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年代記 ~ブログ小説~ 

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「年代記  第三部」
第55章

第979回

 シャルロットは、サヴェルネ夫妻に、今の会話の要点を説明した。自分は、作曲家コラン=ブルームがあこがれていたという<そよかぜ>の養女だったことがあること。かの女が引き取ったもう一人の娘は、実は男の子だったこと。その男性は、現在はヘラクレスのような大男で、昔女性として育てられた面影が全く残っていないこと。彼の兄ロジェ=ド=ヴェルクルーズは小説家で、<ムーンライト=ソナタ>という小説を書いたこと。そして、その小説のあらすじ。
 話が終わると、サヴェルネ夫妻も理解の色を見せた。
「男の子が、女の子として育てられるなんてね」サヴェルネは考えられない、と言いたげな口調で言った。「で、彼は、将来有望な作曲家なんだね?」
「ええ、なんといっても、クラリス=ド=ヴェルモンに手ほどきを受けたくらいですから」シャルロットが答えた。
「クラリス=ド=ヴェルモンか」サヴェルネが懐かしそうに言った。「・・・そういえば、かの女と初めて会ったのは、かの女がきみくらいの年の頃だった」
 シャルロットはびっくりしてサヴェルネを見つめた。
「あれから、いろいろあったがね・・・」サヴェルネが考え込むように言った。それから、彼は結論だけを述べた。「・・・もしかすると、フランショーム一族の男性と結婚するように定められたザレスキー一族の女の子とは、きみのことか?」
 シャルロットはうなずいた。
「そうか。で、その相手は、今言った二人のどちらかか?」
「いいえ」シャルロットが答えた。「彼らには、もう一人兄弟がいます。その男性が、わたしのフィアンセです」
「もちろん、音楽家だな?」
 シャルロットは首を横に振った。
「じゃ、小説家なのか?」サヴェルネはびっくりしたように言った。
 シャルロットは黙った。そういえば、コルネリウスが何になりたいかと訊ねたことはなかった。子どもの頃は、父親のような研究者になると言っていたが、再会してからその話題になったことはない。
 シャルロットの返事がないので、サヴェルネは言った。「きみの相手としては、作曲家のヘラクレスくんの方がお似合いなんじゃないのかな?」
 シャルロットは首を横に振った。「あなたは、自分の妹と結婚したいと思いますか?」
 サヴェルネはその一言で納得した。「・・・なるほど。彼は、あくまでも兄なんだね」
 ノルベールは口をはさんだ。「でも、彼はきみを愛している」
 シャルロットはびっくりしてノルベールを見つめた。その顔に赤みが差した。
「・・・どうやら、きみもそれを知っているようだね?」ノルベールが言った。
 シャルロットはむっとした顔をした。「彼は、父親に似たのね、きっと」
 ノルベールは首をかしげた。「彼は、浮気性の父親には似ていないと断言していたよ」
「いいえ、そっくりよ」シャルロットが言った。「外見ではなく、性格が」
「じゃ、彼は嘘つきだと言うことになる」ノルベールが言った。「それでは、きみのフィアンセが父親に似ていないと言った彼の言葉は、嘘だと言うことか?」
「コルネリウスは、父親にそっくりだわ」シャルロットが言った。「性格ではなく、外見が・・・」
 シャルロットはそう言うと、なぜか泣きたくなってきた。
「彼は、きみを裏切るような男には見えない」ノルベールが言った。
 シャルロットは彼を見つめた。「あなた、コルネリウスを知っているの?」
「会ったことがある、一度だけ」ノルベールが答えた。「ベルジュール門のところで」
「ミュラーユリュードで?」シャルロットはさらに驚いた。「・・・あなた、わたしにたくさん隠し事をしているのね」
 ノルベールは笑い出した。「隠していたんじゃない。話す暇がなかっただけだ。いろいろあったからね」
「そういえば、あなたのミュラーユリュード滞在の話をほとんど聞いていなかったわね」シャルロットが言った。「今日は、あなたが知っていることを全部話してもらうわ」
 ノルベールは、目の前にあった皿から、残り一枚になっていたクッキーをつまんだ。「このおいしいクッキーが残っている間だけだよ」
 それを聞くと、サヴェルネ夫人はにっこり笑って立ちあがった。「あら、よかったわ。クッキーは、まだたくさんあるのよ。取ってきましょう」
「・・・」
 ノルベールは、目を天にあげた。彼は、当分この家から帰れなさそうだと悟った。
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