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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2013年11月  】 更新履歴 

  11.01.  【 第87章 】  第1589回   さわりを読む▼
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  11.03.  【 第87章 】  第1591回   さわりを読む▼
  11.04.  【 第87章 】  第1592回   さわりを読む▼
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  11.08.  【 第87章 】  第1596回   さわりを読む▼
  11.08.  【 備忘記録的なもの 】  愛の死   さわりを読む▼
  11.09.  【 第88章 】  第1597回   さわりを読む▼
  11.10.  【 第88章 】  第1598回   さわりを読む▼
  11.11.  【 第88章 】  第1599回   さわりを読む▼
  11.12.  【 第88章 】  第1600回   さわりを読む▼
  11.13.  【 第88章 】  第1601回   さわりを読む▼
  11.14.  【 第88章 】  第1602回   さわりを読む▼
  11.15.  【 第88章 】  第1603回   さわりを読む▼
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  11.20.  【 第88章 】  第1608回   さわりを読む▼
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  11.27.  【 第88章 】  第1615回   さわりを読む▼
  11.28.  【 第89章 】  第1616回   さわりを読む▼
  11.29.  【 第89章 】  第1617回   さわりを読む▼
  11.30.  【 第89章 】  第1618回   さわりを読む▼


第1589回

第87章

  オーギュストは差し出された手を握りしめた。「誤解するなよ。仲直りするのは、シュリーを悲しませないためだ。ぼくは、これからの人生を、かの女のためにだけ生きると決めている。かの女が幸せになるためになら、どんなことでもする。たとえ、それがコルネリウスとの調停であっても、だ」「ドンニィは、いいわけをしても聞いてくれる人じゃないわ」シャルロットは悲しそうに言った。「たとえあなたの仲裁が入ったとしても、彼が...全文を読む


第1590回

第87章

  オーギュストは振り返り、こちらを見ていたザレスキー夫妻に言った。「筆記用具しか入っていない」オーギュストは不思議そうに言った。「どうして、彼は、一番上の引き出し、なんて言ったんだろう?」 それを聞き、二人も首をひねった。 そのすきに、オーギュストはその封筒をこっそり机から抜き取った。そして、何食わぬ顔で引き出しを閉め、兄の枕元に戻ってきた。「きみも中を確認するか、シュリー?」「いいえ、今はいいわ...全文を読む


第1591回

第87章

  それから、どのくらいの時間が経過しただろう。廊下が再び騒がしくなり、誰かが部屋をノックした。 二人の医師は、あのあと、別々に往診を続けていたらしい。最初に戻ってきたのはドクトゥール=ロッシェルだった。彼はヴィトールドと話をしながら部屋に入ってきた。 医者が戻ってきたとき、部屋のカーテンはあいていた。一晩中降り続いた雪が朝日に照らされ、まぶしい光を反射させていた。光の差してくる部屋で、ロジェ=ド=...全文を読む


第1592回

第87章

  あのとき、ロジェは小説の主人公が自分の死ぬ間際に聞きたがっていたワーグナーを口ずさんだ。そのあとで、原稿の口述筆記を続ける代わりに三つの<遺言>をした。そのうちのひとつが、彼に関するすべてのものを処分するように、というものだった・・・。「リヴィエール」シャルロットは泣きながら言った。「お願い。その原稿を、いま、この場で完成させて。そうすれば、わたしは、彼の遺言に従わなくてもすむわ。その作品を、処...全文を読む


第1593回

第87章

  それを聞くと、リオネルは真っ赤になった目をシャルロットのほうに上げた。「ロジェが生涯最初の作品を書いていたとき、わたしは彼のそばにいた。彼が生涯最後の作品を書いているときもそうだった。そして、彼はどちらの作品も完成させられなかった」シャルロットは言った。「最初の作品はともかくとして、最後の作品は、世に送り出す価値がある作品よ」 そういいながら、シャルロットは立ち上がった。そして、ワーグナーの<愛...全文を読む


第1594回

第87章

  オーギュストは、コルネリウスが兄の葬式には出ないだろうと確信していた。しかし、彼はコルネリウスからの連絡を待ち続けた。ロジェの死から5日たったあと、コルネリウスが兄の死を悼む長い電文を送ってきた。 オーギュストはそれを読んだ後、兄の遺体が安置されている<T城>に出かけ、ザレスキー夫妻に面会を求めた。コルネリウスが来ないという知らせを聞いても、二人は驚かなかった。それどころか、シャルロットは明らか...全文を読む


第1595回

第87章

 「・・・これまで、あの子の気持ちをあまり理解してあげていなかったのかも・・・」シャルロットがつぶやいた。「聞き分けが良すぎる子だと思っていたけど、本当は、彼ももっと甘えたかったのね・・・」「今からでも、まだ遅くはないさ。いっぱい甘えさせてあげればいいんだ。その機会はたくさんある」ヴィトールドが言った。 オーギュストは無表情になった。「・・・この場で言うと、冗談には聞こえないぞ」 二人は、その言葉を...全文を読む


第1596回

第87章

 「トールディ!」シャルロットの呼びかけに、ヴィトールドは薄く目を開いた。そのまぶたは重そうに閉じられた。「トールディ、お願い、起きてちょうだい!」 しかし、ヴィトールドは目を開けなかった。 シャルロットは彼の上半身を抱き起こし、もう一度声をかけた。「お願い、目を開けてちょうだい」 ヴィトールドは、やはり目を開けなかった。「ザレスキー先生!」子どもたちも叫んだ。「先生、目を開けてください!」「もう、...全文を読む


愛の死

備忘記録的なもの

 第87章が終了しました。眠れなかったので、夜のうちに目次を更新し、<はじめに>に手を加え、次章目次ページを書き足しました。本当は、表紙ページの<ご案内>にも手を入れたいと思っているのですが、昔から文字数制限があるものは苦手でして・・・。初めてうちのブログを訪れた人が、「小説ならばとりあえず連載の第一回目を見てみたい」・・・と思ったとき、どうやったらそのページに簡単にたどり着けるか・・・その道筋を示...全文を読む


第1597回

第88章

  ロジェ=ド=ヴェルクルーズとヴィトールド=ザレスキーの葬儀は同じ日に行われた。シャルロットは、二人のためにささやかなお別れの会をしたいと思っていた。そのため、かの女は彼らの死亡を大々的に公表しなかったのである。それでも、葬儀には、あの事故でヴィトールドに助けられた子どもたちとその両親も参列し、シャルロットは彼らからたくさんの涙と感謝の言葉を受けた。そして二人は涙のうちに葬られた。 涙を流さなかっ...全文を読む


第1598回

第88章

 「ドクトゥール=マルロー・・・?」リオネルは目を丸くした。「ええ、ご名答です」スティーヴンはにっこり笑った。 その答えを聞くと、シャルロット以外の全員が驚いたような表情になった。「おやおや・・・」オーギュストは肩をすくめた。「なるほど、あの方がいたら、ドンニィじゃなくても、研究所には戻らないだろうね」 その言葉を聞くと、シャルロットの口元がほんの少し緩んだ。「あら、ブリューノは、それほど怖いかしら...全文を読む


第1599回

第88章

  スティーヴンが下を向いたのを見て、リオネルは続けた。「だが、逆に、シュリーに説得しやすくなったんじゃないのか?」 シャルロットは即座に首を振った。「わたしは、誰とも再婚はしません」「今はそう思うだろう。なんといっても、きみたちは仲のいい夫婦だった」リオネルはシャルロットに言った。「しかし、きみ一人で子どもたちを育てるのは大変だろう。再婚するかどうかは別としても、ミュラーユリュードに戻るということ...全文を読む


第1600回

第88章

  いつものようにノッカーを3度たたき、シャルロットはドアを開けた。「おかえりなさい」執事のエルネスト=シュミットはいつもと同じように出迎えた。彼は、シャルロットの後についてきた男たちを見て---シャルロットのすぐ後ろに立っていた人物を見て---驚きを隠せなかった。「ドクトゥール・・・?」 スティーヴンはにっこりして答えた。「よくわたしの職業を当てましたね。わたしは、ドクトゥール=ド=ルージュヴィルと申し...全文を読む


第1601回

第88章

  ジェルメーヌは、まるで熱いものに触れたかのようにさっと手を引っ込めた。そして、まるで言い訳をするようにこう言った。「身分の高い方が、ただの使用人にそんな挨拶をなさるものじゃありません、アレックさま」 スティーヴンはにっこりした。「あなたは、わたしに何か隠していることがあるんじゃありませんか? あなたは、ほんとうはただの使用人なんかじゃないでしょう、マダム=ベニエ?」 しかし、ジェルメーヌは黙って...全文を読む


第1602回

第88章

 「ええ、ここです」デュボワ夫人が言った。「あのベッドで、あなたがお生まれになりました」 スティーヴンはふらふらっとした足取りで部屋の奥に向かっていた。 シャルロットは、もうずいぶん長い間使われていなかったこの部屋に入り、珍しそうにあたりを観察した。オーギュストも懐かしそうにその部屋を見ていた。「リネットおばさまがここを出て行ったあと、この部屋も使われていなかったんですね?」オーギュストが懐かしそう...全文を読む


第1603回

第88章

  ヴィトールドとロジェ、二人が急に去ったこの家が以前の状態に戻るのには時間がかかりそうだった。 シャルロットは、子どもたちを一週間だけ甘やかすことに決めていた。彼らを自室にいれ、一日中一緒にいた。まず子どもたちを落ち着かせるのが先だと思ったからである。シャルロットは、子どもたちが理解できる程度にヴィトールドの思い出話を聞かせた。子ども時代の話。学生時代の話。結婚して、子どもたちとどんな風に過ごした...全文を読む


第1604回

第88章

  リオネルが口を開こうとしたとき、ノックの音がして執事のエルネスト=シュミットが入ってきた。彼は名刺を小さなトレイの上にのせ、シャルロットの前に差し出した。「若い男性がお見えになっておられますが、お通ししてよろしいでしょうか?」 シャルロットは名刺を手に取り、驚きを顔に浮かべた。「客間にお通ししなさい。わたしもすぐに行きます」シャルロットはそう答えた。かの女は立ち上がり、リオネルに言った。「お客さ...全文を読む


第1605回

第88章

  中に入ってきた二人の男を、ライモンドは黙って見つめた。ザレスキー一族の男性と、フランショーム一族の男性が並んで立っている。どう見ても、二人ともお互いによく知っている仲のようだ。「ヴィトールドさん・・・ですよね? はじめまして。いつお戻りで?」スティーヴンはいつもの穏やかな声で言った。「ずいぶん早いお帰りですが、もう最後の審判が始まるんですか?」「冗談がきついぞ」オーギュストは、ライモンドが真っ青...全文を読む


第1606回

第88章

  シャルロットはわざと手を引っ込めた。男性がこんな風に手を握るときは気をつけなければならないということは、すでに経験済みである。かの女は、彼の足のことをあえて頭から閉め出した。ロジェもコルネリウスも義足だったが、二人ともシャルロットの助けなしに歩けた。この男性も、ちゃんとステッキを持っている。自分の助けは不要だ。だから、シャルロットは、彼のステッキを拾うために手を離したのだと周りの全員に思わせるよ...全文を読む


第1607回

第88章

  ヴィトールドは、自分が受けた教育のことを忘れてはいなかった。彼は、サント=ヴェロニック校での生活すべてを奨学金制度でまかなった人間だ。彼は、自分も創立に携わった小学校のことを---そこに通う生徒のことを---念頭に遺言状を作ったのだった。まず、彼の残した財産を基金として、奨学金制度を作ること。彼は、その小学校出身者で特に優秀な生徒たちを大学まで進学させようと考えた。お金がないために夢をあきらめてはいけ...全文を読む


第1608回

第88章

  スティーヴンは弁護士から手渡された書類をじっと見つめた。「なるほど、サインのある正式な書類ですね。もっとも、わたしには、ヴィトールドの筆跡はわかりませんけどね」 そして、にっこり笑った。「ヴィトールド=ザレスキーという人物は、立派な遺言状を残しましたね。わたしの父の遺言状は、簡単すぎるものでした。本文が『全財産をシャルロットに譲る』というだけの、わずか1行の遺言状です」 オーギュストが言った。「...全文を読む


第1609回

第88章

  オーギュストは一瞬言葉を失った。しかし、彼はすぐに我に返り、シャルロットの足下にひざまずいた。「もし、誰にでもチャンスがあるのなら、もう一度わたしにもチャンスをくれないか、シュリー?」 シャルロットは顔を上げた。「わたしと結婚するということも、考慮に入れてほしいとお願いしているんだ」オーギュストは言い換えた。 ライモンドの眉が軽く上がった。 シャルロットは小さくため息をつき、二人を交互に見てこう...全文を読む


第1610回

第88章

  その翌日の朝、シャルロットはロジェの私室に一人でいた。前日に、<形見分け>は済ませた。あとは、少しずつ彼の身の回り品を処分していこうと考えていた。 シャルロットは椅子に座って机を眺めた。ごく最近まで、一緒に仕事をしていた場所だった。病気が悪化した後、彼は新しい机を買って自室においた。正面に一つ、両側に4つずつ、計9個の引き出しがある机だった。<一番上の引き出し>と彼が呼んでいた正面の引き出しだけ...全文を読む


第1611回

第88章

  シャルロットは、引き出しを全開しようとしたが、なかなか開かなかった。どうやら、何かが引っかかっているようだ。かの女は、すきまにひっかかったノートを苦心して取り出し、引き出しを完全にあけた。見ようと思ったわけではないが、破れたページの内容が目に入った。《ヴィトールドは、スターシェックをわたしの息子だと思っているフシがある。》 シャルロットはそれを見て驚いた。かの女は、ノートから目をそらすことができ...全文を読む


第1612回

第88章

  その晩、主人公は思いきった行動に出た。ヴィルジニーに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませ、かの女が意識しないまま一晩を過ごしてしまうのだ。そして、部屋を出るとき、わざと万年筆を床に置いた。 その晩かの女が一人きりではなかったことを暗示する万年筆を見つけたのは、ユージェーヌだった。彼は、主人公に万年筆を返す。『廊下に落ちてましたよ』と言って。その言葉は、主人公とユージェーヌの間の宣戦布告だった。万年筆は、...全文を読む


第1613回

第88章

  シャルロットは、ロジェの遺品をすべて焼却し終えた後で、ヴィトールドの書斎の片付け作業に取りかかった。 そのころになると、かの女のおなかが目立つようになってきていて、3人の<ナイト>たちは、かの女から目を離すのを渋るようになっていた。ロジェの遺品は一人で片付けることに固執したシャルロットであるが、ヴィトールドは自分の遺品について何も言い残さなかったこともあり、原稿以外のものは3人の男性たちが片付け...全文を読む


第1614回

第88章

  シャルロットの顔がぱっと赤くなった。 イシュトヴァーンはにやりとした。 シャルロットの頭の中に、彼が言おうとした言葉が浮かんだ。《きみは、グレタ=レヴィンだ。きみはグレタのように、愛する男性が最後に残した作品を完成させてほしい。彼に対して、どれだけの愛情を持っていたのか、形にしてほしい。彼がどんな形で最後の作品を完成させようとしていたのか、本当のところはきみにもわたしにもわからない。だが、きみが...全文を読む


第1615回

第88章

 「きみは、根っからの芸術家なんだね」スティーヴンはそう言ってほほえんだ。 シャルロットは、自分が言いたいことをスティーヴンが察したのに気づくと、心からの笑みを浮かべた。 シャルロットは、結局、ヴィトールドの作品を3つの短編としてまとめることを選んだ。断片になっているものは、どれかの小説に、作品の一部として書き加えたのである。その作業をしているうちに、6月はあっという間に過ぎた。7月7日、ついに作品...全文を読む


第1616回

第89章

  子どもが生まれたのは、日付が変わってからのことだった。出産に立ち会ったのはリオネル=デルカッセとスティーヴン、フェリシアーヌ=ブーレーズの3人だった。だが、赤ん坊の泣き声がすると、オーギュストとライモンドも部屋に飛び込んだ。「女の子です。母親も元気ですよ」リオネルが二人に言った。 ライモンドはシャルロットの手を優しく握りしめた。シャルロットは、枕元に立っている彼を見て、ヴィトールドに祝福されたよ...全文を読む


第1617回

第89章

  廊下で子どもたちがなにやら話し合っている声が聞こえたが、その声は次第に遠ざかっていった。 リオネルは立ち上がり、こう言った。「シャルロットを少し休ませようと思う。あとで看護師をよこすから、今日だけはかの女に子どもの世話を任せるようにシャルロットに言っておいてほしい」その言葉を聞き、スティーヴンがうなずいた。「同じ理由で、今日一日は、シャルロットの前で今の話し合いを蒸し返さないように」「かの女と話...全文を読む


第1618回

第89章

  看護師は、シャルロットがさしだした手をうれしそうに握った。「赤ん坊が眠ったところなの。しばらく仕事がないと思うの。もしよかったら、こちらの男性たちとお茶でもいかがかしら?」 男性たちは目を丸くした。「お願い、そうしてちょうだい。それに、わたし、アレックに話があるの。二人きりにしてくれない?」シャルロットが言った。 オーギュストは一瞬、スティーヴンに飛びかかりたそうな表情をしたが、小さくため息をつ...全文を読む

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