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年代記 ~ブログ小説~ 

「年代記  第二部」
第28章

第517回

「たてまえはね。でも、実際はそうじゃない」フランソワが答えた。
「それで、あなたたちは、オーケストラをつぶそうとしているのね?」
 フランソワは体を硬直させた。「ぼくたち・・・?」
「そう、ル=グループ=トレーズの13人ってことだけど」
「・・・ぼくがそのメンバーだということを知っているの?」
 シャルロットはうなずいた。「イジドール=アルノーもそうでしょう?」
 フランソワは、シャルロットに対して初めて厳しい表情を見せた。「誰に聞いたんだい、そんなこと?」
「知っているのはわたしだけよ。それに、誰にも言うつもりはないわ。もちろん、あなたを脅かしているつもりもないわ」シャルロットは肩をすくめた。「わたしはね、あなたがたの力になりたいの。確かに、わたしは、この学校のことも、オーケストラのこともよく知らないわ。でも、あなたがたの味方になりたいの」
「どうして?」
「アグレスールの目・・・そして、あなたの目が本気だったから・・・」
「目、だって?」フランソワはびっくりした。
「わたしは、裏切られない限り、あなたがたを応援するわ」シャルロットが言った。
「裏切る? どうして裏切らなくちゃならないの?」
「じゃ、教えてくれる? そもそも、ル=グループ=トレーズっていったい何なの?」
「ル=グループ=トレーズが何かを知らないのに、メンバーを知っているなんて・・・」フランソワはまた驚いた。
「普通は、逆ね」シャルロットがちょっとほほえんだ。
 フランソワはうなずいた。
「あなたたちの名前は、偶然知ってしまったの。知っているのは、本当に名前だけ。全員に会ったことはないわ。だって、イジドール=アルノーがチェリストだったなんて、さっきまで知らなかったのよ・・・」
 フランソワはゆっくり息を吸った。「二年前のことだった。当時、ソサイエティの指導者は、亡くなったルネ=ペルメーテルだった。彼は、メンバーの心をつかむ天才だった。ところが、彼は、突然オーケストラを辞めさせられた。後任は、ラザール=ドランドと言った。ぼくたちは、彼が嫌いだった・・・」
「ぼくたち、って、例の13人のこと?」
 フランソワは首を横に振った。「違う。ソサイエティのメンバー全員のことだ。だから、みんな、彼を辞めさせてもう一度ペルメーテルに戻ってもらおうとしたんだ。彼のクラスのメンバー、つまり、当時の4年7組の連中が---今の2年7組の大部分の人たちが立ちあがって運動を開始した。そのときのリーダーが、コルネリウス=ド=ヴェルクルーズだった」
「・・・でも、彼は、あなたがたのグループとは・・・?」
「まあ、聞いてよ。当時、もう一つの動きがソサイエティの中にあった。それは、ソサイエティそのものに反対するグループだった。二つあって、一つは当時3年7組のヴォルフィ=ヴェーベルンと彼の親しいチェリストたちのグループだった。もう一つは、当時2年7組だったフランソワ=フランショームを中心とする作曲家を目指す人たちのグループだった。その3つのグループは、ラザール=ドランドに反対していた点では利害が一致していた。それで、ドランドは、その3つが合体しないように手を打ったんだ」
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