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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2012年05月  】 更新履歴 

  05.01.  【 第59章 】  第1040回   さわりを読む▼
  05.02.  【 第59章 】  第1041回   さわりを読む▼
  05.03.  【 第59章 】  第1042回   さわりを読む▼
  05.03.  【 備忘記録的なもの 】  しんこくな・・・   さわりを読む▼
  05.04.  【 第59章 】  第1043回   さわりを読む▼
  05.05.  【 第59章 】  第1044回   さわりを読む▼
  05.06.  【 第59章 】  第1045回   さわりを読む▼
  05.07.  【 第59章 】  第1046回   さわりを読む▼
  05.07.  【 備忘記録的なもの 】  何か不思議な感覚   さわりを読む▼
  05.08.  【 第59章 】  第1047回   さわりを読む▼
  05.09.  【 第59章 】  第1048回   さわりを読む▼
  05.10.  【 第59章 】  第1049回   さわりを読む▼
  05.10.  【 備忘記録的なもの 】  春本番   さわりを読む▼
  05.11.  【 第59章 】  第1050回   さわりを読む▼
  05.12.  【 第59章 】  第1051回   さわりを読む▼
  05.13.  【 第59章 】  第1052回   さわりを読む▼
  05.14.  【 第59章 】  第1053回   さわりを読む▼
  05.15.  【 第59章 】  第1054回   さわりを読む▼
  05.16.  【 第59章 】  第1055回   さわりを読む▼
  05.16.  【 備忘記録的なもの 】  久しぶりに戻りました   さわりを読む▼
  05.17.  【 第59章 】  第1056回   さわりを読む▼
  05.18.  【 第59章 】  第1057回   さわりを読む▼
  05.19.  【 第59章 】  第1058回   さわりを読む▼
  05.19.  【 備忘記録的なもの 】  ついていないときは、何をしてもだめ。   さわりを読む▼
  05.20.  【 第59章 】  第1059回   さわりを読む▼
  05.21.  【 第60章 】  第1060回   さわりを読む▼
  05.22.  【 第60章 】  第1061回   さわりを読む▼
  05.22.  【 備忘記録的なもの 】  現在、二人目   さわりを読む▼
  05.23.  【 第60章 】  第1062回   さわりを読む▼
  05.24.  【 第60章 】  第1063回   さわりを読む▼
  05.25.  【 第60章 】  第1064回   さわりを読む▼
  05.26.  【 第60章 】  第1065回   さわりを読む▼
  05.27.  【 第60章 】  第1066回   さわりを読む▼
  05.28.  【 第60章 】  第1067回   さわりを読む▼
  05.29.  【 第60章 】  第1068回   さわりを読む▼
  05.30.  【 第60章 】  第1069回   さわりを読む▼
  05.31.  【 第60章 】  第1070回   さわりを読む▼
  05.31.  【 備忘記録的なもの 】  あなろぐ(2)   さわりを読む▼


第1040回

第59章

  1914年7月31日、パリ。 リュクサンブール公園の入り口付近に一人の若い男が立っていた。彼はあちこち見回し、時計を見つめ、所在なくぐるぐる歩き回り、もう一度時計を見つめ・・・を繰り返していた。 やがて、通りの方から彼が待っていた連れが現われた。「やあ、マルセル!」彼はうれしそうに叫び、その男性の元に走り寄った。「フェリックス! ごめんね、待った?」 男性---フェリックス=ロマノフスキー=ブーラ...全文を読む


第1041回

第59章

 「1830年に、フレデリック=ショパンがポーランドを出るとき、その噂を聞いた男が友人にこう言ったそうだ。『今みたいな時に出て行くなんて、出かけるのか逃げ出すのかわからないね。』すると、友人は答えた。『きみは、あんな音楽家にまで銃を握らせたいのか? 彼は、銃を取らなくても、ポーランドのために十分役立つ人間だ。たとえぼくたちが戦いで負けることになっても、たとえポーランドが滅びてしまっても、彼の作品は後...全文を読む


第1042回

第59章

  マルセルはそう言い終えると、大きくため息をつき、続けた。「・・・もし、戦争になったら、ドイツ人と戦わなくちゃならない。戦うというのは、人を殺すという意味だ。殺人なんだ、わかるかい?」 フェリックスはうなずいた。殺人という言葉を聞き、彼はチャルトルィスキー公爵と執事のヴォイチェホフスキーのことを思った。あんないい人たちが殺された。どうして、人間は人を殺せるほど憎みあえるのだろうか?「ぼくは、戦いは...全文を読む


しんこくな・・・

備忘記録的なもの

 結果的に(また)約1ヶ月日記を放置してしまったのですが、それでも月の前半は多少やる気が残っておりました。おもにワープロソフトを相手に小説の続きを書いていたのですが、パソコンが平安貴族を相手にしているような妙なマッタリ感(いや、本物の平安貴族にお会いしたことはないのですが・・・)を通り越して、ついにストライキを起こしてしまい、前回(というのは、第69章)の衣替えをしようとしたあたりから「システムは深...全文を読む


第1043回

第59章

  青年は振り返った。「・・・まだ、何か?」「あなたのお名前は?」フェリックスはフランス語で訊ねた。「軍隊に入り、人殺しをするような男の名前なんて聞いてどうするの?」彼は寂しそうに言った。「ぼくは、ヴィトールド=ザレスキー。職業軍人をめざしている。きみは、人を殺すような仕事にだけは就くんじゃないよ。きみが戦争に行く前に、戦争は必ず終わる。いや、きっと終わらせてみせるよ」 彼はそう言うと、かかとをあわ...全文を読む


第1044回

第59章

  グルノーブル市民オーケストラのメンバーは、7月18日に予定されていた定期演奏会の曲目を大幅に変更した。 その日は、彼らにとって、コンサートマスターのための追悼コンサートだった。会場に集まった人たちも、曲目変更に異を唱えなかった。コンサートマスターの席には、臨時でジョゼフ=サヴェルネが座っていた。彼がそこに座るのは、オーケストラの全員一致での希望だった。そして、テオドール=フランクから譲られたヴァ...全文を読む


第1045回

第59章

  その日、シャルロット=ド=サン=メランもパリにいた。かの女がパリに来た目的も二つだった。一つは、ポーランドから出てくることになっていた親友のバルバラ=ヴィエニャフスカを出迎えること。もう一つは、サン=ナゼールから飛び出していったあとパリに住んでいる親戚のところに滞在しているシルヴィー=ペリゴールと話をすることであった。 シルヴィーは叔母のスフロ夫人の家にいた。ダニエル=スフロ夫人は、シルヴィーの...全文を読む


第1046回

第59章

  そして、アントワーヌは話をこう締めくくった。「・・・もうすぐ、戦争になります。軍人であるわたしは、戦場に向かうことになるでしょう。シャルロットさん、どうかシルヴィーをお願いします。かの女には、ほかに頼る友人がいないのです」 シャルロットははっとした。「まあ、おおげさね」シルヴィーは笑い出した。「シュリー、この人って、ちょっと神経質なのよ。こんなに大きな体をしているのに、意外でしょう?」 シャルロ...全文を読む


何か不思議な感覚

備忘記録的なもの

 いわゆる<ゴールデンウィーク>が終わり、いつもの日常(というものが5月以降存在するとも思えませんが)が戻ってきます。きのうの天候がうそみたいにいいお天気です。本当なら、ゴールデンウィーク中に片付けなければならなかったはずの草むしり作業が残っていますが、筋肉痛がひどくて、今朝は勝手に免除することにしました。きのうの晩、「自分を甘やかすな」と家人に言われたばかりですが、甘やかすどころか、考えて見ると先...全文を読む


第1047回

第59章

 「そうかもしれません。いいえ、たぶん、そうなのでしょう・・・」アントワーヌが言った。「わたしは、ずっとシルヴィーを愛していました。小さい頃から、ずっとです。ですが、あの子の方はそうじゃなかった・・・」 シャルロットは首をかしげた。「わたしは、思ったのです。かの女は、いったいどんな男性が好みなのだろうか、と。少なくても、臆病な人間は、かの女の好みではないとわかりました。あの子は、大胆な子ですから。そ...全文を読む


第1048回

第59章

  シャルロットは、ポケットから手を出した。しかし、その手をさしだして挨拶すべきかどうか一瞬迷った。「・・・もう、二度と会うことはないだろうと思っていた・・・」彼の声はかすれていた。「・・・まだ怒っているんだね?」 シャルロットは黙ってうなずいた。「仕方ないね。ぼくも、そう簡単にわかってもらえるとは思っていなかったからね」彼はそう言って、そっとため息をついた。「でも、挨拶くらいしてくれてもいいでしょ...全文を読む


第1049回

第59章

  ヴィトールドは、唇の端に笑いを浮かべた。「・・・反戦主義なんて、その程度のものだ。そして、そうなったときには、ほかの反戦主義者たちも次々に逮捕されていくだろう。危険な人物としてね」「オスカールもそうなるの?」「どうだろう。彼がブラックリストに載っているほど大物かどうか知らないけど」 シャルロットはむっとしたように言った。「戦争をしたくない、武器を取らないと言う人が危ないだなんて」 かの女は松葉杖...全文を読む


春本番

備忘記録的なもの

 遅い春だなぁ・・・と思っているうちに花が一斉に咲きだして、いっせいに散ってしまったので、今はつつじとふじが<わが世の春>状態で権勢を振るっております。いい季節ですね。これで、この天候不順さえどうにかなれば・・・。今頃になってタイヤを交換しました。もっとも、いつもの年も、タイヤ交換自体はゴールデンウィーク中のことですが、例年よりは約2週間遅れです。なぜタイヤ交換のことを思い出したかといいますと、ちょ...全文を読む


第1050回

第59章

  シャルロットは茫然としてあたりを見回した。軍服を着た人物は影も形もない。かの女は、今の光景は夢だったのだろうかとさえ思った。ポケットにさっきまでの重みがあったら、今のは夢だったと信じてしまったことだろう。 かの女の目は、まだ彼を求めてさまよっていた。しかし、かの女の探す人物はもうそこにはいなかった。 やがて、シャルロットは、松葉杖をそばに寄せ、立ちあがろうとした。かの女は、公園に用はなかった。 ...全文を読む


第1051回

第59章

 「・・・恋人と別れたばかりの女性、ですって・・・?」 フリーデリックはうなずいた。「戦場に赴こうとしている男性と、最後の別れをしている恋人・・・。きみたちは、そう見えたよ。あの人は、きみの・・・恋人なの?」 シャルロットは驚いて首を振った。フリーデリックは、かの女の様子から、彼がかの女の恋人ではあり得ないと確信した。「いいえ、違うわ。彼は・・・」シャルロットはそう言ってから考えた。ヴィトールド=ザ...全文を読む


第1052回

第59章

 「どうやら・・・1時30分・・・のようだ」フリーデリックは時計を見ながら答えた。 二人は、どちらからともなく笑い出した。「さあ、行きましょう。待ち合わせの相手が女性でないのなら、わたしがアリバイになってあげるわ」シャルロットはいたずらっぽく言った。「昔の友人に呼び止められたんだって言いなさいな」 フリーデリックはほほえんだ。「よかったら、きみと一緒に行きたい。彼もきっと喜ぶだろう」 シャルロットは...全文を読む


第1053回

第59章

  フリーデリックは、マルセルの問いを聞くと、額にしわを寄せた。 フェリックスはびっくりして二人の間に入り、二人を正式に紹介した。フリーデリックは、マルセルが二人の友達だと知ると、態度を和らげた。 フェリックスは、その場を和らげようとするかのように、肩をすくめて見せた。「・・・全く、どうしてみんな口を開くと戦争、戦争なんだ?」「忘れたくても、忘れさせてもらえないからさ」マルセルが言った。「新聞売り。...全文を読む


第1054回

第59章

  シャルロットは、自分の仮説を自分で否定した。それは考えすぎだろう。考えられるのは、ロジェの<ムーンライト=ソナタ>のように、兄弟で同じ女性を愛してしまったことに兄が気づいた、というあたりだろう。その女性は弟ではなくて兄を選んだのだ。弟は、失意のうちに死んだ。兄は、それに責任を感じていたのかもしれない。「ところでみなさん」シャルロットは時計を見ながら言った。「わたしは、みなさんにお会いできてとても...全文を読む


第1055回

第59章

  同じ頃、チュイルリー公園では、バルバラ=ヴィエニャフスカがベンチに座って新聞をひろげていた。かの女たちは、そこで2時に会うことになっていた。バルバラは、シャルロットが時間に厳しいことをよく知っていた。シャルロットは、待ち合わせをすると、必ず時間前に来て待っているようなひとだった。それなのに、そのシャルロットは、まもなく2時になろうとしているのに、姿を見せようとはしない・・・。 バルバラは、その日...全文を読む


久しぶりに戻りました

備忘記録的なもの

 きのう、うちにようやく新しいパソコンがやってまいりました。まだ細かい設定(というか、データのお引越し)が全部すんでいないのですが、どうにかインターネットの設定が終わり、ちょっとこちらにお邪魔する時間ができました。うーん。さすがにスピードが違います。「立ち上がるまで2分かかります。少し遅いのですが・・・」と説明されましたが、2分どころか20分かかってもインターネットが立ち上がらない環境からのお引越し...全文を読む


第1056回

第59章

  バルバラは肩をすくめた。「本当のことを言うと、わたしがグディニアから出ることに、ミエテクはあまり乗り気ではなかったのよ。レショフスキー夫妻が彼に何を吹き込んだのかわからないけど、彼は反対したのよ。わたしは、ミュラーユリュードに戻りたかったし、もっと音楽を勉強したかった。わたし、この一年間、ミエテクに手紙で何度訴えたかわからない」 シャルロットは優しく言った。「でも、こうやって、フランスに戻れたで...全文を読む


第1057回

第59章

  二人は、その晩泊まるところを確保してから食事に出かけた。  食事が始まってから、シャルロットはやっとミュラーユリュードの話題にふれた。演劇コンクールのこと。そして、6月のコンサートのこと・・・。 「6月14日に、サン=クロード街がパトリック=ド=メディシス街に名前が変わったの。そして、それを記念するコンサートが開かれたのよ。元の2年7組と、現在の1年生を中心とした有志でね」  バルバラはがっかりし...全文を読む


第1058回

第59章

  シャルロットは、自分が知っている1年7組の近況を伝えた。そうしている間に食事が終わり、二人はレストランを出た。その頃には、あたりが暗くなってきていた。二人はホテルに向かって歩き出した。「ここに来て、わたし、考えを変えたの」バルバラはいきなり話し出した。「どうやら、戦争になりそうな気がするの。そうしたら、パリで勉強をするのは難しいわ」「どうして?」 バルバラは真面目な顔で言った。「だって、わたし、...全文を読む


ついていないときは、何をしてもだめ。

備忘記録的なもの

 ・・・だから、寝よう。それじゃ、芸がなさ過ぎると思うのですが、たぶん疲れていて頭が回転しない---正確に言えば、回転しすぎて(つまり、めまいがひどくて)具合が悪いんですが---ので、余計なことをしないで寝た方がいいのでしょう。そろそろ次の章に入る準備をしようと思ったんです。なんせ、テンプレートが3つですから、ちょこちょこやるより時間があるときに一度に・・・のほうが効率がいいんですよね。普段は、次に何を使...全文を読む


第1059回

第59章

 「とにかく、考えておいてほしいの」バルバラはそういってあたりを見回した。 シャルロットも足を止めた。「・・・ここは、どこかしら?」バルバラは不安そうにシャルロットを見た。 あたりはだいぶ人が出ていた。道路が混乱しているようだった。どこかでサイレンが聞こえる。 シャルロットもあたりを見た。「・・・誰かに道を聞くか、タクシーに乗るしかなさそうね」シャルロットはそう結論づけた。 かの女たちは、ますます人...全文を読む


第1060回

第60章

  1915年2月。 シャルロット=ド=サン=メランとバルバラ=ヴィエニャフスカは、アメリカ行きの船に乗っていた。 二人の目的地は、フィラデルフィア。そこには、ジョイス=アンダースンという元オペラ歌手がいた。 ジョイス=アンダースンは、アメリカのある田舎町の出身だったが、その町に住む大金持ちアンダースン家の当主に才能を認められ、奨学金をもらってパリに勉強に出かけた。かの女は、勉強が終わった後もその地...全文を読む


第1061回

第60章

  船に乗って5日目の朝、シャルロットはいつもより早い時間に船のデッキに出た。朝食後のまだ早い時間で、デッキにはまだ誰も来ていなかった。 シャルロットは、波の方に目を移した。波が穏やかな日だった。きっと、いい天気になるだろう。 かの女は、波を見つめているうちに、なぜか悲しい気分になってきた。 戦争が始まってまもなくして、サヴェルネ家にノルベール=ジラールがやってきた。彼の様子は明らかにいつもとは違っ...全文を読む


現在、二人目

備忘記録的なもの

 ずいぶん長い時間がかかりましたが、ようやく第98章の下書きが終わりました。第三部が終わるまでに、あといくつか悲しい出来事が続くわけですが、<ローザンヌ編>の峠は越した---と思っていいでしょう。あとひとり重要人物の死の場面(第99章~第100章)があるのですが、次の第99章には、この小説初登場のちょいヒーロー(?)ライモンド=コヴァルスキーが顔を出します。ちょい役にするにはもったいない人物なのですが、ヒーロー...全文を読む


第1062回

第60章

  出発前に届いたコルネリウスとオーギュストからの手紙によると、元のクラスメートたち、特に男性たちは、バカロレア試験の準備に身が入らないようだった。卒業後、すぐに志願したがっている生徒が半分近くいるらしい。しかし、コルネリウスとドニはヴィルフランシュ大学の医学部に行くつもりでいたし、オーギュストはメランベルジェ校で作曲の勉強をするつもりだった。もっとも、ドニの場合は、卒業試験で一位を取り、奨学金をも...全文を読む


第1063回

第60章

 「かわいい犬ですね。撫でてもいいですか?」シャルロットはほほえんで訊ねた。「・・・ええ、どうぞ」 シャルロットは犬に近づいた。犬はしっぽを大きく波打たせ、まるで笑っているような表情で舌を出した。シャルロットは伏せている犬の前でしゃがみ、犬を撫でた。犬のしっぽは、もうちぎれんばかりに動いていた。「この子、何という名前ですか?」シャルロットは夫人を見上げた。「チアーです」「チアー」シャルロットは犬に声...全文を読む


第1064回

第60章

 「フィラデルフィア?」ロリンズ夫人は驚いたように眉を上げた。「旅行先としては変わっているわね。アメリカの歴史に興味があるの? それとも、誰か、親戚でも?」 ジョーが遮った。「あら、そんなプライヴェートなことをお聞きしては失礼よ」 シャルロットは全く気にしていないように話し出した。「わたしの親戚は、ニューヨークとシカゴにいます。フィラデルフィアには知り合いはおりません。実は、フィラデルフィアに行きた...全文を読む


第1065回

第60章

  シャルロットは、日課のようにデッキを散歩し、午後にはジョーたちを訪ねた。やがて、かの女にはもう一つ訪問先ができた。そこは、船の一番下の、荷物置き場だった。どちらかというとあまり人が寄りつかないようなところだった。もちろん、かの女は荷物を見に行ったわけではない。荷物置き場の一番奥に、小さな部屋があった。そして、そこに古びた一台のピアノがあった。かの女のあたらしい訪問先はそこだった。たぶん、他人の迷...全文を読む


第1066回

第60章

  シャルロットは、その男性を見ると、うれしそうに声をかけた。「ムッシュー=ヴェルネ?」 セザール=ヴェルネは、シャルロットを見て驚いた。「シャルロット?」「演奏旅行ですか?」シャルロットはにっこり笑った。 彼は首を横に振った。なんだか悲しそうなその表情を見ているうちに、シャルロットの顔からほほえみが消えた。「移住することにしたんです」ヴェルネが言った。「ロス=アンジェルスという町のオーケストラでチ...全文を読む


第1067回

第60章

  シャルロットは、作曲者本人にそう言われ、がっくりと肩を落とした。「しかし、コラン=ブルームをあれだけ弾ける子どもになら、全く無理だとは言えない」シャインは同じ口調で続けた。「コラン=ブルーム・・・?」「悪いが、昨日、聞かせてもらった。船底でね」 シャルロットは赤くなった。「ところで、あなたは、ジョイス=アンダースンとは、どういう知り合いなの?」彼は唐突に話題を変えた。 シャルロットはびっくりして...全文を読む


第1068回

第60章

  その日は、一日中雪が降っている寒い日だった。シャルロットは、大学から戻ってきて、いつものようにサヴェルネ夫人の手伝いをしたあとで夕食のテーブルに着いた。サヴェルネは、いつもと全く変わらない様子で、テーブルのいつもの場所に着いた。『サヴェルネ先生、今までお世話になりました』シャルロットは、前置きなしにそう切り出した。 ジョゼフ=サヴェルネは、それを聞くと、ぎょっとしたようにシャルロットを見つめた。...全文を読む


第1069回

第60章

  シャルロットは、シャインに、これまでのいきさつを簡単に説明した。ポーランドのある病院に入院しているとき、たまたま庭でヴァイオリンを弾いていたかの女に、サヴェルネ教授がフランスに出てくるように勧めたこと。彼が、ポーランドから出てきたかの女を、自分の家に住まわせ、個人的にレッスンをしたこと。その彼の家を飛び出してきたこと・・・。 シャインは、目を丸くしながらその話を聞いた。彼は、ジョゼフ=サヴェルネ...全文を読む


第1070回

第60章

  シャインはあっけにとられたように目の前の少女を見つめた。その目は、いきなり大きく開き、彼はあえぐような口調で言った。「・・・違う。あなたは、彼らの本当の娘だ!」シャインは叫ぶように言った。「そうなんでしょう? お願いだから、隠さないで」 シャルロットは、それを聞くと驚いて首を横に振った。「あなたは、クラリスの本当の娘だ・・・でも・・・ああ・・・まさか・・・」シャインは幽霊を見るような目つきになっ...全文を読む


あなろぐ(2)

備忘記録的なもの

 新しいパソコンが家に来てから約2週間になります。5月も最終日を迎え、仕事上で忙しい時期をどうにか乗り越え(一年の5分の3が終わったような気分です。あとは、あさっての田植えさえ終われば・・・)、ぼちぼちパソコンをかまってあげようかな・・・と考えています。せっかくテレビが見られるパソコンを買ったというのに、電波が弱いため、なぜかNHK総合テレビだけ受信できません。まずは、これを何とかしてもらわなければ...全文を読む

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