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年代記 ~ブログ小説~ 

「年代記  第二部」
第31章

第571回

 少しして、アルフレッド=ド=グーロワールが教室に現われた。その頃には、教室にはほとんど全員がそろっていた。
「・・・欠席者は二名・・・」彼はメモを取りながら言った。欠席者というのは、アグレスール=ベルリオーズとパトリック=ド=メディシスである。それから、彼はメモを見ながら朝の連絡事項を読み上げた。「今朝は、連絡事項は少ない。一つは、掲示板をみた人は知っていると思うが、ソサイエティの活動が停止されている。ソサイエティのメンバーが自主練習をすることは禁止されていないが、4人以上のグループで練習することは禁止とする。さらに、ソサイエティ=ホールの使用は禁止」
 教室がざわめいた。
「ホールは、今後一ヶ月間は<スゴン>が利用する。定期演奏会までだ。定期演奏会で作品を発表したい人は、締め切りが今日なので、すみやかにリヴィエール先生まで提出すること」彼はメモを読み上げていた。
「・・・先生、このクラスには、作曲コースの人間はいません」サルヴァドール=クートンが言った。
「ありがとう」ド=グーロワールは声をかけてきた少年に答えた。「・・・そういうわけで、スゴンのメンバーは、集合場所を間違えないこと。連絡は以上」
 彼の言葉が終わるなり、教室内がざわざわし始めた。この日の最初の授業は、化学実験室に移動することになっていたからである。
「・・・マドモワゼル=チャルトルィスカ」ド=グーロワールは、目の前の席にいたシャルロットに声をかけた。「ちょっと連絡事項がある。廊下に出て欲しい」
 シャルロットは立ち上がり、松葉杖をささえに歩き出した。
「・・・教室がざわざわしていたんで、出てもらっただけだ。重要な用件じゃない」心配そうに教室から出てきたシャルロットに、ド=グーロワールはほほえみかけた。「ペール=ボニファースが、オルガンの実技レッスンをして下さるそうだ」
 シャルロットはびっくりした。
「ただし、条件がある。作曲コースを受講してもらいたいそうだ」
「作曲コースを?」シャルロットはさらに驚いた。
「・・・といっても、2年生の授業についていくのは難しい。そこで、<作曲準備コース>という課外授業を選択して欲しいと言うことだ。そのコースは、全部で6つのクラスがあって、各コースは1ヶ月ずつ受講することになるそうだ。6年生の授業を1ヶ月で終わらせるのが<6P>、5年生の課程が<5P>・・・というふうにクラスには名前が付いている。きみの場合は、学年末までに<2P>まで終了してほしいそうだ。どちらにしても、通常の授業に参加するのは、1年生になってから・・・だろうと先生方は考えている」ド=グーロワールは言葉を選びながら説明した。「ただし、一つのコースの授業終了後にテストに合格しなければ、次の課程には進めない。きみは2年生だから、失敗は1度しか許されない。この条件でも、オルガンのクラスに出たい?」
 シャルロットはうなずいた。
「ただ、失敗した場合、作曲コースの編入資格はなくしてしまうけど、オルガンコースのほうがどうなるか・・・これは、学年末の成績次第だそうだ。つまり、作曲コースの責任者のアルマン=リヴィエール先生の判断待ち・・・ということになるらしい。質問は?」
「・・・どうして、そんな特例が認められたんですか?」シャルロットは一番気になる質問をしてみた。「編入するとき、校長先生は、ピアノとヴァイオリンの授業しか認めて下さらなかったのに、どうして、今回そんなことができたんですか?」
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