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年代記 ~ブログ小説~ 

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「年代記  第三部」
第95章

第1744回

「茶番劇だわ。当のかの女が、どちらを愛しているのかは一目瞭然なのに」ユーリアがつぶやいた。
 ルドヴィークはにやりとした。「つまり、きみはタデック派なんだな?」
 ユーリアはやや大きな声で言った。「そうではなく、事実を述べただけよ、かの女は彼を愛していると」
 ルドヴィークは眉を寄せた。
「たいていの場合、男性が積極的な方が恋愛はうまくいくものだ。われわれがいい例だ」ルドヴィークがユーリアに言った。「きみは強い女性だとわたしは思う。そんなきみでさえ、わたしを手に入れようと自分からは動かなかった。きみがわたしを愛していると確信するのに、どれだけの時間が必要だっただろう? だが、わたしは諦めなかった。きみ以外の女性が欲しくなかったからだ」
 ユーリアはため息をついた。「ばかばかしい。わたしがどれだけ長い時間、あなたのことを思ってため息をついていたかなんて、全然気づかなかったくせに」
「確かに、気づかなかった・・・」ルドヴィークはそれを認めた。「だが、気づいてからは速攻だった。あっという間に婚約に持ち込み、駆け落ち同然で結婚した。さすがのザレスキー氏も呆然とするくらいの早業だったと思う」
 ユーリアはにやりとした。だが、何も言い返さなかった。
 ルドヴィークはライモンドの方を向いた。
「わたしは卑怯な手を一切使わなかった。きみは信じないだろうけど、結婚するまで、わたしたちは清い関係だった。わたしはかの女の手と額以外の場所にキスすることさえなかった。それでも、わたしたちはお互いに愛し合っていたことがわかっていた。お互いの相性もぴったりだとわかっていた。この人と一緒になって、自分たちは完璧な存在になる---魂が惹かれ合う、というのだろうか・・・結婚というのは、そういうものなんじゃないかな」
「あなたは、本当にロマンティストね」ユーリアが言った。
「だけど、タデックからはそのエネルギーが感じられないんだよ」ルドヴィークが言った。「彼は確かにクリーシャが好きだ、とわたしも思う。ただ、二人が運命が結びつけたカップルか、と聞かれたら、どうしてもそう思えないんだ・・・」
「運命のカップル、なんてそうたくさんは存在しないものだろう?」ライモンドが言った。「世の中には掃いて捨てるほどたくさんの夫婦がいるが、その何割が愛し合った末に結婚したのだろう?」
 ルドヴィークはふっと笑った。「そうだな、恋愛の末に結ばれた夫婦は、わたしが思っているほど多くないだろうね。ユーリの両親も、親同士が決めた縁組みだったそうだし、ヴィテックの両親もそうだったと聞いている」
 ライモンドは黙って頷いた。
「しかも、ヴィテックの両親の場合はさらに状況が複雑で、彼の母親とそのいとこ殿は相思相愛の仲だった。二人と一緒に育ったヴィテックの父親も、かの女を愛していたが、かの女の方は彼には見向きもしなかった。ところが、かの女の愛するいとこ殿が事故で亡くなった。かの女の父親は、傷心のかの女に別の男を近づけた。ずっとかの女を愛していた男を」ルドヴィークはため息をついた。「彼らの関係は最悪なものだったとクリモヴィッチ氏は話していた。彼の方はかの女に夢中で、かの女の方は亡くなった男性を忘れられなかった。二人の仲は、かの女から見ると合法的な強姦状態だったはずだ。そこまで極端な夫婦も少ないとは思うが」
 ユーリアは目を丸くして夫を見た。
「彼らの一人息子は、結婚に夢を持っていなかった。さらに言うと、彼はクリモヴィッチ氏のお嬢さんに全く興味を示していなかった。クリモヴィッチ氏は、よく言っていたものだ。ヴィトールドはすばらしい男だ。ただ、正直に言えば、大切な一人娘を、心から大切に思い愛してくれないような男とは結婚させたくない。だが、コヴァルスキー一族の掟に逆らうことは難しい・・・と」
「あなたは、父の大切な息子だったわ」ユーリアが言った。「両親は、あなたたちを大切にしていたわ。彼らに優しくして欲しい、と何度も言ったわ。わたしは、あなたたち全員が大嫌いだった。両親が、あなたを養子に迎えたいと望んでいたことを知ったとき、わたしはあなたを特に嫌いになろうとした・・・」
「だが、きみの両親が本当に望んでいたことは、わたしを養子にすることではなく、きみの配偶者にしたいということだった」ルドヴィークが言った。「なによりも、きみがそれを望んでいるからだ、と彼らは説明した。わたしが一歩踏み出したとき、クリモヴィッチ夫妻は心から喜んでくれた。かりにヴィトールドがきみを心から望んだとしても、きみのほうがそうでなかったら、ヴィトールドの結婚は、彼の両親の結婚と同じになってしまうと、彼らは心配していたんだ」
 ユーリアは小さな声で言った。「つまり、フリーデマン氏と結婚することは、クリーシャにとって地獄だ、と?」
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