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年代記 ~ブログ小説~ 

「年代記  第二部」
第28章

第504回

「・・・よろしい、じゃ、みんなで、かの女にかの女のことを教えてあげなさい」ド=グーロワールが言った。「さて、かの女には、どの席がいいだろう?」
 2年7組は、ほかのクラスより人数が多く、全部で30人いた。転校生がみな7組に入るので、どの学年も7組が一番人数が多かった。平均15人ずつのクラスで、7組だけは平均20人くらい・・・というのが平均的な分布なのだが、このクラスだけは特別だった。原因は、前の年の落第生が多かったことである。毎年、2年生だけは進級試験が難しかった。2年7組の人数が多いのは、毎年のことである。
 さて、30人は、縦に6列、横に5列に並んでいた。7組というクラスは、どの学年も男女混合のクラスだった。このクラスの場合は、男子21名、女子9名だったので、机はやや変則的に並んでいた。5列とはいっても、一つだけ6列のところがあった。そして、その一つはアグレスールの席だった。彼の席は、<セント=ヘレナ島>とあだ名されていた。女子も9人だったが、一番後ろの席には特別なあだ名はなかった。そこに座っていたのは、クラスの女の子の中で一番背が高いアレクサンドリーヌ=コフィーナルだった。その隣の席が開いていたわけだが、アグレスールはこう言った。
「一番後ろじゃかわいそうだね。シレーヌ、ショップ、もしきみたちさえよければ、シャルロットを一番前にしてあげたいんだけど・・・」
「もちろん、いいわ」立ちあがったのはエリザベート=ド=ノールマンだった。「シレーヌ、あなたがシャルロットのお世話をしてあげるといいわ」
 シャルロットは、空いた席に座った。そこは、バルバラ=ヴィエニャフスカの隣だった。
 ド=グーロワールは、黙ってその様子を見つめていた。なるほど、この少年をリーダーにしたのは正しい。この少年は、リーダーになるために生まれてきたような人物だ。
 ド=グーロワールは、クラスが落ち着きを取り戻すと、ほほえみながら教壇に立った。
「さて、正式に自己紹介させて欲しい。ぼくは、アルフレッド=ド=グーロワール。先ほども言った通り、ポーランドの生まれで、先祖の一人がポーランド人だった。ルーディ=タンスキーというのは、遠い先祖の名前だ。彼は、コシチューシコと一緒に戦ったと聞いている。コシチューシコの名前は知っているかい?」
「このクラスには、ポーランド人がいますからね。名前くらいは知っていますよ」コルネリウスが言った。
 ド=グーロワールは、コルネリウスを見つめた。「きみは、もしかすると、フランショーム一族じゃない?」
「ええ、そうです。よくご存じですね」コルネリウスはそう言ってほほえんだが、ド=グーロワールには皮肉を言ったようにしか聞こえなかった。
「ところで、女子寮にいるメガネさんだけど・・・」ド=グーロワールが話し出した。
「マダム=ベルマンですね?」誰かが言った。
 ド=グーロワールは、わざと真面目な顔をした。「いや、かの女は、マドモワゼル何とかと自己紹介したのだが・・・?」
「かの女は、初対面の人には、いつもそう言うんです」
「・・・じゃ、そのマダム=ベルマンが、さっき、ぼくにこう言った」そう言うと、ド=グーロワールは、かの女の気取った口調をまねた。「『失礼ですが、あなたはあの2年7組にふさわしい先生のようですわ』」
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