FC2ブログ

年代記 ~ブログ小説~ 

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので
久しぶりのご訪問の方は、こちらで未読・既読のご確認ができます

【  2013年06月  】 更新履歴 

  06.01.  【 第79章 】  第1436回   さわりを読む▼
  06.02.  【 第79章 】  第1437回   さわりを読む▼
  06.03.  【 第79章 】  第1438回   さわりを読む▼
  06.04.  【 第79章 】  第1439回   さわりを読む▼
  06.05.  【 第79章 】  第1440回   さわりを読む▼
  06.06.  【 第79章 】  第1441回   さわりを読む▼
  06.07.  【 第79章 】  第1442回   さわりを読む▼
  06.08.  【 第79章 】  第1443回   さわりを読む▼
  06.09.  【 第80章 】  第1444回   さわりを読む▼
  06.10.  【 第80章 】  第1445回   さわりを読む▼
  06.11.  【 第80章 】  第1446回   さわりを読む▼
  06.12.  【 第80章 】  第1447回   さわりを読む▼
  06.13.  【 第80章 】  第1448回   さわりを読む▼
  06.14.  【 第80章 】  第1449回   さわりを読む▼
  06.15.  【 第80章 】  第1450回   さわりを読む▼
  06.15.  【 備忘記録的なもの 】  近況報告(ってほど何も変わったことはないのですが)   さわりを読む▼
  06.16.  【 第80章 】  第1451回   さわりを読む▼
  06.17.  【 第80章 】  第1452回   さわりを読む▼
  06.18.  【 第80章 】  第1453回   さわりを読む▼
  06.19.  【 第80章 】  第1454回   さわりを読む▼
  06.20.  【 第80章 】  第1455回   さわりを読む▼
  06.21.  【 第80章 】  第1456回   さわりを読む▼
  06.22.  【 第80章 】  第1457回   さわりを読む▼
  06.23.  【 第80章 】  第1458回   さわりを読む▼
  06.24.  【 第80章 】  第1459回   さわりを読む▼
  06.25.  【 第80章 】  第1460回   さわりを読む▼
  06.26.  【 第80章 】  第1461回   さわりを読む▼
  06.27.  【 第80章 】  第1462回   さわりを読む▼
  06.28.  【 第80章 】  第1463回   さわりを読む▼
  06.29.  【 第81章 】  第1464回   さわりを読む▼
  06.30.  【 第81章 】  第1465回   さわりを読む▼


第1436回

第79章

  手紙を読み終えたとき、シャルロットは泣いていた。それは、喜びの涙だった。ヴィトールドは、まだ自分を愛している! かの女は手紙をたたみ、封筒に戻して、その封筒にそっと唇をあててつぶやいた。「・・・ありがとう、トールディ」 これは、どう考えても、ヴィトールドからのプロポーズの手紙だ。かの女はしばらくの間優しい気分に浸り、ぼんやりと夢を見ていた。T城での二人の生活。彼がそばにいる生活。 ああ、なんてこ...全文を読む


第1437回

第79章

  シャルロットは家に入ったが、まっすぐ自分の部屋に行く気分にはなれなかった。かの女はリビングに行き、テーブルの上にあのブーケを置いたあと、ピアノに向かった。 ピアノのふたは開いていた。かの女は椅子に座って目を閉じた。指が勝手に動き出した。それは、ベートーヴェンの第14番のピアノソナタだった。 その曲には<ムーンライト=ソナタ>というニックネームがある。かつて、ロジェはそのタイトルの作品を発表したこ...全文を読む


第1438回

第79章

  シャルロットは青ざめ、もう一度最初から記事を読み直した。今度は、一語一句、丁寧に。 記事には、ディベール教授の姪であるエリザベートの経歴まで書かれていた。コルネリウスとエリザベートは同じ学校の出身で、5年間同じクラスだったことまで丁寧に紹介されていた。記事の内容は、少なくてもシャルロットが知っていることに置いては正確だった。ということは、コルネリウスとエリザベートがいずれ結婚するかもしれないとい...全文を読む


第1439回

第79章

  シャルロットは必死になった。「お願い、そこをどいて! わたし、行かなくちゃならない」「ヴィトールド=ザレスキーの元へか?」 シャルロットはうなずいた。「そうよ、彼のところへよ」「行かせない。どうしても彼のあとを追うというのなら、わたしを殺してから行きたまえ」 シャルロットは、はっと息をのんだ。「わたしは、生きてきみとヴィトールドを見るくらいなら、この場で死んだ方がましだ。さあ、殺したまえ。愛する...全文を読む


第1440回

第79章

  手紙にあったマルセイユの消印。手がかりはそれだけだった。しかし、シャルロットはわずかな手がかりにすがった。ヴィトールドはきっとマルセイユにいる。なぜか、そう確信できた。 かの女は手紙と身の回りの荷物だけを詰めた小さなバッグ一つを持ち、列車に飛び乗った。 マルセイユについてすぐ、コルネリウスに宛てた手紙を投函した。もう、後戻りはできなかった。彼のことは忘れて、ヴィトールドと生きていくしかない。ヴィ...全文を読む


第1441回

第79章

 「・・・じゃ、本当なんだね、シュミットさんの話は?」ヴィトールドが訊ねた。 シャルロットはうなずいた。「彼が胸を押さえて前かがみになったのを見たのは本当よ。だけど、発作を起こしたとは知らなかった。彼は、わたしを引き留めるために芝居をしたのだと思ったのよ」「引き留める? 芝居?」ヴィトールドは眉をひそめた。 シャルロットは一瞬口ごもったあと、正直に言った。「わたしたちが喧嘩した理由は、コルネリウスか...全文を読む


第1442回

第79章

  ヴィトールドはもう一度手紙を見た。 その手紙は、こう続いていた。ロジェは何も知らないが、彼は重い心臓病にかかっている。彼はいわば爆弾を抱えて生きているようなものだ。ドクトゥール=ロッシェルの見立てでは、恐らくあと5年くらいの命だろうということだ。それも、無理をしなければ、の話である。リオネルは、その事実を5年前から知っていた。ドクトゥール=ド=ラ=ブリュショルリーの研究所が爆発した事件(1914...全文を読む


第1443回

第79章

  シャルロットがロジェの部屋に入ったとき、ロジェは自分のベッドに横たわっていた。枕元にはリオネル=デルカッセが座っていた。リオネルは何か原稿を読んでいたようだった。彼は読みかけの原稿を膝に乗せ、部屋に入ってきた二人を見た。「・・・おやおや。ついに、お迎えがきたようだ。天使と悪魔が見える」ロジェはドアのところにいた二人の方に目をやって、不愉快そうな表情を浮かべ、つぶやくように言った。 シャルロットは...全文を読む


第1444回

第80章

  7月の半ばに、ロジェにやっとベッドを離れる許可が下りた。ドクトゥール=ロッシェルは、しばらくの間彼に外出を禁じた。ただし、来客を迎えることを許したため、T城は、急ににぎやかになった。時には、ル=ヴァンティエーム=シエクルがそのまま移転したと思われるくらいの来客があり、シャルロットは対応に追われることとなった。 カフェを訪れる詩人・小説家たちも、酒とタバコを切り離してみると普通の人とどこも変わらな...全文を読む


第1445回

第80章

  10月、シャルロットは、フェリックス=ロマノフスキー=ブーランジェの結婚式に出るため、マルセイユに向かった。かの女を単身で向かわせるのを心配した二人の保護者たちは、どちらがかの女の付き添いをするかくじ引きで決めた。くじに当たったのは、ヴィトールドの方だった。ロジェは諦めて二人を送り出すことにした。 見送りに出たリオネルは、ほっとしたように言った。「きみが当たりくじをひいてくれて助かった、ギュスタ...全文を読む


第1446回

第80章

  シャルロットは真っ赤になった。「たいてい、わたしを訪ねてくる若者は、弟子になりたいとか、自分の作品を聞いて欲しいというような人間だ。100人中ほぼ100人がそうだ」アドルフが言った。「だが、この子はそうではなかった・・・」「・・・その101人目の人物とは、いったい誰のことですか?」居間のドアが開くのとほぼ同時に顔を出した人物は、その場ではっと息をのんだ。「フェリックス!」シャルロットは、その声を...全文を読む


第1447回

第80章

  その場に居合わせたアドルフとシャルロット以外の人間に、今の話の全貌がわかるはずはないと思ったシャルロットは、はじめから話そうと思った。「わたしがブーランジェ先生のところを訪ねたのは、1914年の12月のことでした。待降節の時で、教会はクリスマスの準備に追われていました。だから、先生は、押しかけてきた人間を相手にする状況ではなかったんです。たぶん、わたしが彼の弟子になるために訪れたとしたら、門前払...全文を読む


第1448回

第80章

  シャルロットは思った。アドルフの言葉は本心から出たものか、彼の謙虚さから出たものかはわからない。だが、彼の言葉は本質を突いていた。もし、何世紀かあとにブーランジェ一族の名が歴史に残るとすれば、それはユージェーヌ=ブーランジェによってだ。彼の作品だけは、今後も読み継がれていくことだろう。ほかの音楽家たちの名が忘れ去られたとしても、カミーユ=ブールドンだけは決して忘れられることはないだろう。しかし、...全文を読む


第1449回

第80章

  シャルロットは、二人を交互に見た。「あら・・・お知り合いだったの?」「ほら、あの日だよ。ぼくたちがパリで再会した日・・・」フェリックスがシャルロットに言った。「あの日、ぼくたちはリュクサンブール公園にいた。そこへ、士官候補生だったこの人が通りかかった。そして、ぼくに言った。『ぼくが軍人になろうと決心したのは、ポーランドが一日でも早く独立することを願っているからだ。きみは、自分が正しいと思った通り...全文を読む


第1450回

第80章

 「フリーツェック? クラコヴィアクのフリーツェックのこと?」シャルロットは目を丸くした。 フェリックスはむっとしたようにうなずいた。「もう少しうれしそうに聞いてくれてもいいと思ったのにな・・・」「ごめんなさい」シャルロットは謝った。「・・・それで、フリーツェックは、あのあとフランスに残っていたの?」 フェリックスは《もう・・・ほんとに全然聞いていなかったんだね?》という表情で小さくため息をついた後...全文を読む


近況報告(ってほど何も変わったことはないのですが)

備忘記録的なもの

 最近、小説ブログの表示がおかしい・・・としばらく振り回されているうちに、「もう何もかもどうでもいい」と心のどこかで声がする・・・みたいな状態が続いています。うつなのか、更年期なのか。(というか、「プレ更年期」とか言っていないで、そろそろまじめに更年期とつきあうことを考える時期なのでしょうかねえ・・・それとも、単なる「プチうつ」? 世の中には変な言葉が多いですね。)あの地震の後、妙に人生を諦めたよう...全文を読む


第1451回

第80章

  ひとり、シャルロットの表情がくもった。かの女は、フランソワ=フランショームと最後にあったときのことを思い出していた。彼に、二度と会いたくないと言われたことも・・・。フランソワは、あの喧嘩のことを恐らく忘れてはいないだろう。とんでもないことになりそうだ・・・。 そんなこととは思わないヴィトールドは、その知らせを聞くと顔を輝かせた。5年ぶりに再会する親友のことで、彼の頭の中は喜びであふれていた。「ミ...全文を読む


第1452回

第80章

  ヴィトールドは笑い出した。「せっかちだな、相変わらず」ヴィトールドが旧友に言った。「ここは、ぼくの家ではない。シャルロットの家だ。気にせず入りたまえ」 フランソワはごねた。「ぼくは、シャルロットに、二度とぼくの家には入れないと言った。そのぼくが、シャルロットの家に入れるだろうか?」「わたしがいいと言っているのに?」シャルロットもほほえんだ。「わたしは、いつだって、あなたを歓迎すると言ったはず」 ...全文を読む


第1453回

第80章

  その1週間後、フェリックス=ロマノフスキー=ブーランジェは、マルティーヌ=ヴァランタンと結婚式を挙げた。新婦のマルティーヌは、メランベルジェ校のルブランの門下のひとりだった。つまり、かの女も作曲家サークル<レ=フォルス>の一員だった。 新しいブーランジェ夫祭は、勉強が終わり次第マルセイユで暮らすことにしていたが、しばらくはパリ暮らしを続けるつもりだった。そんなわけで、彼らは、祖父たちのいるマルセ...全文を読む


第1454回

第80章

  シャルロットは、しばらくの間青年の顔を見つめていた。この人がフリードリッヒ=フリーデマンですって・・・? 彼は、クラコヴィアクのフリーツェックだ。だが、かの女が知っている彼と同じ人間には見えなかった。まず、外見そのものが違う。以前の彼は、もっと髪を短くしていたものだ。癖毛が嫌いなのだと言っていたものだ。しかし、こうやって髪の毛を伸ばしてみると、波打つようなきれいなカールが印象的なくらいだ。どうし...全文を読む


第1455回

第80章

  シャルロットは、披露宴が始まるまで控え室だった部屋に飛び込んだ。ひとりになったと思ったかの女は、堰を切ったように泣き出した。かの女は、ドアが開いたのも、フリーデリックが入ってきたのも気づかずに泣いていた。「ブローニャ、きみは相変わらず泣き虫なんだね」フリーデリックがポーランド語で声をかけた。 帰ってきたのはさっきよりも冷たい視線だった。「出て行ってちょうだい、ヘル=フリーデマン」シャルロットはド...全文を読む


第1456回

第80章

  1914年7月、フリーデリックはようやくあこがれの地を踏むことができた。フランスで作曲の勉強をすることは、彼の長い間の夢だった。彼はかつての教師だったボレスワフ=ステファンスキーの弟子の一人であるヤロスワフ=ベックに書いてもらった紹介状を持ってパリにやってきた。その時点では、メランベルジェ校で作曲を学ぶか、ベックの紹介状を生かすかは決めかねていた。 フランスとドイツが戦争を始めたというニュースを...全文を読む


第1457回

第80章

  案内された部屋は、小さな音楽室といった趣の部屋だった。狭い部屋にピアノが一台。そして、チェロのケースがピアノの下に寝かせてあった。フリーデリックの目が思わずチェロのケースに向いた。『あれは、おじいさまの形見のチェロよ』フランソワーズはフリーデリックの視線を追った。『あなた、もしかして、チェロが弾けるの?』 フリーデリックはうなずいた。『まあ!』フランソワーズはうれしそうな声を上げた。『ぜひ弾いて...全文を読む


第1458回

第80章

  即興演奏は、フリーデリックの得意とするものの一つだ。彼はイ長調で、おっとりとした農夫を表現した曲を弾き始めた。それを聞いている少年とフランソワーズは楽しそうにフリーデリックを見ていた。素朴な、それにどこか憎めない雰囲気をフリーデリックの演奏はうまく伝えている。 それが終わると、ド=ラヴェルダン女史は少年を促し、4小節のメロディーを書かせた。『このテーマを、好きなように展開して見せて』かの女はそう...全文を読む


第1459回

第80章

  誰もが短期決戦と考えていた戦争は長期化しつつあった。フランソワーズ=ド=ラヴェルダンがドイツ国籍を持つ少年を自宅に置いていることは、近所でも知らぬものがいなくなった。ド=ラヴェルダン女史は、できるだけフリーデリックを外に出さないようにした。無用な衝突を避けるためである。 1915年のクリスマスに、研究所から電話が来たとき、ド=ラヴェルダン女史は彼にクリスマス休暇を出したことを後悔した。ドイツ人と...全文を読む


第1460回

第80章

  シャルロットは、フリーデリックの長い告白を聞きながら泣いていた。あのレイディ=ファンシェットなら、そのくらいのことをしてもおかしくない。かの女は情熱的なひとだった。 彼は告白の最後にこう言った。「・・・ぼくは、ずっときみを愛していた。だけど、ぼくは別の女性と関係を持ってしまった。ぼくにとってかの女は初めての女性だった。そして、ぼくはかの女にとっても初めての男性だったんだ」フリーデリックは苦しそう...全文を読む


第1461回

第80章

 「わたしが何をしても・・・?」シャルロットはいたずらっぽく訊ねた。 フリーデリックはうめいてからうなずいた。「ああ。・・・だが、誓いを破らせることはしないでくれるよね?」 そう言うと、彼はかの女の口に自分の唇を優しくつけた。そのキスは次第に深くなり、シャルロットはからだから力が抜けていくように感じ、彼にしがみついた。彼はかの女を抱きしめたまま床に押し倒し、さらにキスを続けた。 シャルロットは力なく...全文を読む


第1462回

第80章

  ドアを開けたヴァークの目に飛び込んできたのは、とっくみあいをしている二人の男性だった。一人は息子のフェリックス。もう一人は、フランソワ=フランショームだった。フランソワは、上着を着ていなかった。それどころか、礼服のネクタイさえ身につけていない。シャツはズボンからはみ出していて、しかもボタンがいくつかはずれたままだ。フェリックスの方は服は身につけてはいるものの、とっくみあいをした結果、服はよれよれ...全文を読む


第1463回

第80章

  ノックと同時にフェリックスが入ってきた。 フランソワはとっさにナディアをかばうように後ろに隠した。ナディアは慌ててドレスを着ようとしたが、後ろでボタンを留めるドレスのボタンを全部かけることはできない。結婚式の前にその服を着たときにも、人の助けを借りたほどだ。どうにかなる問題ではなかった。それでも、彼はフェリックスからナディアが見えないように必死でかばった。 手遅れだった。フェリックスたちは、確か...全文を読む


第1464回

第81章

  1919年11月、ロジェ=ド=ヴェルクルーズはマルセイユのシャルロットたちと合流した。彼らのマルセイユ滞在が思ったより長引き、さすがのロジェも待ちくたびれたのである。 シャルロットからの手紙をもらったとたん、彼は旅支度を始めていた。かの女は、フェリックス=オルシャンスキー=ブーランジェの結婚式とその日のトラブルについて手紙を書いた。ロジェはそれを読み、いとこのフランソワ=フランショームがフェリッ...全文を読む


第1465回

第81章

  その数日後、シャルロットは思いがけない訪問者を迎えた。 あくまでも短期滞在を考えていたシャルロットは、未だに家に執事を置かなかった。そのため、客人の応対は、そのときに手が空いている人の役目となる。たいていはヴィトールドがその役を務める。防犯上、玄関を開ける人物が男性の方が何かと安全だからである。ただ、日中の時間だとシャルロットが直接応対することも珍しくはなかった。 その客がやってきたとき、3人は...全文を読む

 更新履歴カレンダー