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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2013年05月  】 更新履歴 

  05.01.  【 第77章 】  第1405回   さわりを読む▼
  05.01.  【 備忘記録的なもの 】  スマートフォンが我が家にやってきた   さわりを読む▼
  05.02.  【 第77章 】  第1406回   さわりを読む▼
  05.03.  【 第77章 】  第1407回   さわりを読む▼
  05.04.  【 第78章 】  第1408回   さわりを読む▼
  05.05.  【 第78章 】  第1409回   さわりを読む▼
  05.06.  【 第78章 】  第1410回   さわりを読む▼
  05.07.  【 第78章 】  第1411回   さわりを読む▼
  05.08.  【 第78章 】  第1412回   さわりを読む▼
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  05.17.  【 第78章 】  第1421回   さわりを読む▼
  05.18.  【 第78章 】  第1422回   さわりを読む▼
  05.19.  【 第78章 】  第1423回   さわりを読む▼
  05.20.  【 第78章 】  第1424回   さわりを読む▼
  05.21.  【 第78章 】  第1425回   さわりを読む▼
  05.22.  【 第79章 】  第1426回   さわりを読む▼
  05.23.  【 第79章 】  第1427回   さわりを読む▼
  05.23.  【 備忘記録的なもの 】  パソコンが戻ってきた   さわりを読む▼
  05.24.  【 第79章 】  第1428回   さわりを読む▼
  05.25.  【 第79章 】  第1429回   さわりを読む▼
  05.26.  【 第79章 】  第1430回   さわりを読む▼
  05.27.  【 第79章 】  第1431回   さわりを読む▼
  05.28.  【 第79章 】  第1432回   さわりを読む▼
  05.29.  【 第79章 】  第1433回   さわりを読む▼
  05.30.  【 第79章 】  第1434回   さわりを読む▼
  05.31.  【 第79章 】  第1435回   さわりを読む▼


第1405回

第77章

 「お嬢さまは、生け垣で落馬されました」馬丁が答えた。 ロジェの声が鋭くなった。「確か、ロッシュ=エーグルには跳躍をさせるなといったはずだ」「はい・・・そうですが・・・」アルベール=クレールは口ごもった。「なぜかの女から目を離した?」ロジェの声はふるえていた。「ぼくが、かの女を連れ出しました」ヴィトールドが言った。「彼らは、ぼくがそばにいたから・・・。彼らを責めないで下さい」 ロジェはヴィトールドを...全文を読む


スマートフォンが我が家にやってきた

備忘記録的なもの

 久しぶりに「新しく記事を書く」を開いて、画面が変わったのに驚きました。今日一番上に書いてあるトラックバックテーマ「最近あなたや身の回りで起こった【変化】は?」---じゃないですが、近頃確かに変化が多いです。あ、トラックバックはしませんけどね。ようやく我が家にもスマートフォンがやってきました。だましだまし使っていたパソコンが不調なので、修理に出すことにしました。予約投稿は済ませましたので、あした仕事帰...全文を読む


第1406回

第77章

  その晩も、ヴィトールドは<ヴァンドルディ>に出かけた。彼は、前日同様カウンター席に座り、コーヒーを注文した。彼はぼんやりしていて、コーヒーが目の前に置かれても気がつかないくらいだった。マスターはわざと音を立てながらミルクの壷を置いた。 食器がかちゃっと音を立てたとき、ヴィトールドは反射的にカップに目を移した。ほとんど習慣的な動作だった。食器の音を立ててはいけないと小さい頃から教育されていた彼は、...全文を読む


第1407回

第77章

 「人間にとって、永遠に記憶にとどめておくことが可能かどうかは、ちょっと考えればわかります。あなたは、一週間前の今ごろ、どこで何をしていたか、正確に思い出せますか?」「いいえ」「ほら、ごらんなさい」「でも、忘れられないことだってあるでしょう?」かの女は反論を試みた。「忘れたくても忘れられないことだって」「もちろんです。たとえば、ぼくがポーランドを飛び出すきっかけとなった喧嘩のことは、昨日のことのよう...全文を読む


第1408回

第78章

  3月の終わりに、シャルロットは、二度と生け垣を飛び越す気を起こさないとロジェに誓ったあとで、ロッシュ=エーグルに乗ることを許された。 その日、シャルロットは一人きりで厩舎に向かった。骨折したあとも、歩く許可が出て以来、かの女は毎日ロッシュ=エーグルのところに行った。このところ馬が不機嫌で・・・とアルベール=クレールは嘆いていたが、馬はシャルロットにだけはそんな気配を見せなかった。誰もまともに乗る...全文を読む


第1409回

第78章

 「あなたは、ポーランド人なの?」シャルロットは彼に訊ねた。その名前には聞き覚えがあるが、どこで聞いたのかどうしても思い出せない。「ええ、ぼくはポーランド人です。ですが、フランスから来ました」 シャルロットはポーランド語で訊ねた。「まさか、ポーランド人の義勇軍か何かに参加されていた、とか・・・?」 彼は大きく目を見開いた。なぜ、この女性はポーランド語を・・・?「・・・そうなんですね?」シャルロットは...全文を読む


第1410回

第78章

 「あら、ショパンではなく、チャイコフスキーなの?」シャルロットは首をかしげた。 ボレスワフスキーはさらに赤くなった。「ぼくは、ショパンはあまり得意ではないんです。ポーランド人なのに、おかしいですか?」 シャルロットは首を横に振った。「いいえ。ポーランド人だからってみんなショパンが得意だったら、かえっておかしいと思うわ。そんなことを言ったら、ブラームスを上手に弾くフランス人はどうなの?」 ボレスワフ...全文を読む


第1411回

第78章

  シャルロットが家に入ると、玄関前のホールでロジェとリオネルが立ち話をしていた。 かの女は、その取り合わせを見ると、いたずらを見つかった子どものような表情になった。そして、首をすくめた。いいかげん、子ども扱いしないで欲しいのに。馬に乗って、ちょっと外出しただけじゃないの・・・。 リオネルがかの女に笑いかけたので、かの女は、二人がそこにいるのは自分を叱責するためではないと気がついた。「おかえり、シャ...全文を読む


第1412回

第78章

  シャルロットは眉根を寄せた。リーダー---第一ヴァイオリニスト不在のカルテットでは、カルテットとして役には立たない。ピアニストとヴァイオリニスト抜きの3人で、どうやってピアノクィンテットを演奏しようと言うの? かの女は、リオネルを見た。彼は困り切ったような表情になっていた。この非常事態を前にして、彼は決断しようとしている。さらに、ヴィトールドの方を見ると、彼は素知らぬ顔でポテトをつついていた。ロジ...全文を読む


第1413回

第78章

  そして、思い至った。この女性しか考えられないではないか。メランベルジェの作品とロジェの作品の調性を正しく答えたこの女性。 彼は、シャルロットが楽譜をヴィトールドに手渡したのを見た。それから、かの女はケースからヴァイオリンを取りだした。その様子を、冷たい目つきで眺めているステファンスキーを見て、彼は苦笑した。ひどく高級そうな楽器を手にしている貴族のお嬢さま。この楽器は、こんなお嬢さまにはもったいな...全文を読む


第1414回

第78章

  ヴィトールドが口を開いた。「この曲についてよくは知らないけど、テーマが愛情であることはよくわかります。ただ、ぼくも勝手にある女の子のことを考えて演奏していました」「わたしも、フィアンセのことを・・・」チェリストがすまなそうに告白した。 ヴィオラの青年は恥ずかしそうにうつむいた。その表情を見る限り、彼もガールフレンドのことを考えていたのは間違いないところだろうと思われた。 一方、第二ヴァイオリンの...全文を読む


第1415回

第78章

  ルメートルは少しほっとしたようにほほえんだ。「そう聞いてもらえると、少しうれしいかな。洗礼名はアンジェルです」「だが、彼の名前はアーングルだ」リボーが言った。「アーングル=ルメートル。それが彼の本名だ」 リオネルは何とも言えない表情をした。「親は、アンジェルと名付けたんです。洗礼名は確かにアンジェルなんです。でも、届け出るとき、書き間違えたんですよ。AngelとAngleをね」彼は情けない顔で説明した。「...全文を読む


第1416回

第78章

  その数日後、シャルロットが乗馬から戻ってきたとき、茶色の大きな封筒を手にして外出しようとしているヴィトールドとすれ違った。「あら? もうお出かけなの?」シャルロットは興奮さめやらぬ顔で訊ねた。「小説が完成してね」ヴィトールドも心なしかうれしそうだった。「これから、リヴィエールのところにこれを持っていこうと思うんだ。その前に、きみに会えてよかった」 シャルロットは首をかしげた。「このまえ、きみに、...全文を読む


第1417回

第78章

  しばらく考え込んだあと、ロジェは言った。「それがどういう種類の暴力かは人によって違うが、男性には、必ず一度は戦いを挑むときがある。場合によっては、負けるとわかっている戦いをしなければならないこともある。男性は、愛する人---恋人か妻か子どもか・・・は人によるだろうが---を守るために、そうしなければならないんだ」 シャルロットは反論しようとしかけた。しかし、ロジェはそれを遮った。「わたしは部屋に戻る。...全文を読む


第1418回

第78章

  かの女は、辞書を元に戻そうとした。そのとき、ヴィトールドの几帳面な字が目に入った。その小説には見覚えがなかった。今度の新作の続きだろうか? シャルロットは原稿をのぞき込んだ。それは、手紙だった。しかも、ラヴ=レターだ。彼は、レギーナという女性に宛てて手紙を書いていた。《レギーナって、いったい誰?》シャルロットは首をひねった。かの女の知る人で、レギーナという名前の女性は一人もいない。それでは、彼の...全文を読む


第1419回

第78章

  レマン湖の方から冷たい風が吹いてきた。かの女は体を縮め、風に背を向けた。足は中庭の方に向いていた。庭には、古いベンチがある。そこに座り、考え事がしたかった。 そのベンチは、大きな石で作られていた。座りやすいようにと、何度か表面が平らになるように手を加えているようだ。だが、石自体はずっと昔からそこに存在した。かの女の両親は、恐らくそこに座ったことがあるだろう。その両親も、そのまた両親も・・・。石は...全文を読む


第1420回

第78章

  シャルロットは家の中に入った。ロジェはもうそこにはいなかった。かの女は、まだぬくもりが残っているソファに座った。あれからもう何分たっただろうか? 時計は11時近い時間を差していた。 静かなホールに、時計の振り子の音がいつもよりも大きく反響していた。振り子の音って、こんなに大きなものだったかしら? そして、振り子って、こんなにゆっくり動いていたのかしら・・・? どのくらいの時間、振り子をぼんやり見...全文を読む


第1421回

第78章

  しかし、ヴィトールドはシャルロットがいきなり歩き出すとは予期していなかった。いや、たとえ予期していても、アルコールのために体の動きがいつもと同じではなかったのだろう。彼はシャルロットが一歩踏み出したとたん、大きくバランスを崩した。そして、二人はその場に倒れた。前を歩いていたシャルロットが、ヴィトールドの下敷きになるような形で二人は床に倒れた。シャルロットは、短く鋭い悲鳴を上げた。「・・・ごめん。...全文を読む


第1422回

第78章

  ロジェはかっとした。彼は、まだつかんだままだったヴィトールドの襟首をぎゅっと引き寄せようとした。「やめて! もう暴力はやめて!」シャルロットが叫んだ。「じゃ、理由を説明するんだな」ロジェが言った。「そんな個人的なことまで、あなたは知ろうと思うんですか?」ヴィトールドは言い返した。 ロジェはそれを聞くと、ヴィトールドをもう一度殴りつけ、ようやく彼の襟をはなした。 その場に倒れたヴィトールドに、シャ...全文を読む


第1423回

第78章

  シャルロットはヴィトールドの手を握りしめた。そして、涙をいっぱいためた目で彼を見つめた。『お願い、行かないで! 愛しているわ・・・』その目はそう訴えているかのようだった。ヴィトールドはその目に引き込まれるようにかの女の方に体をかたむけた。しかし、そこで彼は思い止まった。『どうして、これ以上引き留めようとするの?』彼は目で問いかけた。『今、この場で結論を出しなさい。ぼくか、コルネリウスか、どっちな...全文を読む


第1424回

第78章

  シャルロットは彼のそばまで近づき、ポーランド語で言った。「さようならなんて言わないで。あなたは、これまで一度だって、さようならと言ったことはなかったわ」「覚えているよ」ヴィトールドが答えた。「だけど、今度は本当にお別れだ。きみとは、二度と会うつもりはないからね」 シャルロットは首を横に振った。「いいえ、わたしたち、また会えるわ」「もう会えない、と言ったら?」 シャルロットの顔が引きつった。「まさ...全文を読む


第1425回

第78章

  しかし、今、シャルロットはヴィトールドを愛してしまっていた。少なくても、今のかの女には、ヴィトールドが必要だった。婚約者のコルネリウス以上にヴィトールドが必要だった。ヴィトールドと一緒にいると、コルネリウスと一緒のときには決して味わったことがない安らぎを感じる。その安らぎは、あまりにも心地の良いものだった。かの女は、これまで、こんな風に安定した環境で過ごすことはあまりなかった。その安定が、ヴィト...全文を読む


第1426回

第79章

  ヴィトールド=ザレスキーが去ったあと、シャルロットとロジェの関係はよそよそしいものになった。二人の間には、会話らしいものが消え、シャルロットは目に見えて痩せていった。 そんな中、ヴィトールドの<灰色の海>の連載が始まった。 同じ頃、フランスの文学誌<ル=タン=モデルヌ>で、ベネディクト=リュミエールの<窓際のベッドの中で>の連載が開始された。 同じコンクール出身の二人の作家が、同じ時期に作品を発...全文を読む


第1427回

第79章

  案内されたのは、やや大きめの部屋だった。日当たりの良い部屋で、レースのカーテン越しに日の光が入ってくる。その大きな窓のすぐそばに、ベッドが置かれていた。ベッドには刺繍を施したきれいな布がかけられ、普段は使われていないように見えた。ベッドのすぐ隣に、ベッドと同じ高さに作られた小さな机が置かれていて、その上に古びた五線紙がのっていた。ベッドから少し離れた壁のところに真っ黒のスタンドピアノがあり、譜面...全文を読む


パソコンが戻ってきた

備忘記録的なもの

 ずっと調子が悪かったパソコン(・・・って、買ってからまだ1年ですよ?)を修理に出しまして、やっと戻ってきたのはいいのですが、全くの他人のようになって帰ってきました。中身をごっそりと交換したということで、全くの他人です。・・・うーん、変なたとえですが、うちの小説でいうと、ずっと不在だったシュリーがブローニャになって戻って来たみたいな違和感です。せっかく覚えさせた単語をすっかり忘れて戻って来た相手です...全文を読む


第1428回

第79章

  グレタは、部屋に入り、シャルロットに椅子を勧めたあと、戸棚からティーカップを二つ取り出した。そして、小さなストーブの上で小気味よい音を立てていたやかんの湯をポットに注いだ。その足でキッチンに行き、オーヴンから焼き上がったばかりのクッキーを取りだして皿に並べ、皿を持って戻ってきたあとでポットの紅茶をカップに注いだ。その手際の良い動作を、シャルロットは感心して眺めていた。「さあ、どうぞ」グレタはそう...全文を読む


第1429回

第79章

  シャルロットは紅茶に目を落とした。しばらく考えた後、かの女は顔を上げ、こう言った。「・・・わたしとコルネリウスの間にあるものは、わたしとヴィトールドの間にあるものとは違うんです」 グレタは黙ってうなずいた。「どうお話ししたらいいんでしょう・・・ごめんなさい、気持ちの整理ができていないんです」シャルロットはそう言い、黙った。 グレタは優しく言った。「つまり、あなたは、二人の男性を愛している・・・そ...全文を読む


第1430回

第79章

  シャルロットは家に戻るなり着替えを済ませ、厩舎に向かった。 ロッシュ=エーグルに会いたかった。彼の背中の上で、考え事がしたかった。風を感じたかった。 馬は、不安げにシャルロットを出迎えた。鞍をつけている間も、かの女が乗るときにもおとなしくしてはいたが、かの女がいつもと違う雰囲気なのは感じ取っていた。 シャルロットは馬の背中を優しく撫でてから、ギャロップで庭に出た。 湖の方から来る風が冷たかった。...全文を読む


第1431回

第79章

  シャルロットが馬を連れて厩舎に戻ったとき、厩舎の一番奥から妙な物音がした。それを聞き、ロッシュ=エーグルは不安そうにいなないた。「・・・どうしたの・・・?」シャルロットはロッシュ=エーグルの鼻を撫でた。 視線の先には、白い馬がいた。馬は自分の馬房で横たわっていた。「ブランシャール?」シャルロットは白馬に声をかけた。ロッシュ=エーグルはかの女の手に鼻をこすりつけた。「・・・あなたも、心配なのね、ロ...全文を読む


第1432回

第79章

  それは、ル=ヴァンティエーム=シエクルのメンバーであるアントーニ=モジェレフスキーとマウゴジャータ=ザモイスカの結婚式の日のできごとだった。彼らは、友人たちのみでの結婚式を予定していて、教会で式を挙げた後、カフェ=ヴァンドルディでお祝いのパーティを開くということになっていた。シャルロットとロジェも招かれていた。 その朝はやく、シャルロットは厩舎に呼ばれた。ブランシャールが危篤状態だという。 白い...全文を読む


第1433回

第79章

  シャルロットは、ロッシュ=エーグルを連れて厩舎から出た。庭に放牧するつもりだった。しかし、その日は柵の中に連れ出しても、馬はシャルロットのそばから離れようとはしなかった。ブランシャールと一番仲が良かったのは、ほかならぬ彼だった。親友の死を前にして、彼は動揺しているかのようだった。シャルロットは、彼に無理に運動させることを選んだ。近くにいた馬丁を呼んで、シャルロットは自分の鞍を持ってこさせたのであ...全文を読む


第1434回

第79章

  シャルロットはレマン湖に向かっていた。かの女は、いつもの場所に来ると、馬を木につなぎ、大きな石に座った。手紙は2通だった。そして、2通とも見覚えのある筆跡だった。一通はマルセイユの、もう一通はパリの消印がある手紙だった。その二つの封筒を見つめ、シャルロットは動揺した。一方はコルネリウスの筆跡で、もう一つはヴィトールドの筆跡だったからだ。かの女は、パリの消印があるコルネリウスの手紙を先に開封した。...全文を読む


第1435回

第79章

 《親愛なティーニャ  ローザンヌの夏はとても過ごしやすい気候だと聞いていますが、どうですか?  ぼくは、一度もローザンヌの夏を経験していません。夏になることを待つこともなく飛び出してしまいましたから。あのとき、ロジェと喧嘩してしまったことを、今ではとても後悔しています。できることなら、また元通りの生活がしたい。ローザンヌのすがすがしい空気、美しい湖、自然に囲まれ、文学者たちと一緒に活動でき、そして、...全文を読む

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