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年代記 ~ブログ小説~ 

「年代記  第二部」
第21章

第380回

「知ってるの?」ギュンターが驚いたように言った。
「いいえ、知らないわ」シャルロットはきっぱりと否定した。「ところで、ハーフェル湖を知ってる? わたしたち、そこに行きたいの」
「案内してあげようか?」ギュンターの目が輝いた。
 そのとき、やっとフェリックスが真っ青な顔で木から下りてきた。フリーデリックが心配そうについていた。シャルロットは二人の方を見た。
「ハーフェル湖に行く? 彼が案内してくれるそうだけど?」
 フリーデリックはフェリックスを見た。「ボートに乗れるかい?」
「大丈夫さ」フェリックスは明らかに無理をしていた。
「本当に大丈夫なの?」シャルロットが訊ねた。
 フェリックスはまだ青い顔をしていたが、にやっとした。「その犬と離れていれば、大丈夫さ」
 スタニスワフを除く全員が笑った。
「冗談が言えるくらいなら、大丈夫だろう」フリーデリックが言った。「決まりだね! じゃ、きみたち、前を歩いてくれないか? ぼくたち3人は、後ろからついていくからね」
「3人って、スターシも?」シャルロットは怪訝そうな顔で訊ねた。それから、彼がドイツ語を話せなかったことを思い出した。それなら、後ろでポーランド語で話していた方が面白いに決まっている。今まで気がつかなかったなんて、うかつだった。
 フリーデリックは黙ってうなずいた。
「じゃ、行きましょ! その犬を放さないでね」後ろの方はギュンターに言った。
 シャルロットは、フリーデリックもギュンターと話したいだろうと思った。どう見ても、二人は同じくらいの年だ。ギュンターだって、小さい自分よりフリーデリックと一緒の方が楽しいのではないだろうか?
「彼とかわる?」シャルロットがフリーデリックの方を見て訊ねた。
「彼って、フリーデリックとかいう、あの少年に?」ギュンターは驚いて訊ねかえした。
 その表情から、ギュンターが全くそんなことを考えていなかったらしいとシャルロットは気づいたのだが、だとすると、なぜフリーデリックと話したいと思わないのか不思議に思った。
「ええ。だって、あなたたち、同じくらいの年じゃない?」
「彼はいくつなの?」
「14よ。10月で15になるわ」シャルロットが答えた。
「確かに、ぼくと同じ年だけど・・・」ギュンターが言った。「でも、彼は、ぼくと話したくなさそうだよ」
「そうかしらね?」シャルロットは、ちらっとフリーデリックの方を見た。「たぶん、遠慮しているんだわ」
 ギュンターは、<そうかな?>と言いたげな表情でシャルロットを見た。
「・・・フェレックのことが心配なのね、きっと」シャルロットはそう言い、納得したようにギュンターにほほえみかけた。
 そして、かの女は、フリーデリックに気を遣うのをやめた。
 ギュンターは、子犬をなでながら犬の話を始めた。自分の犬の話ではなく、犬という動物の特性を話し始めたのである。それから、そのあたりに生えている木の話をした。シャルロットは、彼が木の研究でもしているんじゃないかと思ったほど、彼は木について詳しかった。その次には、野生の花の話だった。ハーフェル湖につくと、湖の由来、古代の気候と地震の話をした。
 二人がそんな話をしているうちに、フリーデリックはボートの手配をした。
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