FC2ブログ

年代記 ~ブログ小説~ 

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので
久しぶりのご訪問の方は、こちらで未読・既読のご確認ができます

【  2013年12月  】 更新履歴 

  12.01.  【 第89章 】  第1619回   さわりを読む▼
  12.02.  【 第89章 】  第1620回   さわりを読む▼
  12.03.  【 第89章 】  第1621回   さわりを読む▼
  12.03.  【 備忘記録的なもの 】  とりあえず短い近況報告など   さわりを読む▼
  12.04.  【 第89章 】  第1622回   さわりを読む▼
  12.05.  【 第89章 】  第1623回   さわりを読む▼
  12.06.  【 第89章 】  第1624回   さわりを読む▼
  12.07.  【 第89章 】  第1625回   さわりを読む▼
  12.08.  【 第89章 】  第1626回   さわりを読む▼
  12.09.  【 第89章 】  第1627回   さわりを読む▼
  12.10.  【 第89章 】  第1628回   さわりを読む▼
  12.11.  【 第89章 】  第1629回   さわりを読む▼
  12.12.  【 第89章 】  第1630回   さわりを読む▼
  12.13.  【 第89章 】  第1631回   さわりを読む▼
  12.14.  【 第89章 】  第1632回   さわりを読む▼
  12.15.  【 第89章 】  第1633回   さわりを読む▼
  12.16.  【 第89章 】  第1634回   さわりを読む▼
  12.17.  【 第89章 】  第1635回   さわりを読む▼
  12.18.  【 第90章 】  第1636回   さわりを読む▼
  12.19.  【 第90章 】  第1637回   さわりを読む▼
  12.20.  【 第90章 】  第1638回   さわりを読む▼
  12.21.  【 第90章 】  第1639回   さわりを読む▼
  12.22.  【 第90章 】  第1640回   さわりを読む▼
  12.23.  【 第90章 】  第1641回   さわりを読む▼
  12.24.  【 第90章 】  第1642回   さわりを読む▼
  12.25.  【 第90章 】  第1643回   さわりを読む▼
  12.26.  【 第90章 】  第1644回   さわりを読む▼
  12.27.  【 第90章 】  第1645回   さわりを読む▼
  12.28.  【 第90章 】  第1646回   さわりを読む▼
  12.29.  【 第90章 】  第1647回   さわりを読む▼
  12.30.  【 第90章 】  第1648回   さわりを読む▼
  12.31.  【 第90章 】  第1649回   さわりを読む▼


第1619回

第89章

  同じ頃、子どもたちは全員子ども部屋にいた。<子どもたち>といっても、部屋にいたのは5人である。 シャルロットがスタニスラスを生んだとき、出産直後に体調を崩してしまったため、彼には乳母がつけられた。ほぼ同じ頃出産した小間使いのマリー=ベニエが、自分の子ども(ジェルマン=ベニエ)と一緒にスタニスラスを育てた。マリー=ベニエは小間使いから乳母に取り立てられたことになる。 ザレスキー夫妻やロジェは、乳兄...全文を読む


第1620回

第89章

  フェリシアーヌは子ども部屋を出て、オーギュストたちを探しに行った。しかし、誰も二人を見かけてはいなかった。フェリシアーヌはシャルロットの部屋まで探したが、二人は来ていなかった。 フェリシアーヌの話を聞くと、シャルロットはほほえんだ。「そうね、あの子たちも寂しかったのね。じゃ、今晩はわたしがあの子たちに絵本を読んであげましょう」 フェリシアーヌは眉をひそめた。「あまり甘やかすのもどうかと思いますが...全文を読む


第1621回

第89章

  その言葉を聞くと、看護師は小さな笑い声を上げた。「あなたって、欲がない方なんですね」「義母にもそう言われます。でも、そうじゃないと思います」マリーはまじめな顔で言った。「そもそも、幸せになりたいと願うのは、大それた望みだと思います。幸せになることは、とても難しいことです。だけど、幸せでいることはたやすいんです。ですが、それに気づく人は少ないんじゃないかしら?」 看護師は小さくため息をついた。「・...全文を読む


とりあえず短い近況報告など

備忘記録的なもの

 ぼやぼやしているうちに暦はもう最後の一枚になりました。ブログをやっている人間としてはみっともないことですが、また一ヶ月広告が出そうな時期なので、短い近況報告(生存報告?)などを。しばらくは、追いかけっこが続きます。一日一ページ、下書きを更新し続ければ、永遠に追いつかれないのですが・・・追っ手が迫っている状況です。油断がなりません。もしかすると、第三部が終わった後、また「日曜日はお休み」更新になるか...全文を読む


第1622回

第89章

  その日、T城の中にいた人間はごくわずかだった。子どもが生まれたため、シャルロットが従業員たちに半日休暇を与えたからである。ライモンドとオーギュストは、人が少なくなった台所からお酒をくすねても良かったのだが、「今日みたいな日は派手に飲もう!」と執事を含む何人かを誘って飲みに出かけた。 アレクサンドルは彼らとは同調しなかった。シャルロットに頼まれたメダイを作ってくれる宝石屋を探さなければならなかった...全文を読む


第1623回

第89章

  子どもたちを寝かしつけようとしてシャルロットが子ども部屋に入ったとき、3人の男の子がベッドの上で騒いでいるところだった。半泣き状態だったフェリシアンを、上の二人がからかっているようだった。 ドアが開く音を聞いて、双子が振り返った。彼らはおかしな顔をしていた。「まあ!」シャルロットは彼らをにらみつけながら言った。「ヴァイオリン=ケースには触っちゃだめ、って言っていたはずよね?」 双子はしょげかえり...全文を読む


第1624回

第89章

  シャルロットが階段にたどり着いたとき、階段の下の方は煙のためによく見えなくなっていた。リオネルの言うとおり、子どもたちがもし台所にいるとすれば、すでに連れ出されたに違いない。1階にいる息子たちは心配いらないだろう。問題は、2階にいる赤ん坊の方だ! 生まれたばかりのアンジェリークが無事かどうか、シャルロットはどうしても確かめたかった。かの女はポケットからハンカチを出し、口に当ててから階段を駆けおり...全文を読む


第1625回

第89章

  そのとき、シャルロットの耳に、聞き慣れた男の声が聞こえてきた。リオネル=デルカッセの声だ。 助かった! シャルロットは一瞬そう思った。「シャルロット!」リオネルは叫んだ。「何をしているんだ?」 シャルロットは涙で潤んだ目をリオネルに向けた。「ライの体が動かないの。どこか打ち所が悪かったみたい」 リオネルはとっさにライモンドの前にかがんだが、「診察は後だ。まずは逃げないと」と言いながら立ち上がった...全文を読む


第1626回

第89章

  宝石店からの帰り道、スティーヴンはT城の方角から黒い煙が上がっているのに気がついた。家に近づくにつれ、あたりの人だかりが増えてきていた。間違いなくT城が火事だと知ると、彼は人だかりをかき分けて前進した。自分が医者だというと、人々は彼のために道を空けた。<T城>という愛称のとおり、建物は上から見るとTの形をしている。上の横棒に当たる部分が正面になっているので、縦棒に当たる部分は正面からは見えない。...全文を読む


第1627回

第89章

  その彼らの目の前で、2階の一番端の窓から火に包まれた大きなものが落ちてきた。火に包まれたその物体は、どう考えても人間だった。あんなに大きな人間は、オーギュスト=レヴィンしかいない!「ミュー!」スティーヴンはそう叫びながら大きな火の玉に向かって走った。 オーギュストはとっさに手に抱いていたものを放し、地面を転げ回った。スティーヴンはオーギュストが手放したものを抱き上げた。それは、気を失っていた赤ん...全文を読む


第1628回

第89章

  リオネルは、怪我人が運ばれた病院、遺体安置所を回ってから屋敷に行った。 リオネルがT城に戻ったとき、使用人たちは執事の案内で庭のはずれにある物置の方へ歩き始めていた。リオネルの問いに対し、執事は、スティーヴンの指示で、できるだけ火元から離れたところで一緒に行動するように言われていることを説明した。若い男性たちの何人かは、スティーヴンたちと消火に回っているということだった。今のところ、大きなけがを...全文を読む


第1629回

第89章

  スティーヴンとリオネルは、家族の姿が見当たらないという数名の人たちと一緒にその場を後にした。行き先は、遺体安置所だった。 遺体安置所には、数名の遺体があった。誰の遺体なのかはっきりわかる人たちに混じって、黒焦げになって判別がつきにくい人のものまで全部で16の遺体があった。 スティーヴンは、そのうちの一つに思わず駆け寄った。枕元に「所持品:指輪」と書かれた黒焦げの遺体だ。枕元に置かれていたその指輪...全文を読む


第1630回

第89章

  少し沈黙した後、ジェルメーヌは続けた。「そのとき、部屋に二人の女性---アレクサンドリーヌさまとクラリスさまだった---が入ってきたの。あのとき、お二人ともお子さまが生まれる直前だったわ。家政婦長は、わたしのことをお二人に話したの。アレクサンドリーヌさまは、『家政婦長が言うとおり、今は人手が足りているわね』とお答えになったわ。だけど、隣にいたクラリスさまは、わたしが抱いていた子どものことが気になったら...全文を読む


第1631回

第89章

  その言葉を聞くと、スティーヴンの表情に困惑が浮かんだ。「わたしの聞き違いでなければ、あなたのターゲットはわたしだった・・・?」スティーヴンが訊ねた。「そのとおり。30年前に、赤ん坊だったあんたを屋敷から連れ出したのはわたしだ。24年前に、ルイ=フィリップさまとアレクサンドリーヌ夫人を殺そうとしてワインに毒を入れたのもわたしだ」「あなたたちは、共犯者だった・・・?」リオネルは目を丸くした。その表情はミ...全文を読む


第1632回

第89章

  確かに、ルイ=フィリップはシャルロットを愛していた。溺愛と言ってもいいくらいだ。自分の本当の娘ではないのに、彼は全財産をかの女に残したのだ。「わたし自身、あのとき亡くなったのはアレクサンドリーヌさまだと信じていた。フィルさまがここを去った後で、わたしはマルグリートさまに手紙を書いた。シャンベリーに戻りたいという手紙を。だが、お嬢さまは、そんなことをすればわたしが疑われると諭した。だから、わたしは...全文を読む


第1633回

第89章

  玄関のドアを開けたとき、彼は思いもかけない人物の姿を目にした。「・・・まさか・・・嘘だろう?」 声をかけられた人物のほうも、驚いたように彼を見つめていた。「シュリー・・・?」スティーヴンは目の前の女性にそっと訊ねた。 女性の方も、目を丸くして彼を見つめた。「ティーヴィ・・・?」 その声を聞くと、スティーヴンは、彼を知るすべての人を驚かせるような行動をとった。彼はシャルロットを抱きしめ、子どものよ...全文を読む


第1634回

第89章

  それを聞くと、二人の男性の表情が二分した。ライモンドの表情には緊張感が浮かび、スティーヴンは明らかに落胆したような表情になった。「・・・いつまでだ?」スティーヴンが訊ねた。「本当の犯人が捕まるまで。あるいは、かの女の安全が確認できるまで」リオネルが答えた。 ライモンドはうなずいた。「わかったわ」シャルロットも同意した。 スティーヴンは、衝動的にシャルロットに近寄ると、情熱的なキスをした。「・・・...全文を読む


第1635回

第89章

  シャルロットは、スティーヴンに言った。「子どもが16になったら、本当のことを話してください。わたしも本当のことを知ったのは16の時でした。本当のことを聞いたとき、かの女がどうするかはかの女に任せます・・・」「わかりました」スティーヴンが言った。「ですが、わたしは、かの女がサント=ヴェロニック校を卒業するまでは手放しませんよ」 シャルロットはほほえんだ。「かの女はわたしの娘よ。サント=ヴェロニック...全文を読む


第1636回

第90章

  スティーヴンは、祖先たちが秘密にしてきたことを使用人たちに知られるのを恐れ、単独行動をすることに決めていた。秘密の部屋は4つあるという。慎重に行動する必要があるだろう。 彼は、一番無難なところから探すことを決めていた。「書斎に行く。調べ物があるんで、しばらく誰も通さないでほしい」屋敷に戻るなり、スティーヴンは執事に告げた。「警察の人も含めて、誰もだ」「わかりました、アレックさま」シュミットはそう...全文を読む


第1637回

第90章

  図書室に戻ると、スティーヴンは慎重に隠し扉を閉めた。それから、ずっと手に持っていたランタンの火を消すと、開口一番こう言った。「アンジェリークに、ミルクを飲ませないと」 フェリシアーヌは黙ってうなずいた。 スティーヴンは、呼び鈴を鳴らした。 少しして、ドアをノックする音がした。「どうぞ」スティーヴンが声をかけた。 部屋に入ってきた執事のシュミットは、彼らの顔ぶれを見て驚いた。「赤ん坊にミルクを飲ま...全文を読む


第1638回

第90章

 「ジェリー・・・ぼくの兄さん・・・アレックと一緒にフランスに行かないか?」「兄さん、だって?」ジェルマンは目を丸くして言った。「ぼくたちは、ずっと兄弟のように暮らしてきた。だけど、これからは、ぼくの本当の兄さんになってくれ、ジェリー。そして、ずっと一緒に暮らそうよ、ね?」 ジェルマンは、涙をためた目でスタニスラスを見つめた。しかし、彼は即答しなかった。 あの火事の日、スタニスラスとジェルマンは、階...全文を読む


第1639回

第90章

  スティーヴンは、屋敷の人間すべてに、今回の火事のことで箝口令を敷いていた。 今後のことを不安がっていた使用人たちには、この屋敷に残りたい人は今まで通り給料を出すので、残ってもかまわないと告げた。自分と子どもたちはこの地を去り、フランスへ戻るので、この屋敷を管理していく人間が必要だったからだ。希望するものがいれば、フランスへ行く自分や、ポーランドに帰るライモンドと同行してもかまわない。ただし、たく...全文を読む


第1640回

第90章

  アンブロワーズ=ダルベールが泣いている。スティーヴンは自分も泣きそうになり、鼻をすすった。『なんてことだ!』電話の向こうで涙声がした。『ほんとに、シャルロットさまが亡くなられたんだな?』 電話は、ドクトゥール=ダルベールの声に動揺する人たちの声を拾った。「お産のせいじゃないんです。かの女は、殺されたんです」スティーヴンが鼻をすすりながら言った。「急いでローザンヌに来てください。話は、こちらで詳し...全文を読む


第1641回

第90章

  スティーヴンは、子どもたちが自分についてきてくれると聞いた後、荷造りを開始した。子どもたちの荷物のほか、屋敷に残された彼らの家族の遺品のいくつかを持ち出そうと考えたからだ。その作業をしながら、彼は自分自身で荷札をつけた。シャルロットと3人の子どもたちの道具を、<遺品>としてポーランド宛に荷造りした。もちろん、宛先は<ライモンド=コヴァルスキーさま>であったが。 その作業中、スティーヴンはロジェが...全文を読む


第1642回

第90章

 「ぼくは、サント=ヴェロニック校1年7組の生徒だったんです。覚えてはいらっしゃらないでしょうが」 それでも、ノルベールはサルヴァドールと握手した。そういえば、ミュラーユリュードに訪問したとき、1年7組の生徒何人かと会っている。その中の誰かだろう。 サルヴァドールは頭をかいた。「覚えていなくても当然です。あれから10年以上たっているんですからね。恥ずかしいことですが、ぼくも、お名前しか覚えていなかっ...全文を読む


第1643回

第90章

  ところが、小さな赤ん坊は、コルネリウスが手を離すなり大泣きし始めた。 クラリスは赤ん坊をあやしながらつぶやいた。『まあ、この子ったらこんなに小さいのに、フランショーム家の人間がわかるんだわ』そして、かの女たちは去って行った。 コルネリウスはあのときと同じように赤ん坊の手を握った。赤ん坊はうっとりとしたようにコルネリウスを見つめた。 コルネリウスは振り返り、スティーヴンに声をかけた。「ティーヴィ、...全文を読む


第1644回

第90章

  コルネリウスはうなだれた。彼は膝の上にのせた両手を固く握りしめていた。その手の中で、封筒を包んでいたシャルロットのスカーフがくちゃくちゃになっていた。「・・・スカーフが・・・」サルヴァドールは小さな声で言った。「それ、プティタンジュのものじゃないのか?」 ノルベールはうなずいた。彼は、そのスカーフに見覚えがあった。以前、サヴェルネ家にいた頃、かの女が身につけていたスカーフの一つだ。『似合っている...全文を読む


第1645回

第90章

 『かつて、伯父のロベールが言った。人生には、重大なターニングポイントがあると・・・。彼は、クラリス=ド=ヴェルモンという女性を愛した。だが、彼はかの女の前から二度も逃げ出した。最初にかの女の前から去ったあと、かの女は絶望のあまり別の男性に身を任せた。彼はそれを知らずに、もう一度やり直そうとしてかの女の前に出た。その彼に、かの女はその男の子どもを身ごもっていると告げた。そして、彼の前でドアを閉めた。...全文を読む


第1646回

第90章

  火事の犠牲者の追悼式は合同で行われた。その後、遺体はそれぞれの遺族に引き取られた。スティーヴンは、ド=ルージュヴィル家の墓地に、シャルロットだけではなく、遺体が見つからなかった小さな3人の子どもたち、ベニエ家の犠牲者3人の墓を建てた。もちろん、墓石には本名の<ド=ヴェニエ>と刻んだ。 スティーヴンと子どもたちが墓地から去ったあと、リオネル=デルカッセが墓地に現れた。彼は、3人の男性を連れていた。...全文を読む


第1647回

第90章

  シャルロットがいつまでも青年の後ろ姿を見つめていたので、ライモンドは訊ねた。「・・・知り合い?」 シャルロットはこっくりとうなずいた。 ライモンドは小さくため息をついた。「わたしも、どこかで彼に会ったことがあるような気がする。初対面のはずなのだが・・・」 少し考えてから、彼はこう訊ねた。「ミューと同じ赤毛。あの人は、フランショーム一族だよね?」「ええ」シャルロットは答えた。「彼は、ミューにはあま...全文を読む


第1648回

第90章

  コルネリウスは一瞬ためらってからその手を取った。「・・・コルネリウス=ド=ヴェルクルーズです」 微妙な間に気づいたライモンドが言った。「ヴィトールドを知っているんですね? 驚いたでしょう、彼にそっくりで?」 コルネリウスはうなずいた。 その表情を見ると、ライモンドの顔からも笑みが消えた。 二人の男性は、無表情のままお互いを見ていた。 ライモンドは、コルネリウスがシャルロットのフィアンセだったとい...全文を読む


第1649回

第90章

  アンブロワーズ=ダルベールは、二人連れとわかれたあと、歩きながら苦笑していた。「・・・なんてことだ。今の自分は、誰を見てもシャルロットさまに見えるようだ」ダルベールはそうつぶやいた。たった今すれ違った黒服のほっそりとした背の低い女性の姿は、昔のシャルロットを思わせた。黒いベールの下からは白い包帯がちらっと見えた。きっとかの女もあの火事の犠牲者の一人だったんだ。あの車いすの男性同様に。だが、あの二...全文を読む

 更新履歴カレンダー