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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2012年11月  】 更新履歴 

  11.01.  【 第68章 】  第1224回   さわりを読む▼
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  11.22.  【 第69章 】  第1245回   さわりを読む▼
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  11.25.  【 第69章 】  第1248回   さわりを読む▼
  11.26.  【 第69章 】  第1249回   さわりを読む▼
  11.27.  【 第69章 】  第1250回   さわりを読む▼
  11.28.  【 第70章 】  第1251回   さわりを読む▼
  11.29.  【 第70章 】  第1252回   さわりを読む▼
  11.30.  【 第70章 】  第1253回   さわりを読む▼


第1224回

第68章

  12月24日朝、アレクサンドル=ド=ルージュヴィルはいつもよりも多い手紙の処理に追われていた。その日、彼は個人的な手紙を何通か受け取っていた。そのほとんどが、<家族の日>と呼ばれるその夜のパーティに欠席するという連絡だった。その手紙の中にド=ヴェルクルーズ兄弟とスタニスワフスカ夫人からの返事が含まれていたことは、あらかじめ想像できたとはいえ、彼にとっては悲しいことだった。彼は、そのうち、自分から...全文を読む


第1225回

第68章

  スティーヴンは、ウラディーミルに小さい頃の思い出の一こまを語った。<家族の日>というのは、研究所の人間にとって特別なイヴェントであり、その日は、みなが思い思いに楽しむのである。彼にとって思い出の情景は、大広間でのひとこまだった。彼と弟の---弟として育った---ローレンス=ヴィクターは、ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーとクリスティー=テニスンのチェスの試合を眺めていた。もちろん、応援するのは、ド...全文を読む


第1226回

第68章

  その日の夜の行事は、黙祷から始まった。 アンブロワーズ=ダルベールは、自分が初めてこの屋敷にやってきた夜のことを話し始めた。そのときに家にいた人の数はごくわずかだった。そのメンバーは、ダルベールの話にじっと聞き入っている。マクシミリアン=シュミット、フェリシアーヌ=ブーレーズ、そしてオーギュスト=ド=マルティーヌ。オーギュストはあの日のようにピアノの前に座ったまま彼の話を聞いていた。足りないのは...全文を読む


第1227回

第68章

  オーギュストは、スティーヴンが青ざめたのを見て驚いた。そして、その反応を見て怒りがこみ上げてきた。彼も、ウラディーミルとシャルロットの間のいきさつをロジェから聞かされていた。そのウラディーミルをこうやって研究所に置いているスティーヴンの意図がオーギュストにもわからなかった。ウラディーミルを心配している気持ちも。 彼は威圧するかのように、大きな体をスティーヴンの方へ一歩進めた。 スティーヴンは、ふ...全文を読む


第1228回

第68章

  アンリは見えない目をまっすぐに向け、うっとりとしたように話を続けていた。「ぼくのぬいぐるみは、ロージィというの。バラの香りがするぬいぐるみだったんだよ」アンリが言った。「ぼくは、5歳のとき、交通事故にあって、目が見えなくなってしまったの。病院のベッドの上で目を覚ましたとき、そこが病院だとは思わなかったんだ。だって、バラの香りがしたんだもの。ぼくは、天国にいると思ったんだ。でも、とっても暗い天国だ...全文を読む


第1229回

第68章

  アンリの告白は続いた。「・・・それからしばらくして、マ=メールが逮捕されたと聞いた。かの女は自分の旦那さまを殺したとみんなが言うんだ。警察の人が来て、そのぬいぐるみはかの女にもらったものかと聞いた。ぼくはそうだと思っていた。ずっとそばにいたから、ロージィがヴィオリに取り替えられていたことに気がつかなかったんだ。ぼくが気づかなかったくらいだから、ヴィオリの持ち主も、気がつかないでロージィを連れて行...全文を読む


第1230回

第68章

  スティーヴンとオーギュストはその話の帰結点を知っていた。しかし、アンリとウラディーミルはそれを知らない。部屋の中の二人は緊張していた。「そして、青年とかの女の妹は、正式に婚約を発表した。それを聞いたかの女は、それでも彼の愛を信じた。二人が結婚しても、いつか彼がそれを後悔すると信じた。そのうち、もし妹が死んだら、彼はもう一度自分を愛してくれるのではないかと思うようになった」 ウラディーミルはふるえ...全文を読む


第1231回

第69章

  1917年11月中旬のある日、シャルロットは懐かしい建物の前に立っていた。 サン=バルナベ病院。そこは、5年前、記憶を失ったシャルロットを迎え入れた病院だった。かの女は、建物の中に入らず、中庭にまわった。 小春日和のあたたかな日だった。中庭には、何人か人がいた。車椅子に乗っている男性。その様子を見る限りでは、戦争に行って大けがを負ったようだ。かつての自分を思わせるようなちいさな女の子もいる。松葉...全文を読む


第1232回

第69章

  シャルロットは船に乗る直前、新聞で衝撃的なできごとを知った。世界的大指揮者エマニュエル=サンフルーリィ氏がサン=ジェルマン=アン=レーのサン=ジェルマン校でのレクチャーの最中に脳溢血で倒れ、病院に搬送されたというものである。 自分を養女にしてくれた男性のことは、シャルロットはほとんど知らないも同然だった。かの女が知っているのは、彼が自分のことを話してくれた断片的な情報のほかは、噂で知っていること...全文を読む


第1233回

第69章

  デュラン夫人の顔が輝いた。「まあ、あなた、クラリスの曲を知っているなんて、ずいぶん音楽には詳しいのね」 シャルロットはデュラン夫人に言った。「わたし、エマニュエル=サンフルーリィの養女なんです」 そのとき、ドアのほうから驚いたような男性の声がした。「・・・誰が誰の養女だって?」 シャルロットは声のする方に振り向いた。 そこに立っていた60歳くらいの男性は、シャルロットを見て口をあんぐりと開けた。...全文を読む


第1234回

第69章

  二人が黙ったので、デュラン夫人は再び機関銃のように話し出した。「公式な発表によれば、エマニュエル=サンフルーリィは、一度だけ結婚しているわ。相手は作曲家のクラリス=ド=ヴェルモンで、二人の間には子どもが二人。一人目は男の子で、6歳のときに事故死しているわ。沼で溺れたんですってね。二人目は女の子で、生後まもなく亡くなったそうよ。だから、彼らの間には子どもはいないはず」デュラン夫人が言った。「二人に...全文を読む


第1235回

第69章

  シャルル=マリーの話が終わると、二人は驚きを隠せないままシャルロットを見つめた。 オーギュストは咳払いしてからぼそぼそとお悔やみの言葉を口にした。「・・・お構いなく。わたしは、彼らの実の娘ではないのですから」シャルロットは答えた。 オーギュストはにっこりした。「じゃ、話は簡単だ。あなたがドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの実のお嬢さんでないのなら、あなたのご両親はクラリスとエマニュエルしか考...全文を読む


第1236回

第69章

  シャルロットがデュラン家にやってきて約10日が過ぎた。 かの女は、この家の人たちの生活パターンがわかってきた。シャルル=マリーとオーギュストのところにはときどき生徒が通ってきたり、彼ら自身がレッスンに行ったりする。デュラン夫人はほとんど一日中家にいる。家政婦のいないこの家では、することが多かった。シャルロットは、朝食の準備と掃除を手伝うことにした。日中は、デュラン夫人の許可を得て病院にいたから、...全文を読む


第1237回

第69章

  オーギュストは軽く眉を上げた。「もし、あなたが、かの女の思いを受け入れていたら、かの女は死ななくてもすんだかもしれないのに」シャルロットが言った。「スール=コラリィは、従軍看護師に志願して、戦場で亡くなったそうですね」 オーギュストは少し驚いた表情を見せた。「亡くなった・・・?」 シャルロットはうなずいた。「ドクトゥール=クチュリエがそうおっしゃったわ」「シャルロットが?」オーギュストは青ざめた...全文を読む


第1238回

第69章

  彼は握手をするように手を差し出した。「世の中の男性は、悪い男だけじゃない。その気になったら、わたしを頼って欲しい。そして、兄のルルーを。わたしたちは、あなたの味方だ」 しかし、シャルロットは握手を拒んだ。「まずは、握手からだな」オーギュストはおびえているシャルロットに言った。「もし、わたしを信じられるようになったら、この手を握って欲しい」 シャルロットは震える声で言った。「・・・ごめんなさい、ム...全文を読む


第1239回

第69章

  その少女は---オーギュストは少年だと疑わなかったが---木の上からオーギュストを見つめていた。そのとき、オーギュストは部屋でヴァイオリンを弾いていたのである。そして、少女は、木の上でうっとりとその様子を見つめていた。 二人の目があったとき、オーギュストは演奏をやめた。そして、窓際により、かの女に声をかけた。『どうした、ぼうず(モン=プティ)? 降りられなくなったのか?』 かの女は気を悪くしたように叫ん...全文を読む


第1240回

第69章

  レッスンのあと、オーギュストは、かの女にコンセルヴァトワールの願書を突きつけた。高校を卒業しようとしているかの女に、もはや猶予はなかった。しかし、かの女は、彼の目の前で願書を破り捨てた。二人は口論になり、かの女は彼の前で初めて涙を見せた。 オーギュストは、心を鬼にしてかの女に背を向けた。それが正しいと思ったからだ。自分には、かの女に教えることはもう何もない、彼はそう思ったのだ。 シャルロットは出...全文を読む


第1241回

第69章

  シャルロットは、毎日ヴァイオリンケースを持って家を出た。《貴重品》を持って家を出るのは当然だが、デュラン夫妻とオーギュストは、かの女がエマニュエルのために演奏しているのだと想像していた。シャルロットは、彼らの前で演奏したことは一度もなかった。ケースを開けたところを見たことすらなかった。 シャルロットは、かつて記憶を失っていたときにシャルロット=ランブール---スール=コラリィが自分にしてくれたよう...全文を読む


第1242回

第69章

  シャルロットが答えられずにいると、ドクトゥール=クチュリエは笑った。「・・・きみは、たとえ自分が音楽家ではないと言ったとしても、音楽家であることにはかわりはない。マエストロが生涯指揮者であり続けるのと同じだ」 エマニュエルはゆっくりと首を縦に振った。「コンサートの依頼を受けて欲しい。場所と時間は、わたしが交渉する。あなたは、伴奏者を見つけてくれればいい」ドクトゥール=クチュリエが言った。「きみの...全文を読む


第1243回

第69章

 「・・・当時は、そう思っていた」オーギュストはそれを認めた。「あの事件が起こるまではね」 シャルロットは首をかしげた。しかし、何も言わなかった。 オーギュストは、そんなシャルロットの様子を見て、目をぱちくりさせた。それから、話を続けた。 今度は、ヘルムートとの思い出話だった。二人は、同じアンリ=ロラン門下だった。つまり、二人とも元々作曲家志望だったのだ。二人が親しくなったのは、冗談で弦楽四重奏団を...全文を読む


第1244回

第69章

  シャルロットは演奏を終えると、その場にくずおれて泣き出した。「・・・そうか・・・つらかっただろうね・・・」オーギュストはそっと声をかけた。 シャルロットは顔を上げ、涙のたまった目でオーギュストを見つめた。「この曲を弾く必要はないよ・・・つらすぎるだろう?」オーギュストが言った。 シャルロットはわっと泣き出し、彼にすべてを打ち明けた。 彼は話を聞きながら、若い頃のヘルムートのことを考えていた。そう...全文を読む


第1245回

第69章

  シャルロットがミュラーユリュードの土を踏んだのは、それから2ヶ月後のことだった。エマニュエルの機能訓練も順調に進んでいて、シャルロットが1週間くらい出かけても大丈夫だろうとドクトゥール=クチュリエが言ってくれたからである。もちろん、エマニュエルも喜んで送り出した。たまにはまとまった休みも必要だろうと思ったのだ。彼は、シャルロットのまわりで何が起こったのか全く知らない。彼は、シャルロットが<婚約者...全文を読む


第1246回

第69章

 「まるで、宇宙人を相手にしているようだからさ。きみのいたところには、若い男性は一人もいなかったと見える」彼は真面目な顔をして言った。「そうでなければ、きみほどの美人なら、今ごろお世辞に対する返事の仕方が上達しているはずだからだ」 シャルロットは目をぱちくりさせた。「わたしが、美人ですって? まさか」 ド=グーロワールは、目の前の美少女を驚いたように見つめた。「きみに対して、誰もそう言わないとは言わ...全文を読む


第1247回

第69章

  ド=グーロワールは真面目な顔で言った。「紳士たる者、美しいご婦人を目の前にしたときにはどうすべきかということをよく学んでおく必要があると思うのさ。これは、生きていく上では必須の学習だ」 そして、トマに言った。「そうだろう?」 トマは真っ赤になった顔を伏せた。「行きなさい。もう、十分だろう?」 トマは逃げるように部屋を出て行った。もちろん、ドアの隙間を規定以上にあけて。 ド=グーロワールが言った。...全文を読む


第1248回

第69章

  シャルロットは目を丸くした。「わたしだって、だてに40年以上サント=ヴェロニック賞演劇コンクールの審査長をやってはいない」校長が言った。「あなたよりは、ムッシュー=ポプリの方がいい演技をする」 ド=グーロワールは苦笑した。トマ=ポプリは入学以来一度もステージで演技をしたことはない。彼が大根役者なのは有名だ。 そして、片目を閉じた。「本気で辞表を書くつもりなら、その前に自分のクラスの生徒たちに許可...全文を読む


第1249回

第69章

  サント=ヴェロニック校での木曜日のコンサートは、外部からの見学も自由なコンサートだ。そのために、わざわざ休校日の木曜日が指定されている。この日は、生徒たちにとって自由な外出が許される日であるのと同時に、外部からの人たちが中庭に入ることを許可されている。サント=ヴェロニック校の中庭は、町が誇る公園の一つでもあった。その中庭の一角にあるのがスゴンの本拠であるサント=ヴェロニック=ホールだ。ソサイエテ...全文を読む


第1250回

第69章

  知り合い・・・? コルネリウスはびっくりした。よくよく見ると、その男性はあきらかにザレスキー一族の特徴をしている。彼はウラディーミル=シュトックマン=スクロヴァチェフスキーに違いない。何ということだ! そのとき、担架と一緒にドクトゥール=ワッセルマンが顔を出した。「ドクトゥール=ワッセルマン」コルネリウスはほっとしたように彼に声をかけた。「彼をうつぶせのまま運び出したいのですが。背中にガラスの破...全文を読む


第1251回

第70章

  サント=ヴェロニック病院に向かうコルネリウスの頭の中は混乱していた。『だが、もうチェックメイトだな』 コルネリウスは、ついさっき目の前で繰り広げられた光景を思い出していた。コルネリウスはシャルロットの動作だけに目がいっていた。いや、目が離せなかった。男性だったら、あんなにきれいな女の子を見たら誰だって動揺するに決まっている。しかも、その女性が自分の婚約者ならなおさらだ。しかし、ウラディーミルが見...全文を読む


第1252回

第70章

  コルネリウスは、椅子に横たわっているシャルロットを見つめた。かの女は、泣きながら眠ってしまったらしい。いや、眠りながら泣いているのだろうか? 彼は、かの女のそばに行き、丸まって眠っているかの女の頭の方にわずかに残っている隙間に座った。子どもの頃からかの女は泣き虫だった・・・。彼の手はかの女の目元に行った。そして、昔のように、そっとかの女の涙をぬぐった。その手をハンカチで拭き、そのハンカチで優しく...全文を読む


第1253回

第70章

  翌朝、コルネリウスが目を覚ましたとき、シャルロットはウラディーミルの足元にひざまずいたまま眠っていた。彼はシャルロットを抱き上げた。かの女は目を覚まさなかった。よほど疲れているのだろう。コルネリウスは、長椅子にかの女をそっと横たえ、首のところまで毛布を掛けた。---毛布・・・? コルネリウスは、自分が眠っている間に、シャルロットが毛布を掛けてくれたのだろうと思った。自分はそれに気づかずに眠っていた...全文を読む

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