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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2013年04月  】 更新履歴 

  04.01.  【 第76章 】  第1375回   さわりを読む▼
  04.02.  【 第76章 】  第1376回   さわりを読む▼
  04.02.  【 備忘記録的なもの 】  正真正銘の三日坊主日記   さわりを読む▼
  04.03.  【 第76章 】  第1377回   さわりを読む▼
  04.04.  【 第76章 】  第1378回   さわりを読む▼
  04.05.  【 第76章 】  第1379回   さわりを読む▼
  04.06.  【 第76章 】  第1380回   さわりを読む▼
  04.07.  【 第76章 】  第1381回   さわりを読む▼
  04.08.  【 第76章 】  第1382回   さわりを読む▼
  04.09.  【 第76章 】  第1383回   さわりを読む▼
  04.10.  【 第76章 】  第1384回   さわりを読む▼
  04.10.  【 備忘記録的なもの 】  2度あることは・・・。   さわりを読む▼
  04.11.  【 第76章 】  第1385回   さわりを読む▼
  04.12.  【 第76章 】  第1386回   さわりを読む▼
  04.13.  【 第76章 】  第1387回   さわりを読む▼
  04.13.  【 備忘記録的なもの 】  遅ればせながら、連載5年目に向けてのご挨拶(今頃?)   さわりを読む▼
  04.14.  【 第76章 】  第1388回   さわりを読む▼
  04.15.  【 第77章 】  第1389回   さわりを読む▼
  04.16.  【 第77章 】  第1390回   さわりを読む▼
  04.17.  【 第77章 】  第1391回   さわりを読む▼
  04.18.  【 第77章 】  第1392回   さわりを読む▼
  04.19.  【 第77章 】  第1393回   さわりを読む▼
  04.19.  【 備忘記録的なもの 】  日記   さわりを読む▼
  04.20.  【 第77章 】  第1394回   さわりを読む▼
  04.21.  【 第77章 】  第1395回   さわりを読む▼
  04.22.  【 第77章 】  第1396回   さわりを読む▼
  04.23.  【 第77章 】  第1397回   さわりを読む▼
  04.24.  【 第77章 】  第1398回   さわりを読む▼
  04.25.  【 第77章 】  第1399回   さわりを読む▼
  04.26.  【 第77章 】  第1400回   さわりを読む▼
  04.27.  【 第77章 】  第1401回   さわりを読む▼
  04.28.  【 第77章 】  第1402回   さわりを読む▼
  04.29.  【 第77章 】  第1403回   さわりを読む▼
  04.30.  【 第77章 】  第1404回   さわりを読む▼


第1375回

第76章

 「ムッシュー=クレール・・・」シャルロットは口ごもった。 馬丁のアルベール=クレールは、シャルロットにほほえみを見せた。「ようこそ。どの馬に乗りますか?---といっても、今、ここは掃除中で、馬たちは皆放牧中ですが・・・」 そう言うと、彼は鋭く口笛を吹いた。 シャルロットとほぼ同年代の少年が走ってきた。「マルク、この方たちに馬を見せてやって欲しい。お嬢さまは、乗馬をなさりたいそうだ」 シャルロットは《...全文を読む


第1376回

第76章

  しかし、ロッシュ=エーグルは、マルクが鞍をつける間もおとなしくしたがっていた。そして、シャルロットがまたがるのをじっと待ち、かの女が乗っても全く暴れようとはしなかった。それどころか、嬉々としているようにさえ見えた。マルクは、この馬がこんな風な様子を見せたのを見たのは初めてだった。鞍をのせようとするだけで白目をむき出しにする様子しか見たことがなかった彼には、信じられない光景だった。マルクは引き綱を...全文を読む


正真正銘の三日坊主日記

備忘記録的なもの

 三日おきくらいの更新なら何とかなるかな、と思ったけど、どうも難しそう。やることが山積みです。(日記がらみで)今一番やりたいことは、小説と日記のリンクをきちんとすること。これまで一つのテンプレートでやっていたことを、二つのテンプレートで行う。手順としては、まず、小説側の「通常ブログページ」を廃止する。日記側からも小説にリンクできるよう日記側のメインテンプレートを決める。(・・・それが一番のネック、か...全文を読む


第1377回

第76章

  そのとき、彼らの後ろから男性の笑い声がした。「おやおや、その役回りは、わたしにさせて欲しいね」 その声を聞き、馬は耳をぴくんと立てた。シャルロットは馬の緊張を感じ取り、優しく首を撫でてから馬から離れた。 シャルロットは振り返り、二人の男性に声をかけた。「ロジェ、リヴィエール」「やあ」リオネルはうれしそうに声をかけた。 その間に、ロジェは震えているシャルロットを抱きしめていた。「大丈夫、何も起こら...全文を読む


第1378回

第76章

  黒い馬の信頼を勝ち得たかに見えたシャルロットに、アルベールは最後の忠告をした。「この馬がこれほど人間に信頼感を見せたのを、これまでに見たことがありません。ですが、一つだけ忠告申し上げます。この馬に生け垣を飛ばせることはおやめ下さい。この馬に跳躍をさせた人は、これまでに一人もいません。この馬が競走馬だった頃からそうなのです。この馬は跳躍が苦手で引退した馬です。この馬に生け垣を飛ばせることは、この馬...全文を読む


第1379回

第76章

  彼の表情が一瞬凍りついたようになった。「・・・で・・・?」「乗っていたのは、友人でした。そのとき、<ベラミー>は・・・」シャルロットは悲しそうに言いかけた。「友人(アミー)ではなく、恋人(ベラミー)だったの?」彼はかの女の言葉を途中で遮った。 シャルロットはびっくりしたように首を横に振った。「<ベラミー>は、彼の飛行機の名前です」 彼は笑い出した。「飛行機の名前・・・?」 それから、彼は言った。「ぼ...全文を読む


第1380回

第76章

  シャルロットはその言葉を聞くと、ほほえみを浮かべた。「たぶん、そうなんでしょうね。でも、もう5年以上お会いしていないので、よくわかりません。あのとき、友人が飛行機を壊してしまって、そのあとベリエールさんはどうしたのか、わたしは聞いていないのですが・・・」 彼はにやりとした。「叔父のことですから、新しい飛行機と新しい友人を作ったに違いありません」「きっとそうですね」シャルロットは笑った。そして、か...全文を読む


第1381回

第76章

  シャルロットが屋敷についたとき、玄関に一台の車が止まっていた。 シャルロットは厩舎にロッシュ=エーグルを戻したあと、裏口から中に入ることにした。なるべくロジェの客人とは顔を合わせたくなかったからである。この屋敷にやってくる人間のほとんどがロジェの知り合いなので、シャルロットは車できた客もそうだと思いこんでいた。 かの女は誰にも顔を合わせずに自室に戻り、乗馬服から黒い服に着替えた。かの女は、この半...全文を読む


第1382回

第76章

  男性はそう言いながら、ピアノに近づき、譜面台からスケッチブックを取った。そして、切羽詰まったような表情を浮かべながらそのページを繰った。 シャルロットとオーギュストはその様子を茫然と見つめていた。 やがて、男性の背中から緊張が解けた。だが、振り返った彼はまだこわばった表情を浮かべたままだった。「なぜこれがここにある? あなたはなぜこれを・・・?」 シャルロットは首をかしげ、不思議そうに彼を見た。...全文を読む


第1383回

第76章

  交響曲の演奏が終わったとき、部屋にいた4人は---いつの間にか、ロジェ=ド=ヴェルクルーズもその部屋にいた---目に涙を浮かべていた。 シャルロットは演奏を終えても、鍵盤から指をはなさなかった。音が完全に消えても、シャルロットはそのままの姿勢で泣き続けていた。 やがて、クラウスはシャルロットの肩をたたいた。そして、鼻にかかったような声で、「ありがとう」と一言言った。 シャルロットはやっと鍵盤から手をは...全文を読む


第1384回

第76章

  シャルロットはスケッチブックをクラウスに差し出した。「母が亡くなった今、これはあなたにお返しすべきなんじゃないでしょうか?」 クラウスは手を出さなかった。「今なら、わたしにもわかります。あなたがどんなに母を愛して下さったのか・・・。母がどんな気持ちで列車に飛び乗ったのか・・・。これは、あなたのものです」シャルロットが言った。そして、そっとほほえんだ。「もし、わたしが母の立場にいたとしても、これを...全文を読む


2度あることは・・・。

備忘記録的なもの

 学生時代、転んだときには決して手をついてはいけない・・・と口を酸っぱくするくらい言われていたのですが、近頃では人並みに(?)手もけがするようになりました。金曜日、会社の駐車場で派手に転び、久しぶりに手をねんざしました。ほかに、黒いあざがいくつかと・・・。まぁ、病院に行くほどではなかったのですが、月曜日、またやらかしまして・・・。朝、階段から落ちて、肋骨にひびが入りました。場所が場所だけに、咳が出る...全文を読む


第1385回

第76章

  シャルロットは笑った。「たとえその鍵が本物だとしても、聖ペトロが、イスカリオテのユダを中に入れてくれるものですか」 オーギュストは真面目に答えた。「この鍵が本物だということは、さっき、証明して見せたはずだ」 そして、彼は感慨深げに言った。「・・・この鍵を、再び使うことになるだろうとは思わなかった。そして・・・」 そう言いながら、彼は鍵をポケットに戻した。 「そして、もう一度母に再会できるとは思わ...全文を読む


第1386回

第76章

  それを聞いた3人は無言のままだった。「母は、未練を断ち切るためにその音楽を作った。逆に、彼は一生その未練を引きずった」シャルロットが続けた。そして、かの女はオーギュストに言った。「・・・ありがとう・・・」 オーギュストは眉を寄せた。「ありがとう、ミュー。母のそばにいてくれてありがとう。母を大切に思ってくれてありがとう。母を助けてくれてありがとう。そして・・・」シャルロットは言葉をつまらせた。「そ...全文を読む


第1387回

第76章

  やがて、オーギュストは自分から抱擁をふりほどいた。そして、真剣な顔でこう言った。「もう少し、昔を探検したい。ただ、この部屋から出る前に、きみに言っておきたいことがある」 シャルロットは涙を拭き、首をかしげた。「気がかりなことがある。本当は、きみには言わない方がいいことなのかも知れないけど・・・」オーギュストはためらいがちな口調でそう言ったあと、急に口調を変えた。「・・・ここにいる使用人たちを信用...全文を読む


遅ればせながら、連載5年目に向けてのご挨拶(今頃?)

備忘記録的なもの

 毎年しつこく繰り返していますが、連載開始の3月5日というのは、主人公の母親クラリスの誕生日であり、命日でもあります。以前、クラリスのモデルが3人いる、と書いたことがあります。うち2人が故人だと書いた記憶もあります。最近発表になった部分を見ながら、その一人(クラリスBさん=仮称)が亡くなった頃、このあたりを下書きしていたっけ・・・なんて思いました。第1381回からこの章の終わりまでは、ブログオリジナ...全文を読む


第1388回

第76章

  二人はぱっと振り返った。ドアのところにロジェが笑いながら立っていた。「・・・ミュー、きみがこれほど想像力過多だったとは、これまで知らなかったな」 オーギュストはむっとした顔をした。「さすが、小説家ガルディアン=ド=マルティーヌの弟だ」そう言うと、彼はにやにや笑いをやめた。「・・・だが、本当か、ミュー、今の話?」「半分以上は推測だ」オーギュストは素直に認めた。「だが、間違いなく<ローザンヌ事件>の...全文を読む


第1389回

第77章

  1919年の年が明けてまもなく、オーギュストとレヴィン教授はパリへ戻っていった。 T城にも、静かに日常が戻ってきた。明るさを取り戻しつつあったシャルロットは、デルカッセ医師の二つ目の処方に従い、新しい小説を書き始めていた。タイトルは<マルティール街の人々>といい、短編小説集として企画されていた。フランスのある小さな町にあるマルティール街という通りにある小さな住宅にすむ8つの家族の物語だった。シャ...全文を読む


第1390回

第77章

 「・・・そうね」シャルロットは言った。「間違いなく、この人は、ザレスキー家の当主です」 フェリシアーヌはそれを聞くと、なぜかほっとしたような表情になり、その場を去っていった。 シャルロットとヴィトールドは二人きりでその場に残された。「お座りになって、ヴィトールド。ただし、ドアを閉め切ってはだめよ」 その言葉を聞くと、ヴィトールドはにやりとした。彼はドアの隙間を30センチあけたまま中に入った。 シャ...全文を読む


第1391回

第77章

 「外交官ですって? ただの音楽家が?」シャルロットは目を丸くした。「音楽家と外交官は両立できる」ヴィトールドが言った。「・・・軍人が小説家と両立できるように・・・?」シャルロットは皮肉を込めて言った。 ヴィトールドは真面目な顔で言った。「軍人と小説家は両立できるかも知れない。医者と小説家を両立させている人間がいるようにね。だが、ぼくは違う」 そして、彼は勲章を床に捨てた。「新しくできたポーランド陸...全文を読む


第1392回

第77章

  その晩、ロジェはヴィトールドを<ヴァンドルディ>に連れ出した。リオネル=デルカッセに紹介するのが目的だったが、そのほかのメンバーとも顔合わせをしておく方がいいと思ったからである。その日は、シャルロットは同行しなかった。未成年であるかの女は、必要以上にそこに顔を出そうとはしなかったからだ。 マスターのラザール=メニエールは、二人を見るといそいそとカウンター前の席に案内し、愛想よく声をかけた。「ロジ...全文を読む


第1393回

第77章

  ヴィトールドはカウンター席に一人残った。彼は、マスターに紅茶を頼んだ。 マスターは彼に紅茶を入れながら訊ねた。「酒は飲めないのかい?」「全く飲めないわけじゃありません。でも、これまでの経験では、お酒を飲むと、必ず何か問題を抱え込むことになりましたから」ヴィトールドはそう言って笑った。「飲んで暴れる軍人さんは、たちが悪いですからね」マスターはにやりとした。「でも、あなたが暴れるところなんて、想像も...全文を読む


日記

備忘記録的なもの

 けがをして以来、定期通院日の月曜日を除き毎日残業続きだったので(・・・この体で、よく残業できたと自分で自分を褒めてやりたいけど、甘やかすのもどうかな?)更新ストップが続いておりました。体の方は、ほとんど大丈夫です。じっとしていれば痛みはありません。3度目はなかったと思うことにします。(→4/10の日記参照)・・・と言っている間に、桜が咲いてツバメが来てカメムシが現れる3点セットが同時、という珍しい春が...全文を読む


第1394回

第77章

  ヴィトールドはゆっくりと首を横に振った。「ぼくは一人っ子です」「うむ」アントーニはわざと真面目な顔をした。「さる高貴な書物によると、かの女性は、大天使ガブリエルのお告げにより、乙女のまま身ごもり、ただ一人の子どもを残した。あなたは、もしや、そのキリストでは?」 それを聞いていたマスターはふきだした。 ヴィトールドは眉を寄せた。「・・・信じていませんね?」 アントーニはしばらく彼を見つめていた。そ...全文を読む


第1395回

第77章

  ヴィトールドはにやりとした。「・・・それでは、手の傷あとをお見せしましょうか? わき腹の傷あとの方は、レディの前だから遠慮させていただくとして・・・」 それを聞いて、アントーニもにやりとした。「あなたは、今日からペンネームを変えるべきだわ、トマとね」マウゴジャータはそう言いながら、空になったグラスをマスターに差し出した。 マスターは咳払いしながらマウゴジャータにワインのお代わりを手渡した。「この...全文を読む


第1396回

第77章

  マウゴジャータは、その様子を寂しそうに見つめていた。どんな女性か知らないが、一人の男性にそこまで影響力を及ぼすことができるその女性がうらやましかった。自分は誰にとっても、そういう女性ではない。「フェリックス=ザモイスキーは、わたしの兄だった。小さい頃から秀才だと言われていたんだけど、どこかで人生が狂ってしまったのね。彼は自分の手で世界を変えたかったのよ。そして、わたしたちの世界まで変えてしまった...全文を読む


第1397回

第77章

 「ええ」ヴィトールドが言った。「そうしないと、不幸になるからです。ちいさいときはテロリストの妹としていじめられ、大きくなってからはイーヴというろくでなしにもてあそばれた思い出に引きずられて生きている。これで、かの女が幸せだと思いますか?」 アントーニは首を横に振った。「いいえ。でも、どうして、あなたがかの女にそこまでする必要があるのです?」 ヴィトールドは彼の表情を見つめ、真剣に答えた。「かの女が...全文を読む


第1398回

第77章

  そう言うと、ヴィトールドは立ち上がり、ケップラーの正面に立った。「ぼくは、テロリストと呼ばれる人たちよりも罪深い人間だ。彼らも同じ人殺しだ。それでも、彼らは同じ目的を持った自分の同志を殺したりはしない。だが、ぼくはそれをやった。ぼくは、部下たちにそれをさせた・・・」ヴィトールドはそれでも口調を荒げることはなかった。「ぼくには、人間と呼ばれる値打ちはない」 それでも、ケップラーは何も言わなかった。...全文を読む


第1399回

第77章

  ヴィトールドは、ホールのソファに座ってレース編みをしていたシャルロットに声をかけた。「やあ」 シャルロットは顔を上げた。少しほっとしたような表情をしていた。「あなたとロジェを待っていたの。一緒じゃなかったの?」「彼は、まだカフェに残っているよ」 シャルロットはため息をついた。「いつも、酔っ払わないうちは帰ってこないのよ。わたしが部屋に連れて行かなかったら、彼は部屋にも帰れないくらいなの」 ヴィト...全文を読む


第1400回

第77章

 「手紙を読み返したことはあるの?」ヴィトールドが訊ねた。「ええ、昔はね。でも、最近はないわ」シャルロットが答えた。「あなたは、こんなこと、ほかの人にも書いたの? たとえば、ローラン=ティルニーには?」「書いていない。ぼくは、この手紙の存在を忘れていたけど、あのとき、ほかに手紙は書かなかった。少なくても、ほかの女性にはね。あの当時から、きみは特別な存在だった。きみと喧嘩したまま別れたくはなかった。い...全文を読む


第1401回

第77章

 「ちょっとだけ?」ヴィトールドが訊ねた。「まあ、欲張りなのね。ちょっとじゃいけない?」「だめだ。ぼくの心は傷だらけなんだ」そう言うと、彼はため息をついた。「・・・まあ、自業自得だと言われればそれまでだが」「自業自得?」シャルロットは首をかしげた。「何があったの?」 ヴィトールドはシャルロットから視線をはずし、ドアの方を見た。それを見て、シャルロットもいったんはドアの方に視線を向けたが、そこに誰かが...全文を読む


第1402回

第77章

  翌日、朝10時頃、リオネル=デルカッセが訪ねてきた。そのとき、シャルロットは玄関ホールのいつものソファに座り、刺繍の続きをしていた。「おはよう、シュミットさん」リオネルは執事ににっこり笑いかけて手を振った。「今日は、案内が必要なんで頼むよ。ギュスターヴ=フェランの部屋がどこかわからないんでね」 執事のエルネスト=シュミットはにっこり笑って答えた。「ここをまっすぐ行った突き当たりのお部屋です」 そ...全文を読む


第1403回

第77章

 「もう、忘れました」ヴィトールドは優しく言った。しかし、その口調からは、『その話をしないで欲しい』というはっきりとした意思が読みとれた。 リオネルはそれをあえて無視して続けた。「コンラッドは、戦争で二人の兄をフランス人に殺されている。それ以来、彼は軍人を憎んでいる」「ひょっとすると、ぼくがその殺人者かも知れません」ヴィトールドは言った。「彼はドイツ人なんですね?」「亡命ドイツ人だ。戦争反対を叫んで...全文を読む


第1404回

第77章

  やがて、リオネルはロジェが原稿を読んでいるのを見飽き、視線を外に向けた。穏やかな天気の一日だった。彼はバルコニーに出て、庭の方を見た。ヴィトールドとシャルロットが馬を走らせていた。シャルロットは真っ黒い馬に乗り、ヴィトールドは真っ白な馬に乗っていた。なぜかほのぼのとした光景だった。二人とも輝くような笑みを浮かべているのが見えたからだ。二人は馬をゆったりとした歩調で走らせ、馬たちまでなぜかリラック...全文を読む

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