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年代記 ~ブログ小説~ 

「年代記  第二部」
第28章

第515回

 シャルロットは、椅子を並べるようにバルバラに指示した。近くにいた少女たちがそれを手伝った。かの女は、続いて、フェルディナンドに、パトリックをそこに寝かせるように指示した。
「・・・落ち着いて、プティタンジュ・・・こんなことはしょっちゅうなんだ・・・」パトリックが言った。
「あなたのしていることは、自殺行為だわ」シャルロットは怒ったように言い返した。
「だから、ぼくは自殺者(スイシデ)と呼ばれるんだろうね」彼はそう言うと、目を閉じた。
「まあ・・・」シャルロットはあきれた。「ばかなことを言っていないで、お医者さまに診てもらうといいわ」
 彼は目を開けた。「いいんだよ、どうせ治らないんだから・・・」
 いつの間にか、喧嘩は収まっていた。全員が二人に注目していた。喧嘩の当事者たちまでがその場に駆けつけていた。
「治らないなんて嘘よ。あなた、医者が恐いんでしょう?」シャルロットが言った。
「恐くなんてないさ」パトリックが言った。彼には、むきになる気力もないようだった。彼は、言い合いに疲れたようにまた目を閉じた。
 そこへ、ドクトゥール=ワッセルマンが駆けつけた。
「シューザンが、また発作を起こしたんだって?」
「そうなんです」マダム=ベルマンが答えた。
 彼は、パトリックを診察して、言った。「いつもより軽いね。でも、今日はわたしのところで寝ていた方がいいね。喧嘩でもさせたのかい?」
「いいえ、見物だけですよ」パトリックが言った。
「当事者は、きみたちだね」ドクトゥール=ワッセルマンはにやりとした。「フェネアン、スフィンクス、ディスポ、アンシクロペディー。きみたち4人で、彼を運んでくれ」
「ドクトゥール、ぼくはもうフェネアンじゃありませんよ」フランソワ=ジュメールが抗議した。「それに、どうして、ぼくが当事者だと思うんですか?」
「顔に書いてあるよ。それに、服が汚れている」
 フランソワはあわてて顔に手をあてた。
 ドクトゥール=ワッセルマンは、笑いながら教室を出て行った。
 4人は、クロード=ヴァラースが持ってきた担架にパトリックを乗せて、教室を出て行った。
 そして、授業終了の鐘が鳴った。
 シャルロットは、ドクトゥール=ワッセルマンを追いかけていった。そして、ゆっくり歩いていた彼に1階で追いついた。
「彼は、ずっとああなんですか・・・?」
「彼って・・・シューザンのこと?・・・そう、もう長いよ」
「心臓が悪いんでしょう? あの様子じゃ、もう、末期的・・・でしょう?」
 ドクトゥール=ワッセルマンがうなずいた。
「で、お医者さまは、何と・・・?」
「ちかごろでは、彼は医者を避けていてね・・・」
「わたしは、彼をサン=ジェルマン=アン=レーに連れて行ったらどうかと思うんです。サン=バルナベ病院のドクトゥール=アースなら、彼をなんとかできるんじゃないでしょうか? 彼は、心臓の専門家だと聞いています」
「心臓病の権威だというドクトゥール=アースのこと?・・・あの人に診てもらうのは不可能だよ」ドクトゥール=ワッセルマンは、肩をすくめた。
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