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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2013年09月  】 更新履歴 

  09.01.  【 第84章 】  第1528回   さわりを読む▼
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  09.22.  【 第85章 】  第1549回   さわりを読む▼
  09.23.  【 第85章 】  第1550回   さわりを読む▼
  09.24.  【 第85章 】  第1551回   さわりを読む▼
  09.25.  【 第85章 】  第1552回   さわりを読む▼
  09.25.  【 備忘記録的なもの 】  ♪ある~日   さわりを読む▼
  09.26.  【 第85章 】  第1553回   さわりを読む▼
  09.27.  【 第85章 】  第1554回   さわりを読む▼
  09.28.  【 第85章 】  第1555回   さわりを読む▼
  09.29.  【 第85章 】  第1556回   さわりを読む▼
  09.30.  【 第85章 】  第1557回   さわりを読む▼


第1528回

第84章

  時間が経つにつれ、ヴィトールドの憂鬱はひどくなる一方だった。 こんなはずではなかった・・・彼は思っていた。 自分は心から妻子を愛している。だが、自分が愛するほどの愛を彼らから受け取っていないように思える。 シャルロットは確かに自分を愛しているし、自分以外の誰かに心を移してはいない。たとえ、その相手がコルネリウス=ド=ヴェルクルーズであってもだ。かの女と自分との間にある溝は、ほかの誰かに由来するも...全文を読む


第1529回

第84章

  その晩、舞踏会から帰ってきたマルクとヴィルジニーは軽い夜食を取った。食後、二人はいつものようにコーヒーを飲み、猛烈な眠気に襲われたヴィルジニーは疲れたと言って先に休んだ。ところが、それは、マルクの陰謀だった。彼は、睡眠薬の入ったコーヒーをヴィルジニーに飲ませたのである。そして、彼は、意識なく眠り込んでいるヴィルジニーを自分のものにしてしまった。ヴィルジニーはもちろん何も知らないままだった。 次の...全文を読む


第1530回

第84章

  ヴィトールドは混乱した。小説は、あきらかに自分に読ませるために書かれたものだ。もしかすると、自分に読ませるためだけに書かれたものかも知れない。 ロジェは、小説という形を取ってヴィトールドに告白している。 彼は、シャルロットに睡眠薬の入ったコーヒーを飲ませ、かの女に自覚がないまま自分のものにした。その結果、シャルロットは、自分では全く気づかないまま、ロジェの子どもを産み育てている・・・。 つまり、...全文を読む


第1531回

第84章

  ヴィトールドは黙って肩をすくめた。「まあ、座りなさい。今日のきみには、医者が必要かも知れない」そう言いながら、ロッシェル医師は近くの椅子に座った。「最近、よく眠れるかね? 食欲は? あまり食べていないんじゃないか?」 ヴィトールドは医者の近くに座った。「図星だろう?」医者はにやりとした。「わたしも、医者のはしくれだ。ちょっと見れば、そのくらいのことはわかる」 そして、ヴィトールドの目をのぞき込ん...全文を読む


第1532回

第84章

 「なぜそう言い切れるんですか?」ヴィトールドが思わず訊ねた。 ロッシェルは笑った。「そう確信できないの?」 ヴィトールドはうなずいた。「簡単なことだ。シャルロットを見ればわかる」ロッシェルが言った。「母親には、子どもの父親がわかるんだよ。シャルロットがスターシェックを見るときの表情を見れば、一目瞭然だ。かの女は幸せそうに子どもを見つめている。ということは、かの女は愛する男性の子どもを産んだと言うこ...全文を読む


第1533回

第84章

  その1週間後、ヴィトールドは妻と息子と一緒にマジョーレ湖のほとりの小さな貸別荘にいた。ドクトゥール=ロッシェル=デルカッセの処方箋に従い、<家族3人だけで旅行>に出かけたのである。結婚前も結婚後もそうだったが、彼らが3人だけで生活するのはこれが初めてだった。軍隊暮らしを経験しているヴィトールドにとって、身の回りのことを自分でこなすことは難しいことではなかったし、サント=ヴェロニック校で教育を受け...全文を読む


第1534回

第84章

  シャルロットは、小さな家の主婦として家事をすべてこなさなければならなかった。そのため、スタニスラスとヴィトールドが一緒に過ごす時間が増えた。シャルロットも母親としてじゅうぶんに子どもと接したが、ヴィトールドは疲れているシャルロットを思いやり、時間がある限りスタニスラスとすごそうとしたのである。スタニスラスに最初の歯が生えたことに気づいたのもヴィトールドだった。彼が最初に話した言葉『アーア』が<パ...全文を読む


第1535回

第84章

  部屋の時計が12回鳴った。 ヴィトールドは音のする方を向いた。大きな時計の長針がゆっくりと動いた。『ヴィテックさま、まだお休みにならないの?』懐かしい乳母の声が聞こえた。『ぼく、ねむくない』『でも、おやすみにならなければ』『どうして?』『12時はおもちゃたちの時間なんです』『おもちゃたちの、じかん?』『そうです。ぼっちゃまが起きていたら、おもちゃたちは遊べません』『ぼく、おもちゃとあそびたい』『...全文を読む


第1536回

第84章

  ヴィトールドは、その休暇中に二つの小説を同時に書き始めていた。どちらの小説も、まだタイトルがついていなかった。彼はひとつを<争い>とよび、もうひとつを<反戦>と呼んでいた。前者の下書きは、この地にやってくる以前から始まっていた。後者はシャルロットと話をした晩に構想を始めたものだった。 そして、彼はもう一つ計画を持っていた。スタニスラスのために絵本を作るという構想だった。「小さな子どもたちに文字を...全文を読む


第1537回

第84章

  ヴィトールドもゆりかごをのぞき込んだ。「ここに眠っていたきみを見たかったなあ。かわいい子どもだったんだろうね。いや、この子を見ていると、想像できるような気がする。きみは、この子そっくりだったはずだ。ただ、枕元にあるのは、懐中時計ではなく、プティ=ラルース百科事典だ。そして、ひと組の男女がこうやってゆりかごを覗いているんだ。ただし、彼らは、子どもの本当の両親ではない・・・」 シャルロットは、ゆりか...全文を読む


第1538回

第84章

  突然、ゆりかごの中でスタニスラスが泣き出した。 二人ははっとして離れ、子どもを見た。 抱き上げたのはヴィトールドだった。「ほらほら、もう泣くんじゃない。ぼくはここにいる」 スタニスラスは、彼に抱かれてすぐにおとなしくなった。そして、ずっと握りしめていた懐中時計をもてあそび始めた。「この子、ほんとうにこの時計が好きなのね」シャルロットが言った。 ヴィトールドは懐かしそうに言った。「ぼくも、小さい頃...全文を読む


第1539回

第84章

  シャルロットは、ぼんやりと思い出していた。あたたかい大きな手を。その手はシャルロットの小さな手を優しく包み込み、上の方から声が聞こえた。『もう一年だけ待っておくれ。来年になったら、きっと迎えにくるから。そして、みんなと一緒に勉強しようね。ね。約束してくれるだろう?』 その手は、かの女の肩にかけられた。シャルロットはその手の重みとあたたかさを思い出した。「彼は、ぼくが1位になるように、裏工作をして...全文を読む


第1540回

第84章

  そして、シャルロットはにっこり笑った。「サント=ヴェロニック校であなたの評判を何人もの人から聞いたわ。あなたは常に誰よりも勉強ができ、誰よりも尊敬に値する人だった。ソサイエティのヴィオラのトップ奏者で、ル=グループ=トレーズの影のリーダー。誰もがあなたに一目置き、誰もがあなたを褒め称えた。あなたを悪く言う人を、わたしは一人も知らなかった」 シャルロットはスタニスラスに呼びかけた。「スターシェック...全文を読む


第1541回

第84章

 <ギュスターヴ=フェランの懐中時計>は、ヴィトールドが一気に書き上げた作品ではなかった。ヴィトールドは、スタニスラスと遊びながら絵本の原形を考え、スタニスラスが眠ったあとで短編小説を書いていた。彼は知らなかったが、それとは別に、スタニスラスが眠りにつく前に話すとりとめのないようなおとぎ話を、シャルロットは編み物をしながら一緒に聞いていた。そして、ヴィトールドがいないときにそれを文字に書き残していた...全文を読む


第1542回

第84章

  二人の---正確には三人の---新婚旅行は、とつぜんの一通の手紙によって終わりを告げた。 オーギュスト=ド=マルティーヌは、シャルロットにあてて自分の結婚式への招待状を送ってよこしたのだった。ロジェはその手紙を転送してきた。シャルロットは、オーギュストに対し、自分の兄妹のような愛情を持ち続けていた。オーギュストは、本当はロジェの弟なのだが、ロジェに対するよりはシャルロットに対してのほうが身内のような意...全文を読む


第1543回

第84章

  シャルロットたちは12月1日にT城に戻ってきた。ロジェは心から3人を---とくにスタニスラスを---喜んで迎えた。ヴィトールドは、ロジェがスタニスラスを自分の息子のように抱きしめるのを見ても、もう心を乱されることはなかった。ヴィトールドは一緒に出迎えたリオネル=デルカッセに、あたらしい作品の構想を話すのに夢中になっていた。リオネルはヴィトールドから解放されるとシャルロットに挨拶した。そのあと、彼はかの...全文を読む


第1544回

第84章

  オーギュストは、スタニスラスを初めて見た。子どもは、シャルロットが使っていたあのゆりかごの中にいた。「やあ、プティ=トト」オーギュストは子どもに呼びかけた。 スタニスラスは機嫌良さそうに腕を上下させていた。その動作をすると、大人たちはだっこしてくれる。彼はそれを知っていた。 しかし、オーギュストはそうせずに彼を見つめていた。そして、傍らに立っていたマルグリット=マリーに言った。「この子は、パパに...全文を読む


第1545回

第85章

  オーギュスト=ド=マルティーヌは、結婚を機にまた自分の名を変えた。彼は、妻の姓レヴィンをとり、オーギュスト=レヴィンを名乗ることにしたのである。彼は、改名の理由をこう語っている。「ぼくは、フランショーム一族として生まれた。本当は男性だったのに、両親の拒絶によってオーギュスティーヌ=ド=マルティーヌと名付けられた。ぼくは実の親にではなく、ザレスキー一族の人たちに育てられた。ぼくにとってクラリス=ド...全文を読む


第1546回

第85章

  その男性は、壁を背にして立っていた。どこか少年を思わせるような若い男性だった。シャルロットはその男性が屋敷に現われてから、ずっと気になっていた。彼に話しかけたかったが、かの女の前にはたくさんの人がいた。壁にたどり着くまでには、何人もの人々と会話をしなければならなかった。かの女は人々とたわいもない会話をしながら、少しずつその男性の方に向かった。 若い男性は、寂しげな表情でシャルロットの方を見つめて...全文を読む


第1547回

第85章

  その言葉を耳にはさんだ二人の男性---かの女たちの夫たち---は、ゆっくりと女性たちに近づいた。 女性たちは一触即発のように見えた。モジェレフスカ夫人は挑戦するかのような視線をシャルロットに向け、シャルロットはモジェレフスカ夫人から目をそらさなかった。「あなたの目は、彼と同じだわ」シャルロットは優しい口調で言った。「彼は、澄んだ目をしていたわ。彼は、自分の信じる道をまっすぐに駆け抜けていった。激しい炎...全文を読む


第1548回

第85章

  モジェレフスカ夫人は、初めて穏やかな表情を浮かべてシャルロットを見た。「あなたは、わたしの知らない兄を知っている」モジェレフスカ夫人が言った。「わたしは、16歳までの彼のことしか知らないの。彼が最後に家に戻ったのは16の夏休みが最後だった。そして、それ以来、彼は一度も家には戻ってこなかったの。彼は指名手配され、あんな死に方をしたわ。彼の友人が、彼の最期の言葉を伝えに来て、髪の毛を一房置いて行って...全文を読む


第1549回

第85章

  モジェレフスカ夫人は、シャルロットの後ろに立っていたヴィトールドの方をちらっと見た。ヴィトールドはすまして立っていたが、その目は優しくシャルロットの方へ向けられていた。彼を知っている人ならば、彼が穏やかな気持ちでいることに気づいたはずだ。シャルロットのそばに寄るまでは、かの女にもしものことがあったら自分が盾になって守ろうとしていたのは確かだ。しかし、今の彼はそんなことを全く考えている様子はない。...全文を読む


第1550回

第85章

  シャルロットは了解したというようにうなずいて見せた。「隣の部屋に行かないか?」ヴィトールドが言った。「込み入った話になりそうだしね」 他の3人は同意し、ヴィトールドのあとについて部屋を出て行った。 隣室には誰もいなかった。そこには円卓があった。ヴィトールドは暖炉のそばの席に妻を座らせ、あとの二人にも座るように合図した。エヴァはシャルロットの向かい側に席を取った。男性二人は、女性二人を隣にして座っ...全文を読む


第1551回

第85章

  ヴィトールドはそんなシャルロットの表情を見て、答えを読み取った。「たとえそうだったとしても、彼らは幸せだったはずだ」「だといいんだけど・・・」シャルロットは小さな声で言った。 自分もその場にいたかった。そして、すこしでもシャルロットの慰めになりたかった。ヴィトールドはそう思った。「間違いないよ」ヴィトールドは確信を込めて言った。 シャルロットはゆっくりとうなずいた。「話を元に戻さなければ」かの女...全文を読む


第1552回

第85章

  シャルロットは一息つき、続けた。「・・・彼は答えました。『何があっても、きみを犠牲にはできない』わたしはそんな彼に言いました。『もし、わたしがあなたの本当の娘だったら、あなたはそう考えるでしょうか? 自分の娘が、命がけで最後のお願いをしているのに、本当の父親だったらそれを拒めますか? お願い、あなたの娘の願いを聞き届けて。彼さえ逮捕されれば、彼がしてしまったことのために泣くのはあなたが最後になる...全文を読む


♪ある~日

備忘記録的なもの

 気がつくとまた一ヶ月。前回の記事(8月28日の日記---全記事一覧ページを作った感想?)を書いてから早一ヶ月。どうなっているんでしょう?(・・・ということは、全記事一覧ページを作ったのは、もうひと月も前の話だったんですね・・・。おもしろがってテンプレートを二度も変更したりしていたので、そんなに時間が経ったと思いませんでした。)そうでなくても例年9月は忙しい。にもかかわらず、今年は予期しない余計な仕事...全文を読む


第1553回

第85章

 「その直前に、ずっと兄のように慕っていたフェリックス=オルシャンスキーがフランスに旅立ったのです。実の父親を探すのが目的でした。彼がいなくなって落ち込んでいたわたしを見て、公爵は転地を考えたようです。本当だったら、屋敷から外に出ない方がよかったのに、いつもの夏休みのように湖のほとりの別荘に行こうと計画を立てたのです」シャルロットは話し出した。「後で知ったことですが、その頃、毎日不審な手紙が届いてい...全文を読む


第1554回

第85章

 「その言葉を聞いたときの彼の表情を、わたしは今でも忘れることができません。彼の顔に浮かんでいた感情を一言では説明できません。それは、怒りや悲しみではありませんでした。憐れみというのとも少し違います。もし、憐れみだとすれば、その対象はわたしではなく彼自身のように見えました。彼は、誰かに---何かに---失望しているような表情を浮かべていました」 そう言うと、シャルロットは目を天にあげた。 エヴァはその言葉...全文を読む


第1555回

第85章

  その表情を見ているうちに、モジェレフスキーは次第に腹がたってきた。かの女にではない。できることならば、10年前に戻って、後に義兄となった男性に会っておきたかった。あの少女を傷つけた義兄を殴りたかった。あの男があんなことをしでかさなかったら、エヴァだってもっと幸せな少女時代を送れたはずだったのに。彼は、たくさんの人を苦しめた人間だ。「・・・いや、それは違うだろう?」モジェレフスキーが口を開いた。「...全文を読む


第1556回

第85章

  シャルロットは慌ててまばたきした。そして、こう言った。「価値観というのは、普遍のものではないんですよね。立場によっていくらでも変わりうるものです」シャルロットは言った。「フェリックス=ザモイスキーにはフェリックス=ザモイスキーの、アントーニ=チャルトルィスキーにはアントーニ=チャルトルィスキーの正義がありました。ただ、この二つの正義は、同じ正義という言葉を使っているということしか共通点はなかった...全文を読む


第1557回

第85章

  シャルロットは身をよじるようにしてすすり泣いていた。かの女が後悔していることは誰の目にも明らかだった。「ごめんなさい、フェリックス・・・ごめんなさい」やがてシャルロットはその場に跪き、胸を打ちながら泣き続けた。 もう限界だ、エヴァはそう思った。これ以上、この情景を見てはいられない。 エヴァはシャルロットに駆け寄り、しっかりと抱きしめた。「泣かないで。あなたは悪くない」エヴァは優しく言った。「あな...全文を読む

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