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年代記 ~ブログ小説~ 

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【  2014年03月  】 更新履歴 

  03.01.  【 第93章 】  第1701回   さわりを読む▼
  03.03.  【 第93章 】  第1702回   さわりを読む▼
  03.04.  【 第93章 】  第1703回   さわりを読む▼
  03.05.  【 第93章 】  第1704回   さわりを読む▼
  03.06.  【 第93章 】  第1705回   さわりを読む▼
  03.07.  【 第93章 】  第1706回   さわりを読む▼
  03.08.  【 第93章 】  第1707回   さわりを読む▼
  03.09.  【 備忘記録的なもの 】  啓蟄?   さわりを読む▼
  03.10.  【 第93章 】  第1708回   さわりを読む▼
  03.11.  【 第93章 】  第1709回   さわりを読む▼
  03.12.  【 第93章 】  第1710回   さわりを読む▼
  03.13.  【 第93章 】  第1711回   さわりを読む▼
  03.14.  【 第93章 】  第1712回   さわりを読む▼
  03.15.  【 第93章 】  第1713回   さわりを読む▼
  03.17.  【 第93章 】  第1714回   さわりを読む▼
  03.18.  【 第94章 】  第1715回   さわりを読む▼
  03.19.  【 第94章 】  第1716回   さわりを読む▼
  03.20.  【 第94章 】  第1717回   さわりを読む▼
  03.21.  【 第94章 】  第1718回   さわりを読む▼
  03.22.  【 第94章 】  第1719回   さわりを読む▼
  03.24.  【 第94章 】  第1720回   さわりを読む▼
  03.25.  【 第94章 】  第1721回   さわりを読む▼
  03.26.  【 第94章 】  第1722回   さわりを読む▼
  03.27.  【 第94章 】  第1723回   さわりを読む▼
  03.28.  【 第94章 】  第1724回   さわりを読む▼
  03.29.  【 第94章 】  第1725回   さわりを読む▼
  03.31.  【 第94章 】  第1726回   さわりを読む▼


第1701回

第93章

  シャルロットはためらいがちにケースを開いた。それを見たブレジンスキーは立ち上がってピアノの前に移動しようとした。「待って。わたしがやろう」いつの間にかその場にいたボレスワフスキーがブレジンスキーを遮った。「少なくても、わたしはプロのピアニストだ。有料で演奏するだけが演奏会ではないと証明してみせる」 ユーリアは頷いた。シャルロットとボレスワフスキーが一緒に演奏するのを見たことはまだ一度もないが、こ...全文を読む


第1702回

第93章

  しかし、口を開いたのはシャルロットだった。「これは、わたしの大切なお友達からの<遺言状>です」 その言葉を聞いた二人は、同時にシャルロットの方を向いた。 ブレジンスキーは、シャルロットが女王然としてそこに立っているのを見て驚いた。驚いているのはブレジンスキーだけではなかった。そのような態度を取ることを<許されて>いるのは、この場ではユーリア=レーベンシュタイノヴァだけのはずだった。常に輝いている...全文を読む


第1703回

第93章

  ボレスワフスキーは、シャルロットが近づくと、ピアノのそばから少し離れた所にさっと移動した。逆に、ブレジンスキーはケースを片付けたシャルロットに近づき、かの女の手を優しく握りしめた。二人のことを知らない人間には、二人が恋人同士のように見えるような動作だった。ブレジンスキーは、敵意をむき出しにしたまま彼をにらみつけた。「自己紹介もなく、失礼じゃないですか。それに、ここはポーランドです。皆がわかる言語...全文を読む


第1704回

第93章

 「演奏する当人にとっては、ジンクスでは済まされないことです」シャルロットはまじめに言った。「かりに、そのジンクスが本当だったとしよう」フリーデマンが言った。「そうしたら、帰国の途中で事故死する運命にあるのは、今度はわたしだという訳ですかね? ならば、なおさら、わたしはもう一度ここに来ることを躊躇しますね。演奏会を行うつもりなら、ベルリンへ来る。来ないというのなら、この話は白紙に戻す。それ以外の選択...全文を読む


第1705回

第93章

  そもそも、この二人の間にはいったい何があったのだろうか。一番ありそうなのは、<女たらし>との評判を持つフリーデマンがシャルロットを誘惑しようとして失敗したという可能性だ。何人もの女性と関係を持ったという噂もあるフリーデマンがそのことを忘れているとしても、誘惑されかけた女性の方は決して忘れない。だから、かの女は彼を見たとたん用心し、控えめに振る舞ったのだ。彼は、かの女が才能あふれるヴァイオリニスト...全文を読む


第1706回

第93章

 「その少女---ブローニャに才能があったから?」ボレスワフスキーが訊ねた。「違う。フランスへ行った方が、かの女の身辺に害が及ばないだろうと思ったからだ」カントロフスキーが口をはさんだ。 マスターは黙って頷いた。「きみはポーランドで育ったわけではないので、<クラコヴィアク>のことに詳しくないのはわかるが、さっきマスターが『生きていれば』と言ったのは、文字通りの意味だった。かの女の置かれていた環境は、普...全文を読む


第1707回

第93章

  ブレジンスキーは、楽譜が入った袋をもてあそびながら続けた。「彼をよく知らなかった頃、わたしは彼が二つの仮面を持った男だと思っていた。彼が作る作品と、普段の彼の様子にギャップがありすぎたからだ。どっちが本当の彼なのだろうか・・・わたしは彼の隣で観察し続けた。結論が出たのは、彼が亡くなるわずか数ヶ月前だった。その結論とは、どちらも本当の彼ではないというものだった。彼は二つの仮面を上手に使い分けていて...全文を読む


啓蟄?

備忘記録的なもの

 最近、日記を書かなくなりました。いつだったか、<月刊cambrouse>などと書いたとおり、こちらの更新が滞っております。まあ、広告が出る前に何か書かなくちゃ・・・状態で、3月5日も通り過ぎてしまいました。小説ブログも、もう5年になるんですね。長いような、短いような・・・なんて言っている暇があったら、そちらまで停滞しないよう、仕事から帰ってきた後、少しでも書き足さなくては。なんて言っている間に、またブログ...全文を読む


第1708回

第93章

  その翌日の午後、ユーリア=レーベンシュタイノヴァはを訪ねた。かの女は昨日の出来事について、ライモンドを交えて話をしようと思ったからだった。 ユーリアが概略を説明し終えたとき、執事のユリアンスキーが客間に現れ、来客を告げた。 3人は身構えるようにユリアンスキーの方を見た。こんなに早くフリーデマンがここを突き止めるとは思わなかったからだ。「・・・作曲家のブレジンスキーさまとおっしゃる若い男性ですが、...全文を読む


第1709回

第93章

  フリーデマンはもう一度にやりとして、近くにあったいすに座った。 シャルロットは、彼に言った。「レディが同席する場で、女性よりも先に座るというのは、礼儀にかなっておりませんわ。たとえ、あなたが公爵さまでも、この家の女主人に一声かけるのが礼儀でしょう?」「あちらの奥さまが、座るように勧めてくださいましたので」フリーデマンはそう言いながら立ち上がった。「お国では公爵さまかもしれませんが、あなたの名刺に...全文を読む


第1710回

第93章

 「ただの人間」フリーデマンはゆっくりと口を開いた。「あなたがただの人間なものですか」 ブレジンスキーは頷いた。「興味がないかもしれませんが、わたしの生い立ちをお話ししましょう。少なくても、わたしが道楽で作曲をしているわけではないことだけでもご理解いただきたい」フリーデマンが話し出した。「はじまりは、単純な物語です。昔、ラージヴィルという伯爵がいました。彼は、小さい頃からずっと幼なじみのように育った...全文を読む


第1711回

第93章

 「そんなわたしにとって、音楽は唯一の友でした。ピアノに向かって、自分の思いをはき出していくのが楽しかった。わたしの家庭教師は、祖父母に進言してくれました。将来伯爵家を継ぐ人間だからと言って、これだけの才能をそのまま放置するのはもったいない。可能な限り才能を伸ばしてみたらどうだろう、と。教師を選ぶに当たって、祖父母は、考えられる最高の人選をしました。音楽院でピアノを教えたこともあり、才能のある生徒を...全文を読む


第1712回

第93章

  フリーデマンは、目の前にいる女性が、自分の初恋の相手<クラコヴィアクのブローニャ>本人だということを知らない。それでも彼は、目の前にいるコヴァルスキー夫妻がなぜか気になって仕方がなかった。「あなたは、かの女にその思いを伝えなかったんですか?」ユーリアがフリーデマンに訊ねた。「・・・まさか」フリーデマンは急に我に返った。そうだ、今は話を続けなければならないのだ。「もちろん、かの女には告白しましたと...全文を読む


第1713回

第93章

 「かりにそうだとしても、なぜあなたがそこまで必死になるのです?」「かの女は、わたしの親友が愛したひとだったからです。彼が自分の命よりも大切だと思っていた女性だからです」 ライモンドはいぶかしげにブレジンスキーを見た。「・・・あなたと彼は・・・その・・・ではなく・・・?」 ライモンドのその表情を見て、ブレジンスキーは目を大きく見開いた。一方、彼が何を考えたかわかったユーリアは笑いをかみ殺した。 ブレ...全文を読む


第1714回

第93章

 「言ったじゃないか。かの女は、わたしにとってはあこがれの人だ、と。インスピレーションの源だと。わたしには、それで十分。生身の女性と恋愛をするつもりはないんだ」ブレジンスキーは言った。「だからこそ、コーステックを応援したんだ。恋愛というのは、過程を楽しむものであって、到達すればいいというものじゃない」 ユーリアは小さくため息をついた。「その点、クリーシャという女性は、いろんな意味で謎めいていてすばら...全文を読む


第1715回

第94章

  シャルロットは、バルコニーに出て東の空を眺めていた。どうしてこうなってしまったのか、未だに信じられない。 下の方で子どもたちが楽しそうに遊ぶ声が聞こえた。中庭で、4人の男の子たちが遊んでいる。皆同じくらいの年齢に見えた。《スターシェック、ジェリー・・・》シャルロットは子どもたちの姿を目で追った。そうだ、あの子たちは、もうあのくらい大きくなっただろう。あの子たちも今年で9歳。地元の小学校に通いなが...全文を読む


第1716回

第94章

  シャルロットはもう一度首を傾けた。『話してみて』と表情で促してみたのである。「この部屋は、この屋敷の最高の客間です。ですが、この部屋を使われたお客様のなかで、あなたのようなお方はいなかった・・・と思いまして・・・」 シャルロットは「今までのお客様は、わたしとは違い、最高の客間にふさわしいような立派な方々だった、という意味ですか?」と訊ねた。 ヴロンスキーの顔が少し赤らんだ。「・・・いいえ。その反...全文を読む


第1717回

第94章

  シャルロットは下を向いた。そうだ、昔、この人に会ったことがある。フリーデリックの乳兄弟だったヤヌシ・・・あの少年が今の彼だ。彼は自分を覚えていないようだ。ただ、彼も<ブローニャ>が死んだと思っているはずだ。仮にそうでなくても、あのときの少女と今の自分ではあまりにも違いすぎて、彼にはわからないだろう。「シャルロットさま---というのが、<ブローニャ>のほんとうのお名前でした---がほかの男性と結婚された...全文を読む


第1718回

第94章

  ノックの音がした。シャルロットが声をかけると、本物の執事が顔を出した。確か、バウアーと呼ばれていた中年の男性だ。「奥さま、音楽室の準備が整いました。ご案内いたします」執事はベルリン風のなまりのドイツ語で言った。「ありがとうございます、バウアーさん」シャルロットはそう言って立ち上がった。 シャルロットがヴァイオリンケースを取ろうとすると、執事は言った。「音楽室は、厚い壁に囲まれていますので、思い切...全文を読む


第1719回

第94章

 「・・・いいえ」シャルロットは小さな声で答えた。 フリーデマンはもう一度ため息をついた。「わたしもです。ですが、彼はその誓いを守り抜きました。彼の死後、彼の息子さんがかの女の前で言いました。『父は、決して鼻歌さえ歌うことはありませんでした』と・・・。彼は、自分のすべてをこのチェロの中に封じ込めたまま亡くなったのです。残された女性は、生涯このチェロを大事にしました。その女性こそ、わたしの師、フランソ...全文を読む


第1720回

第94章

 「・・・困ったひとね」シャルロットはそう言うと、チェロの方を見た。「そのチェロは、あなたにとって、単なる誘惑の道具に過ぎないんでしょうか? だとしたら、あなたにはもったいないわ」 フリーデマンはチェロを持ってもう一度いすに座った。「ご存じかな、わたしは、かつてステージでチェロを弾いたことがある。このチェロの持ち主にふさわしい技量もある」 そういうと、彼はいきなり演奏し始めた。その曲には聞き覚えがあ...全文を読む


第1721回

第94章

  どのくらいぼんやりしていただろう。気がつくと、部屋にはシャルロット一人だった。 かの女はゆっくりと立ち上がった。とても練習をする気にはなれなかった。かの女はピアノのまえに座ったが、集中できそうもなかった。かの女は譜面台に開いたままだった楽譜をぼんやりと眺めた。ベートーヴェンの第30番のソナタだった。たしか、祖父がフランソワーズと初めて会ったとき、かの女が演奏していたという曲だ。そして、フランソワ...全文を読む


第1722回

第94章

  だが、フリーデマンが自分に求めているものは全く違うものだ。彼は自分を愛してさえいない。かの女に対して、これまで知っている女性たちにしたように振る舞っただけだ。彼は経験豊富だから、自分が楽しむために女性を利用しただけだ。女性を喜ばせれば、それだけ見返りが大きいと知っているからそう振る舞っただけだ。 自分は、彼にとって初恋の人の代替品に過ぎない。彼が欲しいのは自分の愛ではないのだ。 でも、もしわたし...全文を読む


第1723回

第94章

  シャルロットは、少年の扱いが難しいと思った。 しかし、ジークフリートの方は恥ずかしがっているだけだった。正式に4人の少年たちと引き合わされたとき、ジークフリート以外の3人は明らかにかの女に無関心だった。そのため、シャルロットの注意はジークフリート一人に向けられていったのである。 その翌日から、フリーデマンの容赦ないレッスンが始まった。シャルロットの恩師たち---ヴィエジェイスキーもサヴェルネも厳し...全文を読む


第1724回

第94章

  かの女と一緒にいるのは、ほとんど拷問だ。あれだけ男性心理に疎くなければ、自分がどんな気持ちでかの女のそばにいるかわかりそうなものだ。とびかかってソファに押し倒さないようにするために、どんなに理性を保とうとしているか、かの女は全く気づいていない。ヴァイオリンを弾くかの女の姿を見ながら、全身でかの女を求めているなんて考えてもいないだろう。わざとゆったりとした服を着て隠しているが、もし彼の下半身が臨戦...全文を読む


第1725回

第94章

  数日後。午後の早い時間に、ドアの上に取り付けられたベルがけたたましく鳴った。 二人はびくっとしてベルを見た。そして、そろって壁に掛かっている時計を見た。どう考えても夕食の時間には早い。 フリーデマンは、執事が食事の時間を厳密に守らせる習慣についてだけはあきらめていた。だが、練習室にいるときには、よほどのことがない限り邪魔をしないようにと言い渡してあった。彼の練習室の使用法は、通常の方法だけではな...全文を読む


第1726回

第94章

 「ええ、まるで小さい頃からポーランド語を話している人のようです」シャルロットは彼にドイツ語で答えた。 マティスはにっこり笑った。「あなたも・・・もしかすると、フランス語の方が得意なのでは?」 彼にフランス語で話しかけられ、シャルロットもほほえみを浮かべた。そして、うっかりとフランス語で答えてしまった。「そうですね、わたしはフランス語圏で生まれたので、フランス語が一番得意です」 マティスの表情がもう...全文を読む

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