「ええ、わたし、その<シャトー=ルージュ>から来たんで...全文を読む


第1028回

第58章

  ドクトゥール=ルフェーブルのほほえみは、廊下に出るなり消えた。 彼は、全員の顔にゆっくりと視線を動かした。その表情はこわばっていた。「・・・ドクトゥール?」普段穏やかな顔をしている医者のその表情に、ヴァーク=ブーランジェは驚いた。 彼は真剣な顔をしたまま言った。「・・・一時的に、よくなったように見えます・・・」 彼の声はだんだん小さくなった。「・・・この小康状態は、長くても、今日一日だけのもので...全文を読む


第1029回

第58章

  一方、部屋に残された二人である。 フランク氏は、二人きりになったとたん、急に厳粛な表情になった。「聞いて欲しいことがある。1895年11月19日のことだ」フランク氏はかすれたような声で言った。「わたしたちは、当時、パリに住んでいた」 そう言うと、彼は訊ねた。「・・・あの日のことは、誰かに聞いたことがあったかな?」「いいえ、存じません」シャルロットは答えた。そして、心配そうにフランク氏を見つめた。...全文を読む


第1030回

第58章

  シャルロットは、スタニスワフスキーが友人たちから特別扱いされていた理由が、やっと飲み込めた。 スタニスワフスキーは、生きている間から<幻のヴァイオリニスト>と呼ばれていた。晩年の彼が<ステージ活動ができな>かったことは何度も聞かされていた。しかし、誰もその理由をあえて言わなかった。全員知っていたはずだが、シャルロットにはあえて誰も言わなかった。説明する必要があるとも思っていなかったかもしれない。...全文を読む


第1031回

第58章

  そして、フランク氏は優しく続けた。「スタニスワフスカ夫人に謝りに行ってごらん。ふたりでゆっくり話をしてごらん。かの女は、きみが嫌いになったからポーランドに送ったんじゃないことを説明してくれるはずだ・・・。きみは、心がまっすぐな子だ。わたしは、スタニスワフスカ夫人のことをよく知らないが、あのウワデクのお母さんだから、絶対に悪いひとじゃないと確信できる。和解しなさい。きみたちには、それができるはずだ...全文を読む


第1032回

第58章

  フランク氏はやつれた顔にほほえみを貼り付けた。「シャルロット、きみには、わたしの最愛の息子---ガルネリウスをあげよう。いつか、もらってくれるって言ってくれたよね・・・。ジョゼフ、そしてガストン、きみたちは、わたしの楽譜を半分ずつ分けてくれ。いらないものは、捨てても売っても焼いても構わない。ムッシュー=ブーランジェ、あなたは、残ったもののうちから、何か気に入ったものがあったら、何でも取ってくれ---わ...全文を読む


第1033回

第58章

 「わたしは、ヴィエニャフスキー先生があのコンチェルトを演奏して下さったときのことを、今でもよく覚えているよ・・・」フランク氏は、遠くを見つめた。懐かしそうな表情だった。「・・・わたしにとっても、思い出の曲だわ。わたし、あのコンチェルトでデビューしたんです」シャルロットが言った。「知ってるよ」フランク氏は言った。「だが、誰が選曲したんだ? ブルマイスターか?」「いいえ、ナターリア=チャルトルィスカ公...全文を読む


第1034回

第58章

  シャルロット=サヴェルネ---そのときは、シャルロット=フォレスティエだった---は、その瞬間、自分が好きだったのは、ウワディスワフ=スタニスワフスキーだったことを悟った。しかし、かの女の前で少年のように恥ずかしがっている彼は、自分の恋を打ち明けていたのではなかった。かの女は、その残酷な事実を前にして、笑うことしかできなかった。その笑いは、自分に向けた冷笑だった。『お願いです、約束して下さい』目の前の...全文を読む


第1035回

第58章

  しかし、ナターリア=スタニスワフスカは、夫の死後、別の男性を選んだ。ブルマイスターもほかの女性と結婚した。シャルロットは、二人をよく知っていたし、マリア=ヴィエジェイスカ夫人のこともよく知っていた。ナターリアの再婚も、ヴァレリアンとマリアの結婚も、シャルロットの目から見ると正しい選択に思われた。二組の夫婦は、お互いに理想的な組み合わせだった。どちらの夫婦にも子どもはいなかったが、それぞれに幸せな...全文を読む


第1036回

第58章

  サヴェルネ夫人は、静かに前奏を始めた。 シャルロットは演奏しているサヴェルネ夫人の表情を眺めた。それから、視線をドクトゥール=ルフェーブルに向けた。かの女は、彼と目が合うなり、自分が彼と同じことを考えていることを知った。 フランク氏は、この演奏会を最後まで聞くことができない! 二人には、それがわかっていた。 しかし、ほかの人たちは、フランク氏のこの依頼が、彼の最後の願いであることに、まだ、気がつ...全文を読む


第1037回

第58章

  ヴァレリアン=ブルマイスター=ヴィエジェイスキーと妻のマリアは、ドアの外に立っていた。彼らが中に入ろうとしたその瞬間、中で音楽が始まった。二人は、顔を見合わせた。 聞こえてきたのは、ヴィエニャフスキーのヴァイオリンコンチェルトだった。 ヴィエジェイスキーは目を閉じた。このピアノの音は、間違いなくシャルロット=サヴェルネだ。かの女のタッチは独特なので、友人たちは滅多に聞き間違うことはない。久しぶり...全文を読む


第1038回

第58章

  ヴィエジェイスキーは静かにドアを開けた。 部屋の中は、薄暗かった。ただ、西日が差すあたりだけが明るかった。その光の中に、二人の演奏者がいた。 ピアノを弾いていたのは、シャルロット=サヴェルネだった。 そして、堅く目を閉じてヴァイオリンを弾いていたのは・・・。 ヴィエジェイスキーの足が急に震えだした。彼は、思わず声を出しそうになった。 そこに立っていたのは、彼の女神だった。金色の長い髪を編み込みに...全文を読む


第1039回

第58章

  その場にいた人たちは、一人ずつ、フランク氏の枕元に行き、彼の耳元で何か話しかけた。 最初に話しかけたのは、一番近くにいたヴィエジェイスキーだった。彼は、フランク氏に三分近く何かを話したあと、泣いていたシャルロットに声をかけた。「ブローニャ」 シャルロットは、ヴィエジェイスキー教授を見ると、ゆっくりと立ちあがった。「・・・泣く子は嫌いだ、と言ったはずだ」ヴィエジェイスキーはポーランド語でそう言った...全文を読む

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