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年代記 ~ブログ小説~ 

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「年代記  第三部」
第95章

第1745回

 ルドヴィークは頷いた。「クリーシャが、彼を愛していなければね」
「でも、もし愛していたら?」ユーリアは食い下がった。「彼らは、幼なじみなのよ。もし、かの女が彼の気持ちに応えることができれば・・・」
 ライモンドは口をはさんだ。「ユーリ、きみはタデックの味方だったんじゃなかったのか?」
 ユーリアは赤くなった。
「それに、幼なじみ、といえば、だ」ライモンドは続けた。「もし、ヴィテックが生きていたとして、きみの前に現れて結婚を申し込んだら---『ほんとうは昔からきみが好きだった。きみが好きだったから、いじめてみたかったんだ。きみをずっと愛していた。結婚して欲しい』と告白したら、きみの心は揺れ動くと思うか?」
「思わないわ」ユーリアは即答した。
「それは、どういう理由で?」ライモンドはたたみかけた。
「ルーディを愛しているから---たとえ世界中の富と引き替えにしても、彼以外の男性と結婚することなんて考えられないから・・・」
 きっぱりと言い放ったその言葉を聞いて、ルドヴィークはかの女を抱きしめた。ルドヴィークがもう一度かの女にキスしようとしたので、ライモンドは咳払いした。
「愚問だったな」ライモンドはにやりとした。そして、彼はまじめな顔をした。「クリーシャも、同じ答えを返すのではないだろうか。自分には、幼い頃に心に決めた男性がいる。二度とほかの男性とは結婚したくありません、と」
 ライモンドはもう一度にやっと笑った。「・・・そうでなかったら、かの女が、3年越しのプロポーズをしている美男子の誘惑をはねつけ続けられるとは思えなくてね」
 ルドヴィークの手がおりた。ユーリアはすかさず夫から距離を置いた。
「クリーシャは・・・本当は、ヴィテックと結婚したくなかった、とか・・・?」ユーリアは呆然とした。「まさか」
「どうして、『まさか』なんだ?」ライモンドが訊ねた。
 ユーリアの脳裏に、かつてザレスキー氏が見せてくれた手紙が浮かんだ。シャルロットが、ヴィトールドの祖父に宛てた手紙だ。ヴィトールドは自分の気持ちと義務の間で板挟みになって苦しんでいる。彼の重荷を取り除いてやって欲しい。自分は自分なりに彼を愛し、支えてきた。だが、苦しんでいる彼を支え続けるのは限界に来ている。彼がどうしてもザレスキー家の当主にならなければならない運命ならば、自分は彼の妻として彼を支えていきたい・・・。どうか、わたしたち二人を祝福して欲しい。わたしたちには、何よりもあなたの許しと祝福が必要なのです・・・。
 ユーリアは、その手紙が、かの女とヴィトールドの結婚を認めて欲しいという意図で書かれたものだと思っていた。だから、ユーリアは、自分はすでに結婚しているので、自分に遠慮する必要はない。自分はかの女を祝福している。いずれ会うときは、新しいいとこと呼ばせて欲しい・・・と手紙に書き記したのである。
「かの女の手紙を見せてもらったから・・・」ユーリアは力なく言った。「わたしは、かの女がてっきりヴィテックと結婚したがっているものだとばかり・・・」
 二人の男性は驚いてユーリアを見つめた。
「手紙? 見せてもらった?」ライモンドが訊ねた。
「クリーシャは、アファナーシイおじさまに手紙を書いたの。おじさまは、わたしにその手紙を見せ、『わたしの愛する女性たちは、どうしていつも間違った相手に恋をしてしまうんだ?』と天を仰いだのよ」ユーリアが言った。「わたしは---たぶんおじさまも、あの手紙で、クリーシャがヴィテックと結婚することを認めて欲しい、と書いてきたのだと思ったの。でも、もし、かの女にそういう男性がいたのだとすれば、あのとき、かの女にはそういう意図はなかったのかもしれない。単に、生きているうちに二人に仲直りして欲しい・・・それ以上の意図はなかったのかもしれない。でも、それを読んだおじさまは、ショックのあまり発作まで起こしてしまった・・・」
「・・・ああ、あのとき・・・?」ライモンドはうなるように言った。彼も、手紙を握りしめて倒れているアファナーシイのことを覚えていた。だが、その手紙がシャルロットからのものだったとは知らなかった。
 ライモンドは、あのときのアファナーシイと同じように天を仰いだ。
「その男性が、本当にかの女を幸せにすると思えればよかったんだ・・・。あんな男に、かの女を幸せになんてできるものか」
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