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年代記 ~ブログ小説~ 

「日記」
備忘記録的なもの

なかがき?

主はカインに言われた。
「おまえの弟アベルは、どこにいるのか。」
カインは答えた。
「知りません。わたしは弟の番人でしょうか。」
(創世記第4章9節:引用は「聖書 新共同訳(日本聖書協会)」より)



いきなり何だ?と思われるでしょうが、聖書です。
あの分厚い書物の中でも、冒頭に近い部分の話(手元にあるものでも旧約聖書の5ページ目、天地創造~失楽園と続くエピソードの直後に出てくる、アダムとエヴァの長男カインと次男アベルの話)なので、聖書に詳しくない人でも一度は聞いたことがある?話だと思います。
二人の兄弟は、神の前に捧げ物を持って行きますが、神は弟アベルの捧げ物に目をとめられ、兄カインの捧げ物には目をとめられなかった。そのあと、カインはアベルを殺してしまいます。
上記の引用は、その直後、神がカインに問う場面です。


ところで、手元にあるフランス語版の聖書によると、このカインの答え(知りません、わたしは弟の番人でしょうか)は、こうなっています。

《Je ne sais pas. Suis-je le gardien de mon frère?》



唐突な話と思われるでしょうが、le gardien de mon frère(弟の番人)というこの言葉を読んだとき、のちに「年代記」と呼ばれるようになったこの小説の一つの核が生まれました。

兄と弟の対立。
姉と妹の対立。

そのきっかけは、神への捧げ物ではなく、一人の男性(一人の女性)で、小説の前半では姉が妹を殺す(実際に死んだのは、狙った方ではないもうひとりの妹だったのですが)話、中間では兄が弟を出し抜こうとする話になります。後半には、兄弟が一人の女性を巡る争いの話(複数)が出てきますが、きっかけがコレ(神さま、ほんとうにごめんなさい)、とすると、まるでジェームズ=ジョイスの「フィネガンズ=ウェイク」ですね。あんなにすごい話にはなりませんでしたけど。
(そういえば、ジェームズ=ジョイスの弟スタニスロースが書いた自叙伝(兄の伝記?)のタイトルも"Le Gardien de mon frère(兄の番人)"でしたっけね。いや、タイトルは英語(My Brother's Keeper)だったかしら? どうも、肝心なところで記憶が曖昧です。)



「さようなら、コルネリウス。もう、きみを弟だとは思わない。わたしは、きみの番人(ガルディアン)じゃないんだから、もうきみに遠慮はしない。」(年代記 第1327回より)




この罰当たりなせりふ(=上記の聖句のもじり)以降、第三部の後半、ならびに小説の後半の展開が変わっていきます。


*この小説内で、これまでに何度となく登場する"ガルディアン"という語に、この回までわざと"番人"という訳語を当てなかったことに、気づいていらっしゃいましたか?
(ただし、"ガルディアン"という言葉と直接結ばずに、この聖句を意識して"番人"という言葉を使った箇所はほかにもありました。たとえば第694回など。)


この言葉を核にして小説の枠組みを作る上で、その前のストーリー(失楽園)がこの小説のとっかかりになったのはいうまでもありません。こうして、レオンとアグニェシカ(もちろん、この名前は獅子と羊が語源です)が、蛇・・・ではなくアレクサンデル=コヴァルスキーによって仲を引き裂かれる、というこの小説のお膳立てができあがったわけです。ですから、もっと罰当たりなことを言えば、この小説のインスピレーションの一つ(もちろん、ひとつ、です)は、《創世記》だったわけです。
(もうひとつは、アレクサンドル=デュマの《黒いチューリップ》だということは、前に書いたとおりです。ほかのものは、現時点では秘密にしておきます。・・・といっても、残りのうちの一つが《ロミオとジュリエット》というのはもうバレバレなんですけどね。)


・・・これでようやく半分です。
ここまでで"クラリス&ロベール編"が終了、と言っていいと思います。
(このあと、コーダ?---クラリスを愛した残り二人の男性のエピソード---が少しありますけど・・・まあ、ここで一段落、でしょう。)
この二人の物語を書き始めたとき、この二人の恋愛はハッピーエンドで終わる予定でした。だからこそ、ヒーローとヒロインの名前は、クラシック音楽が好きな人ならおしどり夫婦として誰もが知っているシューマン夫妻(クララ&ローベルト)からもらったのです。ですが、ご存じの通り、二人の恋愛はハッピーエンドにはならなかった。彼らの夢は、次世代へと続いていきます。クラリスとエマニュエルの娘と、ロベールの弟アルトゥールとジュヌヴィエーヴの息子とのストーリーへ。
(アルトゥールとジュヌヴィエーヴ、という二人も、もともとは"アーサー王とギネヴィア妃"から名前をもらったカップルでした。う~ん。どこで何をどう間違えるとこうなるんでしょう?・・・。)


2009年3月にスタートしてから約4年でここまでですから、リオデジャネイロ=オリンピックまでにはまず間違っても完結しないとは思いますが、せめて東京オリンピック(現時点では「仮称」)までには、完成させようとがんばっていくつもりでおります。


今後とも、うちの小説をよろしくお願いします。


日常の忙しさに紛れ、執筆速度が超低速になっている現状を改善し、少しでも前へ進みたいと願いつつ。


25 mars,2013 cambrouse
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